年齢切迫の少年事件

刑事|19歳の少年事件|成人に近い少年の保護処分回避手続

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

20歳の誕生日を3か月後に控えた大学生の息子が、某大手中古書店で未精算の漫画本15点(販売価格3510円)を店外に持ち出してしまい、取り押さえた店長に窃 盗(万引き)の容疑で通報され、警察署に任意同行を求められ、簡単な事情聴取を受けました。

息子は、2年前に別の店でアニメのDVDセットの値札を別の商品のものと取り換えて、本来の販売価格よりも安く購入した詐欺の容疑で、1年前にも電車内で財布の置き引きを行った窃盗の容疑で、いずれも警察に逮捕され、鑑別所に送ら れ、最終的に家庭裁判所で保護観察処分となっており、前回の少年審判の際には、裁判官から、次にやったら少年院送致になるから二度と犯罪行為を行わないように、と 説諭されています。

このような状況では、もう少年院送致を避けることはできないのでしょうか。

回答:

1. 3カ月後に20歳になるということですから、それまで、少年審判を伸ばすことにより、少年院送致を避けることができます。

息子さんには窃盗罪(刑法235条)が成立していると考えられます。そして、息子さんは未だ20歳に満たない「少年」(少年法2条1項)であるため、非行歴と前 回 までの保護処分の内容に照らせば、前回までと同様、少年鑑別所に送致された上、少年審判で少年院送致の決定がなされてしまう危険性が非常に高い状況といえます。

2. 息子さんは20歳の誕生日を3か月後に控えているとのことですが、少年審判の対象となる「少年」(少年法2条1項)とは、少年審判の時点で20歳未満の者を指すと解されて います。そのため、少年審判で保護処分が下されるよりも前に20歳を迎えた場合、それ以降は「少年」を対象とする保護処分を受ける可能性は一切なくなるため、少年 院送致を回避できる、ということになります。

3. 息子さんの場合、一度逮捕されてしまうと、少年審判まで短期間のうちに移行してしまうため(逮捕、勾留で最大23日間、鑑別所送致後少年審判まで最大で4週間)、まずは逮 捕を回避しなければなりません。逮捕の要件とされる罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを示す資料を弁護人から積極的に提出していく必要があるでしょう。併 せて、被疑者段階から要保護性を低下させるための活動を行い、関連資料を捜査機関に提出しておくことが望ましいといえます。

4. また、今後の取り調べや実況見分への立会い等の日程調整の際には、弁護人が連絡窓口となり、極力遅めの日程を設定してもらえるよう、折衝することが考えられます。取調べに 臨むに際しても、逮捕の危険性を高めるような供述をすることのないよう、事前に弁護士と十分な打合せを行っておくことが望ましいといえます。送検や家裁送致のタイ ミングについても、弁護人から、少年審判となった場合の不利益の重大性等をよく説明してもらい、最大限の配慮を求めて積極的に働きかけを行っていく必要があるで しょう。

5.少年事件に関する関連事例集参照。

解説:

1.少年事件の手続きについて

息子さんが未精算の商品を店外に持ち出した行為については窃盗罪(刑法235条)が成立しているものと考えられます。そして、息子さんは未だ20歳に満たない 「少年」であり(少年法2条1項)、少年法の適用があるため、成人事件の場合とは異なる手続によって処遇されることが法律上予定されています。

成人事件の場合、通常、警察で必要な捜査が行われた後、事件が検察庁に送致され(刑事訴訟法246条)、検察官において、被疑者に対して如何なる刑事処分をすべ きか検討され、終局処分(起訴又は不起訴)が決定されることになります。在宅での取調べの場合、送検や終局処分決定までの期間的制限は特段設けられていませんが、 逮捕された場合、逮捕から48時間以内に事件が検察官送致された上、送検から24時間以内(逮捕と合わせて72時間以内)に検察官において裁判官に被疑者の勾留を 請求することになり(刑事訴訟法203条1項、205条1項、2項、4項)、検察官の勾留請求が認められた場合、原則10日間(刑事訴訟法208条1項)、検察官 が終局処分の決定にあたってさらに取調べや証拠収集をする必要があると判断した場合、さらに10日間身柄拘束が続くことになります(刑事訴訟法208条2項)。

少年事件の場合、捜査段階の手続きは基本的に成人事件の場合と同じですが、犯罪の嫌疑があると判断された事件については全件が家庭裁判所に送致されることになっ ています(全件送致主義。少年法41条、42条)。送致を受けた家庭裁判所は、事件及び少年について調査を行い(少年法8条、9条)、少年審判において保護処分と 呼ばれる処分の決定をすることになります(少年法24条1項各号)。調査に際しては、必要に応じて、鑑別所送致(通常、4週間、少年鑑別所に収容されることになり ます。)等の観護措置(少年法17条1項2号・3項・4項本文)がとられることがあります。

息子さんが以前二度にわたり受けた保護観察処分は上記の保護処分の一種ですが(少年法24条1項1号)、非行の態様が悪質であったり、一度保護観察に付したにも 関わらず再非行が続いたりするようだと、要保護性が高いと判断され、鑑別所送致の上、保護処分の中でも最も重い少年院送致とされる危険性が高まることになります。

息子さんの場合、過去2年間という短期間に二度保護観察処分を受けた上での今回の非行ですので、要保護性が高いと判断されるものと考えられ、事件が家庭裁判所に 送致された場合、鑑別所送致とされた上、少年院送致の処分となる危険性が非常に高いといえます。また、被疑者段階(家庭裁判所送致前の段階)でも、罪証隠滅のおそ れや逃亡のおそれがあると判断されれば、逮捕される危険性があるといえます(刑事訴訟法199条1項、刑事訴訟規則143条の3)。

2.少年院送致回避の可否について

ところで、息子さんは20歳の誕生日を3か月後に控えているとのことですが、少年審判の対象となる「少年」(少年法2条1項)とは、少年審判の時点で20歳未満 の者を指すと解されています。少年法は、未だ人格的に発展途上であり、意思決定能力が未熟な少年に対しては、成人と同様に一律に刑罰を科すよりも、少年の健全な育 成(保護主義)という見地から、個々の少年の特性に応じた特別な処遇によって更生・矯正を施す方が社会秩序の維持を図っていく上で合理的であるとの考えから、成人 事件の刑事手続に修正を施すものですが(少年法1条参照)、非行当時は20歳未満であっても、その後20歳を迎えて成人となった者に対しては、かかる保護主義が妥 当しなくなるため、成人と同様、検察官によって起訴、不起訴の決定がされることになります。

このことは、裏を返せば、少年審判で保護処分が下されることなく20歳を迎えた場合、それ以降は少年院送致を含め、「少年」を対象とする保護処分を受 ける可能性は 一切なくなる、ということになります。すなわち、息子さんの場合、少年院送致等の保護処分を回避するにあたっては、家庭裁判所への事件送致をどれだけ遅らせること ができるかどうかが非常に重要なポイントとなってきます。

3.具体的対応について

(1)身柄拘束の回避

仮に、息子さんが本件で逮捕される事態となってしまった場合、前記のとおり、捜査機関での身柄拘束(逮捕及び勾留)期間は最大でも23日間(万引きの事実に争い がなく、捜査にそれほど時間も要しないと考えられることからすれば、実際にはかなり短期間になるでしょう。)であり、家裁送致後の観護措置の期間(少年鑑別所での 収容期間)は最大でも4週間であるため、一度逮捕されてしまうと、少年審判まで短期間のうちに移行してしまうことが予想されます。そのため、まずは逮捕を回避しな ければなりません。

刑事訴訟規則143条の3によれば、「諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」 には、逮捕できないとされていることから、逮捕を回避するためには、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを示す資料を積極的に提出していく、という活動が最 低限必要でしょう。具体的には、息子さん本人の出頭誓約書やご家族の身元引受書はもちろんとして、刑事手続係属中に直接被害店舗に立ち入らない旨の息子さん本人の 誓約書、被害店舗への謝罪と被害弁償の意思と準備があることを示す資料(謝罪文、弁護人作成の被害弁償金預かり証等)を提出しておくことが望ましいでしょう。その 他、息子さんが大学に通学中であることや被疑事実を認め、捜査に協力的な姿勢をとっていること、被害金額が大きいとはいえないこと等は、逮捕の必要性を減殺する事 情となるため、これらを含めた諸事情に照らして逮捕が不相当であることを法的見地から述べた弁護人の意見書を送付しておくとよいでしょう。

万が一、具体的事情の下で検討した結果、逮捕の要件がないとはいえないような場合であっても、少年の身柄拘束は成人の場合以上にその心身に及ぼす悪影 響が大きいこ とから、「少年の被疑者については、なるべく身柄の拘束を避け、やむを得ず、逮捕、連行又は護送する場合には、その時期及び方法について特に慎重な注意をしなけれ ばならない」とされていることから(犯罪捜査規範208条)、かかる見地から、身柄拘束に対する最大限慎重な姿勢を求めていくべきことになります。

併せて、被疑者段階から要保護性を低下させるための活動を行い、関連資料を捜査機関に提出しておくことが望ましいでしょう。息子さんに規則正しい生活 をさせ、 日々の生活状況や事件に対する反省を日記等の形で記録したり、息子さんが本件非行に至った原因を科学的な見地から明らかにするための努力として、心療内科の受診等 の具体的な行動をとって頂くと、鑑別所送致を回避するにあたって意味のある事情となってくるでしょう。弁護人としても、息子さんやご家族と面談を繰り返す中で、息 子さん自身の問題点、息子さんを取り巻く環境上の問題点(生活環境、家庭環境、交友関係等)、家庭生活上の問題点等をできるだけ早い段階から明らかにして非行の原 因を探り、再非行防止のための対応策(環境調整)を早い段階から検討、実行していく必要があるでしょう。

(2)取調べ等への対応

息子さんは警察に任意同行後、簡単な事情聴取を受けただけとのことですので、今後正式な取調べを行った上での供述調書の作成や、万引きの現場での実況見分等が予 定されていると考えられます。これらについては、任意捜査が継続する以上は、基本的には捜査機関と日程調整を行った上で対応していくことになりますが、弁護人が連 絡窓口となり、極力遅めの日程を設定してもらえるよう、折衝することが考えられます。

取調べの際の供述内容は逮捕の要件であるところの罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれとも密接に関連してくるため(不自然、不合理な供述や反省の態度が見られないと 取られるような供述の場合、罪証隠滅や逃亡のおそれを高める不利な事情となり得ます。)、取調べに臨むに際しては、事前に弁護士と十分な打合せを行っておくことが 望ましいといえるでしょう。

(3)捜査機関との交渉

必要な捜査が一通り終了すると、事件が警察から検察庁に送致されることになります。刑事訴訟法246条によれば、「速やかに」送検すべきとされてはいますが、弁 護人との交渉次第では送検や家裁送致のタイミングについて配慮を得られる場合があります。弁護人から、本件が少年審判の対象となった場合の不利益の重大性等をよく 説明してもらい、最大限の配慮を求めて積極的に働きかけていく必要があるでしょう(参考までに、筆者の経験として、被害店舗との示談交渉の必要性を理由に、その帰趨を見届けた上で送致することとされたい旨の弁護人の要請に対して、一定の配慮が得られたことがあります。)。

4.最後に

送致のタイミングの関係で少年審判を回避することができれば、息子さんが20歳になった時点で「前科」が存在しないわけですから(少年審判での保護観察処分は、 あくまで息子さんの更生の見地からの保護処分であって、前科とは異なります。)、軽微な万引きという事案の性質に照らして、被害店舗との示談交渉の結果如何によっ ては、不起訴処分を得られる可能性も十分に考えられます(刑事訴訟法248条)。まさに、事件送致のタイミングによって刑事手続の帰趨が全く異なってくるわけで す。

上記のとおり、息子さんの少年院送致回避をより確実なものとするためには、通常の刑事弁護人の活動とは若干異なるイレギュラーな対応が求められることになりま す。そのため、弁護人を選任する際には、その弁護士がいかなる方針の下どのような活動を行ってくれるのか、よく説明を聞いて、納得の上依頼されることをお勧め致し ます。

以上

関連事例集

Yahoo! JAPAN

※参照条文

刑法

(窃盗)

第二百三十五条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑事訴訟法

第百九十九条  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することがで きる。ただし、三十万円(刑法 、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定 まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

○2  裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県 公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限 りでない。

第二百三条  司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告 げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以 内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

第二百五条  検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思 料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

○2  前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から七十二時間を超えることができない。

○4  第一項及び第二項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

第二百八条  前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

○2  裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。

第二百四十六条  司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官 が指定した事件については、この限りでない。

第二百四十八条  犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

刑事訴訟規則

(明らかに逮捕の必要がない場合)

第百四十三条の三  逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞 がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

少年法

(この法律の目的)

第一条  この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずること を目的とする。

(少年、成人、保護者)

第二条  この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。

(事件の調査)

第八条  家庭裁判所は、第六条第一項の通告又は前条第一項の報告により、審判に付すべき少年があると思料するときは、事件について調査しなければならない。検察官、司法警察員、 警察官、都道府県知事又は児童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年事件の送致を受けたときも、同様とする。

2  家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に命じて、少年、保護者又は参考人の取調その他の必要な調査を行わせることができる。

(調査の方針)

第九条  前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活 用して、これを行うように努めなければならない。

(観護の措置)

第十七条  家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。

一  家庭裁判所調査官の観護に付すること。

二  少年鑑別所に送致すること。

2  同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから二十四時間以内に、これを行わなければならない。検察官又は司法警察員から勾留又は逮捕された少年の 送致を受けたときも、同様である。

3  第一項第二号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、二週間を超えることができない。ただし、特に継続の必要があるときは、決定をもつて、これを更新することが できる。

4  前項ただし書の規定による更新は、一回を超えて行うことができない。ただし、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件でその非行事実 (犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)の認定に関し証人尋問、鑑定若しくは検証を行うことを決定したもの又 はこれを行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、更に二回を限度 として、行うことができる。

(保護処分の決定)

第二十四条  家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る 事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。

一  保護観察所の保護観察に付すること。

二  児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。

三  少年院に送致すること。

(準拠法例)

第四十条  少年の刑事事件については、この法律で定めるものの外、一般の例による。

(司法警察員の送致)

第四十一条  司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪 の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

(検察官の送致)

第四十二条  検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しな ければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

犯罪捜査規範

(身柄拘束に関する注意)

第二百八条  少年の被疑者については、なるべく身柄の拘束を避け、やむを得ず、逮捕、連行又は護送する場合には、その時期及び方法について特に慎重な注意をしなければならない。