新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1747、2017/01/18 20:06 https://www.shinginza.com/saikaihatsu.htm

【民事、都市再開発法、正当事由、借地借家法28条】

引換給付判決に仮執行宣言が付く可能性


質問:

駅前でビルの一室を賃借し店舗を経営していますが、このたび家主から「老朽化により建物を建て替えたいので退去して下さい。立退料1000万円を支払いま す。」と契約解除を通告され、退去を拒否していると地方裁判所に建物明渡請求訴訟を起こされました。裁判所の審理は終盤に差し掛かっています。一審判決でも 「仮執行宣言」というものがつくことがあると聞いたのですが、これはどういうものですか。強制執行を回避する手段はありますか。今回の裁判でも仮執行宣言が付 いてしまうのでしょうか。



回答:

1、仮執行宣言とは、裁判所が判決主文の中で、判決が確定していなくても給付判決について強制執行ができることを宣言することを意味します(民事訴訟法 259条1項)。判決主文の最後に記載された、「この判決は仮に執行することができる。」という文言が仮執行宣言です。控訴して、判決確定が延びても、強制執 行ができることになります。

2、仮執行宣言に基づく強制執行を回避する手段としては控訴提起して、「執行停止の裁判」を申し立てる方法があります。執行停止の裁判の申し立てをすると、 担保を立てて、あるいは立てないで、仮執行宣言に基づく強制執行の停止を命じて貰うことができる場合があります(民事訴訟法403条1項3号)。

3、仮執行宣言を付けるかどうかは、権利義務の存否に関わる事項とは別の事項であり、裁判所の裁量行為となりますので、仮執行宣言が付くかどうか予想するこ とは困難です。

 建物明渡請求訴訟(借地借家法28条の正当事由の有無が問題となる明け渡し訴訟)におい て、原告勝訴判決の多くに、立退料の支払いと引換に明け渡しを命じる「引換給付判決」が出ていますが、この引換給付判決においても、明け渡しについて仮執行宣 言をすることはできます。但し、不動産明渡請求判決については、原則としては仮執行宣言は出ないとされています。控訴審で判決が覆った場合、強制執行されてし まうと回復が困難だからです。しかし、個別事情に即して「仮執行宣言を付すことが相当かどうか」判断していくことになりますので、建物明渡判決といえども仮執 行宣言がつかないとは言い得ません。

4、再開発法関連事例集論文1705番1702番1701 番1684番1678 番1649番1513 番1512番1490 番1448番参照。


解説:

1、仮執行宣言

 仮執行宣言とは、給付判決が確定していない状態でも強制執行の申立ができることを判決主文の中で裁判所が宣言することを意味します(民事訴訟法259条1 項)。仮執行宣言がつくと明け渡し訴訟では、一審判決が出て控訴して、判決が確定していなくても、すなわち判決確定前でも明け渡しの強制執行ができる状態に なってしまいます。

判決主文における仮執行宣言の例を示します。

『判決主文
1 被告は原告に対し、原告から金250万円の支払いを受けるのと引き換えに、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ
2 被告は原告に対し、平成○年○月○日から上記建物明け渡し済みに至るまで、1か月金○円の割合による金員を支払え
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する
4 訴訟費用は、これを2分に、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、仮に執行することができる。』

この例で言えば、第5項が、「仮執行宣言」ということになります。

 判決に仮執行宣言が付いた場合、判決が確定する前であっても、強制執行の申立をすることができることになります。金銭の支払いと引き換えに明け渡しを命ずる 引換給付判決であれば、支払うべき金銭を法務局に供託し、この供託書正本を裁判所に提出して、強制執行の申立をすることができます。

民事訴訟法
第259条(仮執行の宣言)
第1項 財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をするこ とができることを宣言することができる。

 控訴審では、金銭の支払いを命ずる判決主文については原則として仮執行宣言が付与されることになります(民事訴訟法310条)。この条文には建物の明け渡し は含まれていませんが、実務上、控訴審では明け渡しについても仮執行宣言がつく割合が1審判決よりも高くなっています。

民事訴訟法第310条(控訴審の判決における仮執行の宣言)控訴裁判所は、金銭の支払の請求(第二百五十九条第二項の請求を除く。)に関する判決については、 申立てがあるときは、不必要と認める場合を除き、担保を立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。ただし、控訴裁判所が相当と認める ときは、仮執行を担保を立てることに係らしめることができる。

 仮執行宣言を得た引換給付判決の原告は、引換給付の金額を法務局に供託し、この供託書正本を添付して、明け渡しの強制執行を申し立てることができます。明け 渡しの強制執行は、民事執行法168条により、執行官が建物の占有を取得し、これを現地に出頭した債権者に引き渡す方法により行われますが、通常は、民事執行 法168条の2により「明け渡しの催告」が行われ、1か月以上の猶予を定めた引き渡し期限の公示書が建物に貼り付けられ(民事執行法168条の2第3項)、こ の期限内に任意の引き渡しがない場合は、強制的に建物の引き渡しが行われます。債務者等が執行官と執行補助者の行為を妨害した場合は、公務執行妨害罪(刑法 95条1項)が適用されることもあります。

2、執行停止の裁判

 一審判決で仮執行宣言がついてしまった場合でも、控訴審裁判所(高等裁判所)に対して控訴提起を行い(但し控訴状の提出先は1審裁判所、民事訴訟法286条 1項)、執行停止の裁判を申し立てるができます(民事訴訟法403条1項3号)。

第403条(執行停止の裁判)
第1項 次に掲げる場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又はこれとともに、担 保を立てて強制執行の開始若しくは続行をすべき旨を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。ただし、強制執行の開始又 は続行をすべき旨の命令は、第三号から第六号までに掲げる場合に限り、することができる。
第三号  仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(次号の控訴の提起及び督促異議の申立てを除く。)があった場合 において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき 疎明があったとき。

 執行停止の裁判の要件は、@控訴審提起、A判決変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき疎 明があること、です。疎明というのは、判決を得るのに必要な主張立証の程度に至らなくても、裁判所に対して一応の心証を与える程度の主張立証をすることを意味 します。但し、この裁判は珍しい手続になりますので、執行停止の判決を得ることは困難であると認識して下さい。また、通常は権利の金額の3〜10割の保証金を 担保として供託することが必要となります。

 (なお、金銭債務についての民事執行に関しては、「特定債務の調整の促進のための特定調停に関する法律」第7条に、債務の支払いに関する特定調停を申し立て ると、執行停止が認められる場合があることが規定されています。この場合の民事執行は仮執行宣言による執行に限られませんが、金銭債務に限られます)。

3、仮執行宣言の基準

 仮執行宣言を認めるかどうかについて、民事訴訟法259条1項には「財産上の請求に関する判決」、「裁判所は、必要があると認めるとき」という2つの要件し か定められていません。財産上の請求というのは、例えば金銭の支払いや、建物の明け渡しなど、財産権の行使についての裁判という意味です。また、「必要がある と認める」というのは、法律要件を定めたものではなく、裁判所の裁量で相当かどうかを判断するべきものと解釈されています。

 原告と被告の間で争われている、権利義務の存否についての審判事項については、法律要件の存否により法律効果の存否が影響されるので、法律要件となる事実関 係(要件事実)の存否についての、当事者の主張立証を総合的に考慮して、裁判所が判断を下すことになります(民事訴訟法247条、自由心証主義)。

民事訴訟法第247条(自由心証主義)裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主 張を真実と認めるべきか否かを判断する。

 しかし、仮執行宣言についての裁判においては、仮執行宣言を必要とする事実の存否は要件とはなりません。事実の存否は要件事実の存否に影響するのであり、判 決を仮に執行させるかどうかの判断には関係が無いことになります。裁判所が「必要があると認める」かどうかは、口頭弁論終結に至るまでの、原告と被告の訴訟活 動を総合的に考慮して判断することになります。仮執行宣言は、要件事実と関係が無いので、判決理由の中でも、事実認定や規範解釈などを経ずに、単に判断が述べ られているだけです。仮執行宣言を認めないときは、「なお、仮執行宣言は、相当ではないからこれを付さないこととして」などと記載されますし、仮執行宣言を認 めるときは、「仮執行宣言につき同法259条1項を適用して、主文のとおり判決する」などと記載されることがほとんどになります。事実認定や規範解釈ではない ので、理由を述べる必要が無いのです。

 つまり、仮執行宣言の付与については、訴訟上の争点とはなり得ないということになります。裁判所の裁量に属する事項で、妥当か、そうでないかの判断というこ とになります。

 しかし、民事訴訟は当事者の法律紛争の審判(レフェリー)として、当事者の訴訟活動を見比べて判決を下すのであり、一審裁判所からみて、原告の主張が被告の 主 張に比べて大きく優っていると考えられ、被告側の主張には理由がほとんど無いと考えられるような場合には、当事者の公平を考慮しても、仮執行宣言は比較的付き やすいという傾向は認められます。ですから、両方の当事者の主張が、それぞれ全く理由なしとは言えず、請求認容か棄却かどちらかに決めなければならないので、 ギリギリの判断で判決を下すような場合には、仮執行宣言が付きにくいという傾向が有るとも言えるでしょう。

 また、御相談のケースのように、建て替えを原因とする建物明渡請求訴訟では、次の2つの理由で、裁判所が仮執行宣言について慎重になりやすい傾向があると言 え ます。

(1)仮執行宣言により明け渡しの執行がなされ、建物が取り壊されて、建て替え工事が始まってしまうと、後日、上級審裁判所で判断が覆った場合であっても、戻 るべき建物が無くなってしまう。つまり、被告の上訴の利益(高裁、最高裁の審判を受ける利益)を考慮すると、仮執行宣言により、事実上一審制と同じことになっ てしまう。

(2)仮執行宣言により明け渡しの強制執行がなされ、原告が建物の占有を取得した場合、原告が建物所有権を第三者に譲渡してしまった場合は、被告は建物賃借権 の第三者対抗要件(借地借家法31条1項)を失った状態であるので、上級審裁判所で判断が覆った場合でも、現在の所有者に対して賃借権を主張できなくなってし まう。つまり、被告の上訴の利益(高裁、最高裁の審判を受ける利益)を考慮すると、仮執行宣言により、事実上一審制と同じことになってしまう。

借地借家法第31条(建物賃貸借の対抗力等)
第1項 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

4、引換給付判決における仮執行宣言

 このように、建物明け渡し事件における仮執行宣言の有無を予測することは、非常に難しいといえます。そこで、実際の裁判例でどのようになっているのか、いく つか例を引用してみたいと思います。


(1)東京地裁平成26年11月12日判決
(あ)明け渡し主文=300万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=明け渡しまで月額13万円の支払いを命ずる
(う)明け渡しの仮執行=認める
(え)その他=引換給付は月額損害金の約23ヶ月分。築35年の2階建て建物。旧耐震基準建物の建て替えを理由とする賃貸借契約の解除。建物には、学習塾と喫 茶店が入居していた。

(2)東京地裁平成26年5月13日判決
(あ)明け渡し主文=240万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=明け渡しまで月額73500円の支払いを命ずる
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=引換給付は月額損害金の約32ヶ月分。建物では小料理屋が運営されていた。旧耐震建物の建て替えを理由とする賃貸借契約の更新拒絶。

(3)東京地裁平成26年7月1日判決
(あ)明け渡し主文1=5120万円の支払いと引き換えに明け渡せ
   明け渡し主文2=5215万円の支払いと引き換えに明け渡せ
   明け渡し主文3=180万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金1=明け渡しまで月額92万5637円の支払いを命ずる
   損害金2=明け渡しまで月額96万6293円の支払いを命ずる
   損害金3=明け渡しまで月額75558円の支払いを命ずる
(う)明け渡しの仮執行1=認めない
   明け渡しの仮執行2=認めない
   明け渡しの仮執行3=認めない
(え)その他=引換給付は月額損害金の約55か月、54か月、24ヶ月分。建物では喫茶店が運営されていた。旧耐震基準建物の建て替えを理由とする賃貸借契約 の解約申し入れ。

(4)東京地裁平成25年12月11日判決
(あ)明け渡し主文=215万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=なし(請求されてなかった)
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=築95年の木造家屋。

(5)名古屋地裁平成14年2月22日判決
(あ)明け渡し主文=250万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=明け渡しまで月額15000円の支払いを命ずる
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=引換給付は損害金の166ヶ月分。大正時代に建てられた連棟式木造借家。

(6)東京地裁平成26年12月10日判決
(あ)明け渡し主文=3318万9825円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=なし(請求されていなかった)
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=月額家賃75万4610円、店舗および事務所として20年間の賃貸借契約。引換給付は月額家賃の44ヶ月分。

(7)東京地裁平成26年12月19日判決
(あ)明け渡し主文=3237万3000円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=なし(請求されていなかった)
(う)明け渡しの仮執行=認める
(え)その他=月額家賃120万円。引換給付は月額家賃の27ヶ月分。建物は釣り具販売店。旧耐震建物の建て替えを理由とする賃貸借契約の解約申し入れ。

(8)東京地裁平成27年3月6日判決
(あ)明け渡し主文=1億3000万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=なし(請求されていなかった)
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=月額家賃260万7000円。引換給付は月額家賃の50ヶ月分。建物は、映画館、ボウリング場、居酒屋として利用。築47年経過した旧耐震基準 建物の建て替えを理由とする解約申し入れ。

(9)東京地裁平成27年6月30日判決
(あ)明け渡し主文=200万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=明け渡しまで月額5万2000円の支払いを命ずる
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=引換給付は月額損害金の38ヶ月分。築80年以上の旧耐震建物。居住用建物賃貸借。老朽化を原因とする解約申し入れ。

(10)東京地裁平成27年9月18日判決
(あ)明け渡し主文=1億7000万円の支払いと引き換えに明け渡せ。
(い)損害金=明け渡しまで月額262万5004円の支払いを命ずる
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=引換給付は月額損害金の64ヶ月分。建物はコンビニエンスストア。築40年以上の建物老朽化による建て替えを原因とする解約申し入れ。被告のみ 占有し、空き室率98%。

(11)東京地裁平成27年9月17日判決
(あ)明け渡し主文1=760万円の支払いと引き換えに明け渡せ
   明け渡し主文2=630万円の支払いと引き換えに明け渡せ
   明け渡し主文3=625万円の支払いと引き換えに明け渡せ
   明け渡し主文4=555万円の支払いと引き換えに明け渡せ
(い)損害金=なし(請求されていなかった)
(う)明け渡しの仮執行=認めない
(え)その他=月額賃料、15万7500円、15万円、12万750円、12万750円。建物は飲食店、食肉店。築60年以上の木造家屋の老朽化による建て替 えを原因とする更新拒絶及び解約申し入れ。引換給付は月額家賃の、48か月、42か月、51か月、46ヶ月分。


 以上見てみると、11件中、仮執行宣言を認めたものが2件、認めなかったものが9件となります。ほとんどが事業用建物の賃貸借契約に関する事案でした。前記 の通り、仮執行してしまうと取り返しのつかないことになってしまう可能性があるという建物賃借権の性質に着目して、裁判所も慎重に判断している様子が読み取れ ます。他方、事案によっては、引換給付判決であっても、明け渡しの仮執行宣言を付与することがあることも事実です。準備書面などで積極的に仮執行宣言の有無に ついて当事者の意見を主張するべきでしょう。


※参照条文
民事執行法第31条(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第1項 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開 始することができる。
第2項 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の 給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。

民事訴訟法
第116条(判決の確定時期)
第1項 判決は、控訴若しくは上告(第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。)の上告を除く。)の提起、第三百十八条第一項の 申立て又は第三百五十七条(第三百六十七条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三百七十八条第一項の規定による異議の申立てについて定めた期間の 満了前には、確定しないものとする。
第2項 判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。

第259条(仮執行の宣言)
第1項 財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をするこ とができることを宣言することができる。
2  手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求に関する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てないで仮執行をすることが できることを宣言しなければならない。ただし、裁判所が相当と認めるときは、仮執行を担保を立てることに係らしめることができる。
3  裁判所は、申立てにより又は職権で、担保を立てて仮執行を免れることができることを宣言することができる。
4  仮執行の宣言は、判決の主文に掲げなければならない。前項の規定による宣言についても、同様とする。
5  仮執行の宣言の申立てについて裁判をしなかったとき、又は職権で仮執行の宣言をすべき場合においてこれをしなかったときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、補充の決 定をする。第三項の申立てについて裁判をしなかったときも、同様とする。
6  第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、第一項から第三項までの担保について準用する。

第260条(仮執行の宣言の失効及び原状回復等)
第1項  仮執行の宣言は、その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。
2  本案判決を変更する場合には、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行の宣言に基づき被告が給付したものの返還及び仮執行により又はこれを免れるために 被告が受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
3  仮執行の宣言のみを変更したときは、後に本案判決を変更する判決について、前項の規定を適用する。

第285条(控訴期間)控訴は、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前 に提起した控訴の効力を妨げない。

第286条(控訴提起の方式)
第1項 控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。
第2項 控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一号 当事者及び法定代理人
二号 第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨

第403条(執行停止の裁判)
第1項 次に掲げる場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又はこれとともに、担 保を立てて強制執行の開始若しくは続行をすべき旨を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。ただし、強制執行の開始又 は続行をすべき旨の命令は、第三号から第六号までに掲げる場合に限り、することができる。
一  第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の上告又は再審の訴えの提起があった場合において、不服の理由として主張し た事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
二  仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起又は上告受理の申立てがあった場合において、原判決の破棄の原因となるべき事情及び執行により償うことができない損害を生ず るおそれがあることにつき疎明があったとき。
三  仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(次号の控訴の提起及び督促異議の申立てを除く。)があった場合 において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき 疎明があったとき。
四  手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求について、仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した 支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合において、原判決又は支払督促の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
五  仮執行の宣言を付した手形訴訟若しくは小切手訴訟の判決に対する異議の申立て又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決に対する異議の申立てがあった場合において、原判決 の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
六  第百十七条第一項の訴えの提起があった場合において、変更のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったとき。
2  前項に規定する申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

民事執行法第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
第1項 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対 する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
第2項 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接す る場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
第3項 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
第4項 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができ る。
第5項 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当の わきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定める ところにより、これを売却することができる。
第6項 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前 項後段の規定を準用する。
第7項 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
第8項 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、 その残余を供託しなければならない。
第9項 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。

第168条の2(明渡しの催告)
第1項 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、当該強制執行を開始することができるときは、次項に規定する引渡し期 限を定めて、明渡しの催告(不動産等の引渡し又は明渡しの催告をいう。以下この条において同じ。)をすることができる。ただし、債務者が当該不動産等を占有し ていないときは、この限りでない。
第2項 引渡し期限(明渡しの催告に基づき第六項の規定による強制執行をすることができる期限をいう。以下この条において同じ。)は、明渡しの催告があつた日 から一月を経過する日とする。ただし、執行官は、執行裁判所の許可を得て、当該日以後の日を引渡し期限とすることができる。
第3項 執行官は、明渡しの催告をしたときは、その旨、引渡し期限及び第五項の規定により債務者が不動産等の占有を移転することを禁止されている旨を、当該不 動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。
第4項 執行官は、引渡し期限が経過するまでの間においては、執行裁判所の許可を得て、引渡し期限を延長することができる。この場合においては、執行官は、引 渡し期限の変更があつた旨及び変更後の引渡し期限を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。
第5項 明渡しの催告があつたときは、債務者は、不動産等の占有を移転してはならない。ただし、債権者に対して不動産等の引渡し又は明渡しをする場合は、この 限りでない。
第6項 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、引渡し期限が経過するまでの間においては、占有者(第一項の不動産等を占有する者であつて債務 者以外のものをいう。以下この条において同じ。)に対して、第一項の申立てに基づく強制執行をすることができる。この場合において、第四十二条及び前条の規定 の適用については、当該占有者を債務者とみなす。
第7項 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、占有者は、明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由と して、債権者に対し、強制執行の不許を求める訴えを提起することができる。この場合においては、第三十六条、第三十七条及び第三十八条第三項の規定を準用す る。
第8項 明渡しの催告後に不動産等を占有した占有者は、明渡しの催告があつたことを知つて占有したものと推定する。
第9項 第六項の規定により占有者に対して強制執行がされたときは、当該占有者は、執行異議の申立てにおいて、債権者に対抗することができる権原により目的物 を占有していること、又は明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由とすることができる。
第10項  明渡しの催告に要した費用は、執行費用とする。

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