盗撮行為をしてしまったとき
盗撮容疑で検挙されてしまったとき
令和2年10月22日最終改訂

1、 盗撮行為(東京都迷惑防止条例5条違反)について説明いたします。法律上、犯罪は犯罪の性質によって刑法によって守るべき利益(保護法益といいます)が何かという観点から分類されます。通常は、国家、社会全体、個人の利益に分類されます。刑法の条文上もおおむねその様に順序良く規定されています(77条―264条)。例えば、贈賄、汚職などは国家の利益であり、放火などは危険性から社会全体の公共の利益、暴行傷害は被害者個人の利益です。

2、 本条例は、盗撮等卑猥な言動を受けているのは被害を受けた個人ですから被害者個人の性的羞恥心が保護法益になることは間違いありません。しかし迷惑防止条例の条文をよく読んでみると、これらの条文の内容(構成要件といいます)には、「公共の場所又は公共の乗物において」という条件がついています。例えば、自分のアパートの室内で、意に反して女性の衣服の中を盗撮しても本罪は成立しないのです(少なくとも駅、路上、人が出入りする建物等で行われる必要があります)。本来性的羞恥心を保護するという意味であれば、アパートの中の盗撮行為でも同じはずです。すなわち本罪は、個人法益とともに、公共の場所で卑猥な言動を禁止し性に関する善良な社会的道徳、慣習、風俗、秩序を併せて保護法益(社会的法益)としているのです。

ただし、都道府県ごとの条例改正により公共の場所の要件が撤廃されている場合がありますので注意が必要です。当事務所QA事例集1920番を御参照下さい。

※東京都迷惑防止条例全文(警視庁HP)
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/keiyaku_horei_kohyo/horei_jorei/meiwaku_jorei.files/meibou.pdf

※神奈川県迷惑防止条例(神奈川県警HP)
https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesd0090.htm

※埼玉県迷惑防止条例
https://www3.e-reikinet.jp/saitama-pref/d1w_reiki/33890101004700000000/33890101004700000000/33890101004700000000.html

※千葉県迷惑防止条例(千葉県警HP)
https://www.police.pref.chiba.jp/seisoka/meiboujorei_00034.html


例えば東京都迷惑防止条例の盗撮に関する部分は、次のように改正されています。

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる ような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用 し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)


3、 条例の正式名称が、「公衆に著しく迷惑をかける」としているのはその意味を含んでいますし、同じく性に関する社会的法益を保護している刑法174条の公然わいせつ罪、175条わいせつ物頒布罪も同様の趣旨から「公然」である事を要件としています。このような性質及び行為の態様から、盗撮は被害者が広範囲に及び(特にビデオカメラで盗撮した場合は、連続して撮影されますので、写っている被害者全員について各々罪が成立してしまいますから罪は重大です)、社会全体の利益を侵害することになり重い処罰が予想されてしまいます。更に、被疑者の弁護活動として被害者への謝罪、被害回復(金銭賠償)が行われますが、被害者個人だけでなく、社会全体への謝罪をどうするか問題になってきます。東京都の条例を見ても、通常の迷惑行為の2倍の重い罪になっています(下記条文参照)。

 従って、初犯でも、犯行態様により公判請求も考えられますので至急弁護士とご相談下さい。基本的対策ですが、被害者ごとの謝罪、和解と、公共社会に対する贖罪寄付等の償いです。場合により起訴便宜主義により不起訴処分の場合が考えられます。


東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(他の自治体にも同様の条例があります)
第1条(目的)(目的)この条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持することを目的とする。

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(3) 前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、多数でうろつき、またはたむろして、通行人、入場者、乗客等の公衆に対し、いいがかりをつけ、すごみ、暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号の暴力団をいう。)の威力 を示す等不安を覚えさせるような言動をしてはならない。
3 何人も、祭礼または興行その他の娯楽的催物に際し、多数の人が集まつている公共の場所において、ゆえなく、人を押しのけ、物を投げ、物を破裂させる等により、その場所における混乱を誘発し、または助長するような行為をしてはならない。
4 何人も、公衆の目に触れるような工作物に対し、ペイント、墨、フェルトペン等を用いて、次の各号のいずれかに該当する表示であつて、人に不安を覚えさせるようなものをしてはならない。
(1) 暴走族(道路交通法(昭和35年法律第105号)第68条の規定に違反する行為又は自動車若しくは原動機付自転車を運転して集団を形成し、同法第7条、第17条、第22条第1項、第55条、第57条第1項、第62条、第71条第5号の3若しくは第71条の2の規定に違反する行為を行 うことを目的として結成された集団をいう。次号において同じ。)の組織名の表示
(2) 暴走族が自己を示すために用いる図形の表示
(罰則)抜粋
第8条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第2条の規定に違反した者
(2) 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)
2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者

4、刑事事件に付随して、所轄警察から情報が出ることにより、事件のマスコミ報道や、職場等に対する連絡が行われてしまうこともあります。これについて、具体的な処理基準は法律では定められておりません。法律論でいうと、国民全体の知る権利(報道の自由、取材の自由)と、被疑者個人のプライバシー権の調整という問題ですが、公共的な社会的地位のある被疑者ですと、報道の必要性も高まってしまうことも事実です。そのような場合には、弁護人は、事件の態様や、民事被害弁償の状況や、本人の社会的更生の必要性などを、担当警察署に粘り強く説明し、一切外部に公表しないことが必要であると求めていくことが必要となります。

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