仮釈放してもらうには
どうすればよいか

条件・手続・上申書から、出所後の暮らしまで

更新日:|拘禁刑導入後の法令・公表裁判例に対応

「家族が服役しています。少しでも早く社会に戻るために、今から何ができるでしょうか。」仮釈放は、刑務所等から刑期満了前に出所し、保護観察を受けながら社会復帰を進める制度です。本人の取組とともに、住まい・生活費・仕事や福祉・被害者への配慮を具体的に整えることが大切です。

まず押さえたい4つのポイント

  • 刑期の3分の1を過ぎても、自動的に釈放されるわけではありません。法律上の期間に加え、改善更生の状況などが審査されます。
  • 判断するのは地方更生保護委員会です。本人や家族(代理人弁護士)は、上申書・資料提出などを通じて事情を伝えます。
  • 示談成立や親族の引受人が一律の必須条件というわけではありません。事情に応じた被害回復と、現実に生活できる支援体制を検討して下さい。示談ができた場合は、示談書も提出しましょう。
  • 出所後も保護観察が続きます。守るべき事項や、困ったときの相談先まで準備しましょう。

根拠:刑法28条、更生保護法34・35・39・40条、社会内処遇規則18・28条

Q1 仮釈放とは何ですか。保釈とどう違いますか。

仮釈放は、実刑の執行中に、刑期満了前の社会復帰を認める制度です。釈放されても、直ちに刑の執行が終了したり、前科が消えたりするわけではありません。仮釈放期間中は保護観察に付され、一般遵守事項と、個別に定められた特別遵守事項を守る必要があります。

似ている制度との違い
制度主な場面・目的判断する機関
仮釈放実刑の執行中。保護観察を受けながら社会復帰する地方更生保護委員会
保釈起訴後、判決確定前の勾留から、保証金納付等の条件で釈放される裁判所
刑の全部の執行猶予判決で一定期間、刑の全部の執行を猶予する裁判所
満期釈放執行すべき刑期を終えて出所する刑の執行に基づく釈放

仮釈放に、保釈保証金のような金銭の納付制度はありません。まだ刑事裁判が確定していない場合は、保釈の解説もご確認ください。少年院からの「仮退院」や、拘留・労役場留置からの「仮出場」は別の制度です。

根拠:刑法25・28・30条、更生保護法39・40条

Q2 拘禁刑の導入で、仮釈放はなくなりましたか。

なくなっていません。2025年6月1日から懲役と禁錮を一本化した拘禁刑が導入され、現在の刑法28条も拘禁刑を対象とする規定になっています。有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年という基本的な法定期間は維持されています。

拘禁刑では、改善更生のため、必要な作業や指導を行う仕組みになっています。「作業さえ真面目に行えばよい」という理解では十分ではなく、本人の特性や課題に応じた指導への取組、再犯防止、社会復帰の準備を説明することが大切です。

施行前の行為などには経過措置があるため、現在も懲役・禁錮を受けている方がいます。判決の刑名が自動的に拘禁刑へ書き換わるわけではありません。本稿では現行制度を基本に解説しますが、個別の事件では行為時期・判決内容・適用される経過措置を確認してください。

根拠:刑法12・28条及び附則

Q3 刑期の3分の1を過ぎれば、出所できますか。

3分の1は、許可が法律上可能になるための期間です。出所の予定日ではありません。成人の有期刑ではこの期間を経過し、さらに改善更生等の基準を満たすと判断されて、地方更生保護委員会が許可する必要があります。

例えば、未決勾留日数の算入などの調整がない「拘禁刑3年」の単純な例では、1年の経過が期間要件の目安です。しかし「1年服役すれば残り2年は必ず自宅で過ごせる」という意味ではありません。実際の時期は、受刑中の経過や帰住先、被害者への配慮等によって異なります。

刑期の計算は、逮捕日だけではできません

判決で算入された未決勾留日数、刑期の起算、複数の刑、一部執行猶予等によって確認事項が変わります。判決書と刑事施設で把握する「法定期間の末日」「刑期の終了日」を確認し、単純な日付計算で断定しないようにしてください。

統計で見る仮釈放の時期――実際には刑期のどの段階で許可されていますか

2025年(令和7年)の有期刑の仮釈放許可人員9,032人のうち、刑の執行率が80%以上の人は7,452人、約82.5%でした。最も多い区分は「80~89%」です。法律上の「3分の1」を過ぎて間もなく出所することが一般的、という状況ではないことが分かります。

資料は、法務省「保護統計」の地方更生保護委員会・年次統計、表25-00-18「有期刑仮釈放許可人員の罪名別 刑の執行率」です。対象は2025年、e-Statの公開(更新)日は2026年7月31日であり、本稿の確認日(2026年9月21日)時点で確認できた最新の年次資料です。

2025年の有期刑仮釈放許可人員と刑の執行率
刑の執行率(原表の区分)許可人員総数に占める割合
49%以下0人0.0%
50~59%0人0.0%
60~69%58人0.6%
70~79%1,522人16.9%
80~89%4,145人45.9%
90%以上3,307人36.6%
合計9,032人100.0%

出典:法務省「保護統計」2025年・表25-00-18の「総数」欄。割合は本稿で人数から計算し、小数第2位を四捨五入しています。「80%以上」は4,145人と3,307人の合計です。

「刑の執行率」とは何ですか

刑の執行率は、執行すべき刑期に対して、実際に執行した期間がどれだけあるかを表す数字です。原表の注記では、刑期に算入する未決勾留・留置の日数がある場合は、その日数を控除した期間を分母にします。仮釈放取消し後の残刑を執行している場合はその残刑期間、刑が2つ以上ある場合はそれぞれの執行すべき期間の合計を用い、一部執行猶予の場合は実刑部分を算入します。

そのため、判決の「拘禁刑○年」に単純に80%を掛けたり、逮捕日から8割の期間を数えたりして、出所日を予測することはできません。未決勾留の算入などを含む個別の刑期計算と、許可の見通しは分けて確認する必要があります。

近年の傾向と、数字を読むときの注意

同じ原表に掲載された過去2年を見ると、刑の執行率80%以上の割合は、2023年が約81.5%(8,487人/10,416人)、2024年が約81.4%(7,733人/9,495人)、2025年が約82.5%です。この3年間では、許可された有期刑の人の8割強が、執行率80%以上の区分に入っています。ただし、この数字だけで審査が厳しくなった原因や、拘禁刑への改正の効果を判断することはできません。

  • 対象は「仮釈放を許可された人」です。満期釈放となった人や、現在も服役中の人を含む受刑者全体の統計ではありません。「受刑者の82.5%が8割の時点で出所できる」という意味ではありません。
  • 「8割」は許可の条件でも、保証された時期でもありません。表は過去の許可人員の分布であり、8割に達するまでに許可される確率や、個人の平均的な出所予定日を示すものではありません。2025年の60%未満が0人であることも、法律上その時期の許可が禁止されているという意味ではありません。
  • 罪名や刑期などの条件が異なります。原表には罪名別・刑期別の内訳や一部執行猶予の内数もあります。全体の割合を、本人と条件が同じ集団の数字として扱うことはできません。
  • 無期刑は、この表に含まれません。有期刑の執行率を無期刑に当てはめず、無期刑の説明と法務省の別資料を確認してください。

ご家族の準備は、統計上の時期を待たずに進めましょう

出所時期がまだ分からなくても、帰住先、生活費、就労・福祉、通院、再犯を防ぐ支援の準備は進められます。統計は全体の傾向を理解する参考にとどめ、本人の改善更生の状況と生活環境を具体的な資料で伝えることが大切です。準備する資料と新銀座法律事務所への無料相談案内をご利用ください。

統計原資料:e-Stat・2025年保護統計 表25-00-18の掲載ページ / 原表をダウンロード(Excel)

また、仮釈放率は出所者全体に占める割合、審理の許可割合は審理に至った人を対象とする割合で、母集団が異なります。古い統計の棄却率を使って「審理が始まればほぼ確実」「本人も同じ確率で出所できる」と判断することはできません。

根拠:刑法21・23・28条、社会内処遇規則7条

Q4 「改悛の状」とは何ですか。何を見られますか。

「改悛(かいしゅん)の状」とは、犯罪についての反省や改善更生の状況を表す法律上の言葉です。具体的には、社会内処遇規則28条の本文にある3つの基準と、ただし書の制限に照らして判断されます。

基準説明・準備の視点
悔悟の情・改善更生の意欲何が被害を生んだのか、原因をどう理解し、どのような行動を変えたか。被害回復に向けて何をしているか
再び犯罪をするおそれがないこと問題となった交友関係、依存、金銭管理等の課題に、具体的な対策と支援があるか
保護観察に付することの相当性住居、仕事・福祉、支援者、通院先等が整い、社会の中で指導・援助を受けながら更生できるか
社会の感情による制限社会の感情が仮釈放を是認すると認められない場合には許可しない、というただし書があります

判断資料には、犯罪の内容・動機・原因、共犯者、被害者等と被害回復の行動、本人の性格・経歴・健康状態、施設内の処遇と生活態度、帰住予定地、引受人等、出所後の計画が含まれます。反省文の長さや、家族の「二度としません」という保証だけで結論が決まるものではありません。

根拠:社会内処遇規則18・28条

Q5 本人や家族、弁護士が仮釈放を申請できますか。

更生保護法が定める主な審理の開始経路は、刑事施設の長等からの申出と、地方更生保護委員会による職権での開始です。本人や家族に、保釈請求と同じような法定の申請権・請求権が設けられているわけではありません。

そのため、本人側から提出する文書は「仮釈放についての上申書」「意見書」などとして、必要な事情を伝え、適切な検討を求める形になります。刑事施設の長や、施設所在地を管轄する地方更生保護委員会に向けて、提出先・資料の扱いを確認した上で準備します。代理人弁護士が手続きすることもできます。

住まいや就労先の調整、資料収集は、3分の1を経過する前から始められます。弁護士も家族との連絡、資料整理、上申書作成等を支援できます。ただし、依頼や上申書提出によって、審理開始・許可・時期が保証されるわけではありません。

根拠:更生保護法34~37条、東京地裁2025年3月24日判決

Q6 仮釈放まで、どのように進みますか。

仮釈放の準備から社会復帰まで
受刑中の取組・生活環境の調整

本人の状況を把握し、住居・仕事・福祉・医療・被害者への配慮を準備

刑事施設の長等から申出

法定期間の経過+省令の基準
更生保護法34条

委員会が職権で審理開始

申出がなくても必要と認める場合
更生保護法35条

地方更生保護委員会の審理

資料調査・原則として委員による本人面接・申出に基づく被害者等の意見聴取

許可:釈放日・住居等を決定

指定日に出所し、保護観察へ

許可されない場合

服役継続。課題を整理し、資料や支援計画を補充

本人・家族の上申書や追加資料は、準備・審理の段階で事情を伝えるために活用します。図は制度の概要であり、各調整の時期は重なることがあります。

法定期間が経過すると施設の長等は委員会に通告しますが、この通告と、仮釈放を許すべき旨の申出とは別です。仮釈放を許す処分は、3人の委員による合議体が行います。保護観察所は、帰住先の調査や生活環境の調整を担います。

許可後でも、出所までに重大な規律違反、住居・就業先等の大きな変更など特別の事情が生じれば、審理が再開され、許可決定が効力を失う場合があります。引受けや就労の予定が変わったら、早めに関係機関へ伝えてください。

根拠:更生保護法23・33~40・82条

Q7 家族は何を準備すればよいですか。上申書には何を書きますか。

「早く帰ってきてほしい」という希望を、出所後に実行できる計画と裏付け資料にすることが出発点です。すべてを一度にそろえる必要はありません。まず、確定判決の内容と、現在の帰住・就労・支援の見通しを整理してください。

相談・上申の準備に役立つ資料の例
項目確認すること資料の例
刑の内容・現在の状況罪名、刑名・刑期、確定日、収容施設、未決勾留の算入、審理の進み具合判決書、施設からの通知、本人からの手紙
本人の取組犯罪の原因の理解、指導・教育で学んだこと、再犯防止に向けた変化本人の説明書、経過を整理した書面
住まい実際に住める住所、同居人の意向、契約・受入れの状況居住予定先の説明、賃貸借契約等、受入れに関する資料
引受人・支援者誰が何を支援するか、無理のない役割分担、緊急時の連絡先引受けの意思を示す書面、支援者一覧、連絡体制
仕事・生活費就職の見通し、就業が難しい場合の収入・福祉、出所直後の生活費雇用予定に関する書面、収支計画、相談機関との調整経過
医療・福祉継続治療、服薬、障害・介護の支援、通院の移動手段入手できる診療情報、受診予定、支援機関との調整記録
被害者への配慮これまでの示談・支払、今後の履行、接触を避ける措置示談書、送金記録、弁償計画、接触回避の説明

上申書の組立て

  1. 本人を特定する情報と、仮釈放の検討を求める趣旨
  2. 刑の内容、受刑中の経過、本人の認識と改善の取組
  3. 被害回復の状況と、被害者の安全・平穏への配慮
  4. 帰住先、生活費、仕事・福祉、医療、支援者の具体的計画
  5. 各許可基準に照らした意見と、添付資料の一覧

事実と見込みを区別し、未確定の就職先を「内定済み」と書くなどの誇張は避けます。書類名や添付書類に全国一律の必須セットがあるわけではありません。本人の同意や施設の手続を確認しながら、必要な範囲の資料を集め、変化があれば追加します。

根拠・参考:社会内処遇規則7・17・18条、新銀座法律事務所・事例1404

Q8 示談が成立していないと、仮釈放は無理ですか。

示談の成立そのものを一律の必須条件とする規定はありません。ただし、被害の回復・軽減のための行動や、被害者等の状況は重要な調査事項です。支払能力に応じた弁償、合意済みの支払の継続、被害者への配慮などを具体的に説明します。

「反対しないという書面をもらうため」に、本人や家族が突然訪問したり、何度も連絡したりすることは避けてください。示談の申入れ自体が負担になる場合があります。過去の交渉経過、連絡拒否の意向、示談書の接触禁止条項などを弁護士と確認し、適切な方法を選びます。支払うお金がない場合も、実現できない約束をするのではなく、今後の収支と履行可能な計画を整理してください。

被害者の意見は、どのように扱われますか。

現行の更生保護法38条では、被害者等から申出があったとき、原則として、仮釈放の可否、仮釈放中の保護観察、生活環境の調整に関する意見と、被害に関する心情を聴取します。聴取された保護観察・生活環境調整に関する意見は、同条の定めに従って保護観察所へ通知されます。

被害者の意見を軽視してよいということではありませんが、被害者が単独で許可・不許可を決定する制度でもありません。帰住先や行動範囲が被害者の生活圏に重ならないようにするなど、再接触への不安を減らす準備も重要です。

根拠・参考:更生保護法38条、社会内処遇規則18・28条、新銀座法律事務所・事例1895

Q9 親族が引き受けられない、住まい・仕事がない場合はどうしますか。

親族の引受人がいないことだけで、一律に可能性がなくなるわけではありません。一方、出所後の居住先と生活基盤が定まらないことは大きな課題です。家族だけで無理をして引き受ける約束をする前に、刑事施設・保護観察所と相談し、更生保護施設等の受入れや関係機関による支援を検討します。

就労が可能な方は、働く場所だけでなく、勤務条件・通勤方法・職場の受入れ体制まで整理します。高齢や障害等により直ちに働くことが難しい場合は、医療・福祉の利用や生活費の確保を含めた計画を立てます。施設等の受入れは対象要件・空き状況・本人の事情によるため、必ず利用できると決めつけず、早めの調整が必要です。

東京都の公的な支援情報

東京都地域生活定着支援センターは、高齢又は障害により福祉的な支援が必要な犯罪をした方等について、関係機関と連携し、拘束中から釈放後までの相談支援を行います。保護観察所から依頼を受けた退所予定者の福祉サービス調整等を行う仕組みです。来所相談の窓口ではないため、まず関係機関を通じた調整や電話での確認をお願いします。

東京都「リスタ!NET」では、本人・家族・支援者が、住まい・就労・生活困窮等の相談機関を探せます。他県に帰住する場合は、その地域の保護観察所・自治体の窓口を確認してください。

根拠:更生保護法39条3項・82条。支援制度は上記東京都公式案内参照。

Q10 病気や障害があります。否認している場合にも対応できますか。

病気や障害は、心身の状況や出所後の支援の必要性として把握されるべき事情です。病状の変化、治療・服薬、通院先、介助や福祉サービスの見通しを、審理に正確に反映させることが重要です。病気であることだけで仮釈放が必ず認められるわけではありません。重大な健康上の問題があるときは、必要な医療の確保を優先し、別途、刑の執行停止等が検討できるかも弁護士に相談してください。

本人が犯罪事実を否認している場合や再審を求めている場合も、その状況を正確に弁護士へ伝えます。仮釈放の審理は確定判決をやり直す手続ではなく、本人の認識や改善更生の状況が問題になります。事実に反する自白・反省文を作ることは勧められません。争っている点と、生活上の課題への対策・社会復帰の計画を整理し、個別に対応します。

根拠:社会内処遇規則7・18条。病状に関する情報提供は次の裁判例も参照。

Q11 許可されない場合や、審理が進まない場合はどうすればよいですか。

まず、審理がまだ始まっていないのか、審理の結果として許可に至らなかったのか、いったん許可された仮釈放が取り消されたのかを分けて確認します。手続の性質が違うため、対応も異なります。

許可に至らない場合は、帰住先、支援者、被害回復、施設内の処遇、健康状態等の課題を、把握できる範囲で整理します。新たな受入れ先が見つかった、治療計画が具体化した等の変化があれば、追加資料や上申によって伝えることを検討します。

不服申立てを一律には説明できません

更生保護法92条の審査請求は、地方更生保護委員会が決定をもってした処分が対象です。仮釈放を許さないという判断を、そのまま同条の処分として扱い、「不許可なら審査請求できる」と一律に説明することは適切ではありません。上申への回答や審理未開始も含め、何が行われたのかを確認する必要があります。

一方、仮釈放取消し等の審査請求の対象となる処分については、中央更生保護審査会への不服申立てを検討します。期間は原則として、処分を知った日の翌日から3か月、かつ処分の日の翌日から1年以内です(正当な理由による例外があります)。「60日以内」という旧制度の説明を現在の一般的な期限として用いることはできません。

施設に収容されている方の審査請求書の提出には更生保護法93条の特則があり、対象処分の取消訴訟には同法96条の審査請求前置の定めがあります。手続上の違法が疑われる場合の国家賠償等も含め、処分書・通知・受領日や資料提出の経過を保管し、早めに弁護士へ相談してください。

根拠:更生保護法39・75・92~96条、行政不服審査法18条、東京地裁2025年3月24日判決

Q12 仮釈放の審理について、近年の裁判例はありますか。

裁判所公表の判決原文を参照

東京地方裁判所 2025年(令和7年)3月24日判決

令和2年(ワ)第4600号・国家賠償請求事件

仮釈放審理中の受刑者について、がんの可能性が高い肝内腫瘤が見つかったのに、刑務所長が地方更生保護委員会へ通知しなかったことなどが問題になった事案です。

裁判所は、本人に仮釈放申請権・請求権はなく、仮釈放そのものへの期待も法律上保護に値しないとした一方で、適正な手続で仮釈放の審理を受けることへの期待は、法律上保護に値すると判断しました。重大な健康状態の変化を通知しなかったことについて、この利益の侵害を認め、慰謝料30万円と弁護士費用3万円を損害として認めています。

この判決は、仮釈放の許可や釈放を命じたものではありません。実務上は、健康状態など重要な事情の変化を、適切な資料とともに審理へ伝える必要性を示す裁判例として参考になります。

判決原文PDFを読む(47~50頁)

出典:裁判所ウェブサイト。地裁判決であり、公表された判決本文からは確定の有無を確認できません。本稿では確認できた判示内容を紹介しています。

Q13 仮釈放後は、何を守る必要がありますか。

仮釈放の期間中は保護観察に付されます。出所時に交付・説明される書類を確認し、指定された保護観察所への出頭等について指示に従ってください。主な一般遵守事項には次のものがあります。

  • 再び犯罪をしないよう、健全な生活態度を保つこと。
  • 保護観察官・保護司の呼出しや訪問に応じ、面接を受けること。
  • 求められた生活の実態や改善更生の行動について、事実を申告し、資料を示すこと。
  • 定められた住居に居住すること。
  • 転居又は7日以上の旅行には、あらかじめ保護観察所の長の許可を受けること。

これに加え、特別遵守事項として、特定の相手との交際・接触の制限、就労、専門的な処遇への参加、7日未満の旅行等の事前申告などが、個別に定められることがあります。「短い旅行なら必ず自由」「仕事を辞めても連絡不要」とは限りません。

仕事を失った、家族と同居できなくなった、治療を続けられないといった場合は、連絡を絶つ前に保護観察官・保護司へ相談してください。支援を受けながら計画を立て直すことが大切です。

根拠:更生保護法40・50~52条

Q14 仮釈放が取り消されることはありますか。刑期はどうなりますか。

刑法29条1項は、仮釈放中にさらに罪を犯して罰金以上の刑に処せられた場合、仮釈放前の他の犯罪について一定の刑を受け又は執行すべき場合、遵守事項に違反した場合等に、仮釈放を取り消すことができると定めています。疑いをかけられた、事故を起こしたというだけで、直ちに自動取消しになるわけではありません。事実関係、刑の確定、遵守事項、処分時期等を確認する必要があります。

取消しがあると、釈放中の日数は刑期に算入されません(刑法29条3項)。例えば、残刑期6か月で仮釈放され、4か月後に取り消されたという単純な例では、「あと2か月だけ」とはならず、釈放中の4か月を差し引けないことになります。実際の残刑期は、保護観察の停止や他の刑の執行等も踏まえて確認します。

所在不明のため保護観察が実施できなくなり、委員会が保護観察を停止した場合には、その決定によって刑期の進行も停止します(更生保護法77条5項)。連絡を絶ったまま予定の満了日まで待てば終わるというものではありません。

また、刑の一部の執行猶予が付いており、仮釈放中にその執行猶予が取り消された場合には、刑法29条2項によって仮釈放が効力を失う仕組みがあります。通常の仮釈放取消しとは条文上の経路が異なります。

根拠・参考:刑法29条、更生保護法75~77条、新銀座法律事務所・事例1179

Q15 無期刑や少年の場合、一部執行猶予が付いた場合は同じですか。

無期刑

成人の無期刑について、刑法28条は10年を法定期間としています。ただし、10年で出所できる、10年で必ず審理が始まるという意味ではありません。法務省は、刑の執行開始から30年が経過した無期刑受刑者について、原則として1年以内に審理を開始する運用を公表しています。この30年は、法律上の期間が30年に変わったという意味でも、30年で出所が約束されるという意味でもありません。

無期刑には有期刑のような満了日がありません。仮釈放後も、刑の執行の免除等がない限り、原則として生涯にわたり保護観察が続きます。公表統計を確認する場合は、新たな仮釈放と、取消し後の再度の仮釈放を区別して読んでください。

少年のときに刑を言い渡された場合

少年法58・59条には、法定期間や刑の執行終了について特則があります。ただし、特定少年のときに刑の言渡しを受けた場合や、死刑から無期刑への緩和がされた場合等には適用の違いがあります。「20歳未満なら全員同じ」とせず、行為時・言渡し時の年齢と判決の種類を確認してください。

刑の一部の執行猶予が付いている場合

実際に執行される部分の仮釈放と、その後の執行猶予期間は別に確認します。仮釈放の終了後も、保護観察付き一部執行猶予の保護観察が続く場合があります。判決主文にある実刑部分・猶予部分・猶予期間を、弁護士と一緒に整理してください。

根拠・参考:刑法27条の2・27条の3・28条、少年法58・59・67条、法務省「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」

Q16 弁護士には何を頼めますか。無料で相談できますか。

新銀座法律事務所では、仮釈放に向けた事情の整理、上申書・意見書の作成、家族や支援者との連絡、被害者対応、帰住・生活計画の検討などについてご相談をお受けします。受刑中でご本人が相談しにくい場合は、ご家族から事情をお聞かせください。

まずは無料電話法律相談をご利用ください

受付でお名前・お住まいの地域・電話番号・ご事情をお伝えください。事務所の案内では、受付当日中に弁護士から5分程度を目安に電話で一般的な見解を回答します。既に弁護士へ依頼している案件のセカンドオピニオンも無料相談の対象とされています。

0120-48-5791

受付:平日 9:00~21:00 / 土日祝日 9:00~18:00
代表電話:03-3248-5791

相談時は、分かる範囲で「罪名・刑期・収容施設」「判決確定日」「帰住先と引受人」「被害弁償の状況」「健康状態」「仮釈放の審理や通知の有無」をお伝えいただくと整理しやすくなります。

無料相談と、書面作成・交渉・代理等の依頼は別です。来所相談は事務所案内上、1時間11,000円(税込)で、受任業務の費用は内容に応じて確認します。仮釈放の許可や時期を保証するものではありません。受付・相談条件の最新情報は公式相談案内、受任費用は弁護士費用をご確認ください。

参照法令・裁判例・公的資料

現行条文はe-Gov法令検索でご確認ください。各リンク先には、本稿で直接取り上げていない規定や、別の施行日の情報も含まれます。

資料本稿で確認する箇所
刑法12条(拘禁刑)、28条(仮釈放)、29条(取消し等)
更生保護法23条、33~40条、50~52条、75~77条、82条、92~96条
犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則本稿では「社会内処遇規則」と表記。7条、17~20条、28条
行政不服審査法18条(審査請求期間)
少年法58・59条、67条5項等(少年・特定少年の特則)
東京地裁2025年3月24日判決(PDF・全94頁)令和2年(ワ)第4600号。仮釈放審理と通知義務・適正手続への期待権は47~50頁を中心に参照
法務省「保護統計」2025年・表25-00-18(e-Stat)有期刑の仮釈放許可人員、刑の執行率の分布、2023~2025年の比較、刑期計算に関する注記。2026年7月31日公開(更新)。原表Excel
法務省・無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等無期刑の審理運用、公表資料・統計への案内
東京都地域生活定着支援センターについて高齢・障害のある方等への福祉支援と関係機関の連携
東京都「リスタ!NET」本人・家族・支援者向けの相談窓口検索

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