保釈請求・保釈申請についてご本人とご家族のための、22のQ&A

「家族が逮捕された」「早く仕事に戻りたい」「保釈金はどう準備するのか」。起訴前と起訴後の違いから、保釈の条件、申請の準備、釈放後の生活まで、順を追ってご説明します。

更新:2026年9月18日

  • 保釈は起訴後の制度です。起訴前にも、釈放を求める別の手続があります。
  • 否認・示談未成立でも検討できます。証拠や生活環境を踏まえた具体的な説明が大切です。
  • 保証金額と釈放日は一律ではありません。帰住先・支援体制・必要資料を早めに準備します。

まず確認したい、身柄解放までの流れ

起訴前の釈放と起訴後の保釈警察が逮捕した場合、原則として逮捕から48時間以内に送致または釈放します。検察官は身柄受領から24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に勾留請求・起訴・釈放を判断します。逮捕後、起訴前の勾留を経て起訴されることがあります。起訴前は勾留への不服申立てや取消しなど、起訴後は保釈請求を検討します。起訴後、保釈許可と保証金納付などを経て釈放されます。どの段階でも釈放される可能性があり、逮捕後必ず勾留・起訴されるわけではありません。逮捕 逮捕から勾留請求まで:原則72時間以内 警察:逮捕から48時間以内に送致または釈放 検察官:身柄受領から24時間以内、かつ逮捕から72時間以内 勾留請求・起訴・釈放を判断 起訴前の勾留原則10日 + 延長10日以内起訴前は保釈の対象外勾留の不服申立て・取消し等早期の釈放を検討起訴保釈請求・裁判所の判断却下・条件の再検討不服申立て・事情変更後の再請求許可 → 保証金納付など → 釈放・条件を守って生活
小さい画面では図を横にスクロールできます。通常の流れを簡略化した図です。逮捕後に必ず勾留・起訴されるわけではありません。起訴前にも釈放される場合があります。別事件の身柄拘束や執行停止等があれば、保釈許可後も直ちに釈放されるとは限りません。

Q01 保釈とは何ですか。逮捕直後でも申請できますか。

保釈は、起訴された後、勾留中の被告人が、裁判所の決定と保証金の納付などを条件に身柄を解放される制度です。勾留そのものを取り消す手続ではなく、裁判への出頭や保釈条件を守りながら社会生活を送ることになります。

起訴前の「被疑者」には保釈制度がありません。ただし、起訴まで何もできないわけではありません。弁護人が勾留を避ける活動や勾留に対する不服申立てなどを行い、早期の釈放を目指します。ご家族は、まず起訴前か起訴後かを確認してください。

保釈は無罪・有罪を決める手続ではありません。保釈後も刑事裁判は続き、弁護人との打合せや裁判所への出頭が必要です。

根拠・参考:刑事訴訟法 88~98条/裁判所・刑事事件Q&A

Q02 家族が逮捕されました。最初に何をすればよいですか。

  1. 分かる範囲で状況を整理します。氏名、逮捕日時、留置先、疑われている事件、勾留決定の有無、担当弁護士の有無を確認します。不明な項目があっても相談できます。
  2. 弁護士との接見につなげます。ご本人が警察署などで当番弁護士を呼んでほしいと伝える方法もあります。すでに弁護人がいる場合は、その弁護人に身柄解放の方針を確認します。
  3. 健康・生活上の急ぎの事情を伝えます。持病、服薬、妊娠、介護、育児、勤務先の期限などは、事情が分かる資料とともに弁護人に伝えます。
  4. 帰宅先と支援者を検討します。同居できる家族、通院・通勤の方法、裁判に出頭できる体制を整理しておきます。

被害者や事件関係者への直接の連絡、SNSへの投稿、関係資料の削除は、証拠隠滅や威迫を疑われる原因になり得ます。謝罪や示談を希望する場合も、まず弁護人を通じて進め方を相談してください。

根拠・参考:新銀座法律事務所・刑事事件の法律知識

Q03 逮捕から起訴までは何日ですか。23日で必ず帰れますか。

一般的な流れは次のとおりです。すべての事件で上限まで拘束されるわけではありません。

一つの事件についての通常の身柄拘束の流れ
段階期間の基本確認する点
警察での逮捕後原則48時間以内に送致または釈放早期に弁護士の接見を求める
検察官への送致後身柄受領から24時間以内、かつ逮捕から72時間以内勾留請求・起訴・釈放の判断
起訴前の勾留勾留請求日から10日。やむを得ない事由があればさらに10日以内の延長勾留・延長の理由や必要性を争えるか
起訴後の勾留公訴提起日から2か月。法定の要件の下で1か月ごとの更新保釈、勾留取消しなどを検討

「最大23日」は通常の逮捕・起訴前勾留を合わせた説明です。23日で必ず起訴される、必ず釈放される、という意味ではありません。釈放・不起訴になる場合も、起訴後も勾留が続く場合もあります。別事件の逮捕・勾留や、刑事訴訟法208条の2の限定的な特例もあるため、実際の満期は弁護人に確認してください。

根拠・参考:刑事訴訟法 60・203・205・208・208条の2/裁判所の手続説明

Q04 起訴前に釈放を求めるには、どのような方法がありますか。

手続の段階に応じ、検察官に勾留請求をしないよう求める意見提出、裁判官に勾留請求を却下するよう求める活動、勾留決定・延長決定に対する準抗告、勾留取消しの請求などを検討します。重大な健康上の事情などがある場合には、勾留の執行停止を求めることも考えられます。

住居が安定していること、呼出しに応じられること、証拠や関係者に働き掛けない具体的な環境、拘束による重大な不利益を資料で示すことが大切です。勾留理由の開示を求める手続もありますが、それだけで釈放が決まるわけではありません。

釈放を望む気持ちから、事実と異なる自白をする必要はありません。認めるか争うか、黙秘権をどう行使するかは、ご本人が弁護人と相談して判断します。

根拠・参考:刑事訴訟法 60・82・87・95・207・429条

Q05 権利保釈・裁量保釈・義務的保釈はどう違いますか。

種類考え方
権利保釈
89条
適法な保釈請求があり、同条の六つの除外事由がなければ、保釈を許さなければならない制度です。「請求すれば無条件に出られる」という意味ではありません。
裁量保釈
90条
権利保釈の除外事由があっても、逃亡・罪証隠滅のおそれと、拘束が続く不利益などを具体的に考慮して、裁判所が保釈を許可する制度です。
勾留が不当に長い場合
91条
勾留による拘禁が不当に長くなった場合、請求または職権により、勾留を取り消し、または保釈を許さなければならない制度です。

91条は「何日を超えれば必ず保釈」という固定日数の制度ではありません。事件の内容、審理の経過、今後の見通しなどを踏まえた検討が必要です。

根拠・参考:刑事訴訟法 89~91条

Q06 権利保釈が認められない六つの事由とは何ですか。

刑事訴訟法89条が定める除外事由を、要点に沿って整理すると次のとおりです。

  1. 死刑・無期、または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
  2. 以前に、死刑・無期、または長期10年を超える拘禁刑に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがあるとき。
  3. 常習として、長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
  4. 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  5. 被害者、事件の審判に必要な知識を持つ人やその親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの人を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  6. 氏名または住居が分からないとき。

「短期」「長期」は法律で定められた刑の下限・上限を指し、その人に予想される刑期とは違います。また、否認していることや示談が成立していないこと自体は、独立した除外事由ではありません。具体的な証拠隠滅などの危険を検討します。

逃亡のおそれは勾留や裁量保釈の判断で重要ですが、89条の六つの事由に「逃亡のおそれ」という独立の項目があるわけではありません。除外事由があっても、90条による裁量保釈を検討できます。

根拠・参考:刑事訴訟法 60・89・90条

Q07 否認している事件でも保釈されますか。

否認事件でも保釈は可能です。ただし、争点に関係する証拠が何か、被告人が証拠や証人に働き掛けられるか、証人尋問がどこまで進んだかなどが問題になります。

弁護人は、例えば、重要な資料がすでに押収・保全されていること、関係者と接触しない住居や生活方法、連絡禁止条件を守る体制、必要な証人尋問が終わったことなどを説明します。単に「証拠隠滅はしません」と誓約するだけでなく、危険を抑える方法を具体化することが役立ちます。

起訴されたからといって、すべての証拠が裁判所に提出済みであったり、捜査が一切終わっていたりするわけではありません。起訴状には原則として証拠を添付せず、公判での証拠調べに向けた手続が続きます。

根拠・参考:QA1580・否認事件における保釈請求/刑事訴訟法 90・256条

Q08 示談しないと保釈されませんか。家族から謝罪してよいですか。

示談成立は、被害回復や当事者間の関係について有利な事情となることがありますが、保釈の必須条件ではありません。示談が未成立でも、証拠隠滅などのおそれが低く、保釈の必要性が認められる場合があります。反対に、示談が成立しても必ず保釈されるわけではありません。

被害者への連絡が接触禁止条件に触れたり、謝罪のつもりでも圧力と受け取られたりすることがあります。ご家族が独自に面会やSNSでの連絡を試みる前に、弁護人に相談してください。示談の受入れを強制することはできず、被害届の取下げがあっても当然に不起訴になるわけではありません。

被害弁償の申出、示談書、支払資料などは、相手方の意向と個人情報に配慮して整理します。供託も、供託できる法律上の要件と事件での意味を検討する必要があり、示談の代わりとして常に使える方法ではありません。

根拠・参考:QA1533・示談する前に保釈してもらう方法

Q09 仕事・学校・病気・介護の事情は考慮されますか。

裁量保釈では、逃亡・罪証隠滅のおそれの程度に加え、拘束の継続によって生じる健康上、経済上、社会生活上、防御の準備上の不利益などが考慮されます。これらは現行90条に明記されています。

「仕事が心配」という説明だけでなく、復職期限、雇用継続の条件、事業の決済期日、治療内容、留置施設内で受けられる医療との違い、介護の代替が難しい理由、試験日や進級への影響などを具体化してください。事件の資料を確認し弁護人と打ち合わせる必要性も、内容に即して説明します。

事情が切実でも、それだけで保釈されるわけではありません。関係者との接触を避ける働き方や別の滞在先など、危険を小さくする提案と組み合わせて検討します。

根拠・参考:刑事訴訟法 90条/平成28年法律54号・90条の改正

Q10 保釈の判断で参考になる最高裁判例はありますか。

否認事件や審理が進んだ段階の保釈では、次の最高裁決定が参考になります。いずれも各事件の事情に基づく判断で、同じ結果を保証するものではありません。

最高裁平成26年11月18日決定

詐欺事件で、重要証人の主尋問などの進行状況を踏まえ、第一審が保証金と接触禁止条件を付けて保釈を許可しました。最高裁は、その判断を取り消した抗告審決定を取り消しました。保釈を許可した裁判所の裁量を審査する際には、単に別の評価をするだけでなく、元の判断の不合理性を具体的に検討するという点が重要です。

最高裁平成27年4月15日決定

当時の準強制わいせつ事件で、被害者の証人尋問後の保釈が問題となりました。最高裁は、証人尋問が終了していたことや、罪証隠滅の可能性・実効性、逃亡のおそれ、保釈条件などを踏まえ、第一審の保釈許可を取り消した抗告審決定を取り消しました。

この決定からは、否認事件であっても、審理の進行状況や具体的な罪証隠滅・逃亡のおそれ、保釈条件を個別に検討することが重要と分かります。現在は刑事訴訟法90条のほか、実刑判決後については344条2項で裁量保釈の要件が明確化されていますので、これらも併せて検討する必要があります。

根拠・参考:QA1669・上記最高裁決定の紹介・決定文/裁判所・裁判例検索

Q11 誰が、いつ、どこに保釈を請求できますか。

保釈を請求できるのは、勾留されている被告人本人、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹です。友人や勤務先の上司は、この資格だけで当然に請求できるわけではありませんが、身元引受けや資料の準備などを支援できます。

起訴後であれば、第1回公判を待たずに請求できます。裁判員裁判対象事件でも、裁判員が選ばれるまで待つ必要はありません。起訴前から資料を準備し、起訴後の早い時点で請求する方針も考えられます。

提出先は事件を扱う裁判所です。第1回公判前は裁判官が判断するなど、段階によって担当が異なります。事件番号、担当刑事部、提出方法、添付資料を確認してください。家族による請求も可能ですが、記録に即して反論・補足するため、弁護人との連携が有用です。

根拠・参考:刑事訴訟法 88・280条/QA1467・裁判員裁判事件の保釈請求時期

Q12 家族はどのような資料を準備すればよいですか。

説明したいこと資料・確認事項の例
住居と生活の安定帰住先の住所、同居人、住居を使える根拠、必要に応じ住民票・賃貸借契約書など
家族などの支援体制身元引受書、続柄、連絡方法、同居・出頭同行ができる範囲
仕事・学校への影響在職証明、雇用継続に関する文書、在学証明、試験日・休学期限の資料
治療や介護の必要性診断書、診療予定、服薬情報、介護の状況と代替手段がない理由
事件関係者との接触防止別の居住先、出勤先の調整、連絡しない相手と守る方法の整理
保証金の準備用意できる額、資金の出所、納付を予定する人、借入れの場合の返済条件

すべてが一律に必須というわけではありません。まず弁護人に必要な資料を確認し、準備できたものから渡してください。続柄の確認などで戸籍・住民票が必要になることもありますが、取り寄せを待つべきかは事件の緊急性によります。

Q13 保釈保証金はいくらですか。罰金や弁護士費用とは違いますか。

保釈保証金は、被告人が出頭し保釈条件を守ることを確保するために納付するお金です。裁判所が、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、本人の性格・資産などを考慮して額を決めます。

法律に「最低100万円」などの一律の下限はありません。事件名だけで正確な金額を案内することもできません。支払可能額、家計、資金を用意する人の事情を早めに弁護人に伝えてください。過大な額が定められた場合の対応も、理由と資料を踏まえて検討します。

お金の種類目的と返還の考え方
保釈保証金出頭などの確保。没取されなければ所定の手続で返還
罰金刑罰として国に納付。保釈保証金とは別
示談金・賠償金被害回復などのため相手方に支払う。合意内容に従う
弁護士費用弁護活動の対価。委任契約に従う

根拠・参考:刑事訴訟法 93・96条

Q14 本人にお金がありません。家族が払えますか。

家族などが資金を用意することは可能です。保釈請求者でない人が保証金を納める場合は、刑事訴訟法94条2項に基づく裁判所の許可を受けます。刑事訴訟法94条には、裁判所の許可によって、有価証券や適当な者の保証書を保証金に代える仕組みもあります。どの事件でも当然に利用できるわけではありません。

立替えや保証の民間サービスを検討する場合は、審査の有無、手数料、担保、返済条件、保釈取消し時の負担、裁判所が認める方法かを弁護人と確認してください。本ページでは、利用できることや資金調達を保証していません。

第三者が用意したお金でも、本人が条件に違反すれば没取の対象になることがあります。納付する人にも条件とリスクを説明し、返還を受ける人や返還金の送金先を事前に確認しておきましょう。

根拠・参考:刑事訴訟法 94・96条

Q15 請求してから釈放まで、何日かかりますか。

  1. 弁護人が記録・事情を検討し、保釈請求書と資料を提出します。
  2. 裁判所が検察官の意見を聴き、必要に応じて補充資料を求め、可否・保証金額・条件を判断します。
  3. 許可された場合、裁判所の案内に従って保証金を納付します。監督者の保証金が必要な場合は、その納付も必要です。
  4. 執行停止の有無などを確認し、釈放の手続が進みます。

「申請から必ず3日」「納付後必ず2時間」といった一律の期限はありません。資料の準備、検察官の意見、不服申立て、裁判所の窓口時間、収容施設との連絡などによって変わります。許可決定が出ただけでは帰宅できず、原則として保証金の納付が先に必要です。

検察官が保釈許可に不服を申し立て、執行停止が問題となることもあります。ご家族は納付方法、当日の連絡先、迎えの手配を弁護人と確認し、釈放時刻が確定する前に帰宅を前提とした約束をしないようにしてください。

根拠・参考:刑事訴訟法 92・94条/東京地方裁判所・窓口案内

Q16 保釈中に仕事、旅行、引っ越しはできますか。

保釈決定に付された条件を守る範囲で生活します。住居の制限、被害者・証人・共犯者などとの接触禁止、旅行・転居の事前許可など、条件は事件ごとに異なります。仕事や学校に戻れるかも、条件と生活環境によります。

2023年改正では、住居を離れる期間に関する制限や、所在・生活状況等の報告を命じる制度などが整備されました。裁判所が定めた期間を超える外泊、出張、転居、海外渡航などは、自己判断せず、決定書を確認して必要な許可を得てください。

接触禁止は、電話、メール、SNS、第三者を介した連絡にも関係します。偶然会った場合や相手から連絡が来た場合も、独断で事件の話を進めず、弁護人にすぐ報告してください。通院などで変更が必要なときは、事前に条件変更を求める方法を検討します。

根拠・参考:刑事訴訟法 93・95条の4等/令和5年法律28号

Q17 身元引受人と、法律上の「監督者」は同じですか。

同じではありません。実務上の身元引受人は、生活や出頭を支援するために身元引受書を提出する家族などを指します。一方、2023年改正で設けられた監督者制度は、裁判所が本人の同意を得て適当な人を選任し、出頭への同行や状況報告など、決められた監督を行わせる法律上の制度です。

法律上の監督者を選任する場合、裁判所は監督保証金の額を定めます。保釈の執行には、保釈保証金に加えて監督保証金の納付が必要で、監督者の職務の不履行などに伴う没取の問題もあります。通常の身元引受書に署名しただけで、当然にこの監督者になったり、監督保証金が必要になったりするわけではありません。選任への同意前に、役割・負担・辞任や解任の手続を説明してもらってください。

GPS制度について:同じ改正法には位置測定端末に関する制度も含まれますが、他の改正事項と施行時期が分かれています。本ページの資料確認では、GPS関係規定の具体的な施行日までは確認できていません。利用可能と断定せず、個別事件では現行法の施行状況と裁判所の運用を確認してください。

根拠・参考:令和5年法律28号・98条の4以下および附則

Q18 保釈が取り消されるのはどのような場合ですか。

正当な理由なく出頭しない、逃亡する、罪証隠滅をする、被害者や証人などに危害・威迫を加える、裁判所への報告命令やその他の保釈条件に違反する、といった場合には、保釈が取り消され、再び収容されることがあります。保証金の全部または一部が没取される場合もあります。

2023年改正により、一定の出頭命令違反や住居への不帰還には、新たな刑事罰が問題となる仕組みも設けられました。また、全部執行猶予を除く拘禁刑以上の判決後に逃亡した場合などには、取消し・没取に関する厳しい規定があります。

病気や交通障害で予定どおりに出頭できないときは、放置せず、直ちに弁護人や指定された裁判所の連絡先に事情を伝え、資料を残してください。家族が保証金を負担していても、条件違反の影響を免れるわけではありません。

根拠・参考:刑事訴訟法 95条の2~96・98条の2・98条の3・343条の2・343条の3等/令和5年法律28号

Q19 保釈保証金はいつ返ってきますか。有罪なら没収ですか。

有罪になったことだけを理由に、保釈保証金が当然に没取されるわけではありません。保釈の効力が終わり、没取されていなければ、裁判所で返還の手続を行います。

無罪、罰金、刑の全部の執行猶予などの裁判では勾留状が効力を失う場合があります。実刑判決、上訴中の再保釈、判決確定後の収容などでは、身柄の扱いと返還時期を個別に確認します。実刑確定後の逃亡や正当な理由のない不出頭には、保証金没取の規定があります。

判決の日に自動的に口座へ振り込まれると考えず、必要書類、受領者、振込先、処理日程を弁護人と裁判所の担当窓口に確認してください。立替金の返済や手数料は裁判所からの返還とは別の契約問題です。

根拠・参考:刑事訴訟法 96・343・345条/東京地裁・保釈保証金の納付/還付窓口

Q20 保釈を却下されたら、もう請求できませんか。

却下後も、不服申立てや再請求を検討できます。裁判官の判断に対する準抗告、裁判所の決定に対する抗告など、判断した主体や段階によって手続が異なります。どの手続を選ぶかは弁護人と確認してください。

再請求では、却下の理由に対応することが大切です。例えば、別の帰住先を確保した、支援者が決まった、接触防止策を具体化した、重要証人の尋問が終わった、治療の必要性が増した、といった事情を新しい資料で示します。

同じ書面を繰り返すだけでなく、前回の判断時から何が変わったか、なぜ今なら保釈できるかを説明します。勾留の理由・必要性自体がなくなった場合は、勾留取消しも検討します。

根拠・参考:刑事訴訟法 87・419・420・429条/QA1669・保釈の不服申立てに関する裁判例

Q21 実刑判決後、控訴すれば保釈は続きますか。

控訴するだけで従前の保釈が続くわけではありません。拘禁刑以上の実刑判決の宣告により、それまでの保釈は効力を失います。上訴中の身柄解放を求めるには、改めて保釈を求めるなどの対応が必要です。

刑事訴訟法344条により、拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告後は、89条の権利保釈は適用されません。さらに2023年改正後の344条2項では、裁量保釈について、拘束による不利益などの程度が著しく高いことが必要とされます。ただし、逃亡のおそれの程度が高くないと認めるに足りる相当な理由がある場合は、この限りではありません。

判決前と同じ資料だけで足りると考えず、判決内容、上訴の見通し、治療・生活上の不利益、出頭を確保する具体的な環境を検討します。全部執行猶予の判決では勾留状失効の規定があるため、実刑の場合と分けて理解してください。

根拠・参考:刑事訴訟法 343~345条/令和5年法律28号・344条2項

Q22 国選弁護人にも保釈を頼めますか。少年の場合はどうですか。

国選弁護人も保釈請求を行えます。国選・私選によって保釈を求める役割が異なるわけではありません。国選弁護人がいる場合は、保釈請求の時期、必要な資料、保証金の準備についてまず相談してください。

起訴前の被疑者国選弁護は、現在、罪名・法定刑による従前の限定がなく、勾留され、貧困その他の事由で弁護人を選任できない場合などに利用する制度です。逮捕されただけの段階と勾留後は区別が必要です。資力申告や選任手続の確認も必要で、家族が保証金を用意できるという事情だけから、当然に国選弁護人に依頼できないとはいえません。

保釈を中心とした私選弁護の依頼を希望する場合は、既存の弁護人との役割調整、委任範囲、費用を確認します。

少年が家庭裁判所の保護事件で観護措置を受けている場合には、成人の刑事裁判と同じ保釈制度をそのまま利用できません。観護措置への異議申立てや取消しなどを検討します。検察官に送致され、起訴された場合の保釈とは区別してください。

根拠・参考:刑事訴訟法 37条の2・88条/少年法/QA1626・少年事件の逆送後の対応

新銀座法律事務所へのご相談

ご家族の逮捕・勾留・保釈について、まずはご相談ください。

「起訴されているか分からない」「帰住先はあるが保釈金が不安」「今の弁護方針について別の意見を聞きたい」といったご相談もお寄せください。分かる範囲の情報から、確認すべき点を整理します。

0120-48-5791
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来所相談は1時間11,000円(税込)の有料相談です。個別事件の受任、接見、保釈請求などの弁護活動は別途の委任・費用となります。受付や無料相談のみで正式な依頼が成立するものではありません。

お手元にあれば、逮捕日・起訴日、留置先、罪名、事件番号、担当弁護士、次の裁判期日、保釈請求の結果をお知らせください。急ぎの期日がある場合は、最初にお伝えください。

法令・公的資料・PDF

本文は、次の公開資料を参照して整理しています。法令は公布日だけでなく施行日・経過措置が重要です。2025年6月1日の拘禁刑導入を踏まえて用語を整理していますが、それ以前の行為や判例の説明では旧刑名・旧罪名が関係することがあります。

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