新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1257、2012/4/17 16:54 https://www.shinginza.com/idoushin.htm

【刑事・介抱行為と強制ワイセツ・医道審議会と行政処分・最高裁昭和63年7月1日判決判時1342号68頁】

質問:私は東北の地方都市で医師をしておりますが,先月,医師の研修会の打ち上げ会で,一緒に手伝いに来た事務職員の女性が飲みすぎで倒れてしまいました。急性アルコール中毒の疑いがありましたので,脈を取り,問い掛けを行って意識レベルの確認をしました。女性を介抱しているときに,背中と胸をさすりましたが,一部セーターがはだけ,乳房に接触してしまいました。女性が,翌日抗議して警察に行きました。どうしたらいいでしょうか。

回答:
1.介抱していたということですから,犯罪には当たらないとも考えられます。しかし,セーターがはだけ,乳房に接触し,しかも相手の女性が警察に行ったということですから犯罪の嫌疑がかけられることは間違いないでしょう。このような場合,無罪を主張するべきか,非を認めて謝罪して示談等すべきか対応に苦慮することになります。しかし,無罪と考えられる場合でも,早期に話し合いをして,女性の方によって告訴や被害届の提出をさせないこと,仮に女性の方が既に告訴や被害届を提出してしまっているときは,女性の方に対してそれらの取消を求めることが必要です(親告罪)。
2.そのためには,ただちに,女性の方と面会して,女性の方に対して誠意を持って謝罪の気持ちを伝え,場合によっては示談金を渡すなどして示談交渉をする必要があります。その際には,必ず示談書を作成し,示談書には宥恕(注:寛大な心で許すこと。見のがしてやること。(大辞林より))文言を入れてもらう必要があります。具体的には,例えば,「今回のことは許しますので,軽い罪にしてあげてください。」という文言を示談書に入れてもらうということです。示談ができなくても,女性の方に対して被害弁償をすることが必要です。以上の手続きを,当事者であるあなた自ら行えないようであれば,弁護士に相談された方がよいでしょう。告訴取り消しの書面があれば逮捕の心配はなくなりますし,捜査はその時点で終了します。
3.女性の方が告訴や被害届を既に提出してしまい,示談交渉がうまくいかない場合は,示談交渉の経過や被害弁償をしたことの報告書(形式は自由で構いません)を女性の方が抗議に行った警察の人に提出するようにしてください。そうすれば,今回の件についてあなたは起訴されない可能性もありますし,起訴されたとしても量刑が軽くなる可能性があります。勿論,告訴取消書が作成できれば逮捕されても直ちに釈放されます。一番危険なのは,医師としての面子を重んじてやみくもに無実を主張し,被害者を非難することです。
4.もし,今回の件について,あなたが警察から呼び出しを受け逮捕された場合には,あなたは刑事手続に服することになります。この場合,あなた一人では法的対応が困難ですので,弁護士に相談するようにしてください。仮に今回の件について起訴されることになると,今回のあなたの行動は,強制わいせつ罪(刑法176条)に該当しますので,有罪ということになれば,量刑としては6月以上10年以下の懲役刑にあたることになり,しばらく社会生活を続けることはできなくなります。ただし,あなたに前科がないということであれば,執行猶予が付く可能性は高いので,そうなれば日常生活は続けられます。刑事手続においては,弁護士に,なるべく量刑の軽い執行猶予付きの判決を得るための弁護活動をしてもらう必要があります。
5.あなたが強制わいせつ罪で有罪判決を受けた後には,厚生労働大臣による行政手続(医道審議会の処分)が予定され,最悪の場合には医師免許が取り消される旨の処分が下される可能性があります。一度医師免許が取り消されると,再び免許を交付してもらうことは難しいのが実情です。このような処分の判断にあたっては,刑事手続における量刑内容がその考慮要素の一つとなりますので,起訴前からの早急な対策が重要となります。今回の件であなたが医道審議会の審査を受けることになった場合には,医師免許の取り消しを避けるため,意見書やあなたの周りの方に作成してもらった嘆願書を医道審議会に提出することが重要となります。あなた一人では対応が困難だと思う場合必ず専門的弁護士に相談するようにしてください。
6.示談書について参考となる当事務所事例集論文として,1199番1142番1115番1063番1031番538番249番198番156番47番があります。
7.医道審議会について参考となる当事務所事例集論文として,1144番1102番1079番1042番1034番869番735番653番551番313番211番48番があります。

解説:
  今回の件については,犯罪の成否はともかく示談(告訴取消)がうまくいかないと,刑事事件及び行政事件となることが想定されます。そして,最悪の場合,強制わいせつによる有罪判決,医師免許の取消しにより,今後医師としての人生が失われることも想定されます。そのため,各事件に応じた適切な対処を取ることが必要です。以下,詳しく説明致します。

第1 刑事事件について

1 予想される犯罪

1)犯罪とは,解釈上その行動が刑法典に規定された罪名に該当し,その行動について違法性が否定されず,その行動をとったことについて責任がないとはいえない場合に成立するものとされています。

2)あなたのとった行動は,刑法典に規定されている「強制わいせつ罪(刑法第176条)」に該当します。
  ここで,刑法第176条には,「十三歳以上の男女に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。」と書かれています。今回の被害者は,事務職員の女性ということですから,「十三歳以上の・・・女」に該当します。
  次に,「暴行」とは,身体に対する不法な有形力の行使をいうとされています。分かりやすく言えば,他人に対してその意思に反するような形で物理的な力を加えたということです。ここには,着衣を引っ張った場合も含まれます(東京高判昭和29年5月29日)。相談者の方は,被害者の方の背中と胸をさすることで一部セーターがはだけさせていますが,そのことは被害者の意思にも反するといえますから,この行動は「暴行」に該当します。
  「わいせつな行為」とは,いたずらに性欲を興奮又は刺激させ,かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいうとされています(最大判昭和32年3月13日刑集11巻3号997頁)。なかなか難しい言葉ですが,被害者の性道徳や性秩序を害するような行動がこれにあたるものといえます。あなたは,女性の背中や胸をさすっていたところ,乳房に手が直接触れてしまったということですから,故意に乳房を触ったというわけではありませんから,わいせつな行為とは言えないといえます。しかし,客観的な状況だけからすると,更に具体的な状況を検討する必要はありますが,故意に乳房を触ってはいないという弁解が,警察に認めてもらえるか疑問が残りますし,一般的にはあなたの行動が「わいせつな行為」に該当することは性秩序に照らしても否定できず,警察からその点を追及されることは間違いないでしょう。

3)また,あなたの行為については,女性の方を介抱していたので,違法な行為ではないという主張をすることが考えられます。これは,わいせつな行為ではないという主張であるとともに,今回の行動は正当業務行為としての医療行為(刑法35条)にあたるため違法性が認められないから,犯罪が成立しないという主張となり,いずれにしろ無罪の主張にあたります。
  ここで,刑法35条には,「法令又は正当な業務による行為は,罰しない。」と書かれています。正当業務行為といえるためには,業務が正当なものであるとともに,具体的な行為自体も社会通念上是認される範囲内のものであることが必要です。業務とは,社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる行為をいうとされていますが,医療行為が正当業務行為であることは問題がないでしょう。問題は,具体的な行為が社会通念上是認される範囲のものであったかということです。
  ここでは,犯行場所の状況,犯行態様,犯行に至る経緯,犯行後の状況,あなたと女性の方との関係などが考慮され,あなたの手が女性の方の乳房に接触しても一般常識に照らしてなお医療行為といえるかどうかが判断されます。

4)このように,あなたは,強制わいせつ罪として有罪となるか,無罪となるかのいずれか,具体的な事情により判断が下されるという微妙な状況にあります。

2 予想される刑事手続の流れ

  あなたについては今後,捜査機関によって,@逮捕するかしないか,A起訴するかしないか,の各判断がなされることになります。
  @について逮捕すると判断されたとなると,起訴まで最大23日間の身体拘束を受ける可能性があります(刑訴法199条1項,203条1項,205条1項,207条1項,60条1項,208条)。仮に逮捕しないと判断されたとしても,任意で取り調べを求められる可能性もあります。
  Aについて起訴すると判断されれば,刑事裁判手続にかけられ判決まで数ヶ月かかる場合もあります。起訴前に身体拘束(勾留)を受けていた場合には,その状態が続く可能性もあります(刑訴法60条2項)。仮に起訴しないと判断されれば,あなたは今回の件では有罪となることはなくなったとみてよい場合が多いですし,身体拘束を受けていた場合には直ちに釈放されます。
  B安全を期すのであれば,公訴提起前に被害者側と話し合い,事前に告訴及び,被害届を提出しないという合意書の作成,さらに告訴取消書にも署名を頂いて,後の刑事,行政処分の紛糾を未然に防ぐことが肝要です。実務上,以上の合意書が提出されれば,捜査機関が被害者に確認し捜査は終了することになります。一番危険なのは,やみくもに,無実を主張して和解,話し合いの機会を失うことです。起訴前弁護に詳しい専門家の意見を聞いてください。起訴前は,捜査機関との密接な交渉,被害者側の情報開示請求が重要です。本件の場合,被害者側の連絡先等が確認できる様ですので,第三者を立て至急隠密裏に被害者側の要求を打診する必要があります。

3 示談の刑事手続への影響

  いわゆる「示談」とは,加害者が被害者に対して謝罪するとともに,お詫びの印として裁判手続の外において損害賠償金をお支払いし,被害者が加害者の更生を期待して,その謝罪と損害賠償金を受け入れるとの民事上の合意を意味します。
  民事手続と刑事手続は別個独立のものですので,民事上でこのような合意があったとしても,検察官や裁判所は法的に拘束されることなく,刑事手続を進行させることができます。
  もっとも,このような民事上の合意が成立している場合,そのことが,事実上,検察官があなたの処分に関する意見を形成し,また,裁判所があなたの最終的な処分を決定する上で,有利な判断の材料の一つとなるという意味で,刑事手続にも密接に関連致します。

第2 行政事件について

1 医道審議会の概要

1)あなたが,刑事事件において有罪となった場合には,医道審議会にかけられ,数年間の業務停止や免許取消の行政処分を受ける可能性もあります。
  ここで医道審議会とは,事件や不正や医療過誤を起こした医師や歯科医師の行政処分を審議する厚生労働省の審議会で,医師法及び医道審議会令で設置が規定されているものです。医道審議会では,平成14年12月13日に「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」というガイドライン(https://www.shinginza.com/idoushin3.htm)が取りまとめられておりますが,医道審議会の審議内容は原則非公開ですので,どのような行為をしたときにどのような処分になるのかについては,明確な基準を知ることはできません。

2)医道審議会については,当事務所のホームページも併せてご参照ください。
https://www.shinginza.com/idoushin.htm

2 医道審議会の審議に至る流れと対応

1)刑事裁判において,有罪判決が確定すると,半年以内程度の間に,都道府県からあなたに対して事案報告の依頼があります。依頼を受けたら,あなたは1ヶ月程度の間に,事案を都道府県に対して報告しなければなりません。
  事案の報告を受けた都道府県は,その内容を数ヶ月以内程度の間に厚生労働省に伝えます。そうすると,厚生労働省は,半年以内に医道審議会に報告された事案をかけ,取消相当か停止相当のいずれの事案であるかの区分を決定します(第1階審議,医師法7条4項)。
  その後,厚生労働大臣からあなたに対して,免許取消相当の場合には都道府県医務課等による意見の聴取手続(医師法7条5項),医業停止命令相当の場合には都道府県医務課等による弁明の聴取手続(医師法7条11項)についての通知があります(医師法7条16項)。そして,通知期日において,意見の聴取又は弁明の聴取がなされますので,この際に上申書を提出して犯罪の経緯を説明する必要があります。
  医道審議会は,ここでのあなたの説明を考慮に入れて,答申内容を決定します(第2回審議,医師法7条4項)。そうすると,この答申に従って,行政処分がなされることになります。

2)あなたがするべきことは,意見の聴取手続又は弁明の聴取手続の際に,本件が悪質な事案でない旨を説明するということです。その際には,過去の処分例との比較についての意見書やあなたが誠実な医者である旨の同僚の方などの嘆願書を提出することが,有利な判断を受ける上では有用となります。
  仮に,刑事手続で有罪となったとしても,ここは行政手続ですから,無罪の主張をすることは可能です。刑事手続と行政手続は,異なる別個独立の手続であって,証拠の採用手続き,判断の目的も異なるからです。
  すなわち,刑事手続の目的は,公正な法社会秩序維持のために個人の責任を問い生命,自由,財産を剥奪する点にあるのに対し,行政手続の目的は,個人の責任追及ではなく法的安定性,迅速性を兼ね備えた合理的社会秩序の全体的維持にあるのです。
  そのため,証拠の提出,採用についても刑事手続とは異なり自由に主張,立証することが可能になります。ですから,刑事手続で採用されなかった証拠,主張も有利なものは積極的に提出する必要があります。医師の免許取消制限は,その目的が医師への処罰ではなく,医療行政により国民の生命,健康をどのように保全するかという観点が重要であり,その点から証拠,主張を再構成する必要があります。例えば,医療業務の経歴と実績,患者との信頼関係,刑事事件と医療行為との相関関係,今後の医療への関与態度等です。
3 予想される処分内容

1)あなたが意見の聴取手続又は弁明の聴取手続の際に,適切な主張をしていれば,過去の処分例との比較公平の原則に照らした厚生労働大臣による行政処分がなされることになります。
  ただし,厚生労働大臣が行政処分をするに際して,その裁量はかなり広いものとなっております。判例も,医師法7条2項の処分の選択は,「同法25条の規定に基づき設置された 医道審議会の意見を聴く前提のもとで,医師免許の免許権者である厚生大臣の合理的な裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。それ故,厚生大臣がその裁量権の行使としてした医業の停止を命ずる旨の処分は,それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められる場合でない限り,その裁量権の範囲内にあるものとして,違法とならない」としています(最判昭和63年7月1日判時1342号68頁)。

2)本件では,あなたに対して,どのような刑事判決がなされるかはまだ分かりませんので,医道審議会でどのような処分がなされるかも分かりません。
  ただ,過去の強制わいせつ罪の事案では,基本的に,執行猶予がついても免許取消になっているようです。事案詳細な検討と具体的対策が必要と思われます。

第4 終わりに

  以上の通り,本件のような場合,刑事処分と行政処分が強く関連していることが分かります。したがって,刑事手続きの段階から早急に弁護士に相談し,まずは不処分を含め軽い刑事処分に向けた弁護活動をしてもらうことが大切といえるでしょう。

<参考条文>

刑法
(強制わいせつ)
第百七十六条  十三歳以上の男女に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。
(正当行為)
第三十五条  法令又は正当な業務による行為は,罰しない。

医師法
第七条  医師が,第三条に該当するときは,厚生労働大臣は,その免許を取り消す。
2  医師が第四条各号のいずれかに該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは,厚生労働大臣は,次に掲げる処分をすることができる。
一  戒告
二  三年以内の医業の停止
三  免許の取消し
3  前二項の規定による取消処分を受けた者(第四条第三号若しくは第四号に該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては,その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)であつても,その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき,その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは,再免許を与えることができる。この場合においては,第六条第一項及び第二項の規定を準用する。
4  厚生労働大臣は,前三項に規定する処分をなすに当つては,あらかじめ,医道審議会の意見を聴かなければならない。
5  厚生労働大臣は,第一項又は第二項の規定による免許の取消処分をしようとするときは,都道府県知事に対し,当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め,当該意見の聴取をもつて,厚生労働大臣による聴聞に代えることができる。
6  行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章第二節 (第二十五条,第二十六条及び第二十八条を除く。)の規定は,都道府県知事が前項の規定により意見の聴取を行う場合について準用する。この場合において,同節 中「聴聞」とあるのは「意見の聴取」と,同法第十五条第一項 中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と,同条第三項 (同法第二十二条第三項 において準用する場合を含む。)中「行政庁は」とあるのは「都道府県知事は」と,「当該行政庁が」とあるのは「当該都道府県知事が」と,「当該行政庁の」とあるのは「当該都道府県の」と,同法第十六条第四項 並びに第十八条第一項 及び第三項 中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と,同法第十九条第一項 中「行政庁が指名する職員その他政令で定める者」とあるのは「都道府県知事が指名する職員」と,同法第二十条第一項 ,第二項及び第四項中「行政庁」とあるのは「都道府県」と,同条第六項 ,同法第二十四条第三項 及び第二十七条第一項 中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
7  厚生労働大臣は,都道府県知事から当該処分の原因となる事実を証する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には,速やかにそれらを当該都道府県知事あて送付しなければならない。
8  都道府県知事は,第五項の規定により意見の聴取を行う場合において,第六項において読み替えて準用する行政手続法第二十四条第三項 の規定により同条第一項 の調書及び同条第三項 の報告書の提出を受けたときは,これらを保存するとともに,当該処分の決定についての意見を記載した意見書を作成し,当該調書及び報告書の写しを添えて厚生労働大臣に提出しなければならない。
9  厚生労働大臣は,意見の聴取の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは,都道府県知事に対し,前項の規定により提出された意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができる。行政手続法第二十二条第二項 本文及び第三項 の規定は,この場合について準用する。
10  厚生労働大臣は,当該処分の決定をするときは,第八項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌してこれをしなければならない。
11  厚生労働大臣は,第二項の規定による医業の停止の命令をしようとするときは,都道府県知事に対し,当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め,当該弁明の聴取をもつて,厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができる。
12  前項の規定により弁明の聴取を行う場合において,都道府県知事は,弁明の聴取を行うべき日時までに相当な期間をおいて,当該処分に係る者に対し,次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一  第二項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
二  当該処分の原因となる事実
三  弁明の聴取の日時及び場所
13  厚生労働大臣は,第十一項に規定する場合のほか,厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えて,医道審議会の委員に,当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる。この場合においては,前項中「前項」とあるのは「次項」と,「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と読み替えて,同項の規定を適用する。
14  第十二項(前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の通知を受けた者は,代理人を出頭させ,かつ,証拠書類又は証拠物を提出することができる。
15  都道府県知事又は医道審議会の委員は,第十一項又は第十三項前段の規定により弁明の聴取を行つたときは,聴取書を作り,これを保存するとともに,当該処分の決定についての意見を記載した報告書を作成し,厚生労働大臣に提出しなければならない。
16  厚生労働大臣は,第五項又は第十一項の規定により都道府県知事が意見の聴取又は弁明の聴取を行う場合においては,都道府県知事に対し,あらかじめ,次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  当該処分に係る者の氏名及び住所
二  当該処分の内容及び根拠となる条項
三  当該処分の原因となる事実
17  第五項の規定により意見の聴取を行う場合における第六項において読み替えて準用する行政手続法第十五条第一項 の通知又は第十一項 の規定により弁明の聴取を行う場合における第十二項 の通知は,それぞれ,前項の規定により通知された内容に基づいたものでなければならない。
18  第五項若しくは第十一項の規定により都道府県知事が意見の聴取若しくは弁明の聴取を行う場合又は第十三項前段の規定により医道審議会の委員が弁明の聴取を行う場合における当該処分については,行政手続法第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は,適用しない。

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