不同意性交等罪(旧強姦罪・強制性交等罪)|同意・示談・弁護士相談

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2026年10月6日更新

「不同意性交等の疑いで警察から呼び出された」「同意があったと思っていた」「性被害を受けたが、相談してよいか迷っている」。性犯罪の成否は、行為時の法律、当事者の年齢、相手の状態、具体的な言動や証拠を確認して判断します。旧強姦罪・強制性交等罪からの改正、捜査への対応、被害者の支援、示談と裁判、弁護士の役割を説明します。

1 現在は「不同意性交等罪」:改正と法定刑

2023年7月13日から、従来の強制性交等罪・準強制性交等罪は、要件を改めて不同意性交等罪(刑法177条)に統合されました。暴行・脅迫だけでなく、飲酒、睡眠、恐怖、立場による影響などにより、同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、又はその状態に乗じて法定の性交等をする行為などを処罰します。被害者・行為者の性別を問いません。

また、刑法177条3項では、16歳未満の者との性交等について特別な規定が設けられています。相手方が13歳未満の場合は年齢差にかかわらず、13歳以上16歳未満の場合は、行為者が相手方より5歳以上年長であれば、相手方の同意の有無にかかわらず、性交等をすることで不同意性交等罪が成立します。したがって、真摯な交際関係にあり、本人が性交等に同意していたとしても、この年齢要件に該当する場合には犯罪の成立を免れることはできません。

この規定は、若年者の性的自己決定権を保護する趣旨のものです。13歳以上16歳未満の者は、性的行為の意味を理解する能力があっても、年長者との関係では、年齢や社会経験の差などから、その行為が自分に与える影響を自律的に考え、相手に対して自由に意思決定することが困難な場合があります。表面的には同意しているように見えても、その同意が年長者との非対等な関係の影響を受けたものである可能性があります。そこで、5歳以上年長の者との性交等については、相手方の同意の有無を問わず処罰することとされています。

刑法第177条(不同意性交等)全文

第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

出典:e-Gov法令検索・刑法/内閣府・関連条文。「前条第一項各号」の8つの類型は、2番で説明しています。

不同意性交等罪の法定刑:5年以上の有期拘禁刑

罰金刑の選択肢はありません。有期拘禁刑の上限は原則20年ですが、併合罪などの加重や法律上の減軽がある場合は異なります。未遂も処罰されます(刑法180条)。

2025年6月1日から懲役・禁錮に代わって拘禁刑が施行されました。過去の行為については経過措置を確認するため、古い事件の判決に「懲役」と記載されていても、直ちに誤りではありません。

主な改正確認するポイント
2017年7月13日強姦罪から強制性交等罪へ。対象行為・被害者の範囲を見直し、法定刑を引き上げ、非親告罪化。監護者性交等罪等を新設。
2023年7月13日不同意性交等罪へ。困難な状態を生じる類型、誤信・人違い、16歳未満の年齢規定等を整備。公訴時効延長は同年6月23日施行。
2025年6月1日拘禁刑を導入。行為時に応じた適用法令・経過措置を確認。

刑法177条の「性交等」には性交・肛門性交・口腔性交のほか、法定の身体の一部又は物の挿入行為でわいせつなものが含まれます。性交等に至らない行為でも、不同意わいせつ罪(176条・6月以上10年以下の拘禁刑)等が成立する場合があります。詳細は現行刑法、内閣府の関連条文をご覧ください。

3 16歳未満・18歳未満の保護と、夫婦・交際相手の場合

177条3項は、16歳未満の者に対する性交等を規制しています。相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為者が相手の生まれた日より5年以上前に生まれた者であることが、この年齢規定の要件です。学年差や、単に年齢の数字を引き算する方法だけでなく、生年月日で確認します。13歳未満の場合、この5年以上という条件はありません。

この年齢規定では、本人が同意していたという説明だけで犯罪の成立を否定できません。年齢差が5年未満でも、1項・2項の要件を満たす場合や条例違反などは別に検討します。また、16・17歳についても、18歳未満を保護する児童買春・児童ポルノ禁止法、児童福祉法、青少年保護育成条例等が適用され得ます。児童買春・青少年保護の詳しい解説

18歳未満の者を現に監護する立場による影響力に乗じる行為には、監護者性交等罪(179条2項)等が問題になります。戸籍上の親かどうかだけでなく、実際の監護関係を検討します。

夫婦間・恋人同士でも不同意性交等罪は成立し得ます。177条1項には、婚姻関係の有無にかかわらないことが明記されています。婚姻や交際は、その後の性的な行為すべてへの包括的な同意ではありません。

4 参考となる裁判例:年齢規定と性的意図

東京高裁令和6年10月15日判決(令和6年(う)第1138号)

13歳の被害者に対し、5年以上年長であること等を認識して行為に及んだ事件です。裁判所は、年少者の自由な意思決定の前提となる能力を保護するという177条3項の趣旨を踏まえ、同規定の憲法13条・14条違反の主張を退けました。被害者の同意や処罰感情を大きく酌むべき事情とはしなかった原審の評価も是認し、控訴を棄却しています。

「交際していた」「本人が了承していた」という説明で、年齢による規制が外れるわけではないことを理解するうえで参考になります。裁判所・判決原文(PDF)

最高裁平成29年11月29日大法廷判決(平成28年(あ)第1731号)

旧強制わいせつ罪について、自己の性欲を刺激・満足させるという「性的意図」を一律に必要とする従来の判例を変更しました。行為の性的性質を踏まえ、必要に応じて具体的状況や目的等も考慮するという判断を示しています。「ふざけただけ」「性的な満足が目的ではなかった」という説明だけで成立を否定できません。

これは旧176条のわいせつ行為に関する判決であり、現行177条のすべての要件を直接判断したものではありません。また、性的意図が一律の要件でないことと、犯罪成立に必要な故意の問題は別です。裁判所・判決原文(PDF)/関連QA2023

過去の判例は、判断対象となった条文と事実関係を確認して利用します。個別判決の刑期を、別事件の「相場」や結果の保証として扱うことはできません。

5 被害届を出すと言われた・警察から呼び出されたとき

  1. 呼出しの内容を確認:警察署・担当者・日時を確認し、被疑者としての取調べか参考人としての事情聴取かを確かめます。不審な連絡なら、公表された警察署の番号で確認します。
  2. 早期に弁護士へ相談:問題となる日時、場所、相手との関係、行為の有無、同意に関する認識、保存されている資料を整理します。
  3. 事実と推測を区別:記憶がない部分を推測で埋めたり、捜査官の説明に合わせたりせず、不明なことは不明と伝えます。
  4. 相手への直接接触を控える:撤回要求、口裏合わせ、家族・勤務先への働きかけはしないでください。必要な連絡は弁護士を通じて検討します。

逮捕・勾留されていない被疑者は、刑事訴訟法198条1項ただし書により、出頭を拒み、出頭後も退去できます。黙秘権もあり、意思に反して供述を強制されるものではありません。具体的な対応は、証拠や捜査状況を踏まえて弁護士と相談してください。

供述調書は、読み聞かせや閲覧で内容を確認し、誤りがあれば訂正を求めます。署名・押印を拒むこともできます。同意の有無を争う事件では、言葉の違いが重要になるため、理解・納得していない記載に安易に署名しないでください。刑事訴訟法198条

6 身に覚えがない・同意があったと考える場合の証拠

犯罪の成立は検察官が証拠により立証しなければならず、申告があっただけで有罪になるものではありません。他方、本人が同意を確信していても、相手の状態や言動の受け止め方に食い違いがある場合があります。実際に起きた行為、相手の状態、その時点で自分が認識していた事実を分けて整理します。

前後のメッセージ、通話履歴、移動・決済記録、宿泊記録、防犯カメラ、第三者の認識、診療記録等が資料となり得ます。都合のよい箇所だけを抜き出さず、前後関係を含めて保存し、消去・改変・アカウントの初期化を避けます。保存期間の短い映像等については、弁護士が適法な方法で保全を検討します。

事件後も連絡していた、申告が遅れた、けががないという一点だけで、被害がなかったとは判断できません。反対に、客観的な矛盾や別の可能性を検討せず有罪と決めることも適切ではありません。弁護士は供述の具体性・変遷、客観資料との整合性、取調べの経緯等を確認します。

弁護士が早期の説明を記録することはありますが、供述書に公証役場の確定日付を付ければ内容が真実と証明されるわけではありません。証拠能力・信用性は刑事訴訟法319条・322条等に照らして別途判断されます。黙秘するか説明するかも、一律の正解ではなく、弁護人と検討します。

性的な画像を、説明のために第三者やAIへ転送・アップロードしないでください。特に児童の画像は取扱い自体に問題が生じ得ます。端末や記録の扱いを弁護士に相談します。

7 逮捕・勾留・起訴と弁護士の活動

通常、警察による逮捕後48時間以内に送致又は釈放、検察官が受け取ってから24時間以内かつ逮捕から通算72時間以内に勾留請求又は釈放の判断がされます。勾留は原則として請求日から10日間、やむを得ない事由がある場合はさらに最大10日間延長されます。これは同一被疑事実の一般的な流れであり、別事件や起訴後の勾留は別です。

弁護士は、接見、家族との連絡、黙秘権等の説明、証拠保全を行い、住居・仕事・身元引受け・接触防止等の事情を整理して、勾留請求や勾留をしないよう求めます。勾留決定に対する準抗告等も検討します。逮捕されたことだけで、勾留・起訴が当然に決まるわけではありません。

起訴後は保釈を検討できますが、起訴前に保釈制度はありません。不同意性交等罪には罰金刑がなく、この罪のまま略式罰金で終えることはできません。否認事件では公判前整理手続や証拠開示等を通じて争点を整理し、認める事件では被害回復・再発防止等の情状を具体化します。

執行猶予は自動的に付くものではありません。刑の全部の執行猶予には原則として言渡刑が3年以下であること等の要件があるため、法定刑の下限が5年である不同意性交等罪では、減軽の有無も問題になります。初犯や示談成立だけで結論は決まりません。

まだ逮捕されていない段階でも、警察からの呼出しや取調べに備えて継続的に相談し、万一逮捕された場合の初回接見をあらかじめ準備しておくことができます。新銀座法律事務所では、特定の刑事事件についての継続相談と初回接見1回を組み合わせた「接見予約付き継続相談」をご案内しています。

8 示談・告訴取消し・不起訴の関係

不同意性交等罪は非親告罪です。告訴がなくても起訴でき、告訴取消しや示談だけで捜査・裁判が必ず終了するわけではありません。被害届は被害の申告、告訴は処罰を求める意思を含む申告であり、区別されます。2017年改正前の事件は経過措置を含めて確認します。

謝罪や適切な賠償、被害者の意向、治療への配慮、接触防止、再発防止の取組は重要な判断資料になります。ただし、示談は被害者が応じる義務を負う手続ではありません。本人への突然の訪問や繰り返しの連絡を避け、弁護士が捜査機関や相手方代理人を通じ、連絡・交渉を受ける意向を確認します。

示談書では、対象となる出来事、賠償の範囲、支払方法、今後の接触、必要な相談や治療を妨げない情報の取扱い等を検討します。民事上の清算をすると追加請求が制限される場合があるため、被害を受けた方も署名前に相談してください。示談金に法定の定額はなく、治療費・休業損害・慰謝料等と具体的事情によって異なります。

否認しながら民事上の解決を検討する場合もありますが、文言が刑事手続に及ぼす意味を確認します。虚偽の説明、供述変更や申告撤回の強要を条件にすることはできません。嫌疑不十分による不起訴と、証拠上犯罪が認められても諸事情を考慮する起訴猶予は異なり、不起訴の理由は個別に確認します。関連QA1847・否認と示談

9 被害を受けた方へ:安全・医療・法律相談

抵抗できなかった、お酒を飲んだ、自分から会いに行ったという事情があっても、相談をためらう必要はありません。性別や相手との関係にかかわらず支援を利用できます。まず安全な場所へ移り、危険が迫るときは110番、救急が必要なときは119番へ連絡してください。

  • ワンストップ支援センター:#8891。医療・心理・法律面の支援や関係機関への同行等について相談できます。
  • 警察の性犯罪被害相談電話:#8103。被害の相談や警察での手続について相談できます。

受診や証拠採取、妊娠・感染症への対応は時間が関係することがあります。できるだけ早く医療機関や支援センターに相談してください。着替え・洗濯・入浴前に相談できれば証拠保存につながることがありますが、すでに済ませていても支援を受けられます。記憶のある日時・場所・やり取り等を無理のない範囲で記録し、衣服や端末等の扱いは相談先の案内を受けてください。

弁護士は、被害届・告訴の相談、事情聴取への対応、相手方との連絡の窓口、賠償請求、プライバシー保護を支援します。起訴された場合には、裁判所の許可等を要件とする被害者参加、証人尋問での付添い・遮へい・ビデオリンク、損害賠償命令制度等の利用も検討します。刑事事件の不起訴だけで、民事上の請求が必ず否定されるものではありません。

公的案内:内閣府・ワンストップ支援センター/警察庁・性的な被害の支援/裁判所・犯罪被害者保護施策。

10 公訴時効:以前の被害でも相談できる場合があります

2023年改正後の公訴時効は、不同意性交等罪について原則15年、不同意性交等致傷罪等について20年です。被害者が18歳未満の場合には、犯罪終了時から18歳に達する日までに相当する期間を加算する特則があります。死亡結果を伴う事件等は別の規定を確認します。

この延長は2023年6月23日施行で、施行時に時効が完成していなかった過去の事件にも適用される場合があります。すでに完成した時効が一律に復活するという意味ではありません。行為の日、当時の罪名、年齢、改正の経過措置、時効停止の有無等を確認する必要があります。

刑事の公訴時効と民事の損害賠償請求の時効は別です。「昔のことだからもう無理」と自己判断せず、資料の残り方も含めて相談してください。刑事訴訟法250条等/北海道・性犯罪に関する規定の改正案内

11 報道・職場への影響と相談時の準備

弁護士は、事件の内容、プライバシー、仕事・生活への影響等を説明し、捜査機関に公表への配慮を求めることがあります。ただし、公表や報道を必ず止められるわけではありません。仕事上の報告義務、資格・懲戒への影響は刑事処分とは別に確認します。

相手方の氏名・写真・連絡履歴をSNSに公開して反論することは避けてください。二次被害や名誉・プライバシーの侵害につながり、紛争を拡大させる場合があります。報道記事や検索結果への対応も、内容と公共性等に応じて個別に検討します。

相談では、①問題となる日時、②双方の年齢・関係、③警察との連絡や身体拘束の有無、④自分の認識と相手の主張、⑤残っている資料、⑥希望する支援を分かる範囲で伝えてください。被害者側と被疑者・被告人側では利害が対立するため、同じ事件で双方を代理することはできません。受任前に利益相反を確認します。

12 新銀座法律事務所の無料相談

不同意性交等の疑いで呼出しを受けた方、家族が逮捕された方、性被害について悩んでいる方は、早めにご相談ください。

0120-48-5791

受付:平日9:00~21:00/土日祝日9:00~18:00

電話・LINE・メールで受け付け、弁護士が電話で5分程度を目安に一般的な見解を無料で回答します。既に弁護士へ依頼中の案件のセカンドオピニオンも受け付けています。

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逮捕されている場合は、警察署名と逮捕日時を最初にお伝えください。無料相談と、接見・示談交渉・弁護人としての活動の依頼は別です。具体的な依頼範囲と費用は、事情を伺ってご案内します。

14 参考法令・公的資料・PDF

情報確認日:2026年10月6日。具体的な処分は、事実関係、行為時の法令、証拠、個別事情によって異なります。