新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1368、2012/11/7 12:25

【刑事・産地偽装・不正競争防止法・景品表示法・JAS法・東京高裁昭和53年5月23日判決・名古屋高裁平成19年10月24日判決)】

質問:私は,野菜の販売をする会社を経営しています。去年の夏から1年間ほど外国産の野菜に国産という偽の表示をして販売していました。今後,どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか?逮捕され勾留されるのでしょうか?

回答:
1 商品の産地等について誤認させる表示した場合には不正競争防止法第21条2項1号,第2条1項13号に該当し,五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金,または懲役刑と罰金刑の併科となります。また,代表者の他に法人に対しても三億円以下の罰金が科されることがあります。
  さらに,民事上の責任として,利益を侵害された競業者から商品の差止めや廃棄の請求(不正競争防止法第3条),損害賠償請求(不正競争防止法第4条)を受ける可能性もあります。
2 また,事案が重大で,産地を偽装し売買代金をだまし取ったと判断される場合には,詐欺罪(刑法第246条)にも該当し,十年以下の懲役となる可能性もあります。なお,不正競争防止法第21条2項1号との関係は併合罪(刑法第45条)の関係となります。
3 その他,景品表示法やJAS法などの法律違反に問われる可能性があります。いずれも他の罪と併合罪関係になるものと考えられます。
4 近年,相次ぐ商品の偽装から,食品の産地等は消費者の最大の関心事となっています。そのため,消費者の目も厳しくなっており,産地偽装が明るみに出るのは時間の問題だと思います。
  今後の刑事上の流れとしては,警察が,事件性があると判断した場合には事務所等が家宅捜索され,容疑が固まりしだい逮捕される可能性が十分にあります。家宅捜索,逮捕は,警察は罪証隠滅を防止するため突然やってきます。ただし,逮捕は無条件にできるわけではなく,罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由と,住居不定,罪証隠滅の恐れ又は逃亡の恐れがあることが要件となっておりますので(刑事訴訟法第199条1項,刑事訴訟法規則第143条の3),逮捕前に弁護人が付けば,担当捜査官に逮捕の必要性はなく在宅で捜査を進めるように交渉をすることもできます。また,逮捕後の勾留請求の段階においても弁護人がいれば,検察官と交渉してこれを防ぐ活動をすることもできます。専門的な知識がないと警察に対して自己の権利を十分に防御できませんので,早急に弁護士に相談をして今後の対応を検討することをお勧めいたします。
5 本件では,産地偽装をしてしまった後の相談ですが,産地偽装が明るみに出た場合,刑事的責任の他にも民事的責任も追及され,さらには消費者の信用を失うことになるため,廃業の危機にさらされることになります。これを防止するという意味でも,複雑な法令を専門家の知識をかりてよく理解し,社内での管理を徹底する必要があります。
6 関連事例集949番参照。

解説
1 不正競争防止法の規制

(1)産地偽装規制の趣旨
  不正競争防止法(以下「法」という。)第2条1項13号は,適正な表示を行う業者の利益を守るため(主に公正な自由競争の保護 同1条参照),また,適正な商品を購入する消費者の利益を守るため,商品,サービスや広告等にその原産地,品質,内容等について誤認させるような表示をする行為(「誤認惹起行為」)を規制しています。

(2)要件
 @対象
  法第2条1項13号は,「商品,その広告,取引に用いる書類または通信」に対する表示をその規制の対象としています。「商品」とは,市場における流通の対象物となる有体物または無体物のことをいい,「広告」とは,営業目的でなされる公衆に対する表示をいい,「取引に用いる書類」とは,注文書,見積書,領収書等のことをいい,「通信」とは,取引上現れる表示行為のうち書類以外の形態一切のものを言います。

 A原産地
  法第2条1項13号は,上記対象に「原産地」を誤認させる様な表示をすることを禁止しています。「原産地」とは,商品が生産,製造または加工され商品価値が付与された土地のことをいい,その商品ごとに個別に判断されます。例えば,ダイヤモンドの様に加工によってその商品価値が左右されるような商品は,その加工地が一般的には「原産地」とされます(「原石ベルギーダイヤ」事件−東京高判昭53.5.23)。
  本件の様な農産物の場合には,加工によってその価値が左右される商品ではないので,その生産地が「原産地」となるのが通常です。
  もっとも,法第19条1項は,外形的には誤認惹起行為にあたるものでも,取引慣行の観点から一定の場合には刑事,民事の責任から除外しています。例えば,サツマイモや佃煮のように原産地名がその商品を表す一般的な名称になっているような場合(「普通名称」)には,規制対象から除外されています(「氷見うどん」事件−富山地判平18.11.10,名古屋高判平成19.10.24)。

 B誤認させるような表示をすること
  誤認を招くような表示か否かは,個別具体的な事案ごとに,その業界の取引慣行や諸般の事情を総合的に考慮して判断されます。取引の相手方や消費者など,各段階の需要者ごとに判断されます。
  ここで問題となるのが,直接的には商品に「原産地」を記載していない場合でもこれを惹起する様な表示になっている場合ですが,これも規制の対象となっています。ヘアピンの容器の箱に「イタリアンタイプ」やイタリアの国旗を記載したことが,法の規制対象となるかが争われた裁判で,裁判所は国産のものをイタリア産と誤認させるおそれがあるとして,法の適用を認めました(「世界のヘアピン」事件−大阪地判平8.9.26)。また,○○風や○○タイプといった記載もそれが「原産地」を誤認させる恐れを惹起させるものであれば,規制の対象となる場合があります。

(3)罰則
  不正の目的をもって誤認惹起行為をした場合には法第21条2項1号,不正の目的はなくても「原産地」の虚偽表示をした場合には同項2号によって,五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金,または懲役刑と罰金刑の併科となります。
  さらに,代表者の他に法人も法第22条1項によって三億円以下の罰金刑が科される場合があります。

(4)民事上の請求
  不正競争によって営業上の利益を侵害され,また,侵害されるおそれがあるものは,その者に対して侵害の停止または予防を請求できます(法第3条1項)。また,侵害の行為を生成した物の廃棄を請求できます(同条第2項)。
  さらに,故意,過失(によって不正競争をした者に対し,当該行為によって営業上の利益が侵害されたものは,その損害の賠償を求めることができます(法第4条)。不正競争をおこなっている者が不正の利益を得ているときは,その利益の額は,営業上の利益が侵害された者の損害額と推定されます(法第5条2項)。もっとも,同上で推定されるのはあくまでも損害額なので,当該行為によって損害が生じたこと(不当行為と損害との因果関係)は立証する必要があります。
  なお,不正競争防止法で民事上の責任を請求できるのは,通常は「競業者」に限られ,他の業務の業者や一般消費者は請求権者とは認められないと考えられています(ピーターラビット」事件−大阪地判平19.1.20)。基本的に本法律は,公正な自由競争を保護するためのものであり,一般消費者の保護は2次的な意味を持つに過ぎないからです。

2 刑法の規制
  また,産地偽装の態様が悪質で,その結果が重大であり,産地を偽装して売買代金をだまし取ったと判断される場合には,詐欺罪(刑法第246条)も不正競争防止法違反と合わせて起訴される場合があります。本来の産地を表示していたら売買契約そのものが成立せず,売買代金を受領した行為自体が,詐欺行為と評価される場合です。この場合,両罪は併合罪(刑法第45条)の関係となります。
  食肉加工業者が,鶏肉や豚肉を混ぜたミンチ肉を「牛100パーセント」と表示し,取引先10数社に約138トンもの商品を出荷し,代金約3900万円をだまし取った事案につき,不正競争防止法と共に詐欺罪でも起訴され,元代表は懲役4年の実刑となりました(「ミートホープ」事件−札幌地判平20.3.19)。

3 景品表示法の規制
  景品表示法第4条1項1号は,商品または役務の品質,規格その他の内容について,一般消費者に対し,実際のものよりも著しく優良であると示し,または事実に相違して,当該事業者と同種もしくは類似の商品もしくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると思わせるような表示をすることを禁止しています(「優良誤認表示」)。
  同法は,故意,過失を要件としていませんので(業者と異なり一般消費者の保護が目的ですから経済的に弱者の保護が優先し故意過失は不要となっています。同法1条参照。),例えば,商品の仕入れ先から外国産のものを国産と偽られ,そのまま外国産と気付かずに国産として販売した場合にも同法の適用があります。
  不当表示を行った事業者は,行政上の責任として,消費者庁や都道府県から,行為の差止命令,再発防止措置命令,公示命令等の措置を受ける場合があります(同法第6条,第7条)。上記措置をとる上で必要があると認めるときには,立入検査をすることもできます(同法第9条)。また,民事上の責任として,適格消費者団体から当該行為の停止または予防に必要な措置をとるように請求を受ける場合があります (同法第10条)。

4 その他の規制 
  上記法律の規制の他に,特に飲食料品に関しては,「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)により,製造業者に一部の商品について原産地の表示が義務づけられています(同法第19条の13の2)。同法の趣旨は,農林物資の品質規格等を保証して農林物資の生産及び流通の円滑化,農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護という多面的な目的を有するものです。戦後の物資の不足から模造品,不良品が出回り国民の生命,身体,健康を保全するために制定されています。
  原産地について虚偽の表示をした飲食料品を販売した者に対しては,JAS法第23条の2による処罰規定が平成21年に新設されています(二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金,法人は一億円以下の罰金)。

5 まとめ
  本件の場合は,外国産の野菜に国産と表示して販売してしまっているので,法第2条1項13号に違反していると判断される可能性が高いです。さらに,これにより代金をだまし取ったと判断される場合には,詐欺罪(刑法246条)と判断されます。警察が,事件性があると判断した場合には事務所等が家宅捜索され,容疑が固まりしだい逮捕される可能性が十分にあります。ただし,逮捕は無条件にできるわけではなく,罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由と,住居不定,罪証隠滅の恐れ又は逃亡の恐れがあることが要件となっておりますので(刑事訴訟法第199条1項,刑事訴訟法規則第143条の3),逮捕前に弁護人が付けば,担当捜査官に逮捕の必要性はなく在宅で捜査を進めるように交渉をすることもできます。また,逮捕後の勾留請求の段階においても弁護人がいれば,検察官と交渉してこれを防ぐ活動をすることもできます。専門的な知識がないと警察に対して自己の権利を十分に防御できませんので,早急に弁護士に相談をして今後の対応を検討することをお勧めいたします。
  近年,産地偽装や商品内容の偽装などがマスコミでとりあげられているのをよく見ると思います。直近のマスコミに取り上げられて例だけでも,淡路産玉ねぎ偽装事件,兵庫県産米の不適切表示事件,ノニジュース偽装事件,蜂蜜産地偽装事件,氷見ブリ偽装事件など多くの事件があります。産地偽装が明るみに出た場合,刑事的責任の他にも民事的責任も追及され,さらには消費者の信用を失うことになるため,廃業の危機にさらされることになります。これを防止するという意味でも,複雑な法令を専門家の知識をかりてよく理解し,社内での管理を徹底する必要があります。

≪参考条文≫

・不正競争防止法
(目的)
第一条  この法律は,事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため,不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ,もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「不正競争」とは,次に掲げるものをいう。
十三  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地,品質,内容,製造方法,用途若しくは数量若しくはその役務の質,内容,用途若しくは数量について誤認させるような表示をし,又はその表示をした商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供し,若しくはその表示をして役務を提供する行為
(差止請求権)
第三条  不正競争によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者は,その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者は,前項の規定による請求をするに際し,侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄,侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
(損害賠償)
第四条  故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし,第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については,この限りでない。
(損害の額の推定等)
第五条  第二条第一項第一号から第九号まで又は第十五号に掲げる不正競争(同項第四号から第九号までに掲げるものにあっては,技術上の秘密(秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないものをいう。)に関するものに限る。)によって営業上の利益を侵害された者(以下この項において「被侵害者」という。)が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは,その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に,被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を,被侵害者の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において,被侵害者が受けた損害の額とすることができる。ただし,譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を被侵害者が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。
(適用除外等)
第十九条  第三条から第十五条まで,第二十一条(第二項第七号に係る部分を除く。)及び第二十二条の規定は,次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については,適用しない。
一  第二条第一項第一号,第二号,第十三号及び第十五号に掲げる不正競争 商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって,普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し,若しくは表示をし,又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し,若しくは表示をした商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同項第十三号及び第十五号に掲げる不正競争の場合にあっては,普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし,又は使用して役務を提供する行為を含む。)
第二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は,十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
一  不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,詐欺等行為(人を欺き,人に暴行を加え,又は人を脅迫する行為をいう。以下この条において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取,施設への侵入,不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律 (平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項 に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の保有者の管理を害する行為をいう。以下この条において同じ。)により,営業秘密を取得した者
二  詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を,不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,使用し,又は開示した者
三  営業秘密を保有者から示された者であって,不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,その営業秘密の管理に係る任務に背き,次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
イ 営業秘密記録媒体等(営業秘密が記載され,又は記録された文書,図画又は記録媒体をいう。以下この号において同じ。)又は営業秘密が化体された物件を横領すること。
ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について,又は営業秘密が化体された物件について,その複製を作成すること。
ハ 営業秘密記録媒体等の記載又は記録であって,消去すべきものを消去せず,かつ,当該記載又は記録を消去したように仮装すること。
四  営業秘密を保有者から示された者であって,その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を,不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,その営業秘密の管理に係る任務に背き,使用し,又は開示した者
五  営業秘密を保有者から示されたその役員(理事,取締役,執行役,業務を執行する社員,監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同じ。)又は従業者であって,不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,その営業秘密の管理に係る任務に背き,その営業秘密を使用し,又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)
六  営業秘密を保有者から示されたその役員又は従業者であった者であって,不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,その在職中に,その営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし,又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて,その営業秘密をその職を退いた後に使用し,又は開示した者(第四号に掲げる者を除く。)
七  不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,第二号又は前三号の罪に当たる開示によって営業秘密を取得して,その営業秘密を使用し,又は開示した者
2  次の各号のいずれかに該当する者は,五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
一  不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第十三号に掲げる不正競争を行った者
二  他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的で,又は当該信用若しくは名声を害する目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者
三  不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行った者
四  不正の利益を得る目的で,又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で,第二条第一項第十号又は第十一号に掲げる不正競争を行った者
五  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地,品質,内容,製造方法,用途若しくは数量又はその役務の質,内容,用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)
六  秘密保持命令に違反した者
七  第十六条,第十七条又は第十八条第一項の規定に違反した者
3  第一項及び前項第六号の罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。
4  第一項第二号又は第四号から第七号までの罪は,詐欺等行為若しくは管理侵害行為があった時又は保有者から示された時に日本国内において管理されていた営業秘密について,日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
5  第二項第六号の罪は,日本国外において同号の罪を犯した者にも適用する。
6  第二項第七号(第十八条第一項に係る部分に限る。)の罪は,刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。
7  第一項及び第二項の規定は,刑法 その他の罰則の適用を妨げない。
第二十二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,前条第一項第一号,第二号若しくは第七号又は第二項に掲げる規定の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人に対して三億円以下の罰金刑を,その人に対して本条の罰金刑を科する。
2  前項の場合において,当該行為者に対してした前条第一項第一号,第二号及び第七号並びに第二項第六号の罪に係る同条第三項の告訴は,その法人又は人に対しても効力を生じ,その法人又は人に対してした告訴は,当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3  第一項の規定により前条第一項第一号,第二号若しくは第七号又は第二項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は,これらの規定の罪についての時効の期間による。
・刑法
(併合罪)
第四十五条  確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは,その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り,併合罪とする。
(詐欺)
第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は,十年以下の懲役に処する。
2  前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
・不当景品類等及び不当表示防止法
(目的)
第一条  この法律は,商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより,一般消費者の利益を保護することを目的とする。
(不当な表示の禁止)
第四条  事業者は,自己の供給する商品又は役務の取引について,次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一  商品又は役務の品質,規格その他の内容について,一般消費者に対し,実際のものよりも著しく優良であると示し,又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二  商品又は役務の価格その他の取引条件について,実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三  前二号に掲げるもののほか,商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
2  内閣総理大臣は,事業者がした表示が前項第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは,当該表示をした事業者に対し,期間を定めて,当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において,当該事業者が当該資料を提出しないときは,第六条の規定の適用については,当該表示は同号に該当する表示とみなす。
(措置命令)
第六条  内閣総理大臣は,第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条第一項の規定に違反する行為があるときは,当該事業者に対し,その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は,当該違反行為が既になくなつている場合においても,次に掲げる者に対し,することができる。
一  当該違反行為をした事業者
二  当該違反行為をした事業者が法人である場合において,当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し,又は合併により設立された法人
三  当該違反行為をした事業者が法人である場合において,当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四  当該違反行為をした事業者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者
(都道府県知事の指示)
第七条  都道府県知事は,第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条第一項の規定に違反する行為があると認めるときは,当該事業者に対し,その行為の取りやめ若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を指示することができる。その指示は,当該違反行為が既になくなつている場合においても,することができる。
(内閣総理大臣への措置請求)
第八条  都道府県知事は,前条の規定による指示を行つた場合において当該事業者がその指示に従わないとき,その他同条に規定する違反行為を取りやめさせるため,又は同条に規定する違反行為が再び行われることを防止するため必要があると認めるときは,内閣総理大臣に対し,この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。
2  前項の規定による請求があつたときは,内閣総理大臣は,当該違反行為について講じた措置を当該都道府県知事に通知するものとする。
(報告の徴収及び立入検査等)
第九条  内閣総理大臣は,第六条の規定による命令を行うため必要があると認めるときは,当該事業者若しくはその者とその事業に関して関係のある事業者に対し,その業務若しくは財産に関して報告をさせ,若しくは帳簿書類その他の物件の提出を命じ,又はその職員に,当該事業者若しくはその者とその事業に関して関係のある事業者の事務所,事業所その他その事業を行う場所に立ち入り,帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
2  都道府県知事は,第七条の規定による指示又は前条第一項の規定による請求を行うため必要があると認めるときは,当該事業者若しくはその者とその事業に関して関係のある事業者に対し景品類若しくは表示に関する報告をさせ,若しくは帳簿書類その他の物件の提出を命じ,又はその職員に,当該事業者若しくはその者とその事業に関して関係のある事業者の事務所,事業所その他その事業を行う場所に立ち入り,帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
3  前二項の規定により立入検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
4  第一項又は第二項の規定による権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(適格消費者団体の差止請求権)
第十条  消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第二条第四項 に規定する適格消費者団体は,事業者が,不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは,当該事業者に対し,当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
一  商品又は役務の品質,規格その他の内容について,実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
二  商品又は役務の価格その他の取引条件について,実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
・農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律
(品質に関する表示の基準の遵守)
第十九条の十三の二  製造業者等は,前条第一項から第三項までの規定により定められた品質に関する表示の基準に従い,農林物資の品質に関する表示をしなければならない。
第二十三条の二  第十九条の十三第一項又は第二項の規定により定められた品質に関する表示の基準において表示すべきこととされている原産地(原料又は材料の原産地を含む。)について虚偽の表示をした飲食料品を販売した者は,二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
(法律の目的)
第一条  この法律は,適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し,これを普及させることによつて,農林物資の品質の改善,生産の合理化,取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図るとともに,農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによつて一般消費者の選択に資し,もつて農林物資の生産及び流通の円滑化,消費者の需要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護に寄与することを目的とする。

・刑事訴訟法
第百九十九条  検察官,検察事務官又は司法警察職員は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは,裁判官のあらかじめ発する逮捕状により,これを逮捕することができる。ただし,三十万円(刑法 ,暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については,当分の間,二万円)以下の罰金,拘留又は科料に当たる罪については,被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
2  裁判官は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは,検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については,国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により,前項の逮捕状を発する。但し,明らかに逮捕の必要がないと認めるときは,この限りでない。
3  検察官又は司法警察員は,第一項の逮捕状を請求する場合において,同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは,その旨を裁判所に通知しなければならない。

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