凍結口座名義人リストからの情報削除と連鎖的取引停止措置の救済
刑事|振り込め詐欺救済法|預金債権消滅手続の開始に係る公告手続き|権利行使の届出|取引停止措置|連鎖的な口座凍結
質問
半年ほど前、警察を語る不詳者から電話があり、私がマネーロンダリングに関与した件で捜査対象になっているので、金融庁の管理する口座(以下、「指定口座」といいます。)に私の預金残高を移動させる必要があるとの説明を受けました。私には全く心当たりがなかったのですが、LINEのビデオ通話で警察手帳を見せられたことで動揺してしまい、相手の話を信じて、私の貯蓄用の口座(以下「本件口座」といいます。)の残高を指定口座に全額送金してしまいました。また、捜査の一環であるとの説明を鵜呑みにして、第三者から本件口座に入金された金銭を、指定口座に送金し、資金移動してしまいました。
その後、警察に相談したところ、私が詐欺の被害に遭ったことが判明しました。そればかりか、第三者による本件口座への送金も詐欺被害に基づくものであったことから、当該第三者が相談した先の警察署による凍結要請に基づき、本件口座が取引停止措置となり、数か月後には、振り込め詐欺救済法に基づく債権消滅手続開始の公告の対象になってしまいました。このことが原因で、私が保有する他の預金口座も軒並み取引停止措置となっており、日常生活に支障を来しております。
本件口座の消滅は止むを得ないとしても、今後、他の預金口座の取引再開はできないものでしょうか。仮に取引再開が難しい場合でも、最低限、払戻しを受けることはできないでしょうか。今後の対応についてご相談させてください
回答
1 預金口座の凍結は、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」に基づく手続きです。 他の口座の取引再開の方法としては、まずは、本件口座の取引停止措置の原因となった警察署に対して、凍結取り下げの要請をし、凍結口座名義人リストからの削除を求めることになります。本件口座以外の保有口座が取引停止措置となったのは、警察庁が管理する凍結口座名義人リストにあなたの情報が掲載されていることに起因していると考えられ上記の手続きを取る必要があります。
2 令和2年3月31日付の「特殊詐欺に係る及び凍結口座名義法人リストの運用について」と題する警察庁の通達によれば、一定の事由に該当した場合には、リスト掲載者に係る凍結口座名義人情報をリストから削除する運用が採られております。具体的な削除基準については非公開とされておりますが、弊所における過去の事件取扱経験から推察するに、警察による凍結要請が取り下げられた(解除された)場合は、凍結口座名義人リストから削除される運用のようです。
そのため、本件でも、凍結要請元の警察署に対して、本件口座の凍結要請を取り下げてもらうよう、交渉することが肝要です。
3 凍結要請の取下げが実現した場合は、他の保有口座にかかる金融機関に対し、その旨説明し、凍結口座名義人リストからの抹消が確認出来た時点で取引停止措置を解除するよう交渉をすることになります。この際、利用継続は謝絶され、解約払戻手続きを案内される場合が多いですが、口座を保有できないことの不利益を主張して、利用継続できるよう最後まで交渉すべきでしょう。
なお、警察による凍結要請の取下げ後、凍結口座名義人リストからの抹消までの間には、一定のタイムラグが発生しますので、その点留意が必要です。
4 口座凍結解除に関する関連事例集参照。
解説
第1 振り込め詐欺救済法の概要
1 犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(いわゆる振り込め詐欺救済法、以下単に「法」といいます。)は、預金口座等への振込みを利用して行われた詐欺等の犯罪行為により被害を受けた者に対する被害回復分配金の支払等のため、預金等に係る債権の消滅手続及び被害回復分配金の支払手続等を定め、もって当該犯罪行為により被害を受けた者の財産的被害の迅速な回復等に資することを目的として制定された法律です(法第1条)。
2 預金口座の凍結の仕組みを理解する上で、法第2条の定義規定を確認する必要があります。
まず、「振込利用犯罪行為」とは、詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたもの、と定義されております(法第2条3項)。
次に、「犯罪利用預金口座等」とは、簡略化すると、①振込利用犯罪行為の振込先となった預金口座等又は②専ら振込利用犯罪行為により振り込まれた資金を移転する目的で利用された預金口座等であって、振込利用犯罪行為により振り込まれた資金と実質的に同じであると認められるものを意味します(法第2条4項)。
3 これを受け、金融機関は、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があること、その他の事情を勘案し
て犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるとされております(法第3条1項)。この「取引の停止等の措置」が正に口座凍結の措置ということになります。また、「捜査機関等」には、警察などのほか弁護士や認定司法書士等も含まれます。
4 金融機関が取引の停止等の措置を講じた場合、当該預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するとされております(法第3条2項)。
これにより、当然、情報提供を受けた側の金融機関も、該当の口座に対して「取引の停止等の措置」を講じることを検討することになります。
5 その上で、①捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があったこと、②捜査機関等からの情報その他の情報に基づいて当該預金口座等に係る振込利用犯罪行為による被害の状況について行った調査の結果、③金融機関が有する資料により知ることができる当該預金口座等の名義人の住所への連絡その他の方法による当該名義人の所在その他の状況について行った調査の結果、④当該預金口座等に係る取引の状況等の事由、その他の事情を勘案して、犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、速やかに、当該預金口座等について現に取引の停止等の措置が講じられていない場合においては当該措置を講ずるとともに、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、当該預金口座等に係る預金等に係る債権について、主務省令で定める書類を添えて、当該債権の消滅手続の開始に係る公告をすることを求めなければならないことになっております(法第4条1項)。
つまり、「犯罪利用預金口座等である疑い」があればひとまず口座凍結 等の措置をとり、その後の様々な調査の結果、「犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由」があると認識した場合には、次のステップとして、預金保険機構に対して、預金債権消滅手続の開始に係る公告手続きを依頼することになる、という流れです。
6 公告の求めを受けた預金保険機構は、債権消滅手続開始の公告を行います(法第5条1項)。公告事項は、①対象預金口座等に係る対象預金等債権について債権消滅手続が開始された旨、②対象預金口座等に係る金融機関及びその店舗並びに預金等の種別及び口座番号、③対象預金口座等の名義人の氏名又は名称、④対象預金等債権の額、⑤対象預金口座等に係る名義人その他の対象預金等債権に係る債権者による当該対象預金等債権についての金融機関への権利行使の届出又は払戻しの訴えの提起若しくは強制執行等(以下「権利行使の届出等」という。)に係る期間、⑥権利行使の届出の方法、⑦払戻しの訴えの提起又は強制執行等に関し参考となるべき事項として主務省令で定めるもの、⑧権利行使の届出期間内に権利行使の届出等がないときは、対象預金等債権が消滅する旨、⑨その他主務省令で定める事項です(法第5条1項各号)。
なお、⑤権利行使の届出等の期間については、公告があった日の翌日から起算して60日以上でなければならないとされます(法第5条2項)。
公告の内容は、預金保険機構の「振り込め詐欺救済法に基づく公告」のページで確認することができます。
https://furikomesagi.dic.go.jp
7 債権消滅手続開始の公告後の流れは、2通りに分かれます。
まず、口座名義人等が権利行使の届出期間内に、対象預金口座の払戻請求権を主張して権利行使の届出を行った場合、あるいは、金融機関において同期間内に対象預金口座が犯罪利用預金口座等でないことが明らかになった場合は、該当金融機関が預金保険機構にその旨を通知しなければならず(法第6条1項・2項)、通知を受けた預金保険機構は、債権消滅手続が終了した旨を公告しなければなりません(法第6条3項)。債権消滅手続が終了する結果、犯罪による被害を受けたと申告する者は、訴訟等の既存の法制度により解決をする必要が生じます。
他方で、口座名義人から権利行使の届出期間内に権利行使の届出がなされず、なおかつ該当の金融機関においても犯罪利用預金口座等でないことが明らかとなるような特別な事態が生じない場合は、対象預金等債権は消滅することとなり(失権)、預金保険機構はその旨公告することになります(法第7条)。その結果、金融機関は被害者への分配金の支払義務が発生し、各被害者からの分配金の支払申請に基づいて、右口座の預金残高は被害者に分配されることになります(法第8条)。
第2 取引停止措置と連鎖的な口座凍結
1 連鎖的な取引停止措置
警察庁では、特殊詐欺等に利用され又はその疑いがある預貯金口座に関し、毎月2回、凍結口座名義人リストを作成し、全銀協及び都道府県警察にリストを提供しております。このことから、少なくとも凍結口座名義人リストに掲載された時点で、各金融機関が口座開設状況を各々照合し、連鎖的に口座凍結が発生してしまうという事態が想定されます。なお、凍結口座名義人リストの運用については、令和2年3月31日付の「特殊詐欺に係る凍結口座名義人リスト及び凍結口座名義法人リストの運用について」と題する警察庁の通達において定められています。
2 では、連鎖的な取引停止措置が発生した場合に、どのような救済が考えられるでしょうか。
この点、上記通達によれば、一定の事由に該当した場合には、リスト掲載者に係る凍結口座名義人情報をリストから削除する運用が採られていることが分かります。具体的な削除基準については非公開とされておりますが、弊所における過去の事件取扱経験から推察するに、警察による凍結要請が取り下げられた(解除された)場合は、凍結口座名義人リストから削除される運用のようです。
そのため、本件でも、凍結要請元の警察署に対して、本件口座の凍結要請を取り下げてもらうよう、交渉することが肝要です。
ここで、債権消滅手続開始の公告が既になされている場合は、手遅れではないか、という疑問が生じます。公告が一度なされれば、当該記録の抹消はできない(その結果、金融機関がいつでも情報にアクセスできてしまう)からです。
しかし、多くの金融機関では、当該口座が公告の対象となった場合でも、事後的に凍結口座名義人リストからの削除が確認できた場合には、連鎖的な取引停止措置を解除する運用を採っているようです。口座の取引再開まで認められる例は多くないですが、少なくとも、解約払い戻しには応じることが期待できます。
無論、公告手続きに移行するのを漫然と放置するのは不適切であり、取引停止措置が講じられた段階で速やかに凍結要請元の警察に事情を説明して凍結要請の取下げをしてもらい、債権消滅手続開始の公告を回避するのが望ましいことは言うまでもありませんが、公告手続きに移行したからといって、諦める必要はありません。
第3 本件における弁護活動
1 権利行使の届出
上記のとおり、債権消滅手続開始の公告がなされた場合でも、口座名義 人が権利行使の届出を期間内にすることで、債権消滅手続は終了することになります。第三者から本件口座に入金された金員は、既に指定口座に資金移動しており、本件口座に犯罪被害金は残存していないため、権利行使の届出をすることに特段問題はありません。公告手続きが進み、失権となることを漫然と放置する理由がないため、権利行使の届出をしておくべきでしょう。
2 本件口座にかかる凍結要請の取下げ依頼
凍結要請元の警察署に、あなたが詐欺被害に遭ったこと、一連の詐欺被害の中で本件口座が利用されてしまったことを説明する文書を送付し、凍結要請の取下げを依頼することになります。被害を裏付ける資料(発着信履歴、LINE画面のスクリーンショット等)を添付することで、理解を得られる可能性が高まるでしょう。
なお、凍結要請元の警察によっては、最寄りの警察署に被害相談をして被害者的な立場であることを明確にすることを要求する場合がありますので、まだ被害相談をしていない場合は、最寄りの警察署に出向いておくことが推奨されます。その際、相談受付番号を控えておくと安心です。
また、警察が凍結要請の取下げをすることに被害者が納得していることが必要との観点から、被害者への被害弁償を要求されることもあります(正式に被害届が出ている場合等)。自己資金での被害弁償を余儀なくされる点において痛手となりますが、他の口座に及ぼす影響を考えると、止むを得ないところです。
3 凍結口座名義人リストからの削除要請、金融機関への凍結解除要請
警察による本件口座にかかる凍結要請の取下げが実現した場合、当該警察署を介して、凍結口座名義人リストからの抹消を要請すると共に、連鎖的に取引停止措置となっている各金融機関に対し、警察による凍結要請の取下げに伴い凍結口座名義人リストからの情報削除がなされる予定であることを説明して、取引停止措置の解除を求めることになります。
取引停止措置の解除の帰結として、取引継続可能との判断に至る場合もありますので、取引継続を求めて粘り強く交渉を行います。
とはいえ、手段を尽くしても取引継続不可の場合もあります。この場合は、預金の解約払戻しを受けることになります。
なお、警察による凍結要請の取下げ後、凍結口座名義人リストからの抹消までの間には、一定のタイムラグが発生しますので、その点留意が必要です。金融機関において、リストからの抹消が確認できるまでは判断が示せないとの回答になることが往々にしてあります。
以上
関連事例集
- 口座凍結からの公告(振り込め詐欺救済法)への対策
- 弁護士による口座凍結申請への対応
- 銀行口座の第三者による悪用と口座凍結の解除
- 預金保険機構による失権のための公告手続きの回避
- 振り込め詐欺救済法について
その他の事例集は下記のサイト内検索で調べることができます
参考条文
●犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、預金口座等への振込みを利用して行われた詐欺等の犯罪行為により被害を受けた者に対する被害回復分配金の支払等のため、預金等に係る債権の消滅手続及び被害回復分配金の支払手続等を定め、もって当該犯罪行為により被害を受けた者の財産的被害の迅速な回復等に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げるものをいう。
一 銀行
二 信用金庫
三 信用金庫連合会
四 労働金庫
五 労働金庫連合会
六 信用協同組合
七 信用協同組合連合会
八 農業協同組合
九 農業協同組合連合会
十 漁業協同組合
十一 漁業協同組合連合会
十二 水産加工業協同組合
十三 水産加工業協同組合連合会
十四 農林中央金庫
十五 株式会社商工組合中央金庫
2 この法律において「預金口座等」とは、預金口座又は貯金口座(金融機関により、預金口座又は貯金口座が犯罪行為に利用されたこと等を理由として、これらの口座に係る契約を解約しその資金を別段預金等により管理する措置がとられている場合におけるこれらの口座であったものを含む。)をいう。
3 この法律において「振込利用犯罪行為」とは、詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたものをいう。
4 この法律において「犯罪利用預金口座等」とは、次に掲げる預金口座等をいう。
一 振込利用犯罪行為において、前項に規定する振込みの振込先となった預金口座等
二 専ら前号に掲げる預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された預金口座等であって、当該預金口座等に係る資金が同号の振込みに係る資金と実質的に同じであると認められるもの
5 この法律において「被害回復分配金」とは、第七条の規定により消滅した預金又は貯金(以下「預金等」という。)に係る債権の額に相当する額の金銭を原資として金融機関により支払われる金銭であって、振込利用犯罪行為により失われた財産の価額を基礎として第四章の規定によりその金額が算出されるものをいう。
第三条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
2 金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。
(公告の求め)
第四条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、次に掲げる事由その他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、速やかに、当該預金口座等について現に取引の停止等の措置が講じられていない場合においては当該措置を講ずるとともに、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、当該預金口座等に係る預金等に係る債権について、主務省令で定める書類を添えて、当該債権の消滅手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。
一 捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があったこと。
二 前号の情報その他の情報に基づいて当該預金口座等に係る振込利用犯罪行為による被害の状況について行った調査の結果
三 金融機関が有する資料により知ることができる当該預金口座等の名義人の住所への連絡その他の方法による当該名義人の所在その他の状況について行った調査の結果
四 当該預金口座等に係る取引の状況
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 前項に規定する預金口座等についてこれに係る預金等の払戻しを求める訴え(以下この章において「払戻しの訴え」という。)が提起されているとき又は当該預金等に係る債権について強制執行、仮差押え若しくは仮処分の手続その他主務省令で定める手続(以下この章において「強制執行等」という。)が行われているとき。
二 振込利用犯罪行為により被害を受けたと認められる者の状況その他の事情を勘案して、この法律に規定する手続を実施することが適当でないと認められる場合として、主務省令で定める場合に該当するとき。
3 金融機関は、第一項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用されたと疑うに足りる相当な理由がある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対し、同項の預金口座等に係る主務省令で定める事項を通知しなければならない。
(公告等)
第五条 預金保険機構は、前条第一項の規定による求めがあったときは、遅滞なく、当該求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類の内容に基づき、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 前条第一項の規定による求めに係る預金口座等(以下この章において「対象預金口座等」という。)に係る預金等に係る債権(以下この章において「対象預金等債権」という。)についてこの章の規定に基づく消滅手続が開始された旨
二 対象預金口座等に係る金融機関及びその店舗並びに預金等の種別及び口座番号
三 対象預金口座等の名義人の氏名又は名称
四 対象預金等債権の額
五 対象預金口座等に係る名義人その他の対象預金等債権に係る債権者による当該対象預金等債権についての金融機関への権利行使の届出又は払戻しの訴えの提起若しくは強制執行等(以下「権利行使の届出等」という。)に係る期間
六 前号の権利行使の届出の方法
七 払戻しの訴えの提起又は強制執行等に関し参考となるべき事項として主務省令で定めるもの(当該事項を公告することが困難である旨の金融機関の通知がある事項を除く。)
八 第五号に掲げる期間内に権利行使の届出等がないときは、対象預金等債権が消滅する旨
九 その他主務省令で定める事項
2 前項第五号に掲げる期間は、同項の規定による公告があった日の翌日から起算して六十日以上でなければならない。
3 預金保険機構は、前条第一項の規定による求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類に形式上の不備があると認めるときは、金融機関に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。
4 金融機関は、第一項第五号に掲げる期間内に対象預金口座等に係る振込利用犯罪行為により被害を受けた旨の申出をした者があるときは、その者に対し、被害回復分配金の支払の申請に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする。
5 第一項から第三項までに規定するもののほか、第一項の規定による公告に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(権利行使の届出等の通知等)
第六条 金融機関は、前条第一項第五号に掲げる期間内に権利行使の届出等があったときは、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
2 金融機関は、前条第一項第五号に掲げる期間内に対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことが明らかになったときは、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
3 預金保険機構は、前二項の規定による通知を受けたときは、預金等に係る債権の消滅手続が終了した旨を公告しなければならない。
(預金等に係る債権の消滅)
第七条 対象預金等債権について、第五条第一項第五号に掲げる期間内に権利行使の届出等がなく、かつ、前条第二項の規定による通知がないときは、当該対象預金等債権は、消滅する。この場合において、預金保険機構は、その旨を公告しなければならない。
(被害回復分配金の支払)
第八条 金融機関は、前条の規定により消滅した預金等に係る債権(以下この章及び第三十七条第二項において「消滅預金等債権」という。)の額に相当する額の金銭を原資として、この章の定めるところにより、消滅預金等債権に係る預金口座等(以下この章において「対象預金口座等」という。)に係る振込利用犯罪行為(対象預金口座等が第二条第四項第二号に掲げる預金口座等である場合にあっては、当該預金口座等に係る資金の移転元となった同項第一号に掲げる預金口座等に係る振込利用犯罪行為。以下この章において「対象犯罪行為」という。)により被害を受けた者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であってこれにより財産を失ったもの(以下この章において「対象被害者」という。)に対し、被害回復分配金を支払わなければならない。
2 金融機関は、対象被害者について相続その他の一般承継があったときは、この章の定めるところにより、その相続人その他の一般承継人に対し、被害回復分配金を支払わなければならない。
3 前二項の規定は、消滅預金等債権の額が千円未満である場合は、適用しない。この場合において、預金保険機構は、その旨を公告しなければならない。
判例