少年事件の手続・制度
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20歳未満の事件には、原則として少年法による手続が適用されます。民法上は18歳で成人になっても、18・19歳には「特定少年」として少年法が適用されます。処分は年齢だけで決まらず、非行の有無、事件の内容、本人の状況、家庭・学校・職場での支援体制などを踏まえて判断されます。
逮捕や呼出しを受けたときは、早い段階で弁護士に相談することが大切です。事実を争う場合には証拠を確保し、非行があった場合には被害の回復と再非行を防ぐ生活の立て直しを進めます。13歳の万引き疑いなどの具体的な相談例もご覧ください。
- 18・19歳は「特定少年」。虞犯の対象から外れ、保護処分や逆送について特例があります(少年法62~68条)。
- 2025年6月1日施行の刑法改正で、懲役・禁錮は拘禁刑に一本化されました。施行前の行為には経過措置があるため、古い事件の刑名がすべて拘禁刑になるわけではありません。
- 少年鑑別所への観護措置は、調査・審判のための措置です。少年院送致などの最終的な保護処分とは区別します。
1.年齢と少年法の対象
少年法の「少年」は、男女を問わず20歳未満の人です(2条)。行為時の年齢と、家庭裁判所が処分を決める時の年齢を分けて確認してください。刑事責任の有無は行為時の年齢によりますが、特定少年としての保護処分などは処分時の年齢が関係します。行為時に20歳未満でも、家庭裁判所での処分前に20歳に達すると、原則として年齢超過を理由に検察官へ送致されます(19条2項・23条3項)。
| 年齢・区分 | 基本となる手続と注意点 |
|---|---|
| 行為時14歳未満 触法少年 | 刑法41条により罰せられません。刑罰法令に触れる行為があれば触法少年として調査の対象となり、児童相談所などの福祉的な対応が優先します。知事または児童相談所長から送致を受けた場合に限り、家庭裁判所が審判できます(少年法3条1項2号・2項)。 |
| 14歳以上18歳未満 犯罪少年 | 犯罪の嫌疑が認められる事件などは、原則として家庭裁判所へ送致されます。審判不開始・不処分、保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致などのほか、刑事処分が相当な事件では逆送があります。行為時16歳以上の故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件は、原則逆送の対象です(20条)。 |
| 18・19歳 特定少年 | 引き続き家庭裁判所が処分を判断します。保護処分は6か月または2年の保護観察、少年院送致の3種類。原則逆送の対象拡大、刑事手続・推知報道の特例があります(62~68条)。 |
| 18歳未満 虞犯(ぐ犯)少年 | まだ犯罪行為がなくても、3条1項3号所定の事由があり、性格・環境に照らして将来罪を犯すなどのおそれがある場合です。14歳未満は福祉機関からの送致が必要です。18・19歳には虞犯の規定を適用しません(65条1項)。 |
家出や反抗的な態度があるだけで直ちに虞犯と決まるわけではありません。虐待などから避難している事情や本人の困難も含め、法定の要件と具体的な環境を確認する必要があります。
2.事件発生から家庭裁判所の判断まで
警察・検察の捜査、または警察の調査
14歳以上の犯罪少年については、逮捕される場合と在宅で捜査される場合があります。少年事件では、検察官が犯罪の嫌疑を認める事件などを家庭裁判所に送致する「全件送致」の仕組みが基本です(42条)。18歳未満の罰金以下の刑に当たる罪などでは、警察から家庭裁判所へ直接送致される場合があります(41条)。特定少年にはこの直接送致の規定が適用されず、検察官を経由します(67条1項)。
14歳未満については、警察による触法調査や児童相談所への送致・通告が問題になります(6条の2~6条の7)。刑事事件として罰せられないことと、調査・福祉的措置を受けないことは同じではありません。詳細は13歳の万引き疑いの相談例をご覧ください。
逮捕後の時間制限
警察による逮捕では、原則として身体拘束から48時間以内に検察官への送致手続を行います。検察官は受取りから24時間以内、かつ身体拘束から通算72時間以内に勾留請求などを判断します。勾留は請求日から原則10日間、やむを得ない事由があるときの延長は原則としてさらに10日間以内です(刑事訴訟法203条・205条・208条)。この期間は一つの被疑事件についての通常の目安であり、その後の家庭裁判所の観護措置まで含む上限ではありません。
少年の勾留は、やむを得ない場合に限られ、勾留に代わる観護措置もあります(少年法43条・48条)。逆送後の特定少年については一部の特則が適用されなくなります(67条)。逮捕直後から弁護人との接見、釈放に向けた意見提出、勾留への不服申立てなどを検討します。
家庭裁判所調査官の調査と観護措置
家庭裁判所では、事件の事実関係に加え、生活歴、家庭・学校・職場の状況、交友関係、心身の状態、支援の必要性などが調査されます。呼出しや照会に対応し、具体的な支援計画を準備することが大切です。
審判のため必要があるときは、少年鑑別所に収容する観護措置がとられます。収容期間は原則2週間以内、特に継続が必要な場合の更新は通常1回で、合計4週間以内です。犯罪少年の一定の事件で、非行事実の認定のため証人尋問・鑑定・検証を行うなどの厳格な要件を満たす場合に限り、通算8週間までとなることがあります(17条3・4・9項)。すべての少年が鑑別所に入るわけではありません。
審判と試験観察
少年審判は原則として非公開です(22条2項)。非行事実を争う場合には、証拠に基づく審理が必要となります。処分の判断に先立ち、一定期間、家庭裁判所調査官の試験観察に付し、家庭での生活や補導委託先での取組を確認することもあります(25条)。試験観察は最終処分ではなく、その結果を踏まえて処分を決めるための中間的な措置です。
3.家庭裁判所で考えられる結果
| 判断・処分 | 内容 |
|---|---|
| 審判不開始 | 調査の結果、審判に付することができない、または相当でないとして審判を開始しない決定(19条1項)。 |
| 不処分 | 審判の結果、保護処分に付することができない、または必要がないとする決定(23条2項)。非行事実が認められない場合も含みます。 |
| 保護観察 | 家庭など社会内で生活しながら、保護観察官・保護司による指導監督と補導援護を受けます(24条1項1号、更生保護法)。 |
| 児童自立支援施設・ 児童養護施設送致 | 児童福祉施設で生活指導や養育・支援を受ける保護処分(24条1項2号)。特定少年の保護処分としては選択されません。 |
| 少年院送致 | 少年院で矯正教育を受ける保護処分(24条1項3号、特定少年は64条1項3号)。保護観察とは別の処分です。決定時14歳未満の場合は特に必要と認められる場合に限られます。 |
| 知事・児童相談所長送致 | 児童福祉法上の措置が相当な場合に、福祉機関に事件を送る判断(18条・23条1項)。少年法24条の保護処分とは別です。 |
| 検察官送致(逆送) | 刑事処分が相当などの理由で検察官に事件を送ります(20条・62条等)。刑事処分相当による逆送後は、起訴に足りる嫌疑があれば、法定の例外を除き起訴する仕組みです(45条5号、67条7項)。 |
審判不開始・不処分でも、本人や保護者への訓戒・指導など教育的な働きかけが行われることがあります。示談が成立したという理由だけで、必ず審判不開始や不処分になるものではありません。
少年院の現在の区分
現在の少年院は第1種~第5種です。旧制度の「初等・中等・特別・医療少年院」という区分は使われていません。第1~3種は年齢、心身の状況、犯罪的傾向等に応じた区分、第4種は拘禁刑の執行を受ける者、第5種は特定少年の2年の保護観察中に遵守事項違反を理由とする収容決定を受けた者の区分です(少年院法4条)。
第1種・第3種の対象年齢はおおむね12歳以上とされていますが、「12歳になれば直ちに少年院に送られる」という意味ではありません。14歳未満の少年院送致には、上記の特別の必要性が求められます。
4.18・19歳の「特定少年」の特例
原則逆送となる事件の範囲が広がっています
行為時16歳以上で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件に加え、行為時18歳以上で、死刑・無期または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件が原則逆送の対象です(62条2項)。短期とは法定刑の下限を指し、実際の求刑や判決の見込みではありません。強盗罪、不同意性交等罪などが該当します。一定の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認める場合には例外があります。
また、特定少年は、罰金以下の刑の事件でも刑事処分相当による逆送の対象となり得ます(62条1項)。「18歳なら常に成人と同じ刑事裁判になる」「初犯なら必ず保護処分になる」とは言い切れません。
保護処分は、犯情の軽重を考慮した限度内で決まります
- 6か月の保護観察
- 2年の保護観察:重大な遵守事項違反等の法定要件を満たす場合は、別の家庭裁判所の決定により少年院に収容されることがあります。収容可能期間は保護観察決定時に1年以下の範囲で定めます(64条2項・66条)。
- 少年院送致:家庭裁判所が、犯情の軽重を考慮して3年以下の範囲で収容期間を定めます(64条3項)。
罰金以下の刑に当たる罪では、保護処分として選べるのは6か月の保護観察に限られます。18歳未満と異なり、将来の非行のおそれだけを理由とする虞犯の保護処分はできません(64条1項ただし書・65条1項)。
報道・刑事裁判にも特例があります
特定少年のときに犯した罪について起訴された場合、氏名等から本人を推知できる記事・写真の掲載禁止が解除されます。ただし、略式命令の請求にとどまる場合には原則として解除されず、通常の裁判手続に移行した場合などは別です(68条)。逮捕された時点で一律に解除されるわけではありません。また、特定少年には不定期刑などの特則が適用されない点にも注意が必要です(67条)。
5.弁護人・付添人ができること
犯罪の捜査段階では弁護人として、家庭裁判所の手続では付添人として、弁護士の援助を受けられます。14歳未満の触法調査でも、少年や保護者は弁護士を付添人に選任できます(6条の3・10条)。
- 事実関係の確認:本人の話を聴き、供述調書、映像、メッセージ、目撃者などの証拠を検討し、非行事実を争う場合は必要な証拠調べを求めます。
- 身体拘束への対応:接見、釈放や観護措置回避に向けた意見提出、勾留・観護措置への不服申立てを検討します。
- 被害の回復:本人が認める事実や証拠を踏まえ、被害者の意向に配慮して謝罪・弁償・示談の方法を調整します。
- 更生のための環境調整:保護者、学校、職場、福祉・医療の支援者と必要な範囲で連携し、帰住先や通学・就労、交友関係の改善などを具体化します。
- 審判への準備:資料・意見書の提出、調査官との協議、審判出席、処分後の支援や不服申立ての検討を行います。
国選弁護人と国選付添人は別の制度です。家庭裁判所へ送致されれば自動的に国選付添人が付くわけではありません。国選付添人には事件の種類、観護措置の有無、必要性等の要件があります(22条の3等)。費用に不安がある場合も、利用できる援助制度を含めて相談してください。
6.決定に不服があるとき
少年鑑別所送致の観護措置や更新の決定には、家庭裁判所への異議申立てを検討できます(17条の2)。保護処分の決定には、決定に影響する法令違反、重大な事実誤認、処分の著しい不当を理由に、原則として決定の翌日から数えて2週間以内に抗告をします(32条)。抗告しても当然には処分の執行は停止しません(34条)。
最高裁判所への再抗告は、憲法違反や判例違反などに理由が限定されます(35条)。また、新たな明らかな資料によって審判権や非行事実の不存在等が問題になる場合には、保護処分の取消しが検討対象となります(27条の2)。それぞれ要件や提出先が異なるため、決定書と告知を受けた日を確認し、速やかに相談してください。
手続のフローチャート(PDF)
いずれも2026年9月改訂版です。図は一般的な流れを示しています。
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参照法令・公的資料・関連ページ
- e-Gov:少年法(本サイトの条文ページもご利用ください)
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- e-Gov:刑事訴訟法(逮捕・勾留、弁護人等)
- e-Gov:児童福祉法(25条・27条・33条等)
- e-Gov:少年院法(4条等)
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