No.1824|インターネット記事の削除依頼について

サジェスト汚染の対策

民事|サジェスト汚染対策の具体的方法|検索事業者に対する削除依頼の可否・判断基準|最高裁判所平成29年1月31日決定他

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参照判例

質問

飲食店を経営しています。最近、従業員より「検索サイトでお店の名前を入れると変な検索候補が表示される」と言われました。それで試しに自分のスマホで検索窓に店の名前○○○を入力したところ、「○○○ ぼったくり」「○○○ やばい」と表示され驚愕しました。確かに最近お客さんが減ったねとスタッフと話していたところです。

どうしたらこの検索候補を消して貰うことができるでしょうか。こういうものを消してくれるSEOネットコンサルティング会社があると聞いたことがありますが、依頼して大丈夫でしょうか。

回答

1 検索エンジンの検索窓に単語を入力したときに、自動的に表示される検索候補のことを「サジェスト」と言います。英語で「示唆する」という単語で、要するに、他の検索者はこのような単語でも検索していますから、あなたも検索してみてはどうですか?と提案するものです。

2 このサジェスト表示の中に、検索した単語に「ネガティブワード=評価を下げてしまうような単語」が表示されてしまうことを「サジェスト汚染」と言います。これを解消するためには、「検索エンジン利用者の検索実績」と、「検索結果のサイトのクリック率」の2点を、共に減少させることが必要です。一般的に、「他の検索エンジン利用者の検索実績」を操作することは困難ですので、「検索結果のサイトのクリック率」の方に対策を行うことが原則になります。具体的に言えば、「当該検索結果のサイトを削除すること」「当該検索結果を削除すること」の2点の対策が考えられます。

3 このような「サイトを削除」したり、「検索結果を削除」したりする交渉を行うことは、法律紛争事件の代理人交渉となりますので、弁護士法72条により弁護士しか行うことができません。「ネットコンサルティング会社」には法的に行うことができない業務となります。

4 勿論、「ネットコンサルティング会社」が、SEOコンサルティング業務として、ネット検索結果の分析をして顧客に説明したり、サイト制作の代行や援助を行うことは何ら問題ありませんが、虚偽の情報を掲載するサイトを制作したり、サジェスト表示を操作することを目的として検索実績を増加させる検索行為を行うことは、検索サイト運営会社より「スパム行為」であると認定されてしまい、検索結果の表示において不利益に扱われてしまう可能性も考えられます。ご心配の場合は、経験のある法律事務所に御相談なさることを推奨致します。

5 その他関連する事例集はこちらをご覧ください。

解説

1 サジェスト汚染とは

ネット検索サイトで、検索窓に検索したい単語を入力すると、関連する検索候補が表示されることがあります。例えば、「喫茶店」と入力すると、他に何も入力していなくても、

「喫茶店 バイト」
「喫茶店 東京」
「喫茶店 新宿」
「喫茶点 英語」

という検索候補が表示されます。これを「サジェスト表示」「オートコンプリート」「入力補助機能」と言います。他の検索者がどのような検索語で検索しているかを示すもので、検索者の利便性を向上させる機能と言えます。

しかし、この検索候補に、いわゆる「ネガティブワード=評価を下げてしまうような単語」が表示されてしまうことがあります。例えば、店舗の名前を○○○とすると、検索窓に「○○○」と入力しただけで、

「○○○ 評判」
「○○○ メニュー」
「○○○ 求人」
「○○○ ぼったくり」
「○○○ やばい」

などと表示されてしますことがあります。このように「ぼったくり」とか「やばい」というようなマイナスイメージの単語がサジェスト表示に出現してしまい、顧客の利用に悪影響を生じてしまうことを「サジェスト汚染」と言います。

このサジェスト汚染の問題点は、検索サイト利用者が、当該サジェスト表示を見た時に、そのサジェスト検索結果をクリックして、実際に「ぼったくり」「やばい」に相当するような事実が掲載されているかどうか確認せずに、つまり、その表示が真実かどうかとは関係なく、このサジェスト表示を見ただけで、店舗の利用を差し控えてしまうことがあることです。

検索エンジンの運営会社にサジェストの削除を申し入れても、「当社は、検索者の利便性を高めるため、検索者全体の検索動向と、検索者全体の検索結果に対するクリック動向を基に、機械的にサジェスト候補を表示させているだけであり、問題がある場合は当該サイトの運営者に対して個別に連絡して下さい」というような態度を取ることが多いので、非常にやっかいな問題です。

2 サジェスト汚染の具体的対策

このように検索エンジンでは、特に意図的にサジェストワードを表示しているわけではなく、検索顧客の実際の検索動向に基づいて機械的に表示していますので、サジェスト表示を改善するための対策は次のようなことが考えられます。

(1) 当該サジェスト汚染の検索結果画面に表示されるサイトに、個別に管理者に連絡を取り、検索結果に表示されないように、サイト掲載内容の変更を求める通知を行う。

例えば「○○○ ぼったくり」の検索結果に表示されるサイトのページ内に、偶然でも、「○○○」という単語と、「ぼったくり」という単語が含まれている場合は、「○○○がぼったくりである」と記述しているわけではなくても、検索結果に表示されてしまい、サジェスト表示に影響を与えることになってしまいますので、文章の趣旨を変えない範囲で、「○○○」と「ぼったくり」という単語(または類義語)が同一ページ内に掲載されないように要請することが考えられます。

具体的には、サイト上に表示されている連絡先や連絡フォームから、サイト管理者に対して、URLを指定して、「当該サイトが当方店舗の検索結果に表示されており、サジェストワード「○○○ ぼったくり」の原因となっており経済的損害が発生しているので、削除もしくは内容変更を求める」という通知を行います。削除通知を実効的にするために、代理人弁護士を通じて連絡した方が良い場合もあります。

サイト管理者の連絡先が分からない場合は、NIC(ネットワークインフォメーションセンター)のWHOIS情報にアクセスしてドメイン名を入力して登録者情報を確認してみると良いでしょう。NICは、ドメイン名を管理している国際的な非営利組織です。

【参考リンク】
INTER NIC
JP NIC

(2) 当該サジェスト汚染の検索結果画面に表示されるサイトに、電気通信役務を提供しているプロバイダー業者に対して、「プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置の申し出」を行う。

これは、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)第3条2項2号に基づいて、プロバイダ業者に対して当該サイトの権利侵害情報を送信停止するように求める手続きです。

当該条文では、プロバイダ業者が、自己の権利を侵害されたと主張する者から、「当該権利を侵害したとする情報」、「侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由」を示して侵害情報の送信を防止する措置を講ずるよう申出があった場合に、当該侵害情報の発信者(プロバイダの顧客)に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったときに、送信防止措置(当該サイトのページ削除措置)を取っても、顧客に対する損害賠償義務を免除するというものです。

この通知についても、代理人弁護士を通じて連絡した方が、適切な対応を期待できる可能性が高くなるでしょう。

プロバイダ責任制限法

第3条2項 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一号 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二号 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下この号及び第四条において「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

参考書式

プロバイダ責任制限法に基づく侵害状法の通知書兼送信防止措置依頼書(書式例)

(3) 当該ネット検索サイトの運営会社に対して、サジェスト表示の苦情申し出又は法的削除申請を行う。サジェスト汚染の検索結果に表示されているサイトは、汚染の趣旨に合致しないので検索結果からの削除を請求する。

検索サイト運営会社の「法律に基づく削除に関する他の問題を報告する」窓口より法的主張を送信し、削除されない場合は、裁判所に削除請求の民事訴訟を提起又は削除仮処分命令の申し立てをすることになります。

これは、当該サジェスト表示の根拠となる検索結果に表示されているサイトが、「○○○がぼったくりである」という事実を掲載しているわけでもないのに、偶然、同一ページ内に「○○○」と「ぼったくり」という単語が含まれているために、「○○○ ぼったくり」という検索語の検索結果に表示され、それが、興味を引く単語であるため、多数の検索結果URLに対するクリックを誘引し、その結果として、サジェスト表示も行われ、店舗名で検索した多数の個客候補が、店舗の利用を躊躇・萎縮してしまうことにより、経済的損害を生じているため、検索結果からの削除を求めるという主張になります。

この点、最高裁判所平成29年1月31日決定は、「検索事業者による検索結果の提供は、公衆が、インターネット上に情報を発信したり、インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。」として検索事業者の情報流通における役割を評価しつつ、検索結果の削除請求をなしうる基準として、次のように判断しています。

検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。

比較衡量すべきものは、次の2点ということになります。

(あ)当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、上記記事等が掲載された後の状況変化(掲載が不要であること)、当該事実を公表されない法的利益

(い)その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況(掲載必要性)、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情

つまり、権利侵害を受けて削除請求する者の事情と、公衆の需要に応じて検索サービスを提供する事業者側の事情を比較衡量し、前者の法的利益が優越することが明らかな場合に限って、法的削除を認めるという基準を法解釈しました。

具体的事案については、罰金刑言い渡し後5年を経過している事案であっても、児童買春をした事実は「今なお公共の利害に関する事項であるといえる」とし、「本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものである」ということと併せて、法的削除請求を否定しました。

また、東京高裁平成29年6月29日判決は、振り込め詐欺の事案について、次のように判断しています。

振り込め詐欺は、平成15年頃から被害件数、被害額とも増加し、平成26年には被害額が全財産犯の現金被害額のおよそ50%に及んでおり、高齢者等を標的とし、多数の者が関与して組織的にかつ巧妙な手口により行われ、ここ10年以上にわたって我が国の大きな社会問題となり、強い社会的非難の対象となっている犯罪であって、その取締りの強化及び防犯等に関する社会的関心は高いことが認められる。

そして、本件リンク先ウェブページに掲載された記事には、控訴人は、詐取金の引き出しを専門に行うグループのリーダーとして振り込め詐欺に関与し、これまでに数億円の引き出しを請け負ったとみられるとの記載があることは、前記1認定のとおりであって、強い社会的非難の対象となっている振り込め詐欺の事案において決して小さくない役割を果たしたのであり、本件逮捕から約12年が経過しているものの、本件逮捕事実は、現在でもなお公共の安全・平穏に関わる社会的に正当な関心の対象であると認められ、本件逮捕事実を記載した記事の公表の必要性を否定することはできない。

さらに、前記前提となる事実のとおり、本件検索結果は、控訴人の氏名及び控訴人の住所地の属する市区町村名を検索語とした場合に検索結果として表示されるものの一部であることなどからすれば、本件検索結果の表示によって本件逮捕事実が伝達される範囲は、ある程度限られたものといえる。加えて、本件リンク先ウェブページに掲載されている本件逮捕事実を記載した記事は、本件逮捕当時に新聞に掲載された通信社又は新聞社作成の記事のコピーであって、これらの記事は、当時から社会問題となっていた振り込め詐欺について犯人逮捕の報道を行うものであり、公益を図る目的で公共の利害に関する事実を掲載したものといえる。

さらに、本件リンク先サイトは、消費者問題等に関するニュースを収集しているウェブサイトであって、本件リンク先ウェブページの掲載記事についても、一般市民を標的とした振り込め詐欺事件に関する公共性のある報道記事として保存し、ウェブサイト訪問者の閲覧に供しているものと認められる。

以上の諸事情に照らすと、前記1認定のとおり、執行猶予期間満了から約6年が経過し、控訴人が、本件犯罪について有罪判決を受けた後約11年半にわたって再犯に及ぶことなく一市民として日常生活を営み、現在は妻子とともに暮らし、会社の代表取締役として事業を行っていることを考慮しても、控訴人の本件逮捕事実を公表されない法的利益が本件検索結果を提供する理由に関する諸事情に優越することが明らかであるとは認められないというべきである。

この判例では、振り込め詐欺のような社会的に関心の高い重要事案については、逮捕後12年経過して、有罪判決を受けて11年半にわたって再犯することなく市民生活を営んでいたとしても、逮捕事実を公表されない利益が、公衆の要請を受けた検索事業者側の事情に明らかに優越するとは言えないと判示しています。当該案件では執行猶予期間(5年間)の満了により刑の言い渡しの効力は消滅しており(刑法27条)、法的に刑の消滅に至っている事案でも、過去の前科が公表され得ると判断していることは注目に値します。

このように見て来ますと、検索結果のURLに掲載されている事実が、過去の真実に合致するものであり、その事実を公衆に公表する利益が大きい事案については、削除請求する側の事情が明らかに優越すると判断されることは非常に困難であると言えます。

他方、検索結果のURLに掲載されている事実が、過去の真実に合致しないものであり、又は、その事実を公衆に公表する利益が大きいと言えない事案については、削除請求する側の事情が明らかに優越すると判断され得ることになります。具体的事案における見通しについては、経験のある弁護士に資料を提示して相談を受けると良いでしょう。

3 ネットコンサルティング会社について

前記の様なサジェスト汚染対策の法的手続きは、法的紛争を代理で解決する業務となりますので、弁護士法72条により、資格を受けた弁護士でないと業として行うことができません。

刑事、民事、家事、商事、全て国民の権利義務に関する法的紛争は、時には人の一生をも左右する重大な問題ですので、能力と倫理を担保された登録資格者に限定して取り扱わせることにより、これらの権利を保護しようとする趣旨です。

弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

従いまして、ネットコンサルティング会社が、あなたの意向を受けて代理・代行で、削除請求の手続きを行うことは法的にできません。ネットコンサルティング会社にできることは、ネット検索結果に関する調査・分析などの業務ということになります。また、あなたに代わって、新たなウェブサイトを制作する業務などを行う事もできます。

しかし、虚偽の情報を掲載するサイトを制作したり、中身の無い情報を掲載するサイトや、多数のコピーサイトを制作したり、サジェスト表示を操作することを目的として検索実績を増加させる検索行為を行うことは、検索サイト運営会社より「スパム行為=検索エンジンに対する妨害行為」であると認定されてしまい、検索結果の表示において順位が下がってしまうなど不利益に扱われてしまう可能性も考えられます。

悪質なネットコンサルティング会社の場合は、調査名目でサジェスト汚染となるような検索ワードの検索実績を自ら増加させていることが疑われるケースもあります。上場企業などであれば法令遵守(コンプライアンス)もある程度担保されますが、それ以外のケースでは法令遵守を確保する手段が限られてしまいます。ご心配な場合は、SEOネットコンサルティング会社に連絡する前に、経験のある法律事務所に御相談なさると良いでしょう。

以上

関連事例集

  • その他の事例集は下記のサイト内検索で調べることができます。

Yahoo! JAPAN

参照判例

参考判例、最高裁平成29年1月31日決定

平成28年(許)第45号
投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
平成29年1月31日 第三小法廷決定

主 文

本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。

理 由

抗告代理人神田知宏の抗告理由について

1 記録によれば、本件の経緯は次のとおりである。
(1) 抗告人は、児童買春をしたとの被疑事実に基づき、平成26年法律第79号による改正前の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され、同年12月に同法違反の罪により罰金刑に処せられた。抗告人が上記容疑で逮捕された事実(以下「本件事実」という。)は逮捕当日に報道され、その内容の全部又は一部がインターネット上のウェブサイトの電子掲示板に多数回書き込まれた。

(2) 相手方は、利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し、ウェブサイトを識別するための符号であるURLを検索結果として当該利用者に提供することを業として行う者(以下「検索事業者」という。)である。

相手方から上記のとおり検索結果の提供を受ける利用者が、抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件として検索すると、当該利用者に対し、原々決定の引用する仮処分決定別紙検索結果一覧記載のウェブサイトにつき、URL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋(以下「URL等情報」と総称する。)が提供されるが、この中には、本件事実等が書き込まれたウェブサイトのURL等情報(以下「本件検索結果」という。)が含まれる。

2 本件は、抗告人が、相手方に対し、人格権ないし人格的利益に基づき、本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案である。

3(1) 個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきである(最高裁昭和52年(オ)第323号同56年4月14日第三小法廷判決・民集35巻3号620頁、最高裁平成元年(オ)第1649号同6年2月8日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁、最高裁平成13年(オ)第851号、同年(受)第837号同14年9月24日第三小法廷判決・裁判集民事207号243頁、最高裁平成12年(受)第1335号同15年3月14日第二小法廷判決・民集57巻3号229頁、最高裁平成14年(受)第1656号同15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973頁参照)。他方、検索事業者は、インターネット上のウェブサイトに掲載されている情報を網羅的に収集してその複製を保存し、同複製を基にした索引を作成するなどして情報を整理し、利用者から示された一定の条件に対応する情報を同索引に基づいて検索結果として提供するものであるが、この情報の収集、整理及び提供はプログラムにより自動的に行われるものの、同プログラムは検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った結果を得ることができるように作成されたものであるから、検索結果の提供は検索事業者自身による表現行為という側面を有する。また、検索事業者による検索結果の提供は、公衆が、インターネット上に情報を発信したり、インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。そして、検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法とされ、その削除を余儀なくされるということは、上記方針に沿った一貫性を有する表現行為の制約であることはもとより、検索結果の提供を通じて果たされている上記役割に対する制約でもあるといえる。

以上のような検索事業者による検索結果の提供行為の性質等を踏まえると、検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。

(2) これを本件についてみると、抗告人は、本件検索結果に含まれるURLで識別されるウェブサイトに本件事実の全部又は一部を含む記事等が掲載されているとして本件検索結果の削除を求めているところ、児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は、他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが、児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることに照らし、今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また、本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。

以上の諸事情に照らすと、抗告人が妻子と共に生活し、前記1(1)の罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても、本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。

4 抗告人の申立てを却下した原審の判断は、是認することができる。論旨は採用することができない。

よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

参考判例、東京高裁平成29年6月29日判決

平成29年6月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成28年(ネ)第5434号検索結果削除請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成27年第35544号)
口頭弁論終結日平成29年4月13日

主文

1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1控訴の趣旨

1原判決を取り消す。

2被控訴人は、原判決別紙検索結果目録記載のURLにより表示されるウェブページから、同目録記載の各検索結果を削除せよ。

第2事案の概要

1本件は、控訴人が、インターネット上のウェブサイトの検索サービスを提供する被控訴人に対し、被控訴人の運営する検索サイト上で控訴人の氏名等の一定の文字列により検索を行うと、検索されたウェブページに関して被控訴人のシステムが作成したタイトル、URL及び控訴人が過去に逮捕された旨の記述を含むウェブページの抜粋(スニペット)が表示されることから、これにより控訴人の人格権の一内容である更生を妨げられない利益が侵害されているとして、人格権に基づき、上記検索結果(タイトル、URL及びスニペット)の削除(検索結果を表示することの差止め)を求めている事案である。

原審は、控訴人の請求を棄却し、控訴人が控訴した。

2前提となる事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」第2の1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。

(原判決の補正)

原判決2頁24行目の「検索情報」及び同頁26行目の「情報」の次にそれぞれ「ないし索引」を加える。

同3頁13行目末尾の次に改行の上、以下を加える。

「本件検索結果においてタイトル、URL及びスニペットが表示される各ウェブページ(以下「本件リンク先ウェブページ」という。)は、同一のウェブサイト(以下「本件リンク先サイト」という。)内のものである(甲1)。」

同8頁10行目の「同一であって」を「本件リンク先サイトであって」と、

同頁12行目の「リンク先のウェブサイト」を「本件リンク先サイト」とそれぞれ改める。

3

当審における当事者の補充主張

(控訴人の主張)

最高裁平成28年第45号同29年1月31日第三小法廷決定・民集71巻1号63頁(以下「平成29年最決」という。)の示した判断枠組みについて

ア平成29年最決は、ある者のプライバシー等に属する事実を公表されない法的利益と、当該事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋(以下「URL等情報」という。)を検索結果として提供する理由に関する諸事情とを比較衡量した結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、その者は、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるとしている。

上記の「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」とは、検索事業者による検索結果の提供によるプライバシー等の人格的利益の制限が受忍限度を超える場合を示したものであり、その意義については、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項1号所定の「権利が侵害されたことが明らかであるとき」との要件(以下「権利侵害の明白性要件」という。)の解釈を参考にして解釈すべきである。権利侵害の明白性要件は、発信者の有するプライバシー及び表現の自由の利益と被害者の権利回復を図る必要性との調和を図るべく、権利侵害が明らかであることが要件とされたものであり、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情の不存在を意味すると解されている。平成29年最決の趣旨、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求権がインターネット上の権利侵害による被害者の救済を目的として立法化されたとの立法事実と検索結果削除請求権の背景事情との類似性からすれば、平成29年最決の「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」とは、プロバイダ責任制限法の権利侵害の明白性要件と同様に、「違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情の不存在」を意味するものと解すべきである。

そして、平成29年最決が、総合衡量の結果として「優越することが明らか」との規範を定立していることからすれば、一つの違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情が存在すれば、「優越することが明らか」の要件を満たさなくなると解すべきではなく、複数の評価根拠事実の総合衡量の結果として、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情が存在するかどうかを判断すべきである。

イ平成29年最決は、前科等のある者の更生を妨げない利益について触れていないが、最高裁平成元年第1649号同6年2月8日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁(以下「平成6年最判」という。)は、前科等をみだりに公表されない利益を法的保護に値する利益であると判示しているから、前科等のある者の更生を妨げられない利益については、プライバシー一般とは別途の配慮・検討を要すると解すべきである。

また、最高裁平成12年第1335号同15年3月14日第二小法廷判決・民集57巻3号229頁(以下「平成15年最判」という。)の差戻後の控訴審判決である名古屋高裁平成16年5月12日判決・判例時報1870号29頁、判例タイムズ1198号220頁(以下「平成16年名古屋高判」という。)は、前科等に関わる事実の公表によってその者が被る具体的被害の程度の検討において、事件発生からの時間的経過等を踏まえて、その者が短期間で社会復帰することは予想し難いなどとして、社会復帰への影響を検討しており、その判断は、その後の上告審の判断においても否定されていない。したがって、判例は、前科等に関わる事実の公表によりその者が受ける「具体的な被害の程度」とは、更生を妨げられない利益の侵害の度合いであると解し、時間の経過による公共性の減少も、上記の度合いの判断において考慮すべきものと位置づけていると解される。

以上によれば、犯罪時からの時間の経過等、前科等のある者の更生を妨げられない利益の侵害の程度は、平成29年最決が比較衡量の考慮要素として挙げる「その者が被る具体的被害の程度」の問題として検討されるべきである。

本件について前記の解釈を前提として、平成29年最決の掲げる考慮要素に応じて、控訴人の更生を妨げられない利益(本件逮捕事実を公表されない控訴人の法的利益)と本件検索結果を提供する理由に関する諸事情を比較衡量すると、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在せず、前者が優越することが明らかであるから、本件検索結果の削除請求は認められるべきである。

ア事実の性質及び内容

本件で問題となっている事実は、控訴人の逮捕記事における実名の記載及び逮捕の事実であり、同事実をみだりに公表されず、更生を妨げられない利益は、法的保護の対象となる人格的利益である。

本件リンク先ウェブページには、控訴人がオレオレ詐欺の出し子として逮捕された事実が記載されているところ、オレオレ詐欺は、強い社会的非難に値するものの、出し子は犯罪集団の核心部分ではなく末端に位置する者にすぎないし、本件犯罪には、法令改正のきっかけとなったなどの事情はなく、現在でも実名で報道されなければならないほどの歴史的又は社会的意義はない。

イ事実が伝達される範囲及び控訴人が被る具体的被害の程度等

本件検索結果に含まれる本件逮捕事実は、インターネット上に表示されて世界中に伝達される。また、本件検索結果は、控訴人の氏名及び控訴人の住所地の属する市区町村名を検索語として検索する場合だけでなく、控訴人の氏名のみを検索語として検索する場合も、検索結果として表示されるから、本件逮捕事実が伝達される範囲は広い。

控訴人は、■に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた後、起業により更生する道を選び、現在、妻子と共に平穏な生活をしているが、被控訴人による本件検索結果の提供によって、控訴人と一定の社会生活上の関係を築いている者が、本件サイトを用いて検索を行い、本件検索結果を閲覧し、さらに本件リンク先ウェブページを閲覧して、控訴人が振り込め詐欺の引き出し役のグループのリーダー格であったこと等、より詳細な犯罪情報を知る可能性が高く、これらの情報を知った者が、控訴人との交流を敬遠し控訴人が新たに形成している社会生活の平穏を害する事態が生じると考えられる。本件犯罪から約12年が経過し、控訴人に科された刑が執行猶予期間の満了により消滅してから既に約6年が経過したことからすれば、本件検索結果の表示によって、控訴人の更生が妨げられない利益が侵害される度合いは大きい。

控訴人は会社の社長であるにすぎず、社会一般に対する影響力はない。

ウ記事等の目的や意義、掲載時の社会的状況とその後の変化、当該記事において本件逮捕事実を記載する必要性本件リンク先ウェブページに掲載されている本件逮捕事実に関する記事は、実名による犯罪報道であり、本件逮捕当時におけるこれらの記事の公共性、実名報道の必要性は肯定されるであろう。また、本件逮捕時以降、振り込め詐欺をめぐる社会的状況に、変化の兆しはない。

しかしながら、犯罪類型一般についての利益状況から控訴人に不利益を与えることは、他人の行為により不利益を与えることにつながり、自己責任の原則に反する。また、実名報道の意義は、報道の正確性の担保にあるところ、本件犯罪から約12年が経過した現在においては、本件犯罪を実名で報道する必要はなく、本件リンク先ウェブページに本件逮捕事実を実名で記載する必要性はない。現に、これらの記事を作成した報道機関自体は、報道から2週間ないし1年後頃に実名報道記事をインターネットから削除し、アーカイブにおいても実名を仮名に変えるなどの処理をしている。

これらの記事のコピーが報道から約12年経過後も残り続ける必要性はない。

(被控訴人の主張)

平成29年最決の示した判断枠組みについて

ア平成29年最決は、検索エンジンの役割の重要性や検索結果削除による知る権利等への影響を重視し、私的事実を公表されない法的利益(プライバシーの利益)と当該検索結果に関する公共の利益を比較衡量して、前者が後者を明らかに上回る場合に限り、検索結果の削除請求が認められる(わずかに上回る程度では検索結果の削除は認められない)という厳格な基準を示したものと解すべきである。このように厳格な基準が採用された理由は、検索エンジンがインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしているからであると考えられる。

イ発信者情報開示請求権の権利侵害の明白性要件を定めるプロバイダ責任制限法4条1項1号の趣旨は、発信者のプライバシー及び表現の自由の利益と、被害者の権利回復を図る必要性との調和であって、同規定において想定されている利益状況は、検索結果の削除を求める事案とは異なる上、発信者情報開示請求権と人格権に基づく検索結果の削除請求権とは、発生する効果を異にするから、平成29年最決の「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」との判断基準を、権利侵害の明白性要件と同様に解すべきであるとの控訴人の主張は、合理性を欠く。また、違法性阻却事由の存在をうかがわる事情が一つ存在するだけで直ちに、上記の「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」への該当性が否定されることにはならないとの控訴人の主張も、合理的根拠を欠く。

ウ平成16年名古屋高判が、当該事案の若年の元被告人の社会復帰について説示していることは、本件とは全く無関係なことであり、これをあえて「更生を妨げられない利益」としてプライバシーとは別に検討すべき必要性は認められない。なお、「更生を妨げられない利益」とは、犯罪後の社会復帰を妨げられない利益を抽象的にいうものと考えられるが、控訴人について社会復帰を妨げられているという事情はおよそ認められない。

本件について

本件について平成29年最決の示した判断枠組みに従って以下のアないしウのとおり比較衡量をすると、本件検索結果を表示することについては公共の利益が認められる一方、控訴人に生じる不利益は全く認められず、本件逮捕事実の重大性や、会社代表者という控訴人の属性に照らすと、本件逮捕事実を公表されない控訴人の法的利益(プライバシー保護の利益)が本件検索結果に関する公共の利益に優越することが明らかであるとはいえないから、被控訴人は本件検索結果の削除義務を負わない。

ア事実の性質及び内容

本件検索結果には、控訴人が■金銭を詐取するいわゆる振り込め詐欺の容疑で逮捕されたとの本件逮捕事実が含まれている。本件逮捕事実の具体的な内容は、控訴人が、振り込め詐欺の詐取金の引き出し役のグループのリーダーとして、振り込め詐欺に関与していたとの事実であり、控訴人は、詐欺罪で懲役3年、執行猶予5年(保護観察付き)の有罪判決を受けていること、振り込め詐欺は、今なお社会的に注目されている犯罪であり、被害金額も大きく、悪質な犯罪であること、執行猶予期間満了から約6年程度しか経過していないことなどを考えると、本件逮捕事実は、強い公益性を有する事実であり、今なお公共の関心事といえる。

イ事実が伝達される範囲及び控訴人が被る具体的被害の程度等

本件検索結果は、控訴人の氏名及び住所地名を検索語として検索した場合に表示されるものであり、本件逮捕事実が伝達される範囲は極めて限定されているといえる。

控訴人の主張する本件検索結果の表示により受ける不利益については、これを裏付ける客観的な証拠はなく、具体的な被害は認められない。また、控訴人の主張する「更生を妨げられない利益」なる法益が、プライバシー権と別個に観念されるものではないことは、前記ウのとおりである。控訴人は、妻子と共に生活し、会社の代表取締役として事業を行い、社会復帰等が妨げられているという事情は全く見受けられない。

控訴人は、二つの株式会社の代表取締役を務め、これらの会社の代表として対外的な責任を負っており、その影響力は大きい。そのような地位を有する者が、かつて詐欺罪で逮捕・処罰されたという事実は、会社の顧客や一般の消費者を含む取引先、銀行等の融資者にとって重大かつ正当な関心事である。

ウ記事等の目的や意義、掲載時の社会的状況とその後の変化、当該記事において本件逮捕事実を記載する必要性本件リンク先サイトは、消費者問題等に関するニュースを収集しているウェブサイトであり、消費者問題等、公共性の高いニュースを収集・保存し、ウェブサイト訪問者の閲覧に供している点で、一定の公益目的、公共性が認められる。また、同種のニュースが集積されており、比較や検索などが容易となっている点や、新聞社等のニュースサイトの情報は一定期間の経過により閲覧することができなくなってしまうが、そうした情報を保存して閲覧可能な状態を維持しておくという点でも、公共上の意義を有している。

本件逮捕事実が本件リンク先ウェブページに掲載された時点から現在に至るまで、振り込め詐欺に対しては一貫して強い社会的非難がされており、この点で社会的状況の変化はない。

犯罪の実名報道は、報道の正確性・信頼性等の観点から広く行われており、本件リンク先サイトにおいても実名を記載する必要性がある。また、本件検索結果が控訴人の氏名及び住所地名を検索語として検索した場合に表示されるものであることを考えると、本件検索結果においても実名を表示する必要がある。さらに、本件リンク先サイトは、新聞社等の報道機関によるニュースを引用しているものであり、引用の正確性の観点からも、実名を記載する必要がある、

第3当裁判所の判断

1当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり補正し、後記2のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」第3に記載のとおりであるから、これを引用する。

(原判決の補正)

原判決10頁21行目の「ウェブサイト」の次に「(本件リンク先サイト)」を、同頁22行目の「ウェブページ」の次に「(本件リンク先ウェブページ)」を加える。

同10頁26行目の「本件」から「ウェブページ」までを「本件リンク先ウェブページ」と改める。

同11頁7行目の「乙」の次に「20、乙」を加える。

同11頁8行目末尾の次に改行の上、以下を加える。

「ウ 本件リンク先サイトは、■との名称であり、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集・保存し、同ウェブサイト訪問者の閲覧に供しており、同ウェブサイト訪問者は、記事の登録のほか、既に登録されている記事に対するコメントや追加情報の投稿も行うことができる(甲1、甲26の1ないし3、乙36の1及び2)。」

同11頁14・15行目の「広がるなどして、」の次に「振り込め詐欺は多数の者が関与して組織的にかつ巧妙な手口により行われ、」を加え、同頁21行目の「乙21、22」を「乙21ないし25」と改める。

同11頁22行目の「警察は」を「振り込め詐欺は、ここ10年以上にわたり我が国の大きな社会問題となっている犯罪であって、強い社会的非難の対象となっており、その取締りの強化及び防犯等に関する社会的関心は高く、警察は」と改める。

同12頁10行目の「26頁」の次に「・27頁」を加える。

同12頁11行目の「本件」から「ウェブサイト」までを「本件リンク先

サイトの」と改める。

同12頁25行目冒頭から同14頁18行目末尾までを次のとおり改める。

「そして、前科等にかかわる事実は、個人のプライバシーに属する事実であり、これをみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきである(最高裁昭和52年第323号同56年4月14日第三小法廷判決・民集35巻3号620頁、平成6年最判、平成15年最判、平成29年最決等参照)。

一方、前記前提となる事実及び前記1認定の事実によれば、被控訴人の提供する本件検索サービスは、被控訴人が開発したプログラムによって、機械的かつ自動的に、インターネット上の既存のウェブページを収集し、それらのウェブページの情報を解析して検索情報ないし索引(インデックス)を作成して情報を整理し、本件サイトの利用者が入力した検索語に応じて、被控訴人が定めた一定のアルゴリズムに従って、検索語と関連性のある既存のウェブページを抽出し、そのタイトル、URL及び抜粋(スニペット)のリストを検索結果として提供するサービスであるが、上記ウェブページの収集、整理、抽出及び検索結果の提供(表示)は、検索結果の提供に関する被

控訴人の方針に沿った結果を得ることができるように作成されたプログラムによって行われていることに鑑みれば、検索結果の提供は、被控訴人による表現行為という側面を有するものと認められる。また、被控訴人を含む検索事業者による検索結果の提供は、公衆が、インターネット上に情報を発信したり、インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしていることが認められるから、被控訴人による特定の検索結果の提供行為が違法とされ、その削除を余儀なくされることは、前記の被控訴人の表現行為の制約となるだけでなく、検索結果の提供を通じて果たされている上記役割に対する制約ともなると認められる。

以上の検索事業者による検索結果の提供行為の性質等を踏まえると、被控訴人のような検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である(平成29年最決参照)。」

同15頁11行目の「違法性のある表現」を「前記.の判断基準を満たす検索結果の提供」と改める。

同16頁2行目冒頭から同頁24行目末尾までを次のとおり改める。

「しかしながら、被控訴人の本件検索サービスによる検索結果の提供が、被控訴人の方針に沿った一貫性のある表現行為という側面を有するものであり、また、被控訴人を含む検索事業者による検索結果の提供が、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしていることを踏まえて、検索事業者に対し検索結果の削除義務を課することは、検索事業者の表現行為に対する制約となるだけでなく、上記役割に対する制約ともなることを考慮して、個人のプライバシーに属する事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当であることは、前記説示のとおりである。被控訴人の主張は採用することができない。」

同17頁3行目の「主張する」から同20頁20行目末尾までを次のとおり改める。

「主張し、その根拠として、本件検索サービスの提供がインターネット上の情報流通において公益的な役割を果たしていること、被控訴人に対する検索結果の削除請求を認めれば、迅速な検索結果の提供を不可能にするほか、リンク先のウェブサイトにおける適法な表現まで過剰に削除したり、適法な表現へのアクセスが制限されたりして、萎縮的効果が生じたり、表現の自由への過剰な制約が生じたりするなどの弊害が生じることなどを挙げる。

しかしながら、被控訴人の本件検索サービスによる検索結果の提供が、被控訴人の方針に沿った一貫性のある表現行為という側面を有するものであり、被控訴人を含む検索事業者による検索結果の提供が、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしていることを踏まえて、検索事業者に対し検索結果の削除義務を課することは、検索事業者の表現行為に対する制約となるだけでなく、上記役割に対する制約ともなることを考慮して、個人のプライバシーに属する事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当であることは、前記説示のとおりである。被控訴人の主張は採用することができない。」

同20頁22行目冒頭から同23頁8行目末尾までを次のとおり改める。

「前記説示の判断枠組みに従って、控訴人の本件検索結果の削除請求の可否について検討する。前記前提となる事実及び前記1認定の事実によれば、本件リンク先ウェブページに掲載されている控訴人が振り込め詐欺の容疑で逮捕されたとの事実(本件逮捕事実)は、控訴人の前科等にかかわる事実であり、他人にみだりに知られたくない控訴人のプライバシーに属する事実ではあるが、詐欺は、法定刑が10年以下の懲役である重い犯罪であり(刑法246条1項)、前記1認定のとおり、振り込め詐欺は、平成15年頃から被害件数、被害額とも増加し、平成26年には被害額が全財産犯の現金被害額のおよそ50%に及んでおり、高齢者等を標的とし、多数の者が関与して組織的にかつ巧妙な手口により行われ、ここ10年以上にわたって我が国の大きな社会問題となり、強い社会的非難の対象となっている犯罪であって、その取締りの強化及び防犯等に関する社会的関心は高いことが認められる。そして、本件リンク先ウェブページに掲載された記事には、控訴人は、詐取金の引き出しを専門に行うグループのリーダーとして振り込め詐欺に関与し、これまでに数億円の引き出しを請け負ったとみられるとの記載があることは、前記1認定のとおりであって、強い社会的非難の対象となっている振り込め詐欺の事案において決して小さくない役割を果たしたのであり、本件逮捕から約12年が経過しているものの、本件逮捕事実は、現在でもなお公共の安全・平穏に関わる社会的に正当な関心の対象であると認められ、本件逮捕事実を記載した記事の公表の必要性を否定することはできない。さらに、前記前提となる事実のとおり、本件検索結果は、控訴人の氏名及び控訴人の住所地の属する市区町村名を検索語とした場合に検索結果として表示されるものの一部であることなどからすれば、本件検索結果の表示によって本件逮捕事実が伝達される範囲は、ある程度限られたものといえる。加えて、本件リンク先ウェブページに掲載されている本件逮捕事実を記載した記事は、本件逮捕当時に新聞に掲載された通信社又は新聞社作成の記事のコピーであって、これらの記事は、当時から社会問題となっていた振り込め詐欺について犯人逮捕の報道を行うものであり、公益を図る目的で公共の利害に関する事実を掲載したものといえる。さらに、本件リンク先サイトは、消費者問題等に関するニュースを収集しているウェブサイトであって、本件リンク先ウェブページの掲載記

事についても、一般市民を標的とした振り込め詐欺事件に関する公共性のある報道記事として保存し、ウェブサイト訪問者の閲覧に供しているものと認められる。

以上の諸事情に照らすと、前記1認定のとおり、執行猶予期間満了から約6年が経過し、控訴人が、本件犯罪について有罪判決を受けた後約11年半にわたって再犯に及ぶことなく一市民として日常生活を営み、現在は妻子とともに暮らし、会社の代表取締役として事業を行っていることを考慮しても、控訴人の本件逮捕事実を公表されない法的利益が本件検索結果を提供する理由に関する諸事情に優越することが明らかであるとは認められないというべきである。

控訴人の主張について

控訴人は、控訴人の経営する会社が、取引先等から、本件検索結果の表示により本件逮捕事実を知ったことを理由として融資や取引を断られるなどの具体的な不利益を受けたと主張し、控訴人の陳述書(甲2)には、控訴人の経営する会社の融資の申込みが断られた理由は、インターネット上の記事が問題視されたことにあったらしいとの記載がある。前記.説示のとおり、プライバシーに属する事実が伝達されることにより、その者が被る具体的被害の程度は、当該事実を公表されない法的利益の判断に当たって考慮すべき要素であるが、上記陳述書の記載は、推測を述べるものに止まり、前記融資申込みの拒絶の理由が、本件検索結果の表示による本件逮捕事実の公表によるものであったことを認めるに足りず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。

また、控訴人は、本件検索結果の表示により本件逮捕事実が公表されることによって、控訴人の経営する会社の従業員に不安を与え、控訴人の子供らの生活にも支障を来すなど、控訴人が新たに形成している社会生活が破壊されるおそれがあると主張し、その陳述書(甲2)にも同旨の記載があるが、これについても、本件検索結果の表示による本件逮捕事実の公表によって、控訴人の経営する会社の従業員に不安を与え、控訴人の子供らの生活に影響が生じる具体的なおそれがあることを認めるに足りる証拠はない。

控訴人の上記主張及び陳述書の記載は、結局のところ、控訴人の内心の不安、懸念を述べるに止まるものといわざるを得ず、前記の判断を左右するものとはいえない。控訴人の主張は採用することができない。また、控訴人は、本件逮捕事実は、10年以上前の詐欺罪についてのものであり、詐欺罪の公訴時効が7年(刑訴法250条2項4号)であることにも照らせば、現在、公共の関心は希薄化しており、本件逮捕事実自体が殊更社会に重大な影響を与えたとはいえず、控訴人は一般私人であって政治活動をしているわけでもないから、実名により本件逮捕事実を控訴人の知人らに知らしめる必要性は低いと主張する。

しかしながら、振り込め詐欺が今なお我が国の大きな社会問題となっており、強い社会的非難の対象となっている犯罪であって、その取締りの強化及び防犯等に関する社会的関心は高く、さらに、控訴人は、振り込め詐欺の事案において決して小さく役割を果たしたのであり、本件逮捕事実は、現在でもなお公共の安全・平穏に関わる社会的に正当な関心の対象であると認められ、本件逮捕事実を記載した記事の公表の必要性を否定することはできないことは、前記説示のとおりである。控訴人の主張は採用することができない。

以上のとおりであるから、本件検索結果を表示することは、受忍限度を超えて控訴人の人格権を侵害するものであり、本件検索結果削除請求は認められるべきであるとの控訴人の主張は、その余の控訴人の主張について検討するまでもなく、採用することができない。」

2

当審における控訴人の補充主張に対する判断

平成29年最決の示した判断枠組みについて

ア控訴人は、平成29年最決にいう「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」の意義につき、①プロバイダ責任制限法4条1項1号の定める権利侵害の明白性要件と同様に、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情の不存在を意味すると解すべきであると主張し、また、②平成29年最決が、総合衡量の結果として「優越することが明らか」との規範を定立していることからすれば、一つの違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情が存在すれば、「優越することが明らか」の要件を満たさなくなると解すべきではなく、複数の評価根拠事実の総合衡量の結果として、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情が存在するかどうかを判断すべきであると主張する。

しかしながら、本件で問題となるプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益に基づく検索結果削除請求権と、プロバイダ責任制限法4条に基づく発信者情報開示請求権とは、それぞれの権利の趣旨・目的、発生根拠、内容及び効果、権利者と義務者との関係等を異にすることが明らかであるから、平成29年最決の趣旨とプロバイダ責任制限法4条の趣旨との類似性、前記各権利の趣旨・目的の類似性ないし前記各権利が認められた背景事情の類似性を根拠とする前記①の主張は、その前提を欠くものであり、また、前記①の主張を前提とする前記②の主張も、その前提を欠くものであって、いずれも採用することができない。

イ控訴人は、平成6年最判及び平成15年最判を引用して、前科等のある者の更生を妨げない利益につき、プライバシー一般とは別途の配慮・検討を要すると解すべきであると主張する。しかしながら、前科等にかかわる事実は、個人のプライバシーに属する事実であり、これをみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるものであり、一方で、検索事業者による検索結果の提供が、検索事業者による表現行為という側面を有し、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果していること等を踏まえ、検索事業者がある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきものと解するのが相当であることは、前記1説示のとおりであり、前科等に関わる事実の公表によりその者の更生が妨げられるという具体的なおそれがある場合には、前記のプライバシーに属する事実が伝達されることによりその者が被る具体的被害として考慮すべき事情に当たるものと解される。

そして、控訴人について、前記のような具体的被害を被るおそれがあるものとは認められないことは、前記1説示のとおりである。控訴人の主張は採用することができない。

本件について

ア控訴人は、犯罪組織の末端に位置する出し子として本件犯罪に関与したにすぎなかったこと、控訴人が有罪判決を受けてから約12年(執行猶予期間満了から6年余り)が経過したことに照らせば、本件逮捕事実はもはや公共の利害に関わる事項とはいえず、実名報道の必要性はなく、一方、控訴人は■に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた後、起業により更生する道を選び、現在、妻子と共に平穏な生活をしているが、控訴人と一定の社会生活上の関係を築いている者が、本件検索結果を閲覧し、控訴人が振り込め詐欺の引き出し役のグループのリーダー格であったこと等より詳細な犯罪情報を知る可能性は高く、これらの情報を知った者が、控訴人との交流を敬遠し控訴人が新たに形成している社会生活の平穏を害する事態が生じ、更生が妨げられない利益が侵害される度合いは大きいから、控訴人の本件逮捕事実を公表されない法的利益が、本件検索結果を検索結果として提供する理由に関する諸事情に優越することが明らかであり、控訴人の本件検索結果の削除請求は認められるべきであると主張する。

イしかしながら、前記1認定説示の本件犯罪の性質及び内容、振り込め詐欺の事案において控訴人が果たした役割、振り込め詐欺が今なお大きな社会問題となっており、強い社会的非難の対象となっていること、振り込め詐欺の取締り及び防犯に対する社会的関心の高さ等に照らすと、本件逮捕事実を記載した記事の公表の必要性を否定することはできず、控訴人が執行猶予期間満了から約6年が経過し、有罪判決を受けてから約11年半にわたって一市民として日常生活を営んでいること等を考慮しても、本件逮捕事実を公表されない法的利益が本件検索結果を提供する理由に関する諸事情に優越することが明らかであるとは認められないことは、前記1説示のとおりである。控訴人の主張は採用することができない。

なお、控訴人は、控訴人の氏名のみを検索語として本件検索サービスにより検索する場合であっても、本件検索結果は表示されるから、本件検索結果の表示によって本件逮捕事実が伝達される範囲は広範であるとも主張するが、控訴人の氏名のみを検索語として本件検索サービスにより検索する場合にも本件検索結果は表示されるとの事実を認めるに足りる証拠はない。また、仮に、同事実が認められるとしても、控訴人の氏名を検索語として検索を行う者は、控訴人と一定の関係を有している者等一定の範囲の者に限られると考えられるから、同事実を前提としても、本件検索結果の表示によって本件逮捕事実が伝達される範囲は広範であるとまではいえない。

以上のとおりであるから、当審における控訴人の補充主張は、いずれも採用することができない。

3結論

よって、控訴人の本件請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

東京高等裁判所第14民事部