刑事事件・盗撮/本人とご家族のための法律ガイド

盗撮の疑いをかけられたとき――性的姿態等撮影罪・条例と弁護活動

更新日:2026年9月28日

盗撮事件は、撮影場所、写っている内容、撮影時の認識や同意、画像の提供・拡散の有無によって、適用される法律と対応が変わります。2023年に新設された性的姿態等撮影罪を中心に、警察から連絡を受けた場合や、ご家族が逮捕された場合に知っておきたい事項を解説します。

逮捕・呼出しへの対応を急ぐ方へ
警察署名、担当部署、逮捕・呼出しの日時、告げられた容疑、携帯電話等の押収の有無を確認し、新銀座法律事務所の無料相談へお知らせください。画像の削除・端末の初期化、被害者への直接の働きかけを独断で進めず、証拠保全と被害拡大防止の方法を弁護士と相談しましょう。

質問

盗撮をした疑いで警察から呼び出されました。家族が逮捕されてしまった場合も含めて、どのような罪に問われ、どのように対応すればよいのでしょうか。撮影場所が自宅であった場合、撮影できず画像が残らなかった場合、被害者と示談した場合には、処罰を受けないのでしょうか。

回答

  1. 現在は条例だけでなく、全国共通の法律が適用されます。2023年7月13日施行の性的姿態撮影等処罰法により、要件を満たす無断撮影等は「性的姿態等撮影罪」となり、法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。公共の場所に限定されず、自宅やホテルでの行為も対象になります。
  2. 画像が撮れていなくても犯罪が成立する場合があります。撮影罪には未遂の処罰規定があります。東京都条例には、撮影目的でカメラを差し向けたり、設置したりする行為を処罰する規定もあります。具体的な行為と証拠を確認する必要があります。
  3. 逮捕や長期の勾留が必ず行われるわけではありません。早期の弁護活動により、身柄を拘束する必要がないことを主張できます。一方、在宅捜査でも起訴・処罰はあり得ます。事実に争いがある場合は、安易に認めず、弁護士と証拠を検討してください。
  4. 示談は重要ですが、処分を保証するものではありません。撮影罪は、被害者の告訴が起訴の条件となる親告罪ではありません。被害届がない場合や示談が成立した場合も、捜査・起訴が行われることがあります。被害者の意思を尊重し、画像の拡散防止、被害回復、具体的な再発防止に取り組むことが大切です。

解説1 性的姿態等撮影罪と法改正

「盗撮」は日常的な表現であり、それだけで罪名や刑罰が決まるものではありません。現在の中心となる法律は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(令和5年法律第67号。以下「性的姿態撮影等処罰法」)です。

この法律は、自分の性的な姿が意思に反して撮影・記録され、後に他人に見られることによる権利侵害に対応するため、撮影だけでなく、記録の提供、提供目的の保管、不特定又は多数の者への影像送信等を処罰しています。被害者の性別や、撮影者との交際・婚姻関係の有無によって保護が失われるわけではありません。

主な施行時期
時期改正の内容
2023年7月13日撮影・提供・保管・送信・記録の処罰規定と、複写物等の没収に関する規定が施行。
2024年6月20日押収された性的画像等について、検察官が法律の手続に従って消去・廃棄等を行う制度が施行。
2025年6月1日懲役・禁錮が拘禁刑に一本化。現在の法定刑は「拘禁刑」と表記します。

過去の行為は、行為当時の法令と経過規定を確認します。新設された罪や重い刑罰を、施行前の行為にそのままさかのぼって適用することはできません。古い記事の「懲役」「条例違反」の説明を読む際も、行為日と制度改正を区別してください。

根拠:性的姿態撮影等処罰法、法務省・性犯罪関係の法改正等Q&A、令和7年版犯罪白書・刑事法制の動向。

解説2 対象となる撮影・未遂・年齢の要件

(1)何を撮影すると対象になるのか

同法2条は、性的な部位(性器・肛門・これらの周辺部・臀部・胸部)、一定の下着のうち現に性的な部位を覆う部分、わいせつな行為又は性交等が行われている間の人の姿態を対象としています。下着には、通常衣服で覆われ、性的な部位を覆うために用いられるものという限定があります。

通常の外衣で覆われた体の一部を撮影しただけで、当然に同条の撮影罪になるわけではありません。ただし、衣服の上からの撮影でも条例違反となる場合があります。また、人が通常衣服を着ける場所で、不特定又は多数の人に見られると認識して自ら露出・表現している姿態については、同条1項1号から3号の対象から除く規定があります。「人から見える場所なら何を撮ってもよい」という規定ではなく、撮影される部位・状況、本人の認識等を個別に検討します。

(2)処罰される4つの類型

類型内容と注意点
ひそかな撮影
2条1項1号
正当な理由なく、対象となる性的姿態等をひそかに撮影する行為。スカート内、着替え、入浴、性行為等の無断撮影が問題になります。撮影対象者がその場で気づかなかったことは、免責理由になりません。
拒否する意思を形成・表明・全うすることが困難な状態での撮影
同項2号
暴行・脅迫、心身の障害、飲酒・薬物、睡眠、拒否するいとまのなさ、恐怖・驚愕、虐待による心理的反応、地位に基づく不利益への懸念等によって、その状態にさせ、又はその状態に乗じる撮影。撮影を認識していても、自由に拒否できる状態とは限りません。飲酒や上下関係があるだけで一律に成立するのでもなく、意思決定への具体的な影響を検討します。
誤信を利用する撮影
同項3号
性的な行為ではないと思わせたり、特定の人以外は見ないと思わせたり、その誤信に乗じたりする撮影。撮影時の説明、実際の意図、相手方の認識が重要です。
16歳未満の人の撮影
同項4号
正当な理由のない性的姿態等の撮影。対象者が13歳以上16歳未満の場合は、撮影者が対象者の生まれた日より5年以上前に生まれていることが、この号の年齢差要件です。13歳未満にはこの年齢差要件がありません。

年齢差が5年未満でも、ひそかな撮影など他の類型に該当すれば処罰され得ます。対象者が18歳未満の場合には、児童ポルノ禁止法も別途検討します。親が成長記録として子どもを撮影するなど、正当な理由のある行為まで一律に犯罪となるものではありません。

(3)性行為への同意と撮影への同意は別です

交際相手との性行為に同意があったとしても、その様子を隠しカメラで撮影することへの同意まであるとはいえません。撮影に同意していても、第三者への提供や公開については別の問題になります。「自分しか見ない」と説明した事案も、撮影時に本当にその予定だったのか、第三者に見せる予定を隠していたのかで評価が異なります。後に約束違反の公開があったからといって、撮影時の誤信利用が当然に証明されるわけではありませんが、公開について別の刑事・民事責任が生じ得ます。

(4)未遂・故意・証拠

撮影罪は未遂も処罰されます(2条2項)。撮影行為に着手したものの、遮られたり機器が作動しなかったりした事案は、行為態様や機器の状態などにより未遂が問題になります。カメラを持っていたというだけで、直ちに撮影罪の未遂と決まるわけでもありません。東京都条例の差し向け・設置の禁止とは区別して判断します。

画像が発見されなかった場合も、目撃供述、防犯カメラ、端末の記録などを総合して判断されます。反対に、画像があるだけで誰がどのような認識で撮影したかがすべて確定するわけではありません。偶然の写り込みや誤操作が争点となる場合には、故意を含む犯罪成立の要件を証拠に即して検討します。

解説3 画像の提供・保管・配信も処罰対象になります

撮影者以外の人が、違法に作られた記録と知りながら第三者へ送ったり、不特定又は多数の人に公開したりする場合も問題になります。法定の「性的影像記録」には、所定の撮影・記録行為で作られた記録だけでなく、対象部分の複写物も含まれます。性的な画像であればすべて同法の対象記録に当たる、というわけではありません。

性的姿態撮影等処罰法の主な罰則(単独の罪の法定刑)
行為条文法定刑
性的姿態等の撮影・撮影未遂2条3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
性的影像記録を提供3条1項3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
不特定若しくは多数への提供・公然陳列3条2項5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は両方
提供・公然陳列目的の保管4条2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金
所定の方法による、不特定又は多数への性的姿態等の影像送信・事情を知った再送信5条5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は両方
事情を知って、所定の影像送信による影像を記録・記録未遂6条3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

1人に送る行為も「提供」に当たり得ます。閉じたSNSグループでも、人数や態様によって「多数」への提供となる可能性があります。一方、同法4条の保管罪には提供又は公然陳列の目的が必要です。単なる保管と区別されますが、撮影行為自体の責任や、児童ポルノの所持等に関する別の法律の問題がなくなるわけではありません。

撮影時には真に同意があった私的な性的画像であっても、無断公開が許されるわけではありません。第三者が撮影対象者を特定できる方法で不特定又は多数に提供するなどの行為には、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)が適用され得ます。復讐目的や元交際相手であることは必要ありません。この法律の3条の罪は親告罪であり、性的姿態等撮影罪と区別します。

解説4 東京都迷惑防止条例と他の犯罪との関係

(1)条例も引き続き確認します

撮影罪の新設によって、迷惑防止条例がなくなったわけではありません。東京都条例5条1項2号は、人の通常衣服で隠されている下着・身体について、撮影だけでなく、撮影目的の機器の差し向け・設置を禁止しています。同項の「正当な理由なく」「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」という要件も確認します。

対象場所には、住居、便所、浴場、更衣室など、人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所と、公共の場所・乗物、学校、事務所、タクシーなど不特定又は多数の者が利用・出入りする場所・乗物が含まれます。「私有地や従業員専用の場所だから条例違反にならない」という理解は正しくありません。

東京都条例の主な区分
行為法定刑・根拠
禁止された撮影1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(8条2項1号)
撮影目的の差し向け・設置等撮影に至った場合の加重規定に当たらないときは、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(8条1項2号)
常習として撮影2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(8条7項)
常習として差し向け・設置等1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(8条8項)

「常習」は単純に3回目からという数え方ではありません。反復する習癖や、行為の回数・内容・期間などを踏まえて判断します。また、上表は東京都の規定です。他の都道府県では条文、対象、法定刑等が異なり、行為が行われた地域の現行条例を確認する必要があります。

(2)他の犯罪が問題になる場合

  • 住居侵入・建造物侵入(刑法130条):盗撮目的で、管理者の意思に反してトイレ、更衣室、住宅等に入った場合。撮影の被害者だけでなく、施設管理者との関係も検討します。
  • 軽犯罪法1条23号:正当な理由なく、住居、浴場、更衣場、便所などをひそかにのぞき見る行為。撮影の有無だけでなく、場所と行為の実態を確認します。
  • 児童ポルノ禁止法:18歳未満の児童について、法定の性的な画像を製造・提供・所持等した場合。撮影罪の16歳という区切りとは異なります。
  • 不同意わいせつ罪等:撮影に伴って身体に触れたり、性的な行為をさせたりした場合等。撮影罪があるから他の性犯罪の適用が排除される、という関係ではありません。

複数の法律に該当する場合の罪数や刑の計算は、行為の一体性・関係等により異なります。各罰則の上限を単純に足し算して、その事件の刑罰とすることはできません。

参照:東京都条例の現行全文、刑法、軽犯罪法、児童ポルノ禁止法。

解説5 関連判例――衣服の上からの撮影も安全とはいえません

最高裁第三小法廷平成20年11月10日決定(平成19年(あ)第1961号)

ショッピングセンターで女性を約5分間、40メートル余りにわたって追い、背後の近い距離からズボンを着用した臀部を約11回撮影した事案です。最高裁は、その具体的な状況の下で、北海道の当時の条例にいう「卑わいな言動」に当たると判断しました。被害者が撮影時に気づいていなかったことや、ズボンの上から撮影したことによって、条例違反が否定されるものではないとしています。

ただし、この決定は当時の北海道条例と具体的な追尾・撮影行為についての判断です。衣服を着た人を撮影する行為をすべて犯罪としたものでも、2023年に新設された撮影罪の要件を判断したものでもありません。撮影対象、距離、反復性、撮影目的・態様、適用条例の文言等を確認する必要があります。

最高裁決定全文(PDF・反対意見を含む)/関連QA No.1370

最高裁第一小法廷平成26年11月17日決定(平成26年(し)第578号)

迷惑防止条例違反の被疑者について、最高裁は、供述が対立することだけでなく、証拠隠滅等の現実的な可能性や生活状況などを踏まえて勾留の判断を検討し、勾留を認めた原決定を取り消しました。盗撮事件そのものの有罪・無罪を判断した裁判ではありませんが、否認しているというだけで勾留の必要性が自動的に認められるわけではないことを考える上で参考になります。

最高裁決定全文(PDF)。身柄の判断は、事件関係者との関係、画像・機器の保全状況、住居や生活状況等によって異なります。

解説6 逮捕・勾留と在宅捜査の流れ

刑事手続は、逮捕して捜査する場合と、身柄を拘束せずに捜査する場合があります。現場で逮捕されなかったから事件が終わったとは限らず、後日、呼出し、捜索・差押え、逮捕が行われることもあります。

刑事手続の主な流れ(成人の一般的な事件)
事件の認知・捜査供述、画像・端末、防犯カメラ、撮影場所等を調査

逮捕された場合

警察は原則48時間以内に検察官へ送致。検察官は受取後24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求又は釈放等を判断します。

裁判官が勾留を認めた場合は原則10日間。やむを得ない事情がある場合には、更に最大10日間の延長があり得ます。

在宅捜査・途中で釈放された場合

呼出しへの対応や証拠の確認を行いながら捜査が進みます。勾留請求がされない場合や、裁判官が勾留を認めない場合、勾留中に釈放される場合もあります。

身柄を拘束されないことと、不起訴になることは別です。

検察官による処分不起訴/起訴(要件を満たす場合の略式手続又は公開の法廷での裁判)

いわゆる「最大23日」は、通常の一つの被疑事実に関する起訴前の身体拘束を説明する目安であり、全員が23日間拘束されるという意味ではありません。起訴後の勾留は別の仕組みです。別の被疑事実による再逮捕等が問題となる場合にも、その理由・必要性を個別に検討します。保釈は原則として起訴後の制度であり、起訴前に保釈金を払えば直ちに帰れるという制度ではありません。

弁護人は、勾留請求前の意見提出、勾留に対する準抗告、勾留取消し等により、身柄解放に向けた活動を行います。住居の確保、出頭を支える家族の協力、証拠の保全、被害者との接触を防ぐ具体策などを示します。家庭や勤務先への影響も事情として伝えますが、それだけで釈放が保証されるわけではありません。

ご家族は、警察署、逮捕日時、担当部署・容疑、持病や服薬の必要、勤務・通学状況を整理してください。本人は弁護士を呼ぶことを求められます。弁護士との接見は、原則として捜査官等の立会いなしで行われます。当番弁護士制度や、勾留後に資力等の要件を満たす場合の被疑者国選弁護制度についても確認できます。

参照:刑事訴訟法39条・60条・198条・203条・205条・207条・208条等、裁判所・刑事事件Q&A。

解説7 取調べ・否認・自首への対応

(1)任意の呼出しと取調べ

呼出しを受けたら、担当者、日時、用件、被疑者としての呼出しか、任意の出頭かを確認します。逮捕・勾留されていない被疑者は、刑事訴訟法198条1項により出頭を拒み、出頭後に退去することができます。ただし、呼出しを放置することが適切とは限りません。弁護士と相談して、日程・体調・出頭方法等を調整しましょう。

被疑者には黙秘権があります。記憶のないことを推測で認めたり、早く帰りたいからという理由で事実と異なる説明をしたりしないでください。供述調書は内容を確認し、誤りがあれば訂正を求め、納得できない内容に署名・押印をしないことができます。黙秘権の行使と、虚偽の証拠を作ることは別です。

(2)事実に争いがある場合

何が争われているのかを具体化します。自分が撮ったのか、性的な部位等が対象なのか、撮影時の同意や説明はどうだったのか、故意があったのか、既遂か未遂かなどです。弁護士は、画像・メタデータ、機器の操作状況、やり取り、位置関係、防犯カメラ、目撃供述等を検討します。都合のよい部分だけを切り取らず、元の記録を保全することが重要です。

端末内には、事件と無関係な第三者の個人情報や勤務先の秘密が含まれる場合もあります。任意提出か令状による差押えか、対象・範囲、押収品目録、必要な業務データの扱いを確認し、弁護士に伝えてください。捜査を妨害したり、遠隔操作でデータを消したりしてはいけません。

(3)自ら申告することを考えている場合

刑法42条の「自首」は、捜査機関に発覚する前に自ら犯罪を申告して処分に委ねる場合に、刑を減軽できる制度です。犯罪の発生が知られていても、犯人が誰かは発覚していない場合には、自首が成立する余地があります。警察から呼ばれて出頭することが、常に法律上の自首になるわけではありません。自首が成立しても、逮捕されない、不起訴になる、必ず減刑されるという保証はありません。

被害者が特定されていない場合や被害届が出ていない場合も、捜査・処罰の可能性がなくなるわけではありません。申告すべき事実、証拠の保全、出頭方法、生活・治療上の事情を事前に弁護士と整理することが適切です。

解説8 示談と処分の見通し

行為を認める場合には、被害者の不安や精神的苦痛、画像が残り拡散するおそれを理解し、謝罪、損害賠償、接触防止、画像の取扱いなどを検討します。被害者には示談に応じる義務はありません。本人や家族が直接連絡を繰り返したり、被害届の取下げを迫ったりすると、負担や不安を増すおそれがあります。弁護士を通じ、相手方の連絡・交渉の希望を確認する方法が考えられます。

示談書では、対象となる行為、支払額と期限、接触しない約束、複写物・クラウド・送信済み画像を含む取扱い、捜査上の証拠保全との調整などを具体化します。事情によっては施設管理者への対応も必要です。示談金には、どの事件にも当てはまる固定の金額はありません。被害内容、人数、撮影回数、拡散の範囲等により異なります。

示談成立と刑事手続の終了は別です。性的姿態等撮影罪は非親告罪です。検察官は、刑事訴訟法248条に基づき、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の事情等を考慮し、起訴猶予とするかも判断します。示談、被害回復、再発防止等は判断材料になりますが、反復性、計画性、複数の被害者、児童への被害、画像の拡散、前科・前歴等も踏まえて処分されます。

被害者が分からず示談できない場合、被害回復のための努力や再発防止の状況を客観的に示すことを検討します。贖罪寄付を行うこともありますが、寄付は示談の代わりに被害者の意思を代弁するものではなく、法律上の義務や不起訴の条件でもありません。

不起訴には、嫌疑がない・不十分な場合と、嫌疑を前提として起訴を猶予する場合等があり、理由は区別されます。罰金刑も刑罰であり、確定すれば前科となります。略式手続は、本人に異議がないことの確認等を経て、簡易裁判所が書面審理で100万円以下の罰金又は科料を科す仕組みです。撮影罪の罰金の法定上限が300万円であることから、どの罰金処分も略式手続で済むとはいえません。略式命令を受けた場合の正式裁判請求の期間は、告知を受けた日から14日です。

解説9 画像の消去・再発防止・被害への対応

(1)画像の削除は証拠保全と調整します

画像が存在し続けること自体が被害者の深刻な不安につながります。一方で、事件の証拠でもあるため、本人や家族が独断で削除・初期化・廃棄をすると、証拠を失い、捜査や弁護に重大な支障が生じるおそれがあります。家族など第三者による削除は、証拠隠滅罪等が問題となる場合もあります。被害者の希望、捜査状況、証拠保全の方法を踏まえて、弁護士・捜査機関と調整します。

性的姿態撮影等処罰法には、複写物等の没収と、検察官が所定の手続で対象記録の消去・押収物の廃棄等を行う制度があります。これにより、通常の刑事処分だけでは十分に対処できない性的画像の残存にも対応します。ただし、押収された携帯電話から消えれば、ネット上や第三者の端末の画像まで自動的にすべて消えるわけではありません。対象記録・複写物・保存先を確認することが必要です。

既にネットに掲載されている場合は、追加の送信・公開を止め、証拠となるURL、投稿日時、アカウント等を整理した上で、削除請求や発信者情報の開示等を検討します。証拠確認の名目でも、被害画像を友人や家族に安易に転送してはなりません。弁護士への資料提出も、まず方法を相談してください。

(2)再発防止を具体化します

反省文だけでなく、反復に至ったきっかけや生活上の状況を振り返り、必要に応じて専門の医療機関・相談機関につなぎます。端末や撮影機器の使い方、生活上の接触機会、家族等の支援、継続的な相談・治療の計画を、本人が実行できる形にします。治療を受ければ刑事責任がなくなるわけではありませんが、被害の再発を防ぐための大切な取組です。

(3)被害に遭った方へ

その場では安全を優先し、駅員・施設職員・警察に助けを求めてください。危険が迫っているときは110番、性犯罪被害の警察相談は全国共通番号「#8103」が案内されています。撮影されたか確信が持てない段階でも相談できます。日時、場所、相手や機器の特徴、目撃者、投稿先等を可能な範囲で記録し、防犯カメラ等が消える前の確認につなげましょう。被害者は示談を断り、代理人を通じた連絡を希望することもできます。

解説10 職場・学校・資格・報道への対応

刑事処分とは別に、就業規則に基づく懲戒、学校の処分、公務員・資格職の処分、損害賠償が問題となる場合があります。不起訴や示談成立が、これらの責任を当然に消滅させるものではありません。反対に、逮捕されたという事実だけで、どのような解雇・退学も適法になるわけではありません。事実関係、職務との関連、適用規程、手続、処分の相当性を検討します。

報道や勤務先への連絡についても、弁護士が事情を説明し、プライバシーへの配慮を求める活動を行う場合がありますが、非公表を約束させたり保証したりできるものではありません。届出義務のある職種もあるため、「絶対に知らせなくてよい」と自己判断せず、刑事弁護と職場・資格への対応を合わせて相談してください。

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法令・判例・公的資料

本ページでは、2026年9月28日に確認した法令・公的資料と、新銀座法律事務所の関連QAを参照しています。行為日によって適用法令が異なるため、施行日・経過規定を確認してください。

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