新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1498、2014/04/06 00:00 https://www.shinginza.com/dvprevention.htm

【民事 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律 いわゆるDV防止法の改正 重婚的内縁は保護の対象になるか「生活の本拠を共にする交際」相手とは何か】

内縁配偶者に対するDV防止法の保護命令申し立て

質問:
DV防止法の保護命令に関する質問です。私は、妻のいる男性と3年前から不倫関係にあります。交際して1年が経過した頃,彼と私は同棲生活を送るようになり,週のうち4〜5日は私の家で同居するようになりました。彼は,妻と離婚する意思はなく,残りの2〜3日は妻のいる自宅に帰宅していました。同居後しばらくして,彼は私に暴力をふるうようになりました。彼の暴力により,顔や体にあざができることはよくあり,肋骨が折れたこともありました。私は,彼の暴力に耐えられなくなり,同居していた家から逃げ出し,昨年保護命令の申立てを行いました。
 しかし,担当の裁判官から、彼には妻がいるので保護命令の発令は認められないと説得され,結局,保護命令申立を取り下げてしまいました。
 保護命令を取り下げた後,私は彼から逃れるため実家にいました。彼からの連絡は全て無視していたのですが,ある時,実家まで訪ねてくるようになり、「2度と暴力を振るわないからもう一度関係を戻したい,過去の暴力に対して反省している」と謝罪をしてくれました。私は、実家の人達に迷惑をかけられないと思い,もう一度同居することにしました。
 しかし,しばらく経って,再び彼の暴力がはじまり,鼻の骨を折るなどの怪我を負いました。彼にはいつか暴力をやめてくれるだろうと思っていましたが、変わる気配はありません。私は、今度こそ彼から離れたいと思っています。
 前回の保護命令の申立ての際,裁判官は,加害者男性が私にとって「配偶者」(旧DV防止法)といえるか難しいとおっしゃっていました。しかし「配偶者」とは内縁関係にある者も含まれるはずです。どうして,私が「配偶者」に該当しないのでしょうか。

 この度,DV防止法が改正され,保護命令の出される範囲が拡大したという話を聞きました。私の場合でも,保護命令を出してもらえるのでしょうか。



回答:

1 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(旧DV防止法)における「配偶者」に内縁関係にある者も含まれます。但し、あなたの場合、加害者男性に法律上の配偶者がいることから重婚的な内縁関係となり、DV防止法による保護命令の対象となるか問題となったと考えられます。

2 ご質問にある通り,この度,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律」が平成25年7月3日に公布され,平成26年1月3日から施行されました。今回の改正により,今まで「配偶者」からの暴力のみ法の適用対象とされていたものが,「生活の本拠を共にする交際」相手からの暴力についても法の適用を受けることになりました。(DV法28条の2)
前回の申立てでは,加害者男性が「配偶者」に該当するか疑問ということで裁判官から説得されて,申立ての取下げを行ったということですが,今回の法改正により,加害者男性は「生活の本拠を共にする交際」相手に該当することは明らかですからし,その他の要件を満たせば保護命令の申立てが認められます。詳しくは,以下の解説をご覧ください。

3 DV防止法関連事例集 1437番769番453番186番127番参照。


解説:
保護命令の手続

1 過去の申立てが認められなかった理由 

(1)保護命令の要件 
 まず,過去の申立てにおいて、裁判官から申立の取り下げを説得された理由を考えていきましょう。旧DV防止法では,裁判所が被害者の申立てにより保護命令を出す要件として、被害者が、<1>配偶者から、<2>身体に対する暴力を受けた者で、<3>更なる身体に対する暴力により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき、と定められています(DV防止法10条1項)
 あなたは加害者男性の暴力により、顔や体にあざができ、又は、肋骨が折れるなどのけがを負っており,<2>「身体に対する暴力を受けた者」といえるでしょう。
また,<3>「生命又は身体に重大な危害を受けるおそれ」とは,被害者に対し,殺人,傷害等の被害が及ぶおそれがある状況をいい,そして「おそれが大きい」の判断については,暴力や脅迫の内容や態様のほか,被害者と配偶者との関係,配偶者の行動傾向等を総合的に考慮して判断されます。本件では,加害者男性があなたに継続的の暴力を繰り返し,その暴行の態様も骨折等の重傷を負わせるものであることからすると、<2>「更なる身体に対する暴力により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい」と言えるでしょう。
  このように<2><3>の要件は満たしていると考えられますが<1>の加害男性があなたの配偶者に当たるか問題が残ります。

(2)配偶者の解釈(重複的内縁関係は配偶者に含まれるのか)
 ここでいう「配偶者」とは、婚姻の届出をしているも者だけではなく、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含みます(DV防止法1条3項)。あなたと加害者男性は婚姻関係(結婚届出)がないのですが、事実上婚姻関係と同様の事情つまり内縁関係があることを主張立証する必要があります。婚姻関係があることは戸籍謄本で明白になりますが、内縁関係にあることは、戸籍や住民票では分かりませんからその点の説明や証拠となる資料を提出する必要があります。
 また、あなたの場合、内縁関係の存在が認められたとしても加害者男性が,あなたとは別に婚姻関係にある妻がいることから,法的に保護される内縁関係と言えるのか問題となります。一方で婚姻関係が存在するにもかかわらず、他方で内縁関係を認め法的な保護を与えることができるのか問題となります。この点について、DV保護法の配偶者に該当するか否かを判断した判例は存在しませんが,以下のように考えることができます。
 結論として,一方で婚姻関係が存在していても,かかる婚姻関係が実質上消滅状態にあるときには、内縁関係を認めることができると考えます。
 その理由として,民法732条があります。わが国は民法732条において重婚を禁止しています。重婚とは婚姻関係が重複することをいい、婚姻関係と内縁関係が重複しても重婚ではありません。したがって,婚姻関係と内縁関係が重複することは法律上禁止されているわけではないため,重複して存在すると判断することも可能です。しかし、裁判所がこのような判断をすることはないでしょう。なぜなら、内縁関係には、完全ではないものの、婚姻と同様の効果が認められているからです。たとえば、同居義務(民法752条)、貞操義務、婚姻費用の分担(民法760条)などが認められています。このように、内縁関係は法律婚の効果を多く準用し、社会立法上も内縁関係を婚姻関係と同様に取り扱う傾向が顕著な現代において、婚姻関係と内縁関係が重複して存在することを認めることは重婚を禁止した732条の趣旨を没却することになるため,このような判断をするとは考えにくいのです。
しかし,婚姻関係が存在する場合に,常に内縁関係の存在を認めることができないと解するのは,時に実態を無視した法解釈を許すことになり妥当ではありません。そこで,婚姻関係が実質上消滅しており,婚姻関係を保護する必要性が乏しい場合には,形式的に婚姻関係が存在していても内縁関係を認めることができると考えられます。
 なお、判例は他の分野において(遺族年金の受給者である「配偶者」を巡って、法律婚の配偶者と内縁の妻のどちらに受給権が認められるかという問題)法律婚と事実婚が重複して存在している場合に、法律婚が事実上消滅状態にあるときには、内縁としての効果を認める傾向にあります(最判昭和58年4月14日)。このような判例の考え方について,DV防止法の保護命令においてとりわけ別個に考える必要もないことから,当然DV防止法の保護命令のところでも、認められると思います。

 あなたの過去の申立てでは,裁判官は加害者男性をあなたの「配偶者」とはいえないと判断しているようです。加害者男性にはあなたとは別に妻がおり,週に2・3日ではあるものの定期的に妻のいる自宅に帰宅していること,さらに,加害者男性が妻と別れるつもりがなく今後も婚姻関係を継続させる意思を有していたことから,加害者男性と妻との婚姻関係が実質上消滅状態にあるとまでは判断できなかったものと考えられます。
このように過去の申立てでは,加害者男性と妻との婚姻関係が実質的に消滅していることについての主張立証が十分とはいえなかったことから,担当裁判官は,DV保護法の保護の対象となる「配偶者」にあたらないと判断したのでしょう。かかる判断から,裁判官はあなたに保護命令の申立てを取り下げ促したものの考えることができます。

2 DV防止法の改正により保護命令が発令されるか

(1)DV防止法の改正点
本件改正によって、「生活の本拠を共にする交際」相手からの暴力についても保護命令の規定を準用できるようになりした。(DV防止法28条の2)このような法改正がなされた趣旨は、「生活の本拠を共にする交際」相手からの暴力も,外部からの発見や介入が困難であり、継続的な暴力がなされるといった「配偶者」の暴力と同様の事情が存在し,被害者の尊厳を守るためにも保護命令の適用範囲を拡大する必要があったということにあります。
 では,かかる法改正によって,保護される範囲がどのように拡大したのでしょうか。改正前は、「配偶者」からの暴力が保護命令の対象になっていました。そして,「配偶者」とは,婚姻関係又は内縁関係にある相手であることは前述しました。これに加え,今回の改正では「生活の本拠を共にする交際」相手も含まれるようになりました。
ここで<1>婚姻関係、<2>内縁関係、<3>生活の本拠を共に交際相手の違いを見ていきましょう。かかる関係は,「婚姻意思」「届出」「共同生活」という3つの要素で区別することができます。この3つの要素のうち,すべてを満たしているのが婚姻関係で,3つの要素のうち「届出」だけが欠けている場合が内縁関係になります。さらに「届出」だけでなく「婚姻意思」も欠けており,「共同生活」という要素のみ有しているのが「生活の本拠を共にする交際相手」ということになります。
では,「生活の本拠を共にする」という判断はどのようになされるのでしょうか。この点,生活の本拠の所在は実質的に生活している場所をいい,共同生活の実態により外形的・客観的に判断され,補充的に意思的要素も考慮されます。

(2)「生活の本拠を共にする交際」相手といえるか
本件の場合,週のうち4〜5日をあなたと同居していたという生活実態が重要です。かかる事情は,実質的に生活をしている場所があなたとの同居場所であることを基礎づける事情となります。これに加え,加害者男性があなたに生活費を渡しており,その金銭から公共料金等を支払っていた等いう事情があれば,生活の本拠があなたとの同居先であったことを基礎づける事情として,あなたに有利に働くでしょう。
このように「生活の本拠を共に」しているかどうかの判断は実質的に判断しますから,形式的に住民票上の住所が加害者男性と妻との家であっても,そのことから妻との家が生活の本拠となるとはいえません。
また,判断にあたっては,意思的要素も補充的に考慮されます。したがって,加害者男性が,生活の本拠は妻との自宅であると主張する可能性も十分に考えられます。このような主張に備え,あなたは男性のこのような主張が虚偽であることを示す事実をあらかじめ主張しておくべきです。たとえば,男性が妻のいる自宅に戻るのは,子どもが休日の時だけであり,子どもが忙しい時は自宅に戻らない月もあった,また,自宅には妻との離婚の話合いのため戻っていた等の事情があれば主張するとよいでしょう。このような事情を裏付けるメール等があればよいのですが,なければ陳述書を作成してしっかり主張しましょう。
以上のように,本件の場合には,加害者男性は「生活の本拠を共にする交際相手」といえる可能性が高いです

(3)婚姻関係との重複の問題
本件の相談事例の場合でも、婚姻関係と「生活の本拠を共にする交際相手」という概念が重複して存在してよいのかという前述と同様の問題が生じると思います。前述したとおり,婚姻関係も「生活の本拠を共にする交際相手」も「共同生活」という点を主たる要素にしていますから,法律概念的に重複はできないとの考え方も可能です。この点については、法改正がなされたばかりで,裁判所の運用がどのようになるのか判断しかねるところではありますが,以下のように考えることができます。
そもそも,婚姻関係と内縁関係の重複を法律上認める判断が難しいのは,内縁関係に婚姻関係に準じる法的効果が認められ、重婚の禁止の趣旨を没却するからであると前述しました。そうであるとすれば,「生活の本拠を共にする」という概念は、内縁関係のように法律婚に準じる法律効果が認められるわけではないですから、婚姻関係と重複しても重婚の禁止の趣旨を没却するわけではありません。
また,この度のDV法改正の趣旨が,外部から発見が困難であり,暴力が継続的になされるおそれのある被害者を保護することにあることからすると,たとえ,加害者が別の人物と婚姻関係があったとしても,被害者に上記のような暴力のおそれがある限り,広く保護命令を発するべきであり,特に,加害者による暴力が被害者の命にも関わる重大な問題であることからするとこのように解することが妥当です。
したがって,婚姻関係が破綻しているかどうかに関係なく,加害者が「生活の本拠を共にする」交際相手ということがいえれば,保護命令が出されることになります。

3 保護命令に対する裁判官の意識

 保護命令の申立てを行うと,裁判官は記録を呼んだ上で,被害者と加害者の双方から話を聞き(審尋といいます。),最終的に保護命令を発令するか決定します。ただ,現状、裁判所の運用として,保護命令を発令することに慎重です。保護命令の発令により,加害者は被害者に一定期間近づくこと等を禁止され,(DV防止法10条1項1号)憲法上保障されている居住移転の自由(憲法22条1項)の制約を受けることになります。また,保護命令に違反した場合には,逮捕され刑事処分を受けることもあります(DV防止法1条3項)。

 このように,保護命令は,加害者に対する重大な権利制約になるにもかかわらず,裁判という厳格な手続は用意されておらず,審尋など比較的簡易な手続しか用意されておりません(申立てから2週間程度の短期間で保護命令が発せられてしまいます)。したがって,裁判官は保護命令に対し慎重な判断をせざるをえず,保護命令の要件に疑義がある場合には,過去の申立てのように取下げを勧めたり,却下されることもあるのです。

 一方で被害者の立場からすると,DV問題は命にかかわる緊急の問題です。本来保護命令が出されるべき事案であるにもかかわらず,申立書や証拠の不備,審尋における不十分な主張により,保護命令が却下されてしまうということは防止しなければなりません。そこで,保護命令の申立てにあたっては,弁護士の依頼を検討されるとよいでしょう。

 特に本件の場合,加害者男性から「二度と暴力を振るわない」と謝罪されたにもかかわらず,加害者は再び相談者に暴力を行っています。謝罪と暴力を繰り返す男性はDVを犯してしまう典型的な男性です。したがって,もう一度,保護命令の申立てを行うことをお勧めいたします。

4 保護命令に向けた弁護士の活動

あなたが弁護士に依頼をした場合,弁護士は以下の活動を行います。

 まず,あなたに代わり弁護士が申立書の作成を行います。申立書は被害者本人でも作成できるよう簡単なものになっているとはいえ,法律的な書面でありますから,不安を抱えながら記載をされている被害者が多いのも現状です。弁護士に依頼されていない被害者の場合,DVセンターやシェルターの相談員のアドバイスを受けながら申立書を作成することも多いようです。しかし,相談員は法律家ではありません。申立書が裁判官に提出する法律的な書面である以上,法律の専門家である弁護士に書類作成を依頼された方がよいでしょう。

 次に,裁判所へ提出する記録として,証拠の収集活動も行います。たとえば,あなたの怪我の状態を写真で撮影する,または,あなたが加害者男性から暴力や暴言を言われている状況について録音するようアドバイスを行います。他にも,あなたやあなたの御家族,友人等からDVに関するお話を伺い,陳述書の作成を行います。陳述書は,証拠として足りない部分を補強したり,加害者男性による暴力や共同生活の状況を具体的に提示する役割を果たします。

 さらに,弁護士は被害者の代理人ですから,審尋において立ち会うことも認められています。一方,相談員は代理人ではないため裁判官との審尋には立ち会うことはできません。審尋は裁判官が被害者に様々なことを質問する形で進みますが,弁護士は,被害者が誤った説明や不利な発言を行った場合には訂正することもできますし,説明が足りないところについては,補って裁判官に説明を行うこともできます。この審尋に立ち会うことによって,主張が不十分になることを防止します。

 また,審尋に先立ち,どのような受け答えをすべきかアドバイスを行うこともできます。弁護士は裁判官と同じ法律家ですから,審尋に際して,裁判官がどのような質問をするのかある程度予想がつくのです。

5 最後に

 以上のように,本件の場合,保護命令の申立てを行えば,保護命令が発令される可能性は十分にあるものと考えられます。

 ただ,保護命令の申立てを行った場合には,保護命令申立書という書面が加害者男性の自宅に届きます。それにより,加害者男性の妻に,あなたの不倫が判明する可能性があり,妻からあなたに対し,不貞行為を理由に損害賠償を請求されるおそれもあります。

 このように,保護命令の申立てといっても,他の法律問題が絡んでいることもあることから,一度お近くの法律事務所にご相談されることをおすすめいたします。

【参考判例】
 最高裁昭和58年4月14日
農林漁業団体職員共済組合法(昭和三九年法律第一一二号による改正後、昭和四六年法律第八五号による改正前のもの。以下「本件共済組合法」という。)二四条一項の定める配偶者の概念は、必ずしも民法上の配偶者の概念と同一のものとみなければならないものではなく、本件共済組合法の有する社会保障法的理念ないし目的に照らし、これに適合した解釈をほどこす余地があると解されること、また、一般に共済組合は同一の事業に従事する者の強制加入によつて設立される相互扶助団体であり、組合が給付する遺族給付は、組合員又は組合員であつた者(以下「組合員等」という。)が死亡した場合に家族の生活を保障する目的で給付されるものであつて、これにより遺族の生活の安定と福祉の向上を図り、ひいて業務の能率的運営に資することを目的とする社会保障的性格を有する公的給付であることなどを勘案すると、右遺族の範囲は組合員等の生活の実態に即し、現実的な観点から理解すべきであつて、遺族に属する配偶者についても、組合員等との関係において、互いに協力して社会通念上夫婦としての共同生活を現実に営んでいた者をいうものと解するのが相当であり、戸籍上届出のある配偶者であつても、その婚姻関係が実体を失つて形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込のないとき、すなわち、事実上の離婚状態にある場合には、もはや右遺族給付を受けるべき配偶者に該当しないものというべきである。

【参照条文】
(定義)
第一条
この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項及び第二十八条の二において「身体に対する暴力等」と総称する)をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。
2 この法律において「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者をいう。
3 この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み 「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする。

(保護命令)
第十条
被害者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。以下この章において同じ )を受けた者に限る。以下この章において同じ )が、配偶者からの身体に対する暴力を受けた者である場合にあっては配偶者からの更なる身体に対する暴力(配偶者からの身体に対する暴力を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力 第十二条第一項第二号において同じ)により、配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者である場合にあっては配偶者から受ける身体に対する暴力(配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力 同号において同じ)により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条、同項第三号及び第四号並びに第十八条第一項において同じ )に対し、次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし、第二号に掲げる事項については、申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。
一 命令の効力が生じた日から起算して六月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ )その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないこと。
二 命令の効力が生じた日から起算して二月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近をはいかいしてはならないこと。

(この法律の準用)
第二十八条の二
第二条及び第一章の二から前章までの規定は、生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く )をする関係にある相手からの暴力(当該関係にある相手からの身体に対する暴力等をいい、当該関係にある相手からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が当該関係を解消した場合にあっては、当該関係にあった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含む)及び当該暴力を受けた者について準用する。この場合において、これらの規定中「配偶者からの暴力」とあるのは「第二十八条の二に規定する関係にある相手からの暴力」と読み替える

第二十九条
保護命令(前条において読み替えて準用する第十条第一項から第四項までの規定によるものを含む。次条において同じ)に違反した者は、一年 以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。


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