16歳の女子高生と援助交際してしまいました

刑事|起訴前弁護|児童買春禁止法違反

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

16歳の女子高生と電話で知り合い、援助交際という名目で金員を渡した上で男女関係に及びました。今回、2度目の逮捕なのですが、今後、どのような処罰を受けることになるでしょうか。

回答:

1 児童に対償を供与し性交に及ぶことは児童買春禁止法に違反します。条文では、児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するとあります。(第四条)

  児童買春禁止法違反は健全な社会秩序の維持という社会的法益を保護法益とする罪でもありますが、勿論相手少女とその親御さんも被害者ですから、謝罪と被害弁償を含む民事示談は必要ですし、弁護活動でも有効な選択肢です。刑事事件ですから弁護士に御相談なさり刑事処分を軽くできるようにするための努力をするべきです。

2 援助交際に関する関連事例集参照。

解説:

1、児童買春禁止法

現在、本件のような事件は、社会問題として大きく取り沙汰されています。あなたのように、児童に対償を供与し性交に及ぶことは、『児童買春・児童ポルノに関わる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律』に違反します。この法律の制度趣旨は、児童に対する性的詐取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、児童の権利を擁護し併せて健全な社会的秩序を維持することとなっています(個人的権利の保護と、社会秩序という公的利益をも保護している訳です。第一条)。児童とは、18歳に満たない者を対象とし、具体的な違法行為は下記の参照条文をご参照ください。処罰は、児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するとあります。(第四条)

2、両名に対する処分

どのような経緯で知り合ったにせよ、両名の行為は、法的には勿論のこと道徳、倫理上からもけして許されるべき行為ではありません。しかし、現在の法律では、援助交際をしている未成熟な16歳の女子高生については、あくまで補導レベルであり、あなたのように交際を求めた方の取締りが厳しいというのが現状です。

3、身柄拘束の場合の処理

通常、身柄拘束の必要性があれば、あなた(被疑者)が警察官に逮捕されてから48時間以内に検察官送致が行われ、そして検察官による取調べ後、検察官が被疑者の身柄を受取ったのち24時間以内に勾留請求を行うことになっています。勾留とは、送致を受けた検察官が、犯人が逃亡したり証拠を隠したりしないように、捜査を進める上で身柄の拘束が必要な場合に、検察官の請求に基づいて裁判官が勾留状を発付して行う手続きです。勾留期間は10日間ですが、やむを得ない事情がある場合には、更に10日間まで延長することが認められています。

4、弁護活動

さて、弁護人の弁護活動としては、被疑事実に争いがなければ被害者(ここでは16歳の女子高生)に対し、あなたの謝罪を伝え、示談交渉を進めることになります。本件のように、両名とも加害者に該当するかのように思われる事案についても、謝罪を行う必要があります。なぜなら、本件の保護法益の1つに、18歳未満の女子の性的健全な成長育成があり、貴方の行為は、女子の権利を明らかに侵害しているからです。

5、示談交渉の相手方

示談交渉の際、被害者の女子高生は未成年者ですが、16歳ですから法律行為をすることは一応できます。しかし法律行為能力に不十分な面があり当事者、親権者は、法律上実際行った法律行為を取り消すこともできますから、実際はそのご両親親権者と交渉を行うことになります。特別な事情でご両親と話し合いができない状況の場合には(例えば、被害者のご両親が離婚していて、尚且つ同居している親権者である親が事情により子供の教育に関心を示さない場合。又、親権者に子供の事件内容を伝えると子供の権利に重大な影響を及ぼす可能性がある場合すなわち子供が家庭内で孤立しさらに非行に走るような場合。)通学している学校の先生と話し合いをする方法もあります(但し、学校の先生と話しをするときは、被害者が私立高校に在籍の場合などは、何らかの処分の対象になる可能性がありますので注意が必要です。被害者子女の意向も警察署を通して聞き慎重に対処することが求められます)。

6、まとめ

仮に、示談が成立しても、前述のように本件犯罪の保護法益が公的な面もあり社会問題として大きく取り沙汰されていることから、簡単に不起訴処分になることは考えにくいですが、弁護士と被害者との話し合いによって、被害者本人親権者から、被害届及び告訴取消書・和解書などの書類(被害者の宥恕の意志)を受け取り、検察官に提出することができれば、例え、2度目の逮捕であっても、検察官の裁量により、起訴便宜主義の観点から公判請求、略式請求手続には及ばず、不起訴処分になる可能性も残されていますので、まず逮捕されることがありましたらお近くの法律事務所にご相談ください。

以上

関連事例集

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※参照条文

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律

(平成十一年五月二十六日法律第五十二号) 最終改正:平成一六年六月一八日法律第一〇六号

(目的)

第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。

一 児童

二 児童に対する性交等の周旋をした者

三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。

一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

(適用上の注意)

第三条 この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

(児童買春)

第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

(児童買春周旋)

第五条 児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

(児童買春勧誘)

第六条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

(児童ポルノ提供等)

第七条 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。

4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

6 第四項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

(児童買春等目的人身売買等)

第八条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

2 前項の目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをその居住国外に移送した日本国民は、二年以上の有期懲役に処する。

3 前二項の罪の未遂は、罰する。

(児童の年齢の知情)

第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。

(国民の国外犯)

第十条 第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。

(両罰規定)

第十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条から第七条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(捜査及び公判における配慮等)

第十二条 第四条から第八条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。

2 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。

(記事等の掲載等の禁止)

第十三条 第四条から第八条までの罪に係る事件に係る児童については、その氏名、年齢、職業、就学する学校の名称、住居、容貌等により当該児童が当該事件に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならない。

(教育、啓発及び調査研究)

第十四条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。

(心身に有害な影響を受けた児童の保護)

第十五条 関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。

2 関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)

第十六条 国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。

(国際協力の推進)

第十七条 国は、第四条から第八条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。

附 則 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(条例との関係)

第二条 地方公共団体の条例の規定で、この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。

2 前項の規定により条例の規定がその効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の例による。

(検討)

第六条 児童買春及び児童ポルノの規制その他の児童を性的搾取及び性的虐待から守るための制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況、児童の権利の擁護に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

附 則 (平成一六年六月一八日法律第一〇六号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、附則第四条の規定は、この法律の施行の日又は犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第 号)の施行の日のいずれか遅い日から施行する。

(検討)

第二条 児童買春及び児童ポルノの規制その他の児童を性的搾取及び性的虐待から守るための制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律による改正後の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行状況、児童の権利の擁護に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の適用に関する経過措置)

第三条 犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日の前日までの間における組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)別表第五十九号の規定の適用については、同号中「第七条(児童ポルノ頒布等)」とあるのは、「第七条第四項(児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等)、第五項(児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等の目的による製造等)若しくは第六項(児童ポルノの不特定又は多数の者に対する提供等の目的による外国への輸入等)」とする。