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任意後見・みまもり契約・財産管理・死後事務委任のご相談
任意後見契約、みまもり契約、財産管理等委任、死後事務委任、遺言を組み合わせた備えを解説。開始条件・費用・注意点を整理し、新銀座法律事務所への相談方法をご案内します。
どの手続が必要か、まだ分からなくてもご相談ください。
新銀座法律事務所の弁護士が、ご事情を伺い、利用できる制度と依頼できる業務をご案内します。
1 生前から死後まで、支援の空白をつくらない
「配偶者に先立たれたら誰に頼めるのか」「子どもがいない」「親族に負担をかけたくない」「将来の財産管理を弁護士に任せたい」。こうした不安には、時期と目的に応じた準備が役立ちます。すべての契約が一律に必要なわけではありません。ご本人が自分で続けたいこと、任せたいこと、費用を踏まえて選びます。
| 時期・目的 | 準備する契約等 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 元気なうちの定期確認 | 見守り契約 | 連絡・面談を続け、生活や判断能力の変化を把握します。 |
| 今から必要な手続の代行 | 財産管理等委任契約(任意代理) | 契約で決めた範囲の支払い・預金管理・事務手続等を行います。 |
| 判断能力が低下した後 | 任意後見契約 | 家庭裁判所が監督人を選任した後に、契約で定めた代理事務を行います。 |
| 死亡後の葬儀・住居等の手続 | 死後事務委任契約 | 連絡、葬儀・納骨の手配、精算、住居明渡し等を契約に従って行います。 |
| 死亡後の財産の承継 | 遺言+遺言執行者の指定 | 誰に財産を承継させるかを定め、その実現を担う人を決めます。 |
この組合せの具体例は、事例No.868「死後事務委任と遺言執行者の指定、みまもり契約など」もご覧ください。
2 任意後見契約――将来、誰に何を任せるかを自分で決める
任意後見は、契約内容を理解できる判断能力があるうちに、将来の生活・療養看護・財産管理に関する代理事務と受任者を決める制度です。任意後見契約は公正証書で作成し、登記されます(任意後見契約に関する法律2条・3条、後見登記等に関する法律5条)。
認知症の診断があるというだけで、直ちに契約できないわけではありません。ただし、契約内容を理解して選択できることが必要です。判断能力の状況や契約内容により、公証人との確認、医師の意見の取得、法定後見の検討等が必要になります。
委任する事務は具体的に決めます
- 預貯金の管理・払戻し、年金・保険金の受領、税金・公共料金の支払い。
- 不動産の維持管理、賃貸借、必要な売却等。ただし対象財産、条件、権限の範囲を明確にします。
- 医療・介護サービスや施設入所の契約、入院費・介護費の支払い。
- 契約紛争や債権回収への対応。訴訟等を任せる場合は、代理権と別途の受任・費用を確認します。
受任者には親族・知人・弁護士等の個人や法人を選ぶことができます。もっとも、未成年者、破産者等の欠格事由や不適任事由があり、誰でも適任とは限りません(同法4条1項3号、民法847条)。担当者が対応できなくなった場合の引継ぎ、報告の方法、財産の分別管理も確認してください。
任意後見契約を締結しただけでは、任意後見人としての代理権は始まりません。
本人の判断能力が不十分になった後、本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者等の法定の申立権者が家庭裁判所に申し立て、任意後見監督人が選任された時から効力が生じます。本人以外の申立てによる選任には、本人が意思表示できない場合を除き、本人の同意が必要です(同法4条)。
参照:最高裁判所・任意後見制度の概要 / 任意後見契約に関する法律(e-Gov法令検索) / 後見登記等に関する法律(e-Gov法令検索)
3 任意後見だけでは対応できないこと
判断能力の低下だけを理由とする取消権はありません
任意後見人には、法定後見人のような制限行為能力を理由とする取消権・同意権はありません。契約に「取消権を与える」と書いても、同じ権利が生じるわけではありません。ただし、本人が詐欺等を理由に持つ取消権について、代理権の範囲内で行使することは別途検討できます。悪質な契約を繰り返すなど取消しによる保護が必要な場合は、法定後見との関係を検討します(同法10条)。
医療同意・身元保証・緊急対応
任意後見人であることだけで、手術や延命治療等への包括的な同意権や、病院・施設への身元保証義務は生じません。希望する医療・ケアは、事前指示書やエンディングノート等に記録し、主治医や信頼する人と繰り返し話し合って共有します。記載すれば医療機関を一律に拘束する、というものでもありません。
事故で突然意識を失った直後など、監督人選任を待てない支払いには任意後見だけで対応できない場合があります。財産管理等委任、預り金、緊急連絡先、金融機関の代理手続等を事前に組み合わせます。
法定後見との優先関係
任意後見契約が登記されている場合、法定後見の開始審判は、本人の利益のため特に必要な場合に限られます。「任意後見契約があると法定後見の申立てが受理されない」という意味ではありません。保護の実効性を踏まえて裁判所が判断します。
4 見守り契約・財産管理等委任契約の組合せ
見守り契約――必要な時期に支援へつなぐ
定期的な電話、面談、必要に応じた訪問等で本人の生活状況を確認し、判断能力の変化があれば任意後見監督人の選任申立てにつなぎます。連絡頻度、連絡が取れない場合の対応、訪問費、医療・介護関係者との情報共有方法を契約で定めます。見守り契約だけで預金を動かす代理権が生じたり、24時間の駆け付けが当然に保証されたりするものではありません。
財産管理等委任契約――必要な範囲から代行を始める
判断能力はあるものの外出が難しい方などが、特定の支払いや手続を委任する契約です(民法643条・656条)。開始時期や権限を契約で定められ、契約直後から支援を始めることもできます。委任状・本人確認について金融機関等が独自の手続を定める場合があるため、契約書の作成と実際の利用準備を一緒に進めることが大切です。
移行型の設計と財産管理の透明性
財産管理等委任による支援から、判断能力の低下後に任意後見へ移る組合せを「移行型」と呼びます。契約では、任意後見へ移る判断・申立ての方法、移行後の委任契約の扱い、報酬の重複防止を決めます。監督のない委任だけを漫然と続けず、必要な時点で監督人の選任を申し立てる仕組みが重要です。
- 預り金・通帳等は受任者自身の財産と分けて管理し、受領書を交付する。
- 支出の目的・上限、領収書の保管、収支報告の頻度と報告先を決める。
- 多額の支出、不動産処分、利益相反行為の確認方法を決める。
- 契約の変更・解除、死亡時の精算・返還先、受任者が継続できない場合の対応を決める。
5 死後事務委任と遺言は、役割を分けて準備する
死後事務委任で定めること
本人の死亡後に必要となる葬儀・火葬・納骨の手配、親族等への連絡、病院・施設費用の精算、住居の明渡し、公共料金等の解約、遺品整理などを生前に依頼する契約です。死亡届等の法定の届出人資格や、金融機関・事業者ごとの取扱いを、契約だけで変更することはできません。
民法653条は委任者の死亡を委任終了事由としていますが、死亡後も事務を行う合意をすることは可能です。最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決は、死亡後の事務を依頼した契約について、死亡によって終了させない合意の効力を認めています。東京高裁平成21年12月21日判決は、特段の事情がない限り、承継者による解除を許さない趣旨の合意も含むと判断しています。契約内容・費用等により結論は異なります。両判決の紹介は事例No.868をご参照ください。
死後事務の契約には特別の法定方式はありませんが、実施項目、費用上限、預り金の管理、残金の返還、報告先を具体的に記載し、公正証書化を検討します。死亡後の口座から直ちに引き出せるとは限らないので、費用をどのように確保するかも準備します。
財産を渡す相手は、遺言等で定めます
「全財産を配偶者に相続させる」「公益団体へ寄付する」といった財産の承継は、死後事務委任だけで実現しようとせず、遺言等の適切な方法を用います。遺言執行者を指定しておくと、その職務の範囲で遺言を実現するための手続を担えます(民法1006条・1012条)。死後事務の受任者と同じ弁護士に依頼する場合も、権限・費用を区別しておきます。
任意後見は本人の死亡により終了します。成年後見人にも民法873条の2に基づく一定の死後事務は認められますが、条件や裁判所の許可を要する行為があり、葬儀・遺品整理等を包括的に任せられる制度ではありません。
6 子どものいないご夫婦・おひとりの方の注意点
子どもがいないご夫婦でも、相続人が必ず「配偶者と兄弟姉妹」になるわけではありません。亡くなった方の父母等の直系尊属が相続人になる場合があり、相続人を確認したうえで準備します。
| 相続人の組合せ | 法定相続分 | 遺言で検討すること |
|---|---|---|
| 配偶者と直系尊属 | 配偶者3分の2/直系尊属3分の1 | 直系尊属には遺留分があります。 |
| 配偶者と兄弟姉妹(代襲する甥・姪を含む) | 配偶者4分の3/兄弟姉妹側4分の1 | 兄弟姉妹・甥姪には遺留分がありません。 |
| 配偶者のみ | 配偶者が全部 | 遺言の必要性に加え、死後の手続を誰が担うかを確認します。 |
配偶者へ財産を承継させる遺言だけでは、残された配偶者の判断能力が低下した場合の財産管理までは決まりません。また、配偶者が先に亡くなった場合の承継先、2人の受任者を同じ人にする場合の利益相反、契約の引継ぎも考えておきます。ご夫婦の遺言はそれぞれ別の証書で作成します(民法975条)。
公正証書遺言は内容と作成経緯を明確にするうえで有用ですが、有効性を争われる可能性をゼロにするものではありません。意思能力に不安がある場合は、医師の所見や面談記録等の確保も検討します。
7 費用――契約時・継続中・任意後見開始後を分ける
| 段階・費目 | 考え方 |
|---|---|
| 任意後見契約の公証・登記費用 | 1契約の基本手数料13,000円、登記嘱託手数料1,600円、登記用収入印紙2,600円。合計17,200円に正本等・郵送等の費用が加わります。出張、複数契約、委任・遺言等の併設は別途確認します。 |
| 契約設計・作成支援の弁護士費用 | 財産の内容、契約数、調査・公証人との調整等に応じて事前に見積もります。 |
| 見守り・財産管理等の継続費用 | 連絡・訪問頻度、支払件数、管理内容等を契約で定めます。交通費や臨時業務費用も確認します。 |
| 任意後見人の報酬 | 本人と受任者の契約で定めます。開始前・開始後の金額、追加業務、改定条件を明確にします。 |
| 任意後見監督人の報酬 | 家庭裁判所が決定します。任意後見人の契約報酬とは別の費用です。 |
| 死後事務・遺言執行 | 弁護士報酬、葬儀・納骨・住居整理等の実費、預り金、精算方法をそれぞれ定めます。 |
公証費用は日本公証人連合会・任意後見契約(手続・公証費用)を参照しています。複数の契約を一緒に作成するときの総額は公証役場へ確認します。弁護士費用は、公証・登記費用とは別です。当事務所への依頼費用は、支援の内容、継続期間、消費税・実費を含めて個別にご案内します。
添付の最高裁報酬調査は「任意後見人の料金表」ではありません
最高裁の令和7年7月~12月の調査には、任意後見監督人の報酬付与事件1,357件が含まれていますが、契約で決まる任意後見人自身の報酬は調査対象ではありません。資料15では、親族以外の任意後見監督人・付加報酬の求め無し・流動資産1,000万円以上5,000万円未満の区分で、10万円台が54.1%、20万円台が32.1%でした。
この金額は審判が定めた対象期間全体の額です。12か月が基本ですが、12か月以外の期間も含まれるため、月額・一律の年額には換算できません。報酬調査PDF(資料15・本文16頁/PDF20頁)及び更新資料の公表ページをご参照ください。
8 ご相談から契約・見守り開始まで
- ご本人の希望、ご家族との関係、財産・収支、医療・介護の状況を伺います。
- 見守り、委任、任意後見、遺言、死後事務のうち必要なものを選び、受任者・代理権・費用・報告方法を整理します。
- 契約案を確認し、必要な資料を集め、公証人と調整して公正証書を作成します。
- 委任状・金融機関等の手続、連絡先・預り金等の管理を整え、合意した支援を開始します。
- 生活状況等の変化に応じて契約を見直し、必要になれば任意後見監督人の選任を申し立てます。
ご相談には、本人確認資料、家族関係のメモ、財産・収支のおおよその一覧、既存の遺言・委任契約等があればお持ちください。すべて揃ってからでなくても構いません。
契約を変更・終了したいとき
現行法では、任意後見監督人の選任前は、公証人の認証を受けた書面で解除できます。選任後の解除には正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です(任意後見契約に関する法律9条)。契約内容の変更にも、公正証書・登記との整合や必要な手続を確認します。
参照した法律相談Q&A事例集
- No.868 死後事務委任と遺言執行者の指定、みまもり契約など
任意後見・財産管理・見守り・遺言・死後事務を組み合わせる備え。 - No.1242 任意後見制度の概要
受任者の選び方、契約の開始・終了。 - No.1501 両親が意思無能力の場合の相続問題と対策
判断能力が低下した親の贈与や、親族による財産処分の問題。
参照法令・裁判所・政府・自治体の資料
条文番号は、上記の基準日に施行されている規定によります。下表は条文の要旨であり、条文全文ではありません。法令リンクでは施行日を選択して確認してください。
| 法令・条文 | 本ページとの関係 |
|---|---|
| 任意後見契約に関する法律(e-Gov法令検索)2~4条・6~11条 | 公正証書、開始時期、監督、解除、法定後見との関係。 |
| 民法(e-Gov法令検索)643~656条 | 委任・準委任、善管注意義務、報告、引渡し、費用、終了。 |
| 民法(e-Gov法令検索)873条の2 | 成年後見人が本人の死後に行える一定の事務。 |
| 民法(e-Gov法令検索)889条・890条・900条・969条・975条・1006条・1012条・1042条 | 相続人・相続分、公正証書遺言、共同遺言の禁止、遺言執行、遺留分。 |
| 後見登記等に関する法律(e-Gov法令検索)5条・10条 | 任意後見契約の登記と証明書。 |
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