新銀座法律事務所|不動産・民事執行

不動産競売で購入する前に――調査・入札・代金納付の手順

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裁判所の不動産競売は、債務者の不動産を売却し、その代金を債権者への支払に充てる手続です。一般の売買より有利な価格で取得できる場合もありますが、室内の確認、占有者との調整、修繕や権利関係に独特のリスクがあります。購入価格だけでなく、実際に使える状態にするまでの総費用で判断しましょう。

1.一般の売買との違い

競売では、裁判所が物件の品質や空室での引渡しを保証するわけではありません。売主との価格交渉や通常の内覧を当然に行える制度でもありません。落札した後に「想定と違った」「融資が下りなかった」と自由に取り消すことはできません。

価格が市場相場より何割安いかは、地域、占有状況、修繕、入札者数などで変わります。安さや一定の利回りを保証する説明には頼らず、登記・裁判所資料・現地状況を照合してください。

2.まずは「3点セット」と登記・現地を確認

資料読み取る内容特に注意する点
物件明細書買受人が引き受ける権利、占有者、法定地上権などについての裁判所の認識実体上の権利を確定する判決ではありません。記載がない事項も調査します。
現況調査報告書執行官の調査時点の使用状況、占有者の説明、写真など調査後に占有状況や建物状態が変わることがあります。
評価書評価額の根拠、建物・敷地・接道・法令制限など再建築、境界、越境、耐震性、修繕費を自分の利用目的に照らして確認します。
登記事項証明書・現地資料所有者、担保権、地役権、土地建物の範囲、道路・災害リスク登記上の面積・用途と現況が一致するとは限りません。自治体の都市計画・ハザードマップ等も確認します。

BITで資料を確認したら、事件番号と物件番号を控え、土地・建物・持分がどこまで一緒に売られるかを確かめます。マンションでは管理組合への滞納、修繕積立金、特別負担金や大規模修繕の予定も重要です。管理費・修繕積立金等の滞納債務は、区分所有法7条・8条により買受人(特定承継人)にも請求されるため、入札額を決める際には滞納額も考慮する必要があります。滞納額は数百万円以上になっている場合もあります。三点セットでは、具体的な滞納額は現況調査報告書又は評価書に記載されることがあり、物件明細書には「管理費等の滞納あり」などと表示される場合があります。記載額は調査時点の金額ですので、入札時にはその後の増減も確認してください。

現地調査のためでも、居住者の承諾なく敷地や建物へ入ることはできません。内覧を利用できるかは個別の手続と占有状況によります。

3.消える権利・残る権利と、借地上の建物

抵当権等は売却で消滅するのが基本ですが、買受人に対抗できる賃借権、地上権、地役権等が残る場合や、留置権の被担保債権を弁済する責任を負う場合があります(民事執行法59条)。「登記を消してもらえばすべて解決」とは限りません。

最高裁平成25年2月26日判決は、未登記の通行地役権でも、最先順位の抵当権設定時に通路の継続的使用が客観的に明らかで、抵当権者が認識し、又は認識できたなどの事情がある場合に、競売買受人に対抗できるとしました。現地の通路の使用状況も確認すべき理由です。最高裁平成25年2月26日判決:競売と通行地役権(PDF)

借地上の建物では、敷地の賃借権の譲渡について地主の承諾が必要になることがあります。承諾が得られないときの裁判所の許可申立てには、原則として建物代金支払後2か月という短い期限があります(借地借家法20条)。地代の滞納、借地契約の解除、譲渡の条件・財産上の給付も個別に確認し、承諾料を一律の割合で見積もらないでください。

4.入札から所有権取得まで

  1. 入札公告と資金計画:売却基準価額、買受可能価額、保証額、入札期間、開札期日を確認します。買受可能価額は売却基準価額の80%です。保証金は通常、売却基準価額の20%ですが、必ず公告の指定額を確認します。
  2. 書類・保証の準備:入札書、保証提供の証明、住民票・法人の資格証明等、暴力団員等に該当しない旨の陳述書など、当該裁判所の案内に従います。代理入札・共同入札には別の準備が必要です。
  3. 期間内に提出:入札書提出後の書換えや撤回はできません。郵送は期限内の到着が必要です。振込の反映や書類の不足にも余裕を持って対応します。
  4. 開札・売却許可:最高額でも直ちに所有者にはなりません。買受資格等の審査、売却許可決定、その確定を経ます。
  5. 代金納付:裁判所が指定する期限までに保証金を差し引いた残額を納付します。納付期限は通知で確認し、登録免許税等の準備も並行して進めます。
  6. 登記・引渡し:所有権は代金納付時に取得します(同法79条)。裁判所書記官が移転登記等を嘱託しますが、現実の明渡しは別に確認・手続が必要です。

納付期限を守らなければ買受けの権利を失い、提供した保証の返還も請求できなくなります。住宅ローン等を使う場合は、入札前に金融機関へ競売物件であることを伝え、実行条件と日程を確認してください。民事執行法82条2項の申出により、移転登記と融資の抵当権設定を調整する方法もあります。融資利用が常に可能という意味ではありません。

BIT:入札から代金納付までの手続/東京地裁:買受手続

5.税金・修繕・明渡しまで含めて予算を立てる

  • 落札代金のほか、所有権移転・抹消等の登録免許税、登記関係費用、不動産取得税を見込みます。競売による所有権移転の登録免許税は土地・建物とも原則2%で、通常の土地売買の軽減税率が当然に適用されるわけではありません。課税標準は原則として固定資産課税台帳の価格です。住宅用家屋の軽減は要件・証明書を別途確認します。
  • 不動産取得税は落札代金そのものを基準にする税ではありません。2027年3月31日までの取得では土地・住宅は原則3%、住宅以外の家屋は4%です。土地の課税標準の特例や住宅関係の控除があるため、所在地の都道府県税事務所で確認します。
  • 競売だから建物に消費税が一切関係しない、とはいえません。事業者が事業用資産を強制換価で譲渡する場合も課税対象になり得ます。土地は非課税です。入札額への税の反映や適格請求書等は個別に確認します。
  • 管理費等の承継、残置物の処理、引渡命令・強制執行、修繕、測量、保険、融資利息、空室期間の負担も見込みます。執行費用を相手方に請求できても、現実に回収できるとは限りません。

国税庁:登録免許税の税額表/東京都主税局:不動産取得税/国税庁:資産の譲渡の具体例(強制換価手続を含む)

6.購入後の引渡し・不具合と、弁護士への相談

前所有者や占有者が退去しないときは、任意の引渡し交渉、引渡命令、執行官による明渡しを検討します。引渡命令の申立期限は代金納付から原則6か月です。買受時に民法395条1項の抵当建物使用者が占有していた建物では9か月です。交渉中でも期限は進みます。詳しくは競売物件の引渡し・明渡しをご覧ください。

民法568条4項により、競売には通常の売買と同じ物の種類・品質に関する契約不適合責任の規定は適用されません。ただし、権利の欠缺等について別の救済が問題となることまで一律に否定するものではありません。不具合を見つけたら、資料を保存して原因・法的救済を個別に検討します。

弁護士には、3点セットと登記の確認、入札前の権利関係の評価、借地の承諾・許可、占有者との交渉や執行対応を相談できます。建物の構造や修繕費は建築士等の調査も必要です。

新銀座法律事務所への無料相談

競売物件への入札を検討している方、借地や占有者の権利が気になる方はご相談ください。 まずは無料の電話相談をご利用ください。概要を伺い、弁護士から5分程度を目安に一般的な見解をご案内します。

無料相談受付:0120-48-5791
つながらない場合:03-3248-5791
受付時間:平日9:00~21:00/土日祝日9:00~18:00

電話のほか、LINE・メールフォームからも受付できます。お名前、都道府県、電話番号、相談の概要をお知らせください。LINE・メールからの受付も、原則として弁護士から電話で回答します。事件番号、裁判所の通知、物件の登記、3点セットや契約・返済資料をご用意ください。入札、代金納付、引渡命令、無剰余通知等の期限があるときは、最初にお知らせください。

無料相談の方法・LINE・メール受付

詳しい資料検討、書面作成、代理活動等は、範囲と費用を確認して別途契約します。弁護士費用の案内もご覧ください。受付と回答は同時とは限りません。期限や緊急の事情は最初にお伝えください。最新の受付方法・時間は相談案内ページでご確認ください。

法令・公的資料・PDF

2026年9月28日確認。法令は施行中の規定と経過措置を確認し、未施行の改正と区別してください。書式・税率・受付方法は利用時点の公式案内もご確認ください。

裁判所の書式・PDFは、案内ページから最新版を確認してください。掲載した「買受けの手引」は令和6年4月版の参考資料であり、以後の改正・最新書式は現行の案内を優先します。