準強制性交の否認と示談

刑事|行政|準強制性交罪|準強制わいせつ罪|医道審議会

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

都内の病院で勤務する医師(33歳・男性)です。警察から準強制性交罪の被疑者として、任意で取調べを受けています。詳しい事情は次のとおりです。先日、合コンで知り合った女性と意気投合して、2人で二次会の居酒屋で遅くまで飲んでいたところ、女性が泥酔して意識がはっきりしない状態になってしまったので、女性のマンションまでタクシーで送っていきました。女性をベッドに寝かした時、私はムラムラする気持ちが抑えられなくなり、女性の胸や陰部を触るなどしてしまいました。しかし、その後、女性の陰部を触りながら下着を脱がしている最中に女性が目を覚まし、「やめてください。」、「出て行ってください」などと大声をあげられたため、それ以上の行為に及ぶことはなく、女性に謝って部屋から出てきた、というのが事の経過です。少ししてから女性に謝罪のラインをしましたが、返事はありませんでした。警察は性行為の事実を疑っているようで、事実を認めれば逮捕まではしないと言っているのですが、私は性行為まではしていませんので、準強制性交罪という罪名に困惑しているととともに、今後の刑事手続や医師免許のことも大変不安に感じています。どのように対応していったらよいのでしょうか。

回答:

1. あなたは準強制性交罪の被疑者として取り調べを受けているとのことですが、刑法177条のいう「性交等」(性交、肛門性交及び口腔性交)を行った事実がないのであれば、同罪は成立せず、「抗拒不能に乗じ・・・わいせつな行為をした」ものとして、準強制わいせつ罪(刑法178条1項、176条)が成立するにとどまることになります。

2. 性交等を行った事実がない以上、捜査機関からどれだけ不当な圧力や誘導を受けようとも、間違っても被疑事実を認めるような供述をしてはいけません。性行為を認める内容の供述調書の作成(調書への署名、押印)に応じてしまった場合、相手女性の供述と相俟って、真実に反して強制性交の事実が認定されてしまう危険が非常に高まることになります(刑事訴訟法319条2項参照)。準強制性交罪で起訴されて有罪判決を受けた場合、非常に高い確率で実刑が見込まれるとともに、行政処分による医師免許の取消しがほぼ確実視されることになります(医師法7条2項3号、4条3号)。

3. 取調べで、性行為の事実を認めなければ逮捕するかのような圧力をかけられているとのことですが、このような捜査機関の対応は、取調べに臨む警察官の姿勢として明らかに問題があるといわざるを得ないでしょう。早急に弁護人を選任し、弁護人を通して、あなたに対する取調べの際の警察官の対応について苦情申入れを行うとともに、解説で述べるように、逮捕回避に向けた対処を行う必要性があるでしょう。

4. 本件では、捜査機関に準強制性交罪が成立しないことを理解させ、被疑罪名を準強制わいせつ罪に引き下げさせるとともに、並行して相手女性と示談を行うことで、不起訴処分の獲得を目指す必要があります。起訴され、有罪判決を受けることがなければ、医師免許に対する行政処分を受けることもありません。具体的には、本件事実経過についてのあなたの供述を詳細にまとめた供述調書を弁護人において作成して捜査機関に提出する、捜査官や相手女性とのやりとりから、相手女性の主張事実を可能な限り把握した上、その矛盾点や不合理な点等を指摘する等、相手女性の供述の信用性を弾劾する、弁護人を通して相手女性と示談交渉を行う、といった活動が必要となってくるでしょう。

5. 本件の示談交渉では、性行為の事実を主張している被害者に対して、これを否定し、争いつつ、被害者の納得が得られる形での示談合意を目指さなければならない点に難しさがあります。経験上、双方の主張事実に大きな隔たりがあるケースでは、相手方の主張事実を認めない限り示談はできない、といった対応をされることも多く、交渉の仕方がまずいと示談を成立させることはできません。仮に性行為があったと誤解させるような状況ややり取りがあったのだとすれば、弁護人が示談交渉の過程で実際の事実経過を丁寧に説明することで誤解を解かなければなりません。

6. 正直、このようなシチュエーションでの示談の成否は、実際に示談交渉を担う弁護人の手腕に左右される度合いが大きいといえます。性行為の事実を否認するのであれば示談はすべきではないという弁護方針をとる弁護士もいます。しかし、性行為がなくても準強制猥褻行為は認めざるを得ないのですから、謝罪して示談することは必要です。あなたの人生を左右する非常に重要な局面ですので、弁護人を選任するにあたっては、経験や交渉技術、人柄等に裏付けられた信頼できる弁護士を吟味して選ばれることを強くお勧めいたします。

7. 強制性交罪に関する関連事例集参照。

解説:

1.(成立罪名について)

あなたに対する被疑罪名となっている準強制性交罪とは、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」「性交等をした」場合に成立する犯罪であり、法定刑は5年以上の有期懲役とされている重罪です(刑法178条2項、177条)。同罪により起訴され、裁判で有罪となった場合、被害者との示談等による酌量減軽(刑法66条)がなされない限り、基本的には執行猶予を付すことができないため(刑法25条1項)、実刑となる危険性が非常に高い犯罪類型です(執行猶予を付すことができるのは懲役3年以下という要件があります)。ここでの「性交等」には、通常の性交のみならず、肛門性交、口腔性交が含まれますが(刑法177条)、あなたがこれらのいずれの行為も行った事実が存在しないということであれば、実際には準強制性交罪は成立していないということになります。あなたとしては、実際には行っていない罪で起訴され、あるいは有罪判決を受けるような事態を避けるため、準強制性交の事実については一貫してこれを否認し、争わなければなりません。

もっとも、単に被疑事実を争っていればよいかというと、そう単純ではありません。あなたは、飲酒の影響により泥酔状態にある女性に対して、その胸や陰部を触るとともに、下着を脱がすなどしており、「抗拒不能に乗じ・・・わいせつな行為をした」ものとして、準強制わいせつ罪が成立していると考えられるためです(刑法178条1項、176条)。

2.(あなたが置かれている法的状況について)

(1)準強制性交罪によって処分されることの意味

あなたは、準強制性交罪の被疑者として在宅で取調べを受けている状態であり、警察も性行為の事実を疑っているとのことですが、まず、真実に反してこれを認めるような対応は絶対にしてはいけません。警察は被疑者を追及する立場ですので、取調べにおいて、被疑事実を認めるよう迫ったり、誘導してきたりすることが多々ありますが、性行為は行っていないとの主張、供述は終始一貫させる必要があります。一度でも性行為を認める内容の供述調書の作成(調書への署名、押印)に応じてしまうと、相手女性の供述と相俟って、真実に反して強制性交の事実が認定されてしまう危険が非常に高まることになります(刑事訴訟法319条2項参照)。

仮に準強制性交罪で起訴され、有罪と認定された場合、上記のとおり、基本的には実刑判決を受けることになると考える必要があります。それに加え、あなたは医師ですので、有罪判決を受けた場合、医師法7条2項、4条3号の規定により、厚生労働大臣による行政処分の対象となります。医師法上の行政処分としては、戒告、3年以下の医業停止、医師免許取消しの3種類が規定されており、このうち如何なる処分が選択されるかは、当該刑事罰の対象となった行為の種類、性質、違法性の程度、動機、目的、影響のほか、当該医師の性格、処分歴、反省の程度等、諸般の事情を考慮して、厚生労働大臣の合理的な裁量によって決定されることとされています(最判昭和63年7月1日)。もっとも、(準)強制性交罪の法改正前の罪名である(準)強姦罪のケースにおける過去の行政処分例を見る限り、医師免許取消し以外の処分(医業停止以下の処分)がなされているケースは皆無であり、事案類型上、刑事裁判で有罪とされてしまうと、医師免許取消しを回避することが非常に困難な罪名であるといえるでしょう。(準)強制わいせつ罪のケースで、被害者の属性(わいせつ行為の対象が患者か否か)や示談の成否等によっては医師免許取消しが回避されている(医業停止処分にとどまっている)処分例が散見されるのとは対照的といえます(強制わいせつ罪のケースにおける行政処分例については、弊所事例集NO.1666番をご参照ください。)。

かかる見地からは勿論のこと、犯してもいない罪によって裁かれることなど、この上なく正義に反する事態ですので、少なくとも、本件で性行為の事実を認めるという選択肢は明確に採り得ないということになります。それは、後述するように、性行為があったと主張する相手女性との関係で示談を進め易くできるような状況があったとしても同様です。

あなたは、警察から、性行為を認めないのであれば逮捕する可能性があるかのような圧力をかけられている状況のようにお見受けしますが、取調べに臨む警察官の姿勢として問題があるといわざるを得ないでしょう。早急に弁護人を選任し、弁護人を通して、あなたに対する取調べの際の警察官の対応について苦情申入れを行うとともに、逮捕回避に向けた活動を開始してもらう必要性が高いように思われます。

(2)相手女性との示談の必要性

伺った事情の限りでは、性行為の事実はないにしても、あなたには準強制わいせつ罪(刑法178条1項、176条)が成立していると考えられ、わいせつ行為の事実については、少なくとも実際に被害を体験している相手女性による具体性、迫真性のある、信用性の高い供述がなされていると考えられる(有罪認定をするに足りる証拠が存在すると考えられる)ことから、準強制わいせつ罪についてまで無罪主張をすることは難しいように思われます。したがって、同罪が成立していることを前提に対応を考えていく必要があるでしょう。

本件の刑事手続においては、被疑罪名を準強制性交罪から準強制わいせつ罪に落とさせる(準強制性交罪までは成立していないと捜査機関に認めさせる)ことを前提に、不起訴処分(起訴猶予)の獲得を目指すべきことになるでしょう(刑事訴訟法248条参照)。本件が不起訴処分になるということは、刑事裁判や前科を回避できるとともに、医師資格に対する行政処分の要件である「罰金以上の刑に処せられた者」にも該当しなくなることから(医師法7条2項、4条3号)、併せて行政処分も回避できることになるという意味合いがあります。(準)強制わいせつ罪のケースでは医業停止に止まっている処分例はあるものの、医師免許取消しの危険性が非常に高い事案類型ですので、今後の職業人生を考えれば、本件で起訴される事態は何としてでも避けなければなりません。

そして、準強制わいせつ罪事案で起訴猶予を獲得するためには、相手女性との間で、被害弁償金の支払い及び相手女性の宥恕(あなたに対して刑事処罰を求めない旨の意思の表示)を含む示談を成立させる以外に途はありません。したがって、本件で今後想定される不利益を一挙的に回避するためには、必然的に、相手女性との示談交渉を行う必要があることになります。

(準)強制わいせつ罪は、平成29年7月に施行された改正刑法によって、従前親告罪(被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪)とされていたのが非親告罪化された経緯があり、被害者との示談の結果、告訴が取り消されることが、制度上、不起訴処分と必ずしもイコールではなくなりました。しかし、改正法の施行にあたっては、法務省から、全国の検察庁に対して、終局処分を決定する際には被害者の意思を丁寧に確認するよう求める通達が出されており、実際の検察庁の運用としても、示談の結果、被疑者に対する起訴や刑事処罰を求めない旨の被害者意思が確認できた場合、多くのケースで不起訴処分となっているようです。

ただし、それは検察官による終局処分の決定にあたって、あくまで被害意思が尊重された結果、不起訴処分になっているだけですので、不起訴処分を確実なものとする場合、示談において形式的に告訴取消書等に署名させるのみでは不十分であり、被害者の十分な納得を得た上で示談合意を行うのでなければ意味がないことになります。本件では、相手女性が実際には存在しない性行為の事実を主張している点が厄介なところです。

3.(具体的対応について)

(1)被疑事実を争う活動

警察のあなたに対する取調べが既に始まっているようですが、あなたの言い分や事実認識はきちんと供述調書として作成してもらえていますでしょうか。もし、あなたの主張に沿った供述調書ができていないのであれば、弁護人において作成してもらうこと(いわゆる弁面調書の作成)を検討する必要があるでしょう。上でも述べた通り、警察はあなたを追及する立場にありますので、あなたに有利な内容の供述調書を作成してくれないことも少なくありません。それどころか、意図的に不利な内容を強調するような供述調書に署名させようと、不当な誘導や圧力を用いる捜査官さえいるのが現実です。

一方で、あなたが取調べの最初の段階から一貫した事実主張を行い、かつ、事実経過について詳細に供述していることが証拠上明らかになれば、性行為があったとする相手女性の供述が誤りであることの有力な証拠となり得ますし、準強制性交罪での刑事処分の回避に大きく資することになります。もし、あなたの言い分が調書上十分に反映されていないようであれば、弁護人としては弁面調書の作成、提出を考えなければならない局面といえるでしょう。

同時に、捜査官との折衝や相手女性との示談交渉の際のやりとりから、相手女性の主張事実を可能な限り把握するよう努め、その矛盾点や不合理な点等を指摘する内容の意見書を提出するなど、相手女性の供述の信用性の弾劾に努める必要があります。真実に反する供述をしている場合、その主張事実に必ずおかしな点(内容の不合理性、具体性・迫真性の欠如、他の証拠との矛盾、供述の一貫性の欠如、供述の変遷理由の不合理性等々)が含まれているものですので、それらを起訴前の段階で明らかにすることで、検察官に性行為の立証が困難であることを理解させ、準強制性交罪での処分を思いとどまらせる必要があります。

(2)逮捕回避に向けた活動

あなたは、現在、逮捕等の身柄拘束を受けることなく、在宅で取調べを受けているとのことですが、(準)強制性交罪や(準)強制わいせつ罪は、本来、いずれも被疑者に対する逮捕の措置が取られることが非常に多い犯罪類型です。法定刑が重いことから、逮捕の要件である罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれが類型的に高いとされるためです(刑事訴訟法199条2項、刑事訴訟規則143条の3参照)。それにもかかわらず在宅での捜査とされているところを見ると、あなたが医師という社会的地位があり、かつ安定した職に就いている点が、逃亡のおそれが低いと評価されている可能性や、相手女性の供述が逮捕できるだけの信用性を有していない可能性等が考えられるところではありますが、警察官から逮捕を仄めかすような発言がなされているといった事情も併せ考えれば、逮捕回避に向けた手当ては必須といえるでしょう。

具体的には、ご家族の身元引受書、弁護人を通しての示談に向けた準備を行っていることを示す資料(相手女性にあてた謝罪文、弁護人名義の示談準備金預かり証等)、捜査機関からの出頭要請に対しては必ず応じる旨の誓約書、相手女性に接触しない旨の誓約書、あなたが身柄拘束されることによって患者の診療等に支障が出ることを示す陳述書等を準備し、捜査機関に提出することが考えられるでしょう。

(3)示談交渉

上記のとおり、本件で刑事処分や行政処分を回避するためには、被害者との示談交渉を避けて通れません。本件では、被害者が性行為の事実を主張しているところ、これを争いつつ、被害者の納得が得られる形での示談合意を目指さなければならないという点に難しさがあります。あなたの供述状況や弁護人が提出した弁面調書等の内容は、捜査機関から相手女性に伝わっていると考えられるため、示談交渉開始時点での相手女性の被害感情、処罰感情は厳しいものである可能性が高いでしょう。

経験上、本件のように被害者との間で事実主張に大きな隔たりがあるケースでは、交渉開始してみても、相手の主張事実を認めない限り示談はできない、といった対応をされることも多く、その結果、なかなか実のある示談交渉ができないケースも多いように思われます。相手女性が何故実際にはされていない性行為の事実を主張しているのかが問題ではありますが、仮に性行為があったと誤解させるような状況ややり取りがあったのだとすれば、弁護人が示談交渉の過程で実際の事実経過を丁寧に説明することで誤解を解く必要があります。そのような交渉は相応の経験のある刑事弁護人であっても簡単なことではありませんが、必ずしも不可能なことではありません。また、示談を可能にするためには、相当な金額以上の示談金を用意する必要があります。示談金の金額の相場というものもありますが、被害者の対応によっても異なり、また加害者の収入や資産によっても異なるので一概には言えませんが、医師免許の取り消しや、業務停止となる場合の経済的損失を考慮することになります。もっとも、本件のようなシチュエーションでの示談の成否は、示談期の金額だけでなく実際に示談交渉を担う弁護人の経験や交渉技術、さらには人柄等を含めた手腕に左右される度合いが大きいのも事実です。

あなたの人生を左右する非常に重要な局面ですので、弁護人を選任するにあたっては、経験等による裏付けがある信頼できる弁護士を吟味して選ばれることを強くお勧めいたします。

以上

関連事例集

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※参照条文

刑法

(刑の全部の執行猶予)

第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。

一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

(酌量減軽)

第六十六条 犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。

(強制わいせつ)

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

(強制性交等)

第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

(準強制わいせつ及び準強制性交等)

第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

刑事訴訟法

第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

○2 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

○3 検察官又は司法警察員は、第一項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

第二百三十条 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

第二百三十七条 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。

○2 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。

第二百四十七条 公訴は、検察官がこれを行う。

第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

第三百十九条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。

○2 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。

○3 前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

刑事訴訟規則

(明らかに逮捕の必要がない場合)

第百四十三条の三 逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

医師法

第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

三 罰金以上の刑に処せられた者

第七条

2 医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。

一 戒告

二 三年以内の医業の停止

三 免許の取消し