新銀座法律事務所|不動産・民事執行

不動産競売Q&A――購入前から費用・引渡しまで

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競売物件を検討している方から寄せられる疑問を、入札前に確認したい順にまとめました。金額や期限は個別の公告・裁判所通知が優先します。分からない点を落札後に調べるのではなく、入札前に総費用と利用できる権利を確認しましょう。

Q1.競売物件は必ず相場より安いのですか?

必ず安いとはいえません。競売特有の事情が評価に反映される場合はありますが、人気物件では入札が集中します。修繕、明渡し、借地の承諾、税金、空室期間を含めた総額と、同条件の一般売買物件を比べてください。希望の利益から逆算した上限を決め、その上限を超える入札を避けることが重要です。

Q2.「売却基準価額」「買受可能価額」「保証金」はどう違いますか?

売却基準価額は裁判所が評価に基づいて定める基準額、買受可能価額はそこから20%を控除した入札可能な下限額です。保証金は通常、売却基準価額の20%ですが、公告の指定が優先します。

例えば売却基準価額が1,000万円で通常の保証率なら、買受可能価額は800万円、保証金は200万円です。900万円で入札して買受人となった場合、既に納付した保証金を代金に充当し、残り700万円を納めます。税金等は別に必要です。

Q3.入札を取り消したり、ローンが通らなければ辞退したりできますか?

提出後の入札書の書換えや撤回はできません。買受人が期限までに代金を納付しないと、買受けの権利を失い、保証の返還も請求できなくなります。一般の売買のような融資利用特約を当然には使えません。ローンを利用するなら、入札前に金融機関と実行条件・日程を詰めてください。

Q4.室内を見られなくても、裁判所の資料だけで安心ですか?

物件明細書・現況調査報告書・評価書の「3点セット」は重要ですが、品質や権利を保証する書類ではありません。調査時点からの変更、見えない不具合、登記と現況の差もあり得ます。資料、登記、自治体の法令制限・災害情報、許された範囲での現地確認を組み合わせます。無断で立ち入ることはできません。

Q5.抵当権や賃借権などは全部消えますか?

抵当権等は売却で消滅するのが基本ですが、対抗できる賃借権、地上権、地役権等が残る場合があります。留置権の被担保債権を負担する場合もあります。物件明細書と順位・成立時期を確認します(民事執行法59条)。

最高裁平成25年2月26日判決では、最先順位の抵当権設定時の通路の外形・使用実態と抵当権者の認識等によって、未登記の通行地役権も買受人に対抗できるとされました。登記がないから権利がない、とは限りません。最高裁平成25年2月26日判決:競売と通行地役権(PDF)

Q6.建物だけを買えば、その土地も使えますか?

敷地利用権の確認が不可欠です。建物と土地の所有者、借地契約、法定地上権の成立、地代の滞納・解除の有無を確認します。競売で買えば必ず法定地上権が成立するわけではありません。

借地上の建物の取得で地主の譲渡承諾が得られない場合、借地借家法20条の許可申立てを検討します。原則として代金支払後2か月という期限があり、承諾料等が定額で決まる制度でもありません。敷地の権利を失えば、建物収去・土地明渡しが問題となり得ます。

Q7.落札後、すぐに住めますか?

代金納付で所有権を取得しても、占有者の退去・鍵の引渡しは別問題です。買受人に対抗できる賃借人には引渡しを求められない場合があります。一定の建物賃借人には民法395条による6か月の明渡猶予があります。前所有者に一律にこの猶予があるわけではありません。

引渡命令の申立期限は代金納付日から原則6か月、買受時に同条1項の使用者が占有していた建物は9か月です。詳しくは引渡し・明渡しの解説をご覧ください。鍵の交換や家財の廃棄を自分で強行してはいけません。

Q8.雨漏り等が見つかったら、修理費を請求できますか?

競売には通常の売買と同じ種類・品質の契約不適合責任は適用されません(民法568条4項)。落札後の修繕は買受人の負担となることを見込む必要があります。ただし、権利の欠缺等を含むすべての救済が排除されるわけではないため、重大な食い違いが分かったら証拠を保存し、事情に応じて相談してください。

Q9.登録免許税・不動産取得税は落札額にかかりますか?

どちらも原則として固定資産課税台帳の価格等を基礎に計算するため、落札額と同じとは限りません。競売による所有権移転の登録免許税は土地・建物とも原則2%で、一般の土地売買の軽減税率をそのまま使うことはできません。住宅用家屋の軽減が利用できるかは別途要件を確認します。

抹消登記の登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円ですが、抹消する登記ごとに計算が必要です。「抵当権の本数だけ×1,000円」とは限りません。裁判所の案内で確認してください。

不動産取得税は2027年3月31日までの取得について土地・住宅が原則3%、住宅以外の家屋が4%です。土地の課税標準の特例や住宅の控除等で変わるため、都道府県税事務所に確認します。国税庁:登録免許税の税額表/東京都主税局:不動産取得税

Q10.競売なら消費税はかからないのですか?

一律に非課税という説明は正確ではありません。事業者の事業用建物の強制換価も課税対象の取引になり得ます。土地の譲渡は非課税です。代金に含まれる税額や適格請求書等の取扱いは、公告、裁判所・税務上の取扱いを確認します。単純に落札額へさらに10%を加える、と決めつけないでください。国税庁:資産の譲渡の具体例(強制換価手続を含む)

Q11.その年の固定資産税や、滞納管理費も払うのですか?

固定資産税は原則として1月1日の所有者に課税されます。通常の売買で行う日割精算が競売にも当然に生じるわけではありません。ただし、滞納税の差押え等を含む個別の状況は確認が必要です。関連QA1212は取得年の税負担を検討した事例です。

区分所有建物の管理費・修繕積立金等は、区分所有法7条・8条等により買受人にも請求されることがあります。金額、対象期間、遅延損害金、規約、時効の完成・更新等を確認します。旧民法169条を説明した古いQAの結論を、2020年施行の改正民法下の債権へそのまま当てはめないでください。現行民法166条と経過措置に即して検討します。

Q12.耐震性・再建築・境界はどう調べますか?

建築年だけで安全性を判断しないでください。1981年6月1日の新耐震基準への移行は建築確認の時期等と関係し、完成年だけでは断定できません。構造、増改築、劣化、耐震診断も重要です。接道義務、既存不適格・違反建築、用途制限、境界・越境、災害リスクについて、自治体の担当窓口や専門家に確認します。再建築できない土地は、将来の利用や融資にも影響します。

Q13.賃貸投資なら、どのように収益を計算しますか?

表面利回りだけでなく、実際の回収見込みで判断します。年間家賃収入から空室・滞納、管理費、修繕、税・保険等を控除し、取得代金・取得諸費用・初期修繕を含めた総投資額と比較します。さらに借入返済後の手元資金も確認します。

「実質利回り=年間の実収入から運営費を控除した額÷総投資額」という計算でも、大規模修繕や売却時の費用・価格変動を別に見込む必要があります。競売物件に一定の高利回りが保証されることはありません。

Q14.競売が途中で取り下げられることはありますか?

返済や任意売却等により取り下げられる場合があります。買受けの申出後の取下げには買受申出人等の同意が必要となるのが原則です。取得を予定していても売却が最後まで進むとは限りません。所有者として回避策を探している方は競売を避ける・止めるための解説をご覧ください。

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競売への入札、税・費用、賃借人や借地権の扱いに疑問がある方はご相談ください。 まずは無料の電話相談をご利用ください。概要を伺い、弁護士から5分程度を目安に一般的な見解をご案内します。

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2026年9月28日確認。法令は施行中の規定と経過措置を確認し、未施行の改正と区別してください。書式・税率・受付方法は利用時点の公式案内もご確認ください。

裁判所の書式・PDFは、案内ページから最新版を確認してください。掲載した「買受けの手引」は令和6年4月版の参考資料であり、以後の改正・最新書式は現行の案内を優先します。