成年後見制度について(最終改訂平成24年10月2日)


痴呆症の方や、知的障害のある方、精神障害のある方など、判断能力の不十分な方々は、財産管理(年金受領、通帳管理、賃貸不動産の管理、株式配当などの受領、施設との契約・支払等)や身上監護(介護、施設への入退所などの生活について配慮すること)についての契約や遺産分割などの法律行為を自分で行うことが困難であったり、悪徳商法などの被害にあうおそれがあります。成年後見制度は、このような判断能力の不十分な方々を保護し支援するための制度です。

なお、成年後見制度では、従来の禁治産・準禁治産制度とは異なり戸籍に記載されません。後見内容は東京法務局で管理している成年後見ファイルに登記され、登記事項の証明書の交付申請は登記されている本人など一定の人に限られており、プライバシー保護に配慮されています。

高齢や知的障害などにより判断能力に不安のあるご家族がいらっしゃる方にとっては、介護や保護の不安を軽減する効果が期待できます。また、現在ご自分の判断能力に不安を感じておられる方や、現在お元気な方にとっても、老後のリスク対策に有益です。親族間で意見の相違が無い場合は、申立人が成年後見人に就任することができますが、例えば、兄弟姉妹のうちの一人が親の財産を個人的に流用している疑いがあるなど、親の成年後見申立について兄弟間で意見の相違がある場合などには、中立的な第三者である弁護士等が成年後見人に就任することになります。

制度の概要・・・・法定後見と任意後見に大別されます。

☆法定後見 (従来の禁治産・準禁治産制度を改良したものです)

保護が必要なときに、家族などが家庭裁判所に申し立てて保護者の選任を行い保護を開始するものです。
保護が必要な程度に応じて「補助」「保佐」「後見」があります。

 補助(民法15条)  「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者」=本人の自己決定の余地が大きく、「自分で判断能力に不安を覚えるので、判断を誤ったときにそれを取り消してくれる人がほしい」というようなときに、補助人を選任して行います。
 保佐(民法11条)  「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」=「契約など重要な法律行為をするときに、代わりに判断してくれる人が必要だ」というときに、保佐人を選任して行います。補助の場合よりも本人保護の要請が高いため、本人の自己決定の余地は小さくなります。
 後見(民法7条)  「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」=「本人にしっかりした判断を期待することがほとんど不可能なため、代わりに判断する人が必要だ」というときに、成年後見人を選任して行います。なお、成年後見人の権限が広範な分、本人の自己決定の余地はきわめて限られます。 

手続きの概要、費用

 法定後見を開始する場合は、「補助」「保佐」「後見」いずれの場合も、家庭裁判所の審判が必要です(審判があると登記がなされます)。また追加手続きとして、「補助」「保佐」の場合には、家庭裁判所による補助人(保佐人)への代理権付与の審判が必要な場合もあります。
費用としては、裁判所申立費用(収入印紙、切手等で合計1万円程度)、登記費用(登記印紙1万円以下)、申立書作成費用(8万円)などが必要です。また医師の鑑定が必要な場合には、鑑定費用(5〜15万円)も必要です。

 任意後見には、公正証書による任意後見契約書の作成が必要です(公正証書が作成されると登記がなされます)。また追加手続きとして、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求することが必要な場合もあります。
費用としては、登記費用、公正証書作成費用などが必要です。(公正証書が作成されると登記がなされます)。また任意後見人に支払う費用(最初に着手金30万円、仕事に応じて代理人手数料、債権回収の場合は20パーセントなど)が必要となることがあります。

 後見開始の審判は、鑑定に要する時間も含めて、通常2〜6ヶ月で、審判がおります。

 参考書類1、登記されていないことの証明書
 参考書類2、登記事項証明書、法定後見が開始されている場合
 参考書類3、登記事項証明書、任意後見契約締結段階
 参考書類4、登記事項証明書、任意後見契約効力発効時


☆任意後見

1 (任意後見制度の意義)
(1)任意後見制度とは
    任意後見制度とは,本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に,将来の精神上の障害により判断能力が不十分な状況における後見事務について任意後見人に代理権を付与する「任意後見契約」を締結することにより,家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもとで任意後見人による保護をうけることができるという制度です。被後見人の法律行為の効力は成年後見人が裁判所に選任されている場合は取り消し得る行為となりますが(民法9条、120条 成年後見人も法定代理人として取り消し権を有する。)、任意後見の場合は、任意後見人は原則として取消権を有しません。取消権を有するかどうかは委任の内容によります。取引の相手方が不測の損害を蒙りますが、取引の安全は公示制度(法務局の登記)により担保されています。

(2)任意後見契約とは
    任意後見契約とは,委任者が,受任者に対し,精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し,その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって,任意後見監督人(任意後見契約に関する法律4条1項)が選任されたときからその効力を生ずる旨の定めのあるものです(同2条1号)。任意後見契約締結時は、本人の判断能力に問題はありませんので、任意後見人としての代理権発生が必要となるときまでの間に、代理行為が必要となる場合は、任意代理契約を締結することがあります。また、代理行為を行わない場合でも、将来の代理権発生に備えて継続的に協議を行う必要がある場合は、みまもり契約を締結することもあります。任意後見契約、任意代理契約、みまもり契約についてはこちらを参照ください。

(3)従来の制度では不都合があったのでしょうか。従来の(準)禁治産者制度は、意思能力がなくなった場合の対応策であり,自らの財産関係を自らの意思により事前に管理の意思表示をして予定しておくことは不可能でした。しかし、相続における遺言と同様に、たとえ死亡しなくても意思能力が不十分になった場合に備え,自らの財産管理、療養看護の内容、生活の態様につき事前に意思表示をして予定しておくことは、私有財産制から当然認められてしかるべきです。
   しかし、意思能力がなくなった時には、本人の意思を確認することはできませんので、相続と同じように、事前に内容を公証役場で公正証書により内容を確定して変更できないようにして、なおかつ、裁判所の監督により後見監督人のチェックによりさらに本人の正常な時の意思実現を充実させ、事前に公示(任意後見契約に関する法律による公証人が行う法務局の嘱託登記)しておき取引の安全も保証しています。さらに(準)禁治産者制度は、戸籍に記載されており、禁治産という呼称も人権上の配慮の点で問題がありましたから、名称も変更し、プライバシーの関係上公示内容も一定の関係者でなければ閲覧、証明書の交付請求ができないようになっています。
    
    このような改正が行われたのは、平成11年12月(施行平成12年4月)です。民法に規定されている法定成年後見制度と同時に創設されました。従来は、未成年者に親権者がいない場合の未成年後見制度がありましたが、改正により、従来の「未成年後見」に対応する形で、従前の禁治産者制度を廃止して「成年後見制度」として後見、補佐、補助制という法定後見人制度を創設し、さらに、私有財産制を充実させるために法定後見制以外の、事前財産管理契約として「任意成年後見」制度ができました。この改正は、従来の(未成年)後見制との文言上の錯綜が感じられますので条文の解釈上、制度趣旨と共に整理、理解しておく必要があります。

    概念の対立から分類すると「成年後見、法定と任意に分かれる。」か「未成年後見」であるかという分け方、もう一つは、法定後見制(法律上後見が生じる。民法上の後見制全てが含まれる。)か、任意後見制(本人の意思で後見人を選ぶ。特別法。)であるかという分類です。相続における遺言優先の原則と同様、私有財産制による本人の意思優先から、任意後見制は法定後見制に優先します(任意後見契約があると、原則法定後見申立は受理されません。任意後見契約に関する法律第10条)。本人の意思優先原則(契約自由の原則)から成年後見の場合、原則として意思能力の鑑定が必要になりますが、任意後見の場合は、鑑定は必ずしも必要ありません。ただ、任意後見の手続きに本人保護の見地から問題点があれば、裁判所はこれを成年後見に変更することができます(4条1項2号、10条)。

2(任意後見制度の利用場面)
任意後見制度を利用する類型的場面は以下のとおりです。
  @老人性痴呆の発症・悪化に備える場合
  A軽度の痴呆,知的障害,精神障害がある場合
  B危険な手術に備える場合
  C法定後見開始の申立権者の確保
  任意後見契約に関する法律の典型的な契約形態は,将来型(将来の判断能力低下の時点で任意後見契約の効力を発生させる場合)です。
  この契約形態の場合には,法文どおり,任意後見監督人が選任された時から契約の効力が生ずる旨の条項を公正証書に記載すれば足り,それ以外の個別的な特約条項を記載する必要はありません。

3(任意後見制度の手続)

 概略
 @任意後見契約の締結
    ↓
 A任意後見監督人の選任
    ↓
 B後見事務の遂行
    ↓
 C後見事務の報告
    ↓
 D後見契約の終了

(1)@任意後見契約の締結
    任意後見契約は,公証人の作成する公正証書によることが必要です(同3条)。本来契約自由の原則が支配されますが、意思能力が不十分になった場合、補任の意思を確認することができないので、公的書面で前もって確定しておきます。
    また,公正証書には,法務省令で定める証書の様式に従って,任意後見人が代理権を行うべき事務の範囲を特定して記載することが必要です(同2条1号)。
    任意後見人への委任事務の対象は,生活,療養看護または財産の管理に関する法律行為ですが,財産の管理に関する法律行為の例としては,預金の管理,不動産その他重要な財産及び売買契約や賃貸借契約の締結,遺産分割が考えられ,また,生活・療養看護に関する法律行為の例としては,介護契約,施設入所契約,医療契約の締結等が考えられます。任意後見人が弁護士である場合には,これらに関連する行為として,財産の管理などをめぐる紛争に関する訴訟行為の授権も可能です。法定成年後見人は法律行為について取消権を有していますが(民法9条、120条)、任意(成年)後見人は、契約により授与されない限り取消権、同意権をもっていません。

    公証人は,任意後見契約公正証書を作成したときは,法務局に任意後見契約の登記を嘱託しなければならないため(公証人法57条の3),任意後見契約の締結が終了すると,公証人が後見登記を嘱託し、後見登記等ファイルに任意後見契約の内容が登記されることになります。法務局に登記されますと、登記事項証明書を任意後見人は取得できますので(取得するためには請求権利者でなければできません。プライバシイーの関係上厳しくなっています。本人、配偶者、4親等内の親族。後見登記等に関する法律10条。)、この証明書で権限を証明し、取引の相手方にも提示するなどして取引の安全を確保しています。成年後見登記されていないことの証明書を受け取り大切な取引に利用することもできます(法定成年後見の場合取消権があるので)。申請書を各法務局に置いてあります。これは成年後見制の場合も裁判所の嘱託で成年後見の登記が行われますので同様になります。

(2)A任意後見監督人の選任
    任意後見契約の効力が生じるのは,任意後見監督人が選任された時です(任意後見契約に関する法律2条1号)。
    そのため,精神上の障害により本人の判断能力が不十分な状況にあるときは,本人,配偶者,四親等内の親族,または任意後見受任者が,家庭裁判所に対し,任意後見監督人の選任を請求することができます(同4条1項)。ただし,本人以外の人が請求する場合には,本人が意思を表示できない事情がある場合を除いて,本人の同意が必要になります(同4条3項)。

(3)B後見事務の遂行
    任意後見受任者は,任意後見契約の効力が発生(後見監督人の選任)すると,任意後見人となり,後見監督人の監督のもと,本人の意思を尊重し,かつ,その心身の状態及び生活の状況に配慮しながら,任意後見契約の内容に従った後見事務を行うことになります(同6条)。

(4)C後見事務の報告
    任意後見人は,任意後見監督人による事務の報告の求めに応じなければなりません(同7条2項)。
    また,任意後見監督人は,任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況を調査することができます(同7条2項)。
    このような報告・調査制度の存在によって,本人が安心して後見事務を後見人に任せることができることになります。

(5)D後見契約の終了
    後見契約の終了には,以下の類型があります。
    @ 本人・任意後見人の死亡等
    A 任意後見契約の解除
    B 任意後見人の解任
    C 法定後見の開始
 ア @ 本人・任意後見人の死亡等
    本人又は任意後見人が死亡した場合などには,任意後見契約は終了します。これは,任意後見契約が民法の特殊類型とされていることに基づくものです(民法653条参照)。
 イ A 任意後見契約の解除
    任意後見契約の効力が発生する前(任意後見監督人が選任される前)の場合,公正証書によって任意後見契約を解除することができます(任意後見契約に関する法律9条1項)。
    これに対し,任意後見契約の効力が発生した後は,正当な事由がある場合に家庭裁判所の許可を得なければ,任意後見契約を解除することができません(同9条2項)。
 ウ B 任意後見人の解任
    任意後見人に不正な行為,著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは,家庭裁判所は,任意後見監督人,本人,親族又は検察官の請求によって任意後見人を解任することができます(同8条)。
 エ C 法定後見の開始
    任意後見契約の効力が発生する前(任意後見監督人が選任される前)において,本人が後見開始の審判等を受けた場合は,後見,補佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認める場合でなければ,任意後見監督人が選任される可能性があります(同4条1項3号,2項)。
    これに対し,任意後見契約の効力が発生した後に,本人が後見開始,補佐開始又は補助開始の審判を受けた時には,任意後見契約は終了します(同10条3項)。

4 任意後見人の報酬
  任意後見契約においては,法定後見制度とは異なり,任意後見人の報酬についても,契約の内容で定めます。
  一般的には,@定額報酬,A定額報酬以外の報酬,B日当などその他の報酬に区分されます。
(1)@定額報酬
    任意後見受任者は,本人と日常的に行う継続的管理業務を行った報酬として毎月一定の金額を定額報酬として定める例が多いようです。
    任意後見人が管理する財産の金額に見合った報酬が定められるという関係にはありませんが,一般的には,管理する財産の金額に対応した報酬額が定められる例が多いようです。
    一般的な目安としては,管理する総財産金額が3000万円までですと定額報酬が月4万円程度というものでしょう。
(2)A定額報酬以外の報酬
    このような報酬は,@定額報酬とは別の報酬であり,日常的に行う継続的管理業務以外の任意後見契約で定める施設入所契約,不動産の処分などの必要に応じた業務に支払われる報酬です。
(3)B日当などその他の報酬
    このような報酬は,@定額報酬及びA定額報酬以外の報酬とは別の報酬であり,一般社会の取引慣行に照らして適正妥当と認められる金額が定められているようです。


≪参照条文≫

<任意後見契約に関する法律>
(趣旨)
第一条  この法律は、任意後見契約の方式、効力等に関し特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
一  任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。
二  本人 任意後見契約の委任者をいう。
三  任意後見受任者 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前における任意後見契約の受任者をいう。
四  任意後見人 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後における任意後見契約の受任者をいう。
(任意後見契約の方式)
第三条  任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。
(任意後見監督人の選任)
第四条  任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一  本人が未成年者であるとき。
二  本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき。
三  任意後見受任者が次に掲げる者であるとき。
イ 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第八百四十七条 各号(第四号を除く。)に掲げる者
ロ 本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
ハ 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者
2  前項の規定により任意後見監督人を選任する場合において、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)を取り消さなければならない。
3  第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
4  任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、その親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任する。
5  任意後見監督人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者の請求により、又は職権で、更に任意後見監督人を選任することができる。
(任意後見監督人の欠格事由)
第五条  任意後見受任者又は任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができない。
(本人の意思の尊重等)
第六条  任意後見人は、第二条第一号に規定する委託に係る事務(以下「任意後見人の事務」という。)を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
(任意後見監督人の職務等)
第七条  任意後見監督人の職務は、次のとおりとする。
一  任意後見人の事務を監督すること。
二  任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること。
三  急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること。
四  任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。
2  任意後見監督人は、いつでも、任意後見人に対し任意後見人の事務の報告を求め、又は任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況を調査することができる。
3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、任意後見監督人に対し、任意後見人の事務に関する報告を求め、任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況の調査を命じ、その他任意後見監督人の職務について必要な処分を命ずることができる。
4  民法第六百四十四条 、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十九条の二、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、任意後見監督人について準用する。
(任意後見人の解任)
第八条  任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の請求により、任意後見人を解任することができる。
(任意後見契約の解除)
第九条  第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前においては、本人又は任意後見受任者は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、任意後見契約を解除することができる。
2  第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。
(後見、保佐及び補助との関係)
第十条  任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判等をすることができる。
2  前項の場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。
3  第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは、任意後見契約は終了する。
(任意後見人の代理権の消滅の対抗要件)
第十一条  任意後見人の代理権の消滅は、登記をしなければ、善意の第三者に対抗することができない。
(家事審判法 の適用)
第十二条  家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、第四条第一項、第四項及び第五項の規定による任意後見監督人の選任、同条第二項の規定による後見開始の審判等の取消し、第七条第三項の規定による報告の徴収、調査命令その他任意後見監督人の職務に関する処分、同条第四項において準用する民法第八百四十四条 、第八百四十六条、第八百五十九条の二第一項及び第二項並びに第八百六十二条の規定による任意後見監督人の辞任についての許可、任意後見監督人の解任、任意後見監督人が数人ある場合におけるその権限の行使についての定め及びその取消し並びに任意後見監督人に対する報酬の付与、第八条の規定による任意後見人の解任並びに第九条第二項の規定による任意後見契約の解除についての許可は、家事審判法第九条第一項 甲類に掲げる事項とみなす。
(最高裁判所規則)
第十三条  この法律に定めるもののほか、任意後見契約に関する審判の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
   附 則
 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。
   附 則 (平成二三年五月二五日法律第五三号)
 この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。

<民法>
(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条  後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
(委任の終了事由)
第六百五十三条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一  委任者又は受任者の死亡
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。
(後見人の欠格事由)
第八百四十七条  次に掲げる者は、後見人となることができない。
一  未成年者
二  家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三  破産者
四  被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五  行方の知れない者

公証人法
第五十七条ノ三  公証人任意後見契約に関する法律 (平成十一年法律第百五十号)第三条 ニ規定スル証書ヲ作成シタルトキハ登記所ニ任意後見契約ノ登記ヲ嘱託スルコトヲ要ス
○2 前項ノ登記ノ嘱託書ニハ証書ノ謄本ヲ添付スルコトヲ要ス

後見登記等に関する法律
(登記事項証明書の交付等)
第十条  何人も、登記官に対し、次に掲げる登記記録について、後見登記等ファイルに記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
一  自己を成年被後見人等又は任意後見契約の本人とする登記記録
二  自己を成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人(退任したこれらの者を含む。)とする登記記録
三  自己の配偶者又は四親等内の親族を成年被後見人等又は任意後見契約の本人とする登記記録
四  保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの
2  次の各号に掲げる者は、登記官に対し、それぞれ当該各号に定める登記記録について、登記事項証明書の交付を請求することができる。
一  未成年後見人又は未成年後見監督人 その未成年被後見人を成年被後見人等若しくは任意後見契約の本人とする登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの
二  成年後見人等又は成年後見監督人等 その成年被後見人等を任意後見契約の本人とする登記記録
三  登記された任意後見契約の任意後見受任者 その任意後見契約の本人を成年被後見人等とする登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの
3  何人も、登記官に対し、次に掲げる閉鎖登記記録について、閉鎖登記ファイルに記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下「閉鎖登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
一  自己が成年被後見人等又は任意後見契約の本人であった閉鎖登記記録
二  自己が成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人であった閉鎖登記記録
三  保全処分に係る閉鎖登記記録で政令で定めるもの
4  相続人その他の承継人は、登記官に対し、被相続人その他の被承継人が成年被後見人等若しくは任意後見契約の本人であった閉鎖登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る閉鎖登記記録で政令で定めるものについて、閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる。
5  国又は地方公共団体の職員は、職務上必要とする場合には、登記官に対し、登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる。

■参考文献
『成年後見の実務‐手続きと書式‐』 高村浩 新日本法規出版株式会社
『わかりやすい新成年後見制度〔新版〕』 小林昭彦・大鷹一郎 有斐閣リブレ39
『Q&A「成年後見」実務ハンドブック』 田中亮一 セルバ出版
『一問一答 新しい成年後見制度』 小林昭彦・大鷹一郎・大門匡 社団法人商事法務研究会


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