質問
土地や建物の売却を考えています。所有期間による税率の違い、取得費が分からない場合、マイホームを売る場合の特例を教えてください。
回答
1 個人が保有する土地・建物の譲渡所得は、原則として給与所得等と分けて計算します。売却額全体に課税するのではなく、取得費と譲渡費用、適用できる特別控除を差し引いた課税所得に税率を掛けます。
2 2026年の通常税率は、所得税・復興特別所得税・住民税の合計で長期20.315%、短期39.63%です。売った年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるかで区分します。
解説
1 所有期間は売却日の時点で数えない
長期譲渡は売った年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるもの、短期譲渡は5年以下です。ちょうど5年の場合も短期に含まれます。売却日までに5年経過していても、年初に5年を超えていなければ短期となります。
例えば2021年7月に取得した物件を2026年10月に売る場合、2026年1月1日では5年を超えず、原則として短期です。相続・贈与で取得した場合は、原則として被相続人等の取得時期を引き継ぐため、登記した日だけで判断しません。
2 譲渡益と税額の計算
基本式は、売却収入-取得費-譲渡費用-特別控除=課税譲渡所得です。取得費には購入代金等が含まれますが、建物は減価償却費相当額を控除します。仲介手数料や売却のための一定の測量費等は譲渡費用になり得ます。住宅ローンの残高は、そのまま取得費になるものではありません。
通常の長期は所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%、短期は30%・0.63%・9%です。特例なしで課税所得1000万円なら、概算は長期203万1500円、短期396万3000円です。端数処理等は申告時に確認します。
| 区分 | 売却年1月1日の所有期間 | 合計税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡 | 5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡 | 5年以下 | 39.63% |
3 購入資料がないときの概算取得費
実際の取得費が分からない場合等には、売却収入の5%を概算取得費とする方法があります。ただし、契約書が手元にないだけで直ちに調査を諦めず、通帳、決済資料、購入先、当時の登記関係資料等を確認してください。
建築費や改良費を二重に計上したり、必要な減価償却を省いたりしないよう、土地と建物を分けて計算します。相続した不動産では、相続税の取得費加算や空き家の特例等が使える場合もあり、制度の選択で結果が変わります。
4 マイホームの3000万円特別控除
一定の居住用財産を売った場合、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3000万円を控除できます。現に住む家屋等のほか、以前の住まいは原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が対象になります。
親子・夫婦等の特別な関係者への売却、特例を使うためだけの入居、他の特例や住宅ローン控除との重複等に制限があります。3000万円までの売却代金が非課税という意味ではなく、要件を満たす譲渡益からの控除です。税額がゼロでも特例適用のための確定申告が必要です。
5 10年超の軽減税率と買換え特例
一定のマイホームで、売った年の1月1日現在の家屋・敷地の所有期間がともに10年を超える等の要件を満たすと、3000万円控除後の課税所得6000万円以下の部分は合計14.21%、超える部分は20.315%となります。単に住んだ期間が10年というだけでは足りません。
特定の居住用財産の買換え特例は、現行の国税庁案内では2027年12月31日までの譲渡が対象で、一定要件の下で課税を将来へ繰り延べます。非課税になる制度ではなく、3000万円控除等との選択、売却額、居住期間、取得期限等の確認が必要です。
6 契約前に手取り額と申告資料を確認する
売買契約書、購入時資料、増改築の領収書、仲介・測量費、登記、居住履歴、過去の特例申告を集めます。売買代金からローンや諸費用を払った残額と、税務上の譲渡所得は別です。相続人間の代償分割や財産分与でも課税問題が生じる場合があります。
本記事は個人の一般的な譲渡所得の説明です。法人、販売用不動産、非居住者、消費税等は別の検討が必要です。法律関係は弁護士、具体的な税額・特例適用・申告は税務署や税理士へ事前に確認してください。
新銀座法律事務所の無料法律相談
本件についての無料法律相談を受け付けています。通知書や契約書などの資料を整理してご相談ください。
関連QA事例集・検索
関連事例の原稿には、公開当時の法令・制度の説明が含まれる場合があります。適用時期を確認してご参照ください。
QA事例集の検索
ChatGPT検索
個人情報・事件の秘密は入力しないでください。ChatGPTの回答は原典と照合し、具体的な判断は弁護士へご相談ください。
参考法令・公的資料
本記事で参照する主な規定・資料です。条文の全文や適用時点は、リンク先の現行法令・経過措置をご確認ください。
手続案内・解説資料
裁判例・判断のポイント
税務判断は売却年・個別資料に基づいて確認
課税関係は契約名だけでは決まりません。関連QA406・1652・1698で紹介する取得費や土地建物の区分の問題も踏まえ、国税庁の現行案内と照合してください。