新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1642、2015/10/07 12:00 https://www.shinginza.com/qa-syounen.htm
【少年事件、同級生仲間との窃盗、盗品関与罪における弁護活動】

少年事件・盗品等関与罪と窃盗の共犯


質問:私には,埼玉間の高校に通う17歳の息子がいますが,本日息子が警察から呼び出されました。同級生数人と一緒になって近所の雑貨店から雑貨を盗んだという容疑のようです。息子に話を聞いてみたところ,「自分では盗んでいない。同級生達が盗んでいるのを見ていただけだ。ただ,同級生が盗んだ雑貨を,同級生から買ったことはある。」とのことでした。どうやら,息子が仲良くしているその同級生達は,いろいろなところから万引きを繰り返しおこなっていたようなのです。
息子がした事は犯罪にならないような気もしますが,息子はなぜ呼び出しを受けたのでしょうか。今後私はどうすれば良いでしょうか。息子が警察に呼び出されるなんて初めてのことなので,動揺してしまっています。

回答:

1 お子様のしてしまったことは,@盗む現場に一緒にいて「同級生が盗んでいるのを見ていた」という点で窃盗罪の共犯,A「同級生が盗んだ雑貨を,同級生から買った」という点で盗品等有償譲り受け罪が成立する可能性があり得るところです。

また,お子様は未成年ですから,犯罪が成立していなくとも,B「ぐ犯」として処分の対象となる可能性があります。

2 もちろん,同級生による窃盗の捜査の一環として,事情を知っているお子様を参考人として呼び出しているだけということもあり得るところですが,いずれにしても,まずは警察等の捜査機関と接触して,捜査機関の考えを確認することが必要です。
  本件では,実際に雑貨を盗んだ同級生とのかかわり方や,雑貨の購入経緯等によっては,事件として取り扱われることの回避もあり得るところですので,警察等の捜査機関との交渉も必要になってくるところです。これは、成人事件でも同じですが、利益が対立する捜査機関といかにして信頼関係を維持し少年のための弁護活動ができるかというところに帰着します。

3 仮に事件として取り扱われる場合,事件は基本的に全て家庭裁判所に送致されることになりますから,家庭裁判所の処分軽減を目指すための準備が必要です。
  具体的には,被害店舗(雑貨店)との間の示談や,同級生との関係の調整が重要なポイントになってくることが考えられます。示談は必要不可欠です。示談は、事実上両親等保護者が付添い人に依頼し行うことになりますので、示談(謝罪)さえもできない家庭環境にあると裁判所が判断すると要保護性が強くなり保護処分の可能性がでてきます。少年事件は、少年と家庭的内でその原因を作った保護者(親権者)に反省を求めるところに特色があります。
  ただし,少年事件の場合,処分を決める要素は複合的です。また,示談交渉についても,共犯関係になり得る同級生と共にするのか,お子様単独でするのかも考える必要があります。
  また,学校との関係も問題になり得るところです。同級生と同時に捜査の対象となっているのであれば,捜査機関から学校へ通報がなされる可能性も十分にあるためです。
  以上の点からすれば,一刻も早く弁護士に相談して,弁護活動を進めていく必要があります。

4 少年事件 関連事例集1615番1572番1544番1459番1432番1424番1402番1336番1220番1113番1087番1039番777番716番714番649番461番403番291番245番244番161番参照。


解説:

1 各成立し得る犯罪等について

(1)窃盗罪の共犯について

   お子様が実際に物を盗んでいないとしても,事前に事情を知りながら同級生が盗んだその場にいたのであれば,窃盗罪の共犯(刑法60条から62条)の成立が考えられるところです。

   例えば,事前に同級生が雑貨を盗むことを聞いていて,同級生が盗むその場に居て,見張りをしていた様な場合や,事前に同級生と相談した結果,同級生が雑貨を盗み,その後盗品の分配を受けたような場合,判例上,窃盗罪の共同正犯(刑法60条)が成立する可能性がありますし,同級生のその窃盗との関与の仕方(同級生が窃盗をおこなうきっかけ等)によっては,その窃盗を唆した,あるいは助けたものとして,教唆犯(刑法61条),ほう助犯(刑法62条)の責に問われる可能性も否定できないところです。

   本件については,窃盗行為の経緯や,事件時のお子様の役割等が未だはっきりしていませんので,まずはお子様に事実関係を確認する必要があります。

(2)盗品等有償譲受罪について

   また,盗んだ雑貨を買った点についても,別途盗品等有償譲受罪(刑法256条2項)が成立することになります。

   この罪は,第一次的に被害者による盗品の取り戻しを困難にさせ,副次的に窃盗による利益を不正に得て,窃盗行為を助長することに対する罪で,盗品であることを知りながら,有償で(お金を払って)盗品を取得する場合に成立するものです(無償で貰った場合は,同条1項の罪が成立します)。

   お子様の場合,同級生が盗んだ雑貨を,盗んだものと知りながら購入しているので,理論的に同罪が成立することは避けがたいところです。

   ただし,上記のとおり本罪によって罪に問うためには,@購入した雑貨が盗品であること,A盗品であることを知りながら購入したこと,の2点の立証が必要なところ,盗んだ時期や購入した時期が昔のことであった場合は,その立証は困難になります。

   そのため,購入の経緯等によっては,事件として取り扱われないこともあり得るところです。

(3)ぐ犯について

   上記窃盗罪,盗品等有償譲受罪は,いずれも刑法に規定されている,いわゆる犯罪です。これらの犯罪が成立する場合,未成年者であるお子様も処分の対象となることは,一般の感覚からしても当然のことです(少年法3条1項1号)。

   しかし,未成年者である場合,犯罪が成立していなくとも,処分(審判)の対象となる場合が2つあります。1つは14歳未満の者による犯罪(少年法3条1項2号)で,本件とは無関係ですが,もう1つの少年法3条1項3号に規定されているものは本件でも問題となります。

   同条1項3号は,@「保護者の正当な監督に服しない性癖のあること」,A「正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと」,B「犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること」,C「自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること」のいずれかの事情がある場合で,「その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年」を処分の対象としています。

   この少年のことを「ぐ犯」(虞犯)少年といい,これは「犯罪を犯すおそれのある少年」という意味です(対して,犯罪を犯した少年のことを,「犯罪少年」ということがあります)。

   本来,「犯罪に至るおそれ」があるからといって刑事処分を受けることはありませんが,未成年者(少年)の場合,「少年の健全な育成を期」するという少年法の目的(少年法1条)のため,特別に認められています。

   ぐ犯が認められるためには,上記@からCまでのぐ犯事由と「その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞」というぐ犯性の両方が認められる必要があるところ,本件で例えば窃盗を常習的に行っている同級生らとの常日ごろからの付き合いがあるような場合,B「犯罪性のある人若しくは不道徳な人との交際」が認められる可能性があるところです。

   もっとも,「犯罪に至るおそれ」を理由に処分をする以上,その「おそれ」すなわちぐ犯性の判断は厳格になされるところです。そのため,単に犯罪傾向のある同級生とつるんでいる,というだけでは足りず,(窃盗の共犯とはいえないまでも)密接な関連等が必要になってくるところです。また,過去の事件である等の理由で,個別に窃盗罪として処分するには立証に難はあるものの,万引きを繰り返していることは把握している,といったケースでも,ぐ犯として処分の対象とすることがあり得るところです。

   本件では,この点も明らかではないので,日ごろの生活等も含めて,お子様から話を聞き,対応を検討する必要があります。


2 送致前の具体的な対応について

(1)捜査機関への対応

   少年事件の場合,犯罪の嫌疑があるとき,家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときには,必ず家庭裁判所に事件を送ることになっています(全件送致主義,法41条,42条)。この点で,捜査段階でまずは不起訴を目指すベき成年の刑事事件とは異なるようにも思えます。

   しかし,第一次的な犯罪の嫌疑の判断は捜査機関にある程度の裁量がある上,捜査機関が(事件として)認知しないという形で,事件としての取り扱いを回避することがあります(全件送致の例外について,本ホームページ事例集1459番もご参照ください)。

少年事件といっても,捜査段階(特に警察)での対応,説得が重要ということになります。

特に本件では,上記のとおり,@窃盗の共犯の成否,A盗品等有償譲受罪の成否,Bぐ犯の成否が問題となり得ます。そのため,仮に@からBのいずれも成立していない,との心証を捜査機関に抱かせることができれば,家庭裁判所への送致を回避することができる,ということになります。

そのためには,まずはお子様の話を聞き,@からBの成立可能性を検討する必要があります。上記のとおり,@窃盗の共犯との関係では,同級生達が今回の窃盗をおこなうまでの経緯と窃盗におけるお子様の役割(立場),A盗品等有償譲受罪との関係では,買った物品が盗まれた時期及び購入した時期,Bぐ犯との関係では,当該同級生達との普段のつながりや,普段の生活態度等が,集中して事情を確認する必要があります。

お子様の話と併せて,捜査機関がどの程度まで事実を把握し,お子様に対してどのような嫌疑をもっているのかを探る必要があります。例えば捜査機関の心証として,お子様を本件の窃盗の共犯としているのか,あるいは単にその場にいて,事情を知っている参考人としているのか,によって対応はもちろん異なりますし,そもそも過去の盗品の買い受けの事実を把握しているのかも,事前に確認しておく必要があります。

この点,捜査機関(特に警察)は基本的に捜査状況や把握している事実を秘匿する傾向にありますから,粘り強く担当警察官と面談する等して,現状の把握に努めていくことになります。捜査機関とは立場が違いますが、捜査機関が求めるものでいずれ明らかになるような事実関係は事前に開示し、信頼関係を維持して弁護側として確認したい情報提供を求めることも必要でしょう。

現状を把握した結果,仮に実際の事実関係と捜査機関の把握している事実関係に相違点があり,捜査機関が把握している事実関係の方が罪として過大である場合には,実際の事実関係を説得的に捜査機関に主張していく必要があります。例えば,共犯者がいるような場合,罪を他人にかぶせる目的で虚偽の供述をすることも多く,実際には窃盗の共犯であるとは考えられないにもかかわらず,捜査機関は共犯である疑いを強く持っているような場合が考えられます。

(2)示談交渉

   仮に,事実として窃盗の共犯が成立しており,証拠上も否定が難しいような場合,上記全件送致主義から,家庭裁判所に送致されることはほぼ間違いないところです。

   そのため,送致前から家庭裁判所による処分の軽減を見据えた活動をすることが必要です。

   具体的には,被害店舗である雑貨店との示談交渉と共犯者との関係の清算が中心になってくるところです。
   示談交渉一般については,本ホームページ事例集168番1315番1615番等をご確認ください。本件の示談で特に問題となるのは,共犯者との関係です。

   共犯者がいる場合でも,原則として示談交渉は個別におこなうことになります。少年事件の場合,成年事件と異なり共犯者同士で一緒に審判をすることがないため,共犯者間で一緒に示談をする必要はありません。

   ただし,被害店舗としては,あくまでも共犯者として全員を加害者として認識していますので,例えば共犯者全員の謝罪を求めることも十分にあり得ますし,少年事件の場合,更生の一環として,共犯者グループで共に謝ることで反省を深めることが,処分について好感される事も考えられるところです。

   一方で,共犯者間で役割の差があるような場合,共犯者間で用意できる示談金額に差が出るような場合,共犯者の中に示談に乗り気でない者がいるような場合は,足並みをそろえることがかえって示談交渉を難航させる原因になることもありますから,事案ごとの柔軟な対応が不可欠です。

   いずれにしても,下記のとおり,共犯者との関係は精算する必要があるため,示談交渉の連絡や打合せ等は,可能な限り弁護人等の代理人を介しておこなうことが必要です。

(3)共犯者との関係

   家庭裁判所の処分を見据えた場合,重要な点は共犯者との関係の清算です。これは成年事件,少年事件でも同様ですが,少年事件の場合,処分を決めるにあたって今後の更生可能性に重点が置かれる上,少年は周囲に流されやすい傾向があるため,特に重要です(上記のとおり,少年法がぐ犯事由としてB「犯罪性のある人若しくは不道徳な人との交際」を挙げているのは,まさに少年において周囲の人間の重要性を示すものです)。

   共犯者との関係は,清算し,事件発覚後の連絡を断つことが原則です。ただし,本件のように,共犯者が同級生であるような場合,関係の清算が難航することもあるため,慎重に進めていかなければなりません。また,特に少年の場合,LINEやフェイスブック上での水面下での連絡をいかに断つか,という点にも注意をしておく必要があります。

   そもそも同級生である共犯者との関係を完全に断つ,というのは少年にとって困難である一方で,少年自身の行動が不可欠です。そのためには,少年に反省を深めてもらい,共犯者グループから抜ける決心をしてもらうことになります。ただし,グループ内での力関係等によっては,自力で抜けることが困難である可能性もあり得るところです。そのような場合,弁護人等の第三者が介入した方がかえって良い場合もあるので,見極めが必要です。

   少年の事件において,このように少年の周囲を更生に適したものに変えていくことを,「環境調整」といい,この環境調整が十分になされていることが,少年に対する処分を軽減するために極めて重要となります。

   本件において,お子様と同級生である共犯者らとの関係は不明ですが,仮に深い関係にある場合,第三者の介入も視野に入れながら,お子様に関係を断ってもらうことが,処分の軽減につながります。

(4)学校への対応

   以上は,少年に対する保護処分(少年法上の処分)への対応ですが,異なるものとして,学校への対応が必要になる場合があります。

   当然,こちらから学校にあえて報告する必要はありませんが,警察は学校に対して事案を報告する取り決めを学校としていることがありますし,また被害店舗から学校に連絡がなされる事も良くあります。

   特に,本件のように同じ学校の生徒達との事件,ということになると,通報,通告される危険性は高まります。

   仮に通報等され,本件が学校の知るところになった場合,気をつけなければならないのは,共犯者に巻き込まれて,不当な処分を受けることになります。学校は,捜査機関以上に法的な知見に乏しいため,共犯関係等の精緻な調査なしに,まとめて処分をする可能性があります。

   そのため,学校に事態を把握された場合は,法的観点を加味した事実関係について,正確に報告する必要があります。

   学校による処分への対応一般の詳細については,本ホームページ事例集1618番1525番を併せてご参照ください。


3 送致後の具体的な対応について

  上記のとおり,本件について処分を決めるにあたって重要な点が,示談と共犯者である同級生らとの関係の清算である以上,家庭裁判所に事件が送致された後もこの二点を中心に対応することに変わりはありません。

  そのため,まだ示談が未了である場合には示談交渉をすすめ,共犯者らとの関係が断てていない場合には,関係の清算を進めていくことになります。

  ただし,少年事件の場合,「要保護性」という特殊な判断基準があります。要保護性とは,当該少年について保護(処分)をする必要があるか,というもので,具体的には@少年の性格・環境に照らして,再度の非行(犯罪)をおこなう危険性があるか,A保護処分によって,矯正(再非行の危険性の除去)できるかどうか,B少年の更生に関して,保護処分によることが最も適切であるかどうか,という判断基準を指します。

  上記の示談や共犯者との関係の清算も,上記の要保護性という観点から考えられます。例えば示談は,その被害の大きさを自覚し,誠意ある対応をしたことが要保護性の低減につながると考えられますし,関係の清算は,再度の非行を防止する環境を自主的に作ることができた,という点で,やはり要保護性の低減につながります。

  これらの弁護活動の成果としての要保護性の低減は,家庭裁判所の調査官に対して主張していくことになりますが,詳細については,本ホームページ事例集の1572番をご参照ください。


4 まとめ

  本件のような場合,共犯の成否や,盗品等有償譲受罪の立証,ぐ犯による立件という,法的に難しい問題を含んでいます。上記のとおり,少年事件の場合,検察官による不起訴処分がないため,警察段階における早い対応が必要です。


【参照条文】
刑法
(共同正犯)
第六十条  二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
(教唆)
第六十一条  人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2  教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
(幇助)
第六十二条  正犯を幇助した者は、従犯とする。
2  従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
(窃盗)
第二百三十五条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(盗品譲受け等)
第二百五十六条  盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2  前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

少年法
(この法律の目的)
第一条  この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。
(審判に付すべき少年)
第三条  次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
一  罪を犯した少年
二  十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
三  次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
(事件の調査)
第八条  家庭裁判所は、第六条第一項の通告又は前条第一項の報告により、審判に付すべき少年があると思料するときは、事件について調査しなければならない。検察官、司法警察員、警察官、都道府県知事又は児童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年事件の送致を受けたときも、同様とする。
2  家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に命じて、少年、保護者又は参考人の取調その他の必要な調査を行わせることができる。
(調査の方針)
第九条  前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して、これを行うように努めなければならない。
(審判の方式)
第二十二条  審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。
2  審判は、これを公開しない。
3  審判の指揮は、裁判長が行う。
(審判開始後保護処分に付しない場合)
第二十三条  家庭裁判所は、審判の結果、第十八条又は第二十条にあたる場合であると認めるときは、それぞれ、所定の決定をしなければならない。
2  家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
3  第十九条第二項の規定は、家庭裁判所の審判の結果、本人が二十歳以上であることが判明した場合に準用する。
(保護処分の決定)
第二十四条  家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
一  保護観察所の保護観察に付すること。
二  児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。
三  少年院に送致すること。
2  前項第一号及び第三号の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。
(家庭裁判所調査官の観察)
第二十五条  家庭裁判所は、第二十四条第一項の保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付することができる。
2  家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることができる。
一  遵守事項を定めてその履行を命ずること。
二  条件を附けて保護者に引き渡すこと。
三  適当な施設、団体又は個人に補導を委託すること。

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