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成年後見制度の相談・申立て・費用
どの手続が必要か、まだ分からなくてもご相談ください。
新銀座法律事務所の弁護士が、ご事情を伺い、利用できる制度と依頼できる業務をご案内します。
1 今の状況に合う制度を選ぶ
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方の意思を尊重しながら、契約や財産管理を支える制度です。年齢や診断名だけで利用が決まるものではなく、判断能力の程度、必要な法律行為、利用できる支援を具体的に検討します。
| 現在の状況 | 検討する支援 | 相談のポイント |
|---|---|---|
| 判断能力が低下し、預金の管理や契約に困っている | 法定後見(後見・保佐・補助) | 必要な権限、候補者、継続費用を確認します。 |
| 今は判断できるが、将来が心配 | 任意後見契約+見守り契約 | 誰に何を任せるか、開始の申立てにつなぐ方法を決めます。 |
| 判断能力はあるが、外出や手続が難しい | 財産管理等委任契約・個別の代理手続 | 委任事項を絞り、金融機関等の取扱いも確認します。 |
| 親の預金流用・面会拒否が心配 | 後見等の申立て、保全処分、自治体への相談 | 本人の安全、資料の確保、権限のある請求を並行して検討します。 |
| 死後の手続や遺産の行き先も決めたい | 遺言・遺言執行者指定+死後事務委任 | 生前の後見とは別に準備します。 |
日常の金銭管理や福祉サービス利用の支援で足りる場合は、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業なども候補になります。ただし、契約を理解できること等の利用条件があり、不動産売却や紛争対応まで代行できる制度ではありません。
2 後見・保佐・補助の違い
| 類型 | 判断能力の程度 | 主な権限と本人の同意 |
|---|---|---|
| 後見(民法7~9条) | 判断能力を欠くのが通常の状態 | 成年後見人は財産に関する広い代理権を持ちます。本人の法律行為は日常生活に関する行為を除き取消しの対象です。開始に本人の同意は要件とされません。 |
| 保佐(民法11~13条) | 判断能力が著しく不十分 | 借入れ、不動産処分、遺産分割等の重要な行為に同意権・取消権があります。代理権は別の審判で定めます。本人以外による代理権付与の請求には本人の同意が必要です。 |
| 補助(民法15~17条) | 判断能力が不十分 | 特定の行為について同意権・取消権や代理権を定めます。本人以外による開始・同意権付与・代理権付与の請求には本人の同意が必要です。 |
保佐人・補助人を選任しただけで、すべての預金手続や訴訟を代理できるわけではありません。何を解決する必要があるかを整理して、代理権等の内容を申立てに反映させます。また、後見開始後も本人の意思を尊重する義務があります(民法858条)。
3 後見人ができること・できないこと
生活を支える契約と財産管理
- 預貯金・年金の管理、生活費・医療費・介護費等の支払い。
- 介護サービスや施設入所の契約、契約内容の確認、関係者との調整。
- 本人の利益のための不動産管理・売却、遺産分割、債権回収など。
- 不利益な契約への対応、財産目録・収支記録の作成、家庭裁判所への報告。
医療同意・介護そのもの・相続対策とは区別します
後見人であることだけで、手術その他の医療行為への包括的な同意権、身元保証義務、介護を直接行う義務が生じるわけではありません。医療や介護の希望は、本人と医療・介護関係者で共有し、後見人は契約・費用支払・連絡調整などの面から支えます。
後見制度は、本人の財産を家族へ早く移したり、家族の相続税を減らしたりするための制度ではありません。本人の利益に反する贈与・貸付け等はできず、本人と後見人が共同相続人となる遺産分割などでは、利益相反への対応が必要です。
成年後見人が本人の居住用不動産を売却・賃貸・抵当権設定等により処分するときは、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。保佐人・補助人が代理する場合にも準用されます。施設入所後の自宅も対象になることがあるため、売却契約前に確認してください。
4 申立てから開始までの手続
申立先と申立人
原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。本人、配偶者、4親等内の親族、検察官等が申立権者です。同居は要件ではなく、離れて暮らす子も申立てを検討できます。身寄りがない方等については、要件を満たす場合、市区町村長による申立てもあります(民法7条・11条・15条、老人福祉法32条等)。
準備する資料と流れ
- 本人の希望、判断能力、財産・収支、必要な手続、親族関係を整理します。
- 申立書、本人の戸籍・住民票、登記されていないことの証明書、診断書・本人情報シート、財産目録・収支資料、候補者資料等を準備します。
- 家庭裁判所へ申立て後、本人・申立人・候補者等の調査や必要な審理が行われます。後見・保佐では鑑定が原則ですが、明らかに不要な場合は省略されます。診断書と鑑定は別のものです。
- 裁判所が類型・権限・後見人等を決め、審判の効力発生後に登記と事務開始へ進みます。
- 財産調査、財産目録等の作成、定期的な報告など、継続的な事務を行います。
必要書類や提出方法は裁判所・事案により異なります。審理期間も一律ではなく、親族間の争い、鑑定、資料不足等で長くなることがあります。預金流出や契約締結が迫る場合は、申立てと併せて審判前の保全処分を検討します。緊急時の財産保全はこちら。
本人との面会を妨げられ、診断書等を用意できない場合も、経緯と入手済み資料を整理して弁護士にご相談ください。資料が揃わない事情を裁判所に説明し、補充方法を検討します。診断書なしで必ず審判を受けられるわけではありません。
参照:裁判所・後見ポータルサイト(手続・申立書式) / 裁判所・成年後見制度に関する審判(各種手続案内) / 家事事件手続法(e-Gov法令検索)
5 誰が後見人になるか・途中でやめられるか
親族や弁護士を候補者として記載することはできますが、選任するのは家庭裁判所です。親族全員の意見が一致していても、希望した候補者が必ず選ばれるわけではありません。財産の内容、本人との利害関係、紛争の有無等から、専門職や監督人が選ばれる場合もあります。
当事務所に申立代理を依頼することと、当事務所の弁護士が後見人に選任されることは別です。後見人となった場合は、申立人である家族の要望よりも、ご本人の権利・利益を基準に職務を行います。
申立て前に、継続期間と費用を確認しましょう。
後見・保佐・補助の開始申立ては、審判前でも、取下げに家庭裁判所の許可が必要です(家事事件手続法121条・133条・142条)。開始後も、申立てのきっかけとなった預金解約や遺産分割が終わっただけで自由に終了できる制度ではありません。終了・権限変更には、各制度の法定要件と裁判所の手続が関わります。
特定の後見人をやめさせたい場合も、家族の一存で交代させることはできません。不正等が疑われる場合は、記録を示して家庭裁判所への報告・解任申立て等を検討します。
6 費用・後見人報酬と、最高裁の最新公表資料
| 費用の種類 | 決まり方・確認すること |
|---|---|
| 申立てに必要な実費 | 後見開始は申立手数料800円と登記手数料2,600円に、郵便費用、戸籍等・診断書の取得費用が加わります。保佐・補助で代理権・同意権の付与を求める場合は追加手数料があります。鑑定が行われる場合は鑑定費用も必要です。 |
| 申立てを弁護士に依頼する費用 | 相談・資料整理・申立代理等の業務内容、緊急対応や親族間対立の有無に応じて見積もります。後見開始後の報酬とは別です。 |
| 成年後見人・保佐人・補助人の報酬 | 家庭裁判所が、事務内容・財産の状況等を考慮して個別に決めます。本人の財産から支払われ、全国一律の定額ではありません。 |
| 監督人の報酬 | 成年後見監督人等・任意後見監督人が選任された場合は、裁判所が定める報酬が別に生じることがあります。 |
| 任意後見人の報酬 | 本人と受任者の契約で定めます。下記の裁判所の報酬調査を、そのまま任意後見人の月額料金にするものではありません。 |
令和7年7月~12月の実情調査
添付資料と同じ最高裁判所事務総局家庭局「報酬に関する実情調査の集計結果について」は、対象期間中に認容で終局した報酬付与申立事件102,466件を集計したものです。対象期間は通常1年程度の事務に対する報酬を想定していますが、この統計では1年分に統一されていません。下表は、そのうち「親族以外の成年後見人・付加報酬の求め無し」の区分について、各流動資産区分で最も割合が高かった報酬額帯を抜き出したものです。
| 流動資産額 | 最も多かった報酬付与額帯 | 当該資産区分内の割合 |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 20万円台 | 73.9% |
| 100万円以上500万円未満 | 20万円台 | 80.2% |
| 500万円以上1,000万円未満 | 20万円台 | 80.6% |
| 1,000万円以上5,000万円未満 | 30万円台 | 54.0% |
| 5,000万円以上1億円未満 | 60万円台 | 50.3% |
| 1億円以上 | 70万円台 | 43.0% |
流動資産額は、現金・預貯金(後見制度支援信託・支援預貯金を除く)・有価証券の合計であり、自宅不動産を含む総資産額とは異なります。付加報酬の有無、職務の難しさ、本人の生活状況等によって報酬は変わります。以前の「月額2万円」等の目安だけで長期費用を判断せず、最新の公表資料と個別事情を確認してください。
報酬調査PDFを見る / 。更新資料は裁判所の公表ページで確認できます。
資力等の要件を満たす場合は、自治体の成年後見制度利用支援事業などによる費用助成を利用できることがあります。対象者・対象費用は自治体ごとに異なるため、本人の住所地の福祉窓口へ確認します。
7 弁護士に依頼することで整理できること
- 制度選択:本人の希望と財産の状況を伺い、後見等が必要か、任意後見や個別の委任で対応できるかを検討します。
- 申立ての準備・代理:親族関係、財産・収支、必要な代理権を整理し、資料作成や裁判所との手続を進めます。
- 紛争・緊急対応:使途不明金、面会拒否、不動産の処分等がある場合、保全・返還請求などの見通しを検討します。
- 将来の備え:任意後見だけでなく、見守り、財産管理、遺言、死後事務を組み合わせて支援の空白を減らします。
「申立書だけを用意したい」「親族との対立も含めて相談したい」「自分の将来の管理を任せたい」など、必要な支援は人によって異なります。新銀座法律事務所では、ご相談時に業務の範囲と費用を具体化し、納得して選べるようご説明します。
8 よくあるご質問
家族なら本人の預金を自由に管理できますか。
家族であることだけで包括的な代理権は生じません。有効な委任や後見人等の権限が必要です。家族が立て替えた介護費を精算する場合も、領収書・支払記録を残し、本人のための支出と区別して管理してください。
任意後見契約があれば、監督人は不要ですか。
いいえ。任意後見としての代理権は、判断能力低下後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任して初めて発生します。契約直後から支払等を任せたい場合は、別途の財産管理等委任契約を検討します。
成年後見の利用は戸籍に記載されますか。
戸籍には記載されず、後見登記の制度で管理されます。証明書を請求できる人は本人・後見人等・一定の親族等に限定されます。なお「登記されていないことの証明書」は、契約時の意思能力そのものを証明するものではありません。
参照した法律相談Q&A事例集
- No.868 死後事務委任と遺言執行者の指定、みまもり契約など
任意後見・財産管理・見守り・遺言・死後事務を組み合わせる備え。 - No.1242 任意後見制度の概要
受任者の選び方、契約の開始・終了。 - No.2057 親族による囲い込み事案の対応
本人との面会や診断資料の確保が難しい場合の検討。 - No.1501 両親が意思無能力の場合の相続問題と対策
判断能力が低下した親の贈与や、親族による財産処分の問題。 - No.1065 後見申立ての取り下げの可否
制度の目的と申立ての取下げ。取下げの現行ルールは本ページの説明を参照。
参照法令・裁判所・政府・自治体の資料
| 法令・条文 | 本ページとの関係 |
|---|---|
| 民法(e-Gov法令検索)7~17条、858条・859条・859条の3・862条 | 後見等の開始・権限、本人の意思尊重、居住用不動産処分、報酬。 |
| 民法(e-Gov法令検索)876条の4・876条の9等 | 保佐人・補助人への代理権付与。 |
| 家事事件手続法(e-Gov法令検索)117条以下、121条・126条・133条・134条・142条・143条 | 申立手続、取下げの制限、審判前の保全処分。 |
| 任意後見契約に関する法律(e-Gov法令検索)2~4条・6~10条 | 任意後見の開始・監督、意思尊重、解除、法定後見との関係。 |
| 後見登記等に関する法律(e-Gov法令検索)4条・5条・10条 | 後見等の登記と証明書の交付。 |
| 老人福祉法(e-Gov法令検索)32条 | 市町村長による後見等の申立て。 |
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