新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1817、2018/04/19 13:21 https://www.shinginza.com/yakuzaishi.htm

【刑事、行政処分、最判昭和60年10月23日刑集39巻6号413頁】

看護師の刑事事件



質問:
 私は,都内の病院で看護師として勤務する男です。先日,SNSを通じて知り合った女子高生(16歳)と合意の上で性行為をしてしまいました。そのことが女児の両親に発覚し,警察に被害申告されたことで,警察から出頭要請を受けてしまいました。
 私は今後どのような処分を受けることになるでしょうか。看護師の仕事を続けることができるのかも知りたいです。



回答:
1 刑事処分としての罰金刑と行政処分としての看護師の業務停止が考えられます。

  18歳未満の青少年との性行為は,東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「健全育成条例」といいます。)第18条の6で禁止されており,これに違反した場合,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(健全育成条例第24条の3)。

  健全育成条例は,「青少年の健全な育成」という社会的法益の保護を目的としており(健全育成条例1条),仮に被害児童の両親との間で示談が成立し,被害届が取り下げられたとしても,不起訴処分が約束されるわけではありません。とはいえ,示談をすることで不起訴となった例は多数あり,逆に示談をしなければ,初犯でもほぼ間違いなく罰金刑に処せられるのが実務上の運用です。そのため,本件で刑事処分を可能な限り軽減させるためには,両親との示談は必須といえるでしょう。

2 これに加え,本件では,看護師資格に関する行政処分への対応が必要となる可能性もあります。

  看護師が罰金以上の刑に処せられた場合や,看護師としての品位を損するような行為のあった場合は,医師や歯科医師と同様,医道審議会にかかり,厚生労働大臣による行政処分(戒告,3年以下の業務停止,看護師免許の取消しのいずれか)の対象となります(保健師助産師看護師法14条1項,9条1号)。

  医道審議会保健師助産師看護師分科会,看護倫理部会が公表している「保健師助産師看護師行政処分の考え方」と題するガイドラインを参考にすると,本件が罰金となった場合,業務停止処分は十分に想定されるところです。

3 とはいえ,そもそも厚生労働省が事案を把握しなければ行政処分の対象とはなり得ませんので,まずはその可能性を高めることを目標とすべきです。

  この点,医師の刑事事件の場合と異なり,看護師の場合は,検察庁から厚生労働省への事案報告義務が課されているわけではないため,担当の検察官から厚生労働省への事案報告がなされるかどうかは不確定要素といえます。刑事処分が不起訴となれば,報告される可能性は低いといえますが,念のため,弁護人を通じて報告しないよう働きかけるべきでしょう。

  他に考え得るルートとして,報道機関が事件内容を報道(特に実名報道)したことを契機として,各自治体の保健所職員が事案を把握し,保健所から厚生労働省に事案報告が行くこともあり得ます。警察や検察に対し,安易に報道機関に情報提供をしないように,早期段階から要請しておくことが望ましいといえます。

  その上で,仮に事案報告がされてしまった場合は,行政処分が不当に重くならないように,意見聴取・弁明聴取の手続きの中で,弁護士を通じて有利な事情を最大限主張することになります。

行政処分関連事例集1680番1634番1617番1614番1540番1538番1500番1489番1485番1411番1343番1325番1303番1288番1245番1241番1144番1085番1102番1079番1042番1034番869番735番653番551番313番266番246番211番48番 参照。


解説:

第1 成立し得る犯罪について

1 青少年保護育成条例違反

18歳未満の青少年と性交渉を行った場合,各都道府県が定める青少年保護育成条例違反に該当する可能性があります。

  今回の事例で適用されるのは,東京都の「青少年の健全な育成に関する条例」(以下「健全育成条例」といいます。)です。健全育成条例第18条の6は,青少年(18歳未満の者・健全育成条例第2条1号)とみだらな性交又は性交類似行為を行うことを禁じ,これに違反した場合は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すると規定しています(健全育成条例第24条の3)。

  「みだらな」(他に「淫行」などと規定する例あり)の意義がしばしば問題となりますが,判例は,福岡県青少年健全育成条例が規定する「淫行」概念について,「「淫行」とは,広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である」と判示しています(最判昭和60年10月23日刑集39巻6号413頁)。

  当該判示によれば,真摯な交際関係を前提とする性交渉であれば条例違反に該当しないことになりますが,真摯な交際関係を主張するためには,少なくとも何らかの客観的な裏付けは必要となるでしょう。

  SNSでたまたま知り合った少女との性交渉が真摯な交際関係によるものと判断されるのは無理がありますので,本件では,健全育成条例違反の罪が成立する可能性が極めて高いでしょう。

2 その他の犯罪

(1) 児童福祉法違反

  その他,性行為が実質的な影響力を行使して行われた場合,児童福祉法違反の罪(児童福祉法60条1項,34条1項6号)に該当し,10年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処せられ,又はこれらを併科されることになります。

  児童福祉法34条1項6号は,児童(18歳未満の者・同法4条)に「淫行をさせる行為」を禁止しているところ,当該要件は,児童に対して事実上の影響力を行使することが前提となっている,というのが裁判例の考え方です(東京高判平成8年10月30日)。健全育成条例違反と比較して,非常に重い刑罰が科されることからすれば,両罪を区別する適切な基準といえるでしょう。

  単にSNSで知り合ったというだけでは,主従関係を認定するのは困難と思われ,本件で児童福祉法違反の罪が成立する可能性は低いと考えて良いでしょう。

  (2) 児童ポルノ処罰法違反

  さらに,性行為の際に金銭を供与したり,写真を撮影したりした場合には,児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」といいます。)違反(同法第4条,2条1項)の罪が成立する可能性があり,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

本件ではそのような事情がないことを前提に論じます。

第2 刑事処分への対応

 1 逮捕阻止のための活動

  捜査機関から,罪証隠滅や逃亡のおそれが存在すると判断された場合,逮捕及びその後の勾留といった身体拘束を受けてしまうことになりかねません。勾留延長期間も含めれば,最大で23日間身体拘束され続けるのであり,かかる事態は,実社会生活上,重大な不利益となることは明らかです。そのため,まずは身柄拘束を回避し,在宅事件として進めてもらうように捜査機関を説得する必要があります。

  あなたの場合,既に出頭要請が来ているとのことですので,必ず任意に出頭するべきです。また,早期段階から弁護人を選任し,事実関係を争わないこと,捜査に協力すること,出頭要請には必ず応じること,逃亡・罪証隠滅(特に被害関係者への接触)を行わないこと等を約する誓約書を警察宛てに提出すると共に,被害者への謝罪と被害弁償を検討している事実も警察に表明しておくべきです(示談金預かり証の提出等)。

  これらの活動により,在宅のまま捜査を継続することで足りるとの判断に至りやすく,逮捕等の身体拘束を回避できる可能性が飛躍的に高まります。

2 終局処分軽減のための活動

  その上で,終局処分軽減のための活動を行うことになります。

  終局処分軽減のために最も有効な活動が,被害児童の法定代理人である両親との間で示談を成立させることです。
本件では,最終的な刑事処分として略式手続による罰金刑又は執行猶予付きの懲役刑等が予想されるところですが,示談が成立すれば,不起訴処分となる(前科とならない)可能性が生じます。

  この点,健全育成条例は,「青少年の健全な育成」という社会的法益の保護を目的としており(健全育成条例1条),少なくとも法の構造上は,被害に遭った青少年1人1人の個人的法益を直接的に保護する形にはなっておりません。個々の検察官によっては,この点を重視し,仮に被害児童の両親との間で示談が成立し,被害届が取り下げられたとしても,保護法益が公益全体であること等を理由に,罰金刑を請求してくる場合が一定数見受けられます

  たしかに,健全育成条例違反は,法律上の親告罪ではなく,法律の趣旨として社会全体の風俗・風紀を保護し,青少年の健全な育成を図るという社会的側面が強く,個人の性的自由の保護という側面が小さいという考えは存在します。

  しかし,実際上同条例違反は,被害児童あるいはその両親の申告を契機として捜査が開始されることも多く,また被害児童が実際に性的被害を受ける行為類型の犯罪である以上,やはり刑事処分の決定に当たっては,被害児童及びその両親の被害感情を最も重視すべきであると言えます。

  加えて,そもそも被害申告がなければ事件として立件されることもなかったのですから,やはり被害者側が被害届を取り下げているような場合には,不起訴処分が相当であると考えられます。

  実際に,示談成立により不起訴となった同種事案は多いと思われます。

 3 小括

  以上のとおり,弁護人を通じて適切に防御活動を行うことで,身体拘束の回避及び不起訴処分の獲得が十分に可能といえます。後述の行政処分との関係でも,刑事事件を不起訴処分で終結させておくことは極めて重要となりますので,至急刑事弁護に精通した弁護士に相談すべきでしょう。

第3 行政処分への対応

 1 保健師助産師看護師法に基づく行政処分の概要

  (1) 上記刑事処分に加え,本件では,看護師資格に関する行政処分への対応が必要となる可能性もあります。

    看護師が罰金以上の刑に処せられた場合や,看護師としての品位を損するような行為のあった場合は,医師や歯科医師と同様,医道審議会にかかり,厚生労働大臣による行政処分(戒告,3年以下の業務停止,看護師免許の取消しのいずれか)の対象となります(保健師助産師看護師法(以下「看護師法」といいます。)14条1項,9条1号)。

    処分権者である厚生労働大臣が行政処分を行おうとする場合には,医道審議会の意見を聞かなければならないとされており(看護師法15条1項),実際には医道審議会保健師助産師看護師分科会看護倫理部会に諮問し,処分内容の答申を受けて行われます。その上で,厚生労働大臣は都道府県知事に対して,免許の取消の場合には該当者から意見の聴取,業務停止の場合は弁明の聴取を行うように依頼します(看護師法15条3項,9項)。

    処分対象者は,この意見聴取,弁明聴取の手続きの中で,自身の有利な事情等を主張することができます。

  (2) 医道審議会保健師助産師看護師分科会,看護倫理部会が公表している「保健師助産師看護師行政処分の考え方」と題するガイドライン(参考URL:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/07/s0722-15.html)は,処分量定にあたって考慮されるべき視点について,以下のとおり示しております。

    「処分内容の決定においては,司法処分の量刑を参考にしつつ,その事案の重大性,看護師等に求められる倫理,国民に与える影響等の観点から,個別に判断されるべきものであり,かつ,公正に行われなければならないと考える。このため,当部会における行政処分に関する意見の決定に当たっては,生命の尊重に関する視点,身体及び精神の不可侵性を保証する視点,看護師等が有する知識や技術を適正に用いること及び患者への情報提供に対する責任性の視点,専門職としての道徳と品位の視点を重視して審議していくこととする。」

   その上で,事案類型ごとの考え方が公表されており,性犯罪に関する処分量定の考え方は以下のとおりです。

   「人の身体に接する機会が多く,身体の不可侵性を特に重んじるべき看護師等がわいせつ行為を行うことは,専門職としての品位を貶め,看護師等に対する社会的信用を失墜させるだけではなく,看護師等としての倫理性が欠落している,あるいは看護師等として不適格であると判断すべきである。特に,看護師等の立場を利用して行った事犯や,強姦・強制わいせつ等,被害者の人権を軽んじ,心身に危害を与えた事犯については,悪質であるとして相当に重い処分を行うべきである。」

 2 本件が医道審議会にかけられた場合に想定される処分

   上記考え方によれば,健全育成条例違反の罪に問われた看護師への行政処分は,看護師としての立場を利用して行われたような場合とそうでない場合とで差異が設けられており,また,強制わいせつ罪や強制性交等罪のような強制力を背景とした悪質な犯罪類型とそれ以外とで区別する考え方が採用されていると読み取れます。

   本件についてみれば,職務外の犯行であり,なおかつ強制力を用いた犯行でもないことから,免許取消処分までの重い処分が課される可能性は高くないものと考えられます。とはいえ,「倫理性が欠落」「不適格」といった重い言葉からすれば,業務停止処分は十分に想定されるところです。

   ただし,後述のとおり,刑事処分が不起訴で終結したような場合は,そもそも医道審議会の対象とならない可能性が高いでしょう。

 3 行政処分の回避・軽減のための活動

 (1) では,本件で行政処分を回避・軽減することは出来ないのでしょうか。

    まず,厚生労働省が事案を把握しないまま収束に至れば,行政処分が課されることはありません。

    この点,医師の刑事事件の場合,罰金以上の刑が含まれる事件で公判請求した事件又は略式命令を請求した事件(ただし,軽微な事件については,公判請求事件に限る)について,刑事処分確定後に検察庁から厚生労働省へ事案報告を行う制度が設けられています。

参考URL:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/02/h0224-1.html

    これに対し,看護師の場合は,検察庁から厚生労働省への事案報告義務が課されているわけではないため,担当の検察官から厚生労働省への事案報告がなされるかどうかは不確定要素といえます。

    そもそも,刑事処分が不起訴となれば,事案報告がされることはまず無いと考えられますので,刑事処分を不起訴としておくことが一番の安心材料となります。これに加え,刑事処分確定の段階で,弁護人を通じて,事案報告を行わないよう要請しておくと良いでしょう。

    他に考え得る事案報告のルートとして,報道機関が事件内容を報道(特に実名報道)したことを契機として,各自治体の保健所職員が事案を把握し,保健所から厚生労働省に事案報告が行くこともあり得ます。そうならないためにも,早期段階から,弁護人を通じて警察や検察に対し,安易に報道機関に情報提供をしないよう要請しておくことが望ましいといえます。

 (2) その上で,仮に事案報告がされてしまった場合は,行政処分が不当に重くならないように,意見聴取・弁明聴取の手続きの中で,弁護士を通じて有利な事情を最大限主張すべきです。

    たとえば,刑事処分が不起訴となっている場合は(そもそも事案報告が行く可能性は低いですが),不処分あるいは戒告を目指した交渉をすべきですし,略式手続による罰金に処せられた場合は,最低限免許取消処分は回避し,業務停止処分の期間短縮,戒告への引下げ等の交渉を行うことになります。
 
第4 まとめ

   以上のとおり,本件では,速やかに被害少女の両親と示談を行い,刑事処分が不起訴となる可能性を高めると共に,報道機関への情報提供を差し控えるよう要請することで,厚生労働省への事案報告を阻止できる可能性が高まります。初動が大変重要ですので,至急刑事弁護に精通した弁護士に相談すべきでしょう。

以上



【参考判例】

※最判昭和60年10月23日刑集39巻6号413頁
「そこで検討するのに、本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(一条一項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満一八歳に達するまでの者を青少年と定義した(三条一項)上で、「何人も青少年に対し、淫行又はわいせつの行為をしてはならない。」(一〇条一項)と規定し、その違反者に対しては二年以下の懲役又は一〇万円以下の罰金を科し(一六条一項)、違反者が青少年であるときは、これに対して罰則を適用しない(一七条)こととしている。これらの条項の規定するところを総合すると、本条例一〇条一項、一六条一項の規定(以下、両者を併せて「本件各規定」という。)の趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものを含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目にして単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。このような解釈は通常の判断能力を有する一般人の理解にも適うものであり、「淫行」の意義を右のように解釈するときは、同規定につき処罰の範囲が不当に広過ぎるとも不明確であるともいえないから、本件各規定が憲法三一条の規定に違反するものとはいえず、憲法一一条、一三条、一九条、二一条違反をいう所論も前提を欠くに帰し、すべて採用することができない。」


※東京高判平成8年10月30日
「3 淫行を「させる行為」について(所論(3))
 児童福祉法34条1項6号にいう淫行を「させる行為」とは,児童に淫行を強制する行為のみならず,児童に対し,直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず,事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することに原因を与えあるいはこれを助長する行為をも包含するものと解される(なお,最高裁判所昭和30年12月26日第三小法廷判決刑集9巻14号3018頁,最高裁判所昭和40年4月30日第二小法廷決定裁判集155号595頁参照。)。そして,前記2でみたとおり,同号には,行為者が児童をして行為者自身と淫行をさせる行為を含むと解すべきところ,同号が,いわゆる青少年保護育成条例等にみられる淫行処罰規定(条例により,何人も青少年に対し淫行をしてはならない旨を規定し,その違反に地方自治法14条5項の範囲内で刑事罰を科するもの)とは異なり,児童に淫行を「させる」という形態の行為を処罰の対象とし,法定刑も最高で懲役10年と重く定められていること等にかんがみれば,行為者自身が淫行の相手方となる場合について同号違反の罪が成立するためには,淫行をする行為に包摂される程度を超え,児童に対し,事実上の影響力を及ぼして淫行をするように働きかけ,その結果児童をして淫行をするに至らせることが必要であるものと解される。」


【参照条文】

※東京都青少年の健全な育成に関する条例

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

(罰則)
第二十四条の三 第十八条の六の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。


※児童福祉法

第三十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為
四 満十五歳に満たない児童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為
四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為
四の三 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業、同条第六項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第九項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為
五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為
六 児童に淫行をさせる行為
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
2 児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設又は児童自立支援施設においては、それぞれ第四十一条から第四十三条の三まで及び第四十四条に規定する目的に反して、入所した児童を酷使してはならない。

第六十条 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


※児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
第三条の二 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。

(児童買春)
第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。


※保健師助産師看護師法

第十四条 保健師、助産師若しくは看護師が第九条各号のいずれかに該当するに至つたとき、又は保健師、助産師若しくは看護師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 三年以内の業務の停止
三 免許の取消し
2 准看護師が第九条各号のいずれかに該当するに至つたとき、又は准看護師としての品位を損するような行為のあつたときは、都道府県知事は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 三年以内の業務の停止
三 免許の取消し
3 前二項の規定による取消処分を受けた者(第九条第一号若しくは第二号に該当し、又は保健師、助産師、看護師若しくは准看護師としての品位を損するような行為のあつた者として前二項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第十二条の規定を準用する。

第十五条 厚生労働大臣は、前条第一項又は第三項に規定する処分をしようとするときは、あらかじめ医道審議会の意見を聴かなければならない。
2 都道府県知事は、前条第二項又は第三項に規定する処分をしようとするときは、あらかじめ准看護師試験委員の意見を聴かなければならない。
3 厚生労働大臣は、前条第一項の規定による免許の取消処分をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め、当該意見の聴取をもつて、厚生労働大臣による聴聞に代えることができる。
4 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章第二節(第二十五条、第二十六条及び第二十八条を除く。)の規定は、都道府県知事が前項の規定により意見の聴取を行う場合について準用する。この場合において、同節中「聴聞」とあるのは「意見の聴取」と、同法第十五条第一項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と、同条第三項(同法第二十二条第三項において準用する場合を含む。)中「行政庁は」とあるのは「都道府県知事は」と、「当該行政庁が」とあるのは「当該都道府県知事が」と、「当該行政庁の」とあるのは「当該都道府県の」と、同法第十六条第四項並びに第十八条第一項及び第三項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と、同法第十九条第一項中「行政庁が指名する職員その他政令で定める者」とあるのは「都道府県知事が指名する職員」と、同法第二十条第一項、第二項及び第四項中「行政庁」とあるのは「都道府県」と、同条第六項及び同法第二十四条第三項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
5 厚生労働大臣は、都道府県知事から当該処分の原因となる事実を証する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知事あて送付しなければならない。
6 都道府県知事は、第三項の規定により意見の聴取を行う場合において、第四項において読み替えて準用する行政手続法第二十四条第三項の規定により同条第一項の調書及び同条第三項の報告書の提出を受けたときは、これらを保存するとともに、当該調書及び報告書の写しを厚生労働大臣に提出しなければならない。この場合において、当該処分の決定についての意見があるときは、当該写しのほか当該意見を記載した意見書を提出しなければならない。
7 厚生労働大臣は、意見の聴取の終結後に生じた事情に鑑み必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、前項前段の規定により提出された調書及び報告書の写し並びに同項後段の規定により提出された意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができる。行政手続法第二十二条第二項本文及び第三項の規定は、この場合について準用する。
8 厚生労働大臣は、当該処分の決定をするときは、第六項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌してこれをしなければならない。
9 厚生労働大臣は、前条第一項の規定による業務の停止の命令をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、当該弁明の聴取をもつて、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができる。
10 前項の規定により弁明の聴取を行う場合において、都道府県知事は、弁明の聴取を行うべき日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 前条第一項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
二 当該処分の原因となる事実
三 弁明の聴取の日時及び場所
11 厚生労働大臣は、第九項に規定する場合のほか、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる。この場合においては、前項中「前項」とあるのは「次項」と、「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と読み替えて、同項の規定を適用する。
12 第十項(前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、かつ、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
13 都道府県知事又は医道審議会の委員は、第九項又は第十一項前段の規定により弁明の聴取を行つたときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。この場合において、当該処分の決定についての意見があるときは、当該意見を報告書に記載しなければならない。
14 厚生労働大臣は、第三項又は第九項の規定により都道府県知事が意見の聴取又は弁明の聴取を行う場合においては、都道府県知事に対し、あらかじめ、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 当該処分に係る者の氏名及び住所
二 当該処分の内容及び根拠となる条項
三 当該処分の原因となる事実
15 第三項の規定により意見の聴取を行う場合における第四項において読み替えて準用する行政手続法第十五条第一項の通知又は第九項の規定により弁明の聴取を行う場合における第十項の通知は、それぞれ、前項の規定により通知された内容に基づいたものでなければならない。
16 都道府県知事は、前条第二項の規定による業務の停止の命令をしようとするときは、都道府県知事による弁明の機会の付与に代えて、准看護師試験委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる。
17 第十項、第十二項及び第十三項の規定は、准看護師試験委員が前項の規定により弁明の聴取を行う場合について準用する。この場合において、第十項中「前項」とあるのは「第十六項」と、「前条第一項」とあるのは「前条第二項」と、第十二項中「第十項(前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第十七項において準用する第十項」と、第十三項中「都道府県知事又は医道審議会の委員」とあるのは「准看護師試験委員」と、「第九項又は第十一項前段」とあるのは「第十六項」と、「厚生労働大臣」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
18 第三項若しくは第九項の規定により都道府県知事が意見の聴取若しくは弁明の聴取を行う場合、第十一項前段の規定により医道審議会の委員が弁明の聴取を行う場合又は第十六項の規定により准看護師試験委員が弁明の聴取を行う場合における当該処分については、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。



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