新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1621、2015/07/21 12:00 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

【刑事、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)違反事件の対応、プロバイダ責任制限法の特例】

リベンジポルノ防止法違反事件


質問:私は,先日,交際していた彼女に振られてしまい,交際関係を解消することになりました。その際,ひどい振られ方をしたため腹が立ってしまい,交際しているときに撮影した彼女の上半身の裸の写真を,インターネットの掲示板に投稿してしまいました。
 写真には,彼女の下着を着けていない胸が露わになっていますが,顔は大部分を手で隠しているため,顎のあたりしか見えません。しかし,写真を投稿した際に,「○○大学(実名)のダンススサークルの2年生です。趣味は男漁りです。」とコメントを付しているので,見る人が見れば彼女だと直ぐに判ってしまうと思います。
 私の行為は犯罪になってしまうのでしょうか。今後,どのように対応したら良いでしょうか。



回答:
1 あなたの行為は,@「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」違反A名誉毀損罪、またBわいせつ物頒布罪に該当する等の可能性があります。法律上どのような犯罪が成立するかについては,具体的な事情によりますので、詳しい事実を説明して弁護士に確認した方が良いでしょう。

2 「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」法は,平成26年に成立した法律であり,いわゆる「リベンジポルノ」による被害を防止する目的で制定されました。
  同法では,「衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」等を私事性的画像記録とし,第三者へ公開することを禁止し,罰則を定めています。
  そのため,本件でのあなたの行為は,同法違反と処罰される可能性があります。

3 同法で処罰の対象となる行為は,「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で」提供する行為です。そのため,顔が隠れている等の理由で撮影されている人物が特定できない場合には,同法違反とはなりません。
  しかし,撮影対象者が特定されているか否かは,写真そのものだけではなく提供の態様も含めて総合的に判断されるため,本件のように,撮影対象者の所属大学,サークル等を摘示した上で公開している場合には,「特定可能な方法」に該当する可能性は高いでしょう。

4 同法違反は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。とされています。
同法は親告罪であるため,被害者と示談をして告訴を回避すれば不起訴処分となります。
  このようなインターネット上での被害を伴う事件の場合,示談を成立させるためには,インターネット上の画像の削除等の周辺措置を執る必要がある場合も多く存在します。
  サイトの性質や数によっては,弁護士に依頼し,加害者の側から削除を求めることが可能な場合もあります。
  示談の具体的な方法と併せて,経験のある弁護士に早急に相談すべきでしょう。

4 また,当該コメントでは,「趣味は男漁りです。」等,社会的評価を下落させる内容も含んでいるため,名誉毀損罪が成立する可能性もあります。
  その他,わいせつ物頒布罪等の可能性もありますので,法律上どのような犯罪が成立するかについては,弁護士に確認した方が良いでしょう。

5 インターネット上の犯罪をめぐる問題,事件解決の方法は,法律の改正や最新の判例にも大きく左右される部分があります。
  今後処罰事例が増加する事例であると考えられますが,刑事事件としての弁護活動の為に,画像削除の民事的手続を必要とする場合もあります。
  親告罪ですから、同種の事件の取り扱い経験の豊富な弁護士に相談し、早期事件解決を目指してください。

6 ワイセツの概念等の関連事例集1273番916番803番639番503番408番201番参照。

プロバイダ責任制限法関連事務所事例集1573番1443番1376番1229番1219番1215番1170番1169番1106番1035番882番813番755番732番216番参照。

  
解説:

1 「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」について

(1)制定の経緯

  「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下,「防止法」といいます。)」は,私的領域で作成された性的な画像により私生活の平穏を侵害する行為を処罰することを主な目的として制定された法律です。

  近年,インターネット等により,交際時に撮影した私的な写真等が流出させられる行為(いわゆる「リベンジポルノ」)が社会的な問題となっていることから,平成26年11月27日に施行されました(罰則は1か月後から施行)。

  同法では,単に画像の提供行為を処罰するだけでなく,インターネット等で公開された画像を速やかに削除できる特例を定める等,被害者の支援態勢の整備についても規定されています。

  まだ制定後間もない法律ですが,既に何件が逮捕者も出ており,今後も社会的な厳しい取り締まりが予想されます。

  本件も,正に同法による処罰の対象となる事例であると考えられますので,下記で同法による規制の枠組みについて解説します。

(2)処罰の対象

 ア 私事性的画像記録

   同法で処罰の対象とされているのは,「私事性的画像記録(法2条)」を,「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で(法3条)」,不特定又は多数の者に提供し,又は公然と陳列する行為です。

   ここでいう「私事性的画像記録」とは,以下のように定義されています。

  @ 以下の内容の画像であること(法2条)
    一  性交又は性交類似行為に係る人の姿態
    二  他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
    三  衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

   上記によれば,臀部や胸部のみが露出された画像も処罰の対象となり,性器等が露出されていない画像も処罰範囲に含まれることになります(この点は,児童ポルノ禁止法と同様です。)。

   従来,わいせつ物頒布罪(刑法175条)等の処罰対象とされてきた非児童の「わいせつ物」は,たんなる胸部の露出等では処罰の対象とされることは通常ありませんでした(「わいせつ物の詳細な定義については弊所事例集1273番等を参照下さい。」。

   これに対し防止法では,(児童ポルノの範囲と同じく),性欲を興奮させ又は刺激するものであれば,胸部や臀部のみの露出である画像を明確に対象範囲に含めているため,従来のわいせつ物より広い範囲を処罰対象としているといえます。

   これは,従来のわいせつ物頒布等の罪は,主に社会全体の性道徳,性秩序の維持という社会的法益を主な保護法益にしているのに対し,本法は,実際に写真を公開される被害者個人の性的プライバシーを保護法益としているため,より被害者者の感情に配慮した対象としていると考えられます。

   本件で公開してしまった画像も,元交際相手の大学生の彼女の胸部を露出したものであるとのことですので,一般的には性欲を興奮させ又は刺激すると認められ,性的画像として処罰対象となる可能性が高いでしょう。

 A 第三者が閲覧することを認識したものでないこと

ア  本罪では,上記のような画像であっても,「撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(第三者)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたもの」については,処罰の対象から除いています。

   つまり,誰にも見せない約束で撮影した画像,交際相手のみが閲覧することを想定した画像が本罪の主な対象であり,交際相手の友人等に見せることを予め想定していたものや,公開が予定されているグラビア写真等は,本罪の対象とはなりません。

   また,公開に同意した状態で撮影した画像であれば,その後公開行為の際に同意を撤回していたとしても,本罪は成立しません。

 イ 第三者に特定できる方法

   本法のうち,第三者への提供の罪(法3条1項)が成立するためには,私事性的画像記録を「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」で提供することが必要です。

   ここでいう「特定できる方法」には,写真に写っている者の顔や周囲の背景等当該画像自体から撮影対象者が判明する場合は勿論,画像を提供する際に添えられたコメントや提供された場所,提供した人物等の周辺事情から,撮影対象者が判明してしまう場合も含みます。

   また,「第三者」とは,「撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(2条1項)」を意味します。第三者のうちの誰かが撮影対象者を特定できれば足り。特に世間一般の人間が対象者を特定できることは要件とされておりませんので,身近な人が特定できれば,本罪が成立することになります。

   本件では,写真自体の顔は隠れているとのことですが,大学やサークルの実名と共に投稿されていることからすると,同じサークルの友人等の「第三者」が撮影対象者を特定できると考えられます。そのため,本罪における「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で公開した」に該当すると考えられます。

  ウ 提供の行為態様

   画像の公表の態様は,私事性的画像記録を電気通信回線を通じて不特定又は多数の者に提供することも,それ以外の態様で私事性的画像の記録物を不特定若しくは多数の者に提供し,又は公然と陳列することも含まれます。

   また,これらの提供行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事 性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供する行為も処罰の対象となります。

   そのため,インターネット上で画像を公開すれば,不特定の人物に提供したことになりますので,当然同法に違反します。

   なお,公然と陳列する行為については,陳列を継続している間ずっと犯罪行為が継続するとみなさることになります。

   そのため,例え画像の公開を開始したのが防止法の成立や施行以前であっても,同法施行後に陳列を継続していれば,罰則施行日(平成26年12月17日)以降について同法違反により処罰される危険性が存在します。

2 本罪の法定刑ととるべき弁護活動について

(1)法定刑等

   第三者への提供及び公然と陳列した場合(公表罪)の法定刑は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です(3条1及び2項)。

   それらの行為をさせる目的(公表目的提供罪)で,画像を提供した場合は,一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金とされています(同条3項)。

   本件のようなインターネットを通じた第三者への提供の場合,初犯でも罰金以上の罪に問われ,法律上の前科となる可能性は非常に高いといえるでしょう。

   証拠隠滅等の可能性があれば,突然逮捕される可能性も当然考えられるところです。

   では,逮捕や処罰を避けるためには,どのように対応したら良いでしょうか。

(2)不起訴処分に向けた弁護活動

  ア 示談について

   本法違反の罪は,親告罪とされているため,被害者の告訴がなければ公訴を提起することができません(同条4項)。

   そのため,被害者の方と適切な示談を行い,告訴を取り下げてもらう(または告訴を行わない意思を表明してもらう)ことができれば,処罰を受けることを回避することができます。

   そのため,本罪に該当する行為を行ってしまった場合には,速やかに弁護士に依頼し,示談を依頼するべきでしょう。

   では,示談の際には,どのような点に注意すべきでしょうか。

   まず,本件の被害者は,あなたの元交際相手ということになりますので,加害者であるあなたから今後接触を受けることを非常に嫌悪すると考えられます。

   そのため,今後二度と被害者である元彼女に接近しない旨を固く誓約することは必須であるといえるでしょう。弁護人等を通じて,違約金等実効的な抑止力を付した形で誓約する文書の提出が望ましいといえます。

  イ 画像の削除について

   加えて,本件のようなインターネット上での画像流出の場合,インターネット上に掲載された画像をどう処理するかが重要になります。

   自分で投稿した画像を削除することができ,それによってインターネット上の画像が全て消滅すれば問題有りませんが,この種の事件の場合,画像が第三者の手に渡り,あなたの関与しない外部の掲示板等に投稿されてしまう危険も存在します(なお,公表罪の主体は画像の撮影者に限られていませんので,この場合,私事性的画像記録を他のインターネット掲示板に提供した者にも,本法違反の罪が成立します。)。

   そのように投稿が拡散してしまうと,あなた自身で全ての画像を削除するのは非常に困難となる場合もあります。

   このような場合は,弁護士に依頼する等して,各掲示板の管理者等に対して,早急に画像の削除を申し立てる必要があります。多くのサイトは,弁護士からの通知により削除対応を行う場合が多いですが,悪質なサイトの場合は,裁判所へ仮処分等の申立てをする必要があります。

   また,これらのサイトでは,権利侵害を受けている被害者からの申立てでなければ,画像や投稿の削除に応じないと謳っているものも多く見られます。そのような場合,被害者名義で各サイトに対して削除を要請する通知を送る必要があります。

   被害者が削除等の手続を自力で行うことが出来ない場合には,必要に応じて加害者側の代理人が,被害者から委任を受けて,加害者の費用負担により削除等を実行する必要がある場合もあるでしょう(なお,弁護人が被害者から削除手続の代理を受けることには,弁護士倫理上利益相反の問題が生じる可能性があります。そのため,その点を弁護士と良く協議する必要があります。)。

   このように,本件のような事件の場合,単なる示談交渉では無く,削除手続等の付随措置が必要となるケースが多く存在します。

   従って,これらの点についても経験を有する弁護人に依頼すべきでしょう。

 ウ プロバイダ責任制限法の特例について

   なお,本法では,私事性的画像記録の削除について,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)の特例を設けています。

   すなわち,本法4条では,私事性的画像記録の流通によって自己の名誉又は私生活の平穏が侵害された者から,私事性的画像記録侵害情報送信防止措置の申出があり,発信者にその申出に同意するか照会し,発信者から2日以内に返答が無い場合には,画像の送信を防止する措置を取った場合でも,その画像の発信者への損害賠償の責任が免除されるとされています。

   管理者の責任が免除される場合であれば,管理者からも削除の対応を得られる可能性は大きく高まります。

   そのため,掲示板管理者等に対して被害者から削除を請求する場合には,これらの特例に基づいた申出を行うことも必要です。

3 その他の罪の成立について

   以上,主に新法により成立する犯罪について解説してきましたが,本件では,本法違反の他,別途名誉毀損罪等が成立する可能性があります。

   通常,単に裸の画像を投稿しただけでは,名誉毀損罪は成立しません(むしろこのような事例を処罰するために,防止法が制定されたともいえます。) 

   しかし,写真と共に,名誉感情を害するコメントを付した場合には,当然名誉毀損罪が成立することとなります。

   防止法による処罰規定の保護法益は,「私生活の平穏(法1条)」されており,個人の名誉感情は含まれておりません。同法1条後段のプロバイダ責任制限法の例外との関係では,「名誉又は私生活の平穏の侵害」をも対象としていることと対比しても,あえて「名誉」は防止法の処罰の保護法益から除外していると推測されます。

   そのため,防止法違反が成立する場合でも,別途名誉毀損罪は妨げられません。本件でも,写真をインターネットに投稿する際に,「趣味は男漁りです。」というコメントを付しており,当該コメントは対象人物の社会的評価を下落させ,名誉を毀損するものと認められ,名誉毀損罪が成立する可能性は高いといえます。

   仮に名誉毀損罪が成立する場合でも,やはり被害者に適切な謝罪を行い,示談を行うことが最も重要である点は変わりません。一罪の場合よりも被害が大きいと判断され,処罰が重くなる可能性は存在するため,場合によっては示談金が高額になることも想定されます。

   なお,その他,画像自体が「わいせつ物(定義」に該当する場合は,別途わいせつ物頒布罪(刑法175条)が,撮影された人物が児童である場合には,児童ポルノ禁止法違反が成立することになります。

4 まとめ

   本件のようなインターネット上での画像公開については,新法の制定もあり,今後処罰が増加していくことが想定されます。

   そのため,もしこのような行為をしてしまった場合には,早急な対応を心がける必要があります。

   事件解決の方法は,法律の改正や最新の判例にも大きく左右される部分があります。場合によっては,刑事事件としての弁護活動の為に,画像削除の民事的手続を必要とする場合もあります。

   そのため,まずは同種の事件の取り扱い経験の豊富な弁護士に相談してみると良いでしょう。


≪参照条文≫
○私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
(目的)
第一条  この法律は、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰するとともに、私事性的画像記録に係る情報の流通によって名誉又は私生活の平穏の侵害があった場合における特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 (平成十三年法律第百三十七号)の特例及び当該提供等による被害者に対する支援体制の整備等について定めることにより、個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一  性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二  他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2  この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。
(私事性的画像記録提供等)
第三条  第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3  前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4  前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5  第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の特例)
第四条  特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第三条第二項及び第三条の二第一号の場合のほか、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下この条において同じ。)は、特定電気通信(同条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下この条において同じ。)による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者(同条第四号に規定する発信者をいう。以下この条において同じ。)に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれにも該当するときは、賠償の責めに任じない。
一  特定電気通信による情報であって私事性的画像記録に係るものの流通によって自己の名誉又は私生活の平穏(以下この号において「名誉等」という。)を侵害されたとする者(撮影対象者(当該撮影対象者が死亡している場合にあっては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)に限る。)から、当該名誉等を侵害したとする情報(以下この号及び次号において「私事性的画像侵害情報」という。)、名誉等が侵害された旨、名誉等が侵害されたとする理由及び当該私事性的画像侵害情報が私事性的画像記録に係るものである旨(次号において「私事性的画像侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し私事性的画像侵害情報の送信を防止する措置(以下「私事性的画像侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があったとき。
二  当該特定電気通信役務提供者が、当該私事性的画像侵害情報の発信者に対し当該私事性的画像侵害情報等を示して当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会したとき。
三  当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(支援体制の整備等)
第五条  国及び地方公共団体は、私事性的画像記録の提供等による被害者の適切かつ迅速な保護及びその負担の軽減に資するよう、被害者が当該提供等に係る犯罪事実の届出を行いやすくするために必要な捜査機関における体制の充実、私事性的画像侵害情報送信防止措置の申出を行う場合の申出先、申出方法等についての周知を図るための広報活動等の充実、被害者に関する各般の問題について一元的にその相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。
(被害の発生を未然に防止するための教育及び啓発)
第六条  国及び地方公共団体は、私事性的画像記録等が拡散した場合においてはその被害の回復を図ることが著しく困難となることに鑑み、学校をはじめ、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、自己に係る私事性的画像記録等に係る姿態の撮影をさせないこと、自ら記録した自己に係る私事性的画像記録等を他人に提供しないこと、これらの撮影、提供等の要求をしないこと等私事性的画像記録の提供等による被害の発生を未然に防止するために必要な事項に関する国民の十分な理解と関心を深めるために必要な教育活動及び啓発活動の充実を図るものとする。

○刑法
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条  わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2  有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

(名誉毀損)
第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2  死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。



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