マンション管理会社への損害賠償請求

民事|急傾斜地災害防止法|土砂災害防止法

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

マンション管理組合の理事長をしています。当マンションは傾斜地に立地しているのですが、先日、マンション敷地の土砂が一部崩落して大量の土砂が道路にはみ出してしまいました。崩落した敷地の復旧工事には2千万円ほどの費用が掛かると見積もりが来ています。我々の財産の修繕に費用が必要であるということは分かるのですが、一部住人によると崩落部分は半年以上前からひび割れがあり、雨の後には茶色い水が流れていて危険を感じており管理人にも相談していたというのです。もしも事前に予防措置を取れていたら、崩落は防げたのではないかと思います。2千万円の復旧工事費用は不要だったかもしれません。管理会社の責任を問うことはできないでしょうか。マンション分譲会社や、販売代理業者の責任は問えませんか?

回答:

1、日本中で傾斜地にマンションが建設されておりますが、傾斜度30度以上の土地については「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」で都道府県知事により「急傾斜地崩壊危険区域」として指定されると、敷地所有者には急傾斜地の崩落が生じないように保全措置を取ることが義務付けられ、マンション建築時には都道府県知事の個別許可が必要となります。30度と言えば歩くこともままならないような急斜面であり、ほとんどのマンション敷地はこの規制範囲外と思われます。土砂災害防止法の土砂災害特別警戒区域にも同様の規制がありますが、こちらも原則として30度以上の急傾斜地に対して指定がなされます。

2、一般論となりますが、前記のような急斜面に立地するマンションではない場合、建築基準法に従い適法に建築確認を受けて設計施工分譲されているマンションでは、マンション分譲会社や販売代理業者の法的責任を問うことは困難と言えるでしょう。他方、敷地崩落の危険性が外部から観察され、管理会社の管理員に告知するなど、管理会社も認識していたにも関わらず対策を放置していたなど、管理会社の過失となるような事情がある場合は、管理会社に対して増加してしまった補修費用について損害賠償請求できる可能性はあります。参考判例を御紹介します。

3、マンション管理に伴って大きな臨時出費を生じてしまった場合に、管理会社等の法的責任を問えるかどうかは、個々のケースの個別事情によりケースバイケースの対応が必要になると考えられます。証拠を収集した上で、管理会社に対して代理人弁護士を交えた補償協議をすることが必要でしょう。お困りの場合は一度お近くの弁護士事務所に御相談なさって下さい。

4、マンション管理に関する関連事例集参照。

解説:

1、急傾斜地災害防止法、土砂災害防止法

御相談のケースでは傾斜地に建設されたマンション敷地の一部が崩落してしまったとのことです。傾斜地の利用や建築物に関する法規制がありますので、この法令に違反してないかどうか、まず確認する必要があります。

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

第2条(定義)1項 この法律において「急傾斜地」とは、傾斜度が三十度以上である土地をいう。

第3条(急傾斜地崩壊危険区域の指定)

1項 都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないようにするため、第七条第一項各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。

第7条(行為の制限)

1項 急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるその他の行為については、この限りでない。

一号 水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為

二号 ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造

三号 のり切、切土、掘さく又は盛土

四号 立木竹の伐採

五号 木竹の滑下又は地引による搬出

六号 土石の採取又は集積

七号 前各号に掲げるもののほか、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある行為で政令で定めるもの

2項 都道府県知事は、前項の許可に、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な条件を附することができる。

この法律では、傾斜度が30度以上の斜面で、都道府県知事から「急傾斜地崩壊危険区域」に指定された敷地に建物を建設する場合は、都道府県知事の個別の許可を受ける必要があるとされています。都道府県知事は、必要に応じて、急傾斜地の崩落を防止する措置(崩壊防止工事など)を条件として許可を出すことができます(急傾斜地災害防止法7条2項)。

土砂災害防止法

第2条(定義) この法律において「土砂災害」とは、急傾斜地の崩壊(傾斜度が三十度以上である土地が崩壊する自然現象をいう。)、土石流(山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象をいう。第二十七条第二項及び第二十八条第一項において同じ。)若しくは地滑り(土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象をいう。同項において同じ。)(以下「急傾斜地の崩壊等」と総称する。)又は河道閉塞による湛たん水(土石等が河道を閉塞したことによって水がたまる自然現象をいう。第七条第一項及び第二十八条第一項において同じ。)を発生原因として国民の生命又は身体に生ずる被害をいう。

第9条(土砂災害特別警戒区域)

1項 都道府県知事は、基本指針に基づき、警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為の制限及び居室(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第四号に規定する居室をいう。以下同じ。)を有する建築物の構造の規制をすべき土地の区域として政令で定める基準に該当するものを、土砂災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)として指定することができる。

第10条(特定開発行為の制限)

1項 特別警戒区域内において、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第十二項に規定する開発行為で当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物(当該区域が特別警戒区域の内外にわたる場合においては、特別警戒区域外において建築が予定されている建築物を除く。以下「予定建築物」という。)の用途が制限用途であるもの(以下「特定開発行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為については、この限りでない。

2項 前項の制限用途とは、予定建築物の用途で、住宅(自己の居住の用に供するものを除く。)並びに高齢者、障害者、乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設、学校及び医療施設(政令で定めるものに限る。)以外の用途でないものをいう。

この法律でも、傾斜度30度(正三角形を垂直に半分に切って横に倒した時の傾斜度)以上の急傾斜地のうち崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為の制限及び居室を有する建築物の構造の規制をすべき土地の区域として政令で定める基準に該当するものが、土砂災害特別警戒区域として指定され、建物の建設などの際に都道府県知事の個別許可が必要とされています。

一般論となりますが、30度以上の急傾斜地は歩くことも困難であるような急峻な坂道であり、住宅地として利用されることの少ない区域であると言えるでしょう。これらの法令に違反して、建築物が設計施工され分譲されてしまったというような事例は少ないものと思われます。

2、法律規制範囲内の傾斜地

大多数のマンションは、前記のような急傾斜地に建設されたものではなく、開発行為に際して予防措置を施した上で個別許可を必要とするような条件は課せられていなかったものと言えます。通常の建築基準法の規制に従って、構造計算などの設計を行い建築確認を受けて建築施工されたものと思われます。

このような適法に建築されたマンションでは、分譲主のデベロッパーや、設計会社や、売主の販売代理業者の法的責任を問うことは、手抜き工事などの特別な事情がある場合を除いて、一般的に困難と言わざるを得ません。法律に適合した建物を建築し、それを売買しているに過ぎないからです。法律の規制に適合している限り、傾斜地の危険性について売買契約時の重要事項説明義務も生じないと考えられます。

他方、マンション管理業者と日常的な点検管理業務の委託契約を締結していた場合、事前に敷地崩落の危険を察知して修繕できるような特別の事情がある場合に、これを怠って、被害が拡大してしまったような事情がある場合には、当該管理会社の法的責任(不法行為責任又は債務不履行責任)を追及できる可能性があることになります。

マンションなどの建築物の地盤について、建築基準法12条1項の定期検査が必要であり、これは管理委託契約を締結している場合には、マンション管理会社の責任において検査報告が行われることになります。

※国土交通省による、マンション標準管理委託契約書

https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001630188.pdf

別表4建物・設備等管理業務(2)建築基準法第12条第1項に規定する特定建築物定期調査 (1回/6月~3年)①敷地及び地盤 地盤の不陸、排水の状況、通路の確保の状況、塀・擁壁の劣化及び損傷の状況等

建築基準法

第12条(報告、検査等)

1項 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

3、判例紹介

(1)横浜地裁令和5年12月15日判決

傾斜地に建てられたマンションの斜面敷地部分が竣工15年後に崩落して、下の道路に土砂が流出したことによる補修工事費用等の損害賠償を管理業務を受託していた管理会社に請求した事案です。

『エ被告管理会社の担当者は、平成17年1月23日、原告組合の初代理事長であった原告G12に対し、本件関係図書は、被告管理会社が管理員を置いている管理員室で保管してあると説明した上で、本件関係図書を引き渡した(甲34、乙A13、原告G12(2頁)。

オ被告管理会社は、本件斜面地の植生の定期的なメンテナンスをしていないし、植生を含め本件斜面地の点検を行っていなかった(甲20、50の5)。

被告管理会社は、平成24年11月頃及び平成30年2月頃に、原告組合からの委託に基づき、本件斜面地の植生が風化防止のために必要であることを認識しないまま、本件斜面地の相当数の樹木の伐採や草刈り工事を行った(甲39、40、42、43、46、48、50の2及び5、乙A4、乙D2から5まで、原告G34)。

本件管理員は、本件従業員に対し、本件斜面地の枯れ木が倒れた場合には、本件市道にまで落下する危険があると指摘したり、ツタが伸びているといった状況に気付いたときには、本件斜面地に立ち入って、一種のサービスとして除草作業を行ったりしていた。(甲50の2及び5)』

『(6)本件崩落前日の出来事(甲50の2及び5)

ア被告管理会社の従業員である本件マンションの管理員(以下「本件管理員」という。)は、令和2年2月4日午前10時頃、本件斜面地の上部の平面部(以下「本件平面部」という。)に立ち入った。本件管理員は、本件平面部に亀裂(以下「本件亀裂」という。)を発見した。

イ本件管理員は、本件亀裂の写真を撮り、本件マンションの管理業務主任者であった被告管理会社の別の従業員(以下「本件従業員」という。)にメールで報告して相談した。しかし、これを受けた本件従業員は、原告組合にこのことを伝えなかった。』

『5 争点4(被告管理会社の不法行為責任又は債務不履行責任の有無)について

(1)前提事実及び上記1の認定事実によれば、以下の各事実が認められるので、被告管理会社は、条理上、原告組合に対して、本件斜面地の崩落防止のための助言を行うべき義務及び本件斜面地の安定保護を損なうような行為を避ける義務を負っていたと認められる。

ア被告管理会社は、被告販売会社、当初購入者ら及び原告組合から、本件斜

面地の管理を受託する管理会社として指定されており、その管理契約の内容についても本件マンションの管理に必要なものとするように委ねられていた。

イ被告管理会社は、被告販売会社から、本件斜面地の植生が安定保護のために必要であり、定期的な維持管理が必要である旨記載された本件書面を受領しており、その内容を確認することは容易であった。

ウ被告管理会社は、被告販売会社から、本件斜面地の植生が安定保護のために必要であり、定期的な維持管理や本件斜面地の点検が必要であることが理解できる本件報告書を受領しており、その内容を確認することは容易であった。

(2)被告管理会社は、上記義務を負っていたにもかかわらず、本件書面及び本件報告書の内容を確認しないまま、本件管理委託契約の内容を決定して原告組合との間で本件管理委託契約を締結し、本件斜面地の管理は業務の対象外との認識の下、従業員をして管理業務も助言も行わず、本件斜面地の安定保護を意識することなく樹木の伐採や除草作業を行っていたことが認められるので、上記義務に違反したものというほかなく、不法行為責任は免れないというべきである。』

この判例では、管理会社には、傾斜地に建設されたマンションの「斜面地の崩落防止のための助言を行うべき義務及び本件斜面地の安定保護を損なうような行為を避ける義務」を負っていたと判示しています。

(2)善良なる管理者の注意

管理組合と管理会社の契約は業務委託契約(民法643条、656条)ですが、これは、民法の委任に関する規定が準用されるもので、委任契約に準じて受託者は「善良なる管理者の注意義務(民法644条)」を負担することになります。いわゆる善管注意義務については、有名な最高裁判例がありますので御紹介致します。

民法第643条(委任) 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

第644条(受任者の注意義務) 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

第656条(準委任) この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

※最高裁判所、昭和46年6月10日判決

『おもうに、銀行が当座勘定取引契約によつて委託されたところに従い、取引先の振り出した手形の支払事務を行なうにあたつては、委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもつてこれを処理する義務を負うことは明らかである。したがつて、銀行が自店を支払場所とする手形について、真実取引先の振り出した手形であるかどうかを確認するため、届出印鑑の印影と当該手形上の印影とを照合するにあたつては、特段の事情のないかぎり、折り重ねによる照合や拡大鏡等による照合をするまでの必要はなく、前記のような肉眼によるいわゆる平面照合の方法をもつてすれば足りるにしても、金融機関としての銀行の照合事務担当者に対して社会通念上一般に期待されている業務上相当の注意をもつて慎重に事を行なうことを要し、かかる事務に習熟している銀行員が右のごとき相当の注意を払つて熟視するならば肉眼をもつても発見しうるような印影の相違が看過されたときは、銀行側に過失の責任があるものというべく、偽造手形の支払による不利益を取引先に帰せしめることは許されないものといわなければならない。』

善良なる管理者の注意は、個々の契約によって事情が異なりますが、習熟したプロとして社会通念上求められる業務上相当の注意で管理することが求められると解釈されています。契約書に具体的に義務内容が明記されていなくても、委任契約(業務委託契約)の趣旨に従い、相当な注意義務を払う必要があると解釈されています。法律解釈は字句解釈とは違います。当事者間で合意した契約の趣旨、本旨を常に考える必要があるのです。日々のマンション管理業務においては、天変地異や、近隣トラブル、住人トラブル、建物や共用設備の老朽化や破損など、契約書には書ききれないほどの様々な多種多様な出来事が発生することになります。管理業務を受託した管理業者(現場の管理員、管理会社の責任者)は、どのように対応すべきか、どのように行動すべきか、臨機応変に判断していくことが求められるのです。

(3)前記判例における善管注意義務

この裁判例では、分譲売主から交付された工事完成引渡書類の中で、近隣関係引継資料と題する書面には、「施主サイドから管理会社・管理組合に引継をしなければならない事項。1.側崖部分の既存植込みについては、斜面安定保護の為、伐採しないほうが宜しいと思います。定期的な樹木類のメンテナンスが必要です。2.同石積部分についても、雑草類の定期的なメンテナンスが必要です。」との記載があったにも関わらず、漫然と樹木の伐採も行い、斜面地の安定保護を意識することなく、事故の前日には管理員が斜面地上部に亀裂を発見していたのに、管理組合に知らせることも怠っていたという事情がある場合に、管理会社の注意義務違反を認定し、管理組合に対して総額4193万円の賠償金の支払いを命じたものでした。なお、判例では「善管注意義務」という用語は用いず、「条理上、原告組合に対して、本件斜面地の崩落防止のための助言を行うべき義務及び本件斜面地の安定保護を損なうような行為を避ける義務」を負っていたという判決理由を示していますが、民法上の業務委託契約に付随する善管注意義務の一環として同義務の負担を認定したと解釈して良いでしょう。

4、まとめ

傾斜地に建設されたマンション敷地の崩落による損害が発生した場合に、これが自然災害などによる不可抗力だったのか、それとも管理会社の業務にミスがあり、本来であれば防止できたものが過失により被害拡大してしまったものか、切り分ける必要があります。

前記判例の事案でも分譲会社からの引継ぎ書類に注意事項が記載されていたという事情がありましたし、事故前日にも予兆のような亀裂が発見されていました。ご相談の事案で、管理会社の法的責任を問える事情があるのかどうか、様々な事情を総合的に検討してみることが必要です。

お困りの場合は、施工会社から引き渡しを受けた竣工図面や引き継ぎ書など管理室備え置き書類も含めて関係資料を用意した上で、一度お近くの法律事務所に御相談なさってみると良いでしょう。

※参考判例

令和5年12月15日判決言渡同日原本領収裁判所書記官

令和3年(ワ)第1509号損害金請求事件

口頭弁論終結日令和5年9月22日

主文

1被告株式会社Dは、原告A管理組合に対し、4193万3800円及び

これに対する令和2年2月5日から支払済みまで年5分の割合による金員

を支払え。

2原告A管理組合のその余の請求及び同人を除く原告らの請求をいずれも

棄却する。

3訴訟費用は、原告A管理組合に生じた費用の4分の3と被告J株式

会社、被告S不動産販売株式会社及び被告株式会社Kに生じた各費用

の20分の9を原告A管理組合の負担とし、原告A管理組合に生じた

その余の費用と被告株式会社Dに生じた費用の20分の9を、被告

株式会社Dの負担とし、原告A管理組合を除く原告らに生じた費用と

被告らに生じたその余の費用を原告A管理組合を除く原告らの負担とする。

4この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求

別紙請求の趣旨目録記載のとおり

第2事案の概要

1令和2年2月5日、別紙物件目録記載の一棟の建物(以下「本件マンション」という。)の敷地の一部である斜面地(以下「本件斜面地」という。)の一部が崩落した(以下「本件崩落」という。)。本件は、本件マンションの管理組合である別紙当事者目録記載第1の1の原告(以下「原告組合」という。)及び本件マンションの区分所有者である別紙当事者目録記載第1の2から49までの原告ら(以下「原告区分所有者ら」という。)が、以下のとおり主張して、被告らに対し、民法719条に基づき連帯して別紙請求の趣旨目録記載のとおりの損害金元本(ただし、元本は損害の一部である。)及びこれに対する本件崩落発生日である令和2年2月5日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。

(1)被告J株式会社(以下「被告販売会社」という。)に対する請求

被告販売会社は、被告販売会社から本件マンションの区分所有建物を購入した者ら(以下「当初購入者ら」といい、このうち原告となっているものを「原告当初購入者ら」という。)に対し本件斜面地の崩落防止に必要な措置をとることなく本件マンションの区分所有建物を分譲販売したこと、本件斜面地の風化が進んでおり危険性があることを説明しなかったのみならず「本件マンションの敷地は硬い岩盤で覆われており本件斜面地もその硬い岩盤が一体となって覆っているので、土砂などの崩落等の危険は一切ない」旨の説明(以下「本件説明」という。)をしたが、これは内容虚偽であったことから、民法709条、710条に基づき、原告らに生じた損害を賠償する義務がある。

(2)被告S不動産販売株式会社(以下「被告販売代理店」という。)に対する請求

被告販売代理店は、本件斜面地の風化が進んでおり危険性があることを説明しなかったのみならず内容虚偽の本件説明をしたことから、民法709条、710条に基づき、原告らに生じた損害を賠償する義務がある。

(3)被告株式会社K(以下「被告設計会社」という。)に対する請求

被告設計会社は、本件斜面地の崩落防止に必要な措置をとることなく本件マンションを設計監理したこと、本件斜面地の風化が進んでおり危険性があることを説明しなかったのみならず内容虚偽の本件説明をしたことから、民法709条、710条に基づき、原告らに生じた損害を賠償する義務がある。

(4)被告株式会社D(以下「被告管理会社」という。)に対する請求

被告管理会社は、本件斜面地の維持管理を適切に行わなかったこと、原告らに対して適切な助言をしなかったこと及び本件崩落の前兆に気づきながら予防措置を取らなかったことから、民法709条、710条(原告組合については管理委託契約の債務不履行に基づく損害賠償請求を選択的に主張する。)に基づき、原告らに生じた損害を賠償する義務がある。

2前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(証拠の番号は、特に断らない限り、枝番号を含む。以下同じ。)

(1)当事者

ア原告区分所有者らは、本件マンションの区分所有者らである(甲1)。

イ原告組合は、本件マンションの管理を行うためその区分所有者らによって構成される建物の区分所有等に関する法律3条の団体である(甲3)。

ウ被告販売会社は、分譲マンションの販売等を目的とする株式会社であり、本件マンションの建築当初の区分所有建物の売主である。

エ被告販売代理店は、被告販売会社の代理人として本件マンションの区分所有建物を分譲販売した株式会社である。

オ被告設計会社は、本件マンションの設計監理を行った株式会社である。

カ被告管理会社は、原告組合と本件マンションを対象とする管理委託契約を締結し(以下、この契約を「本件管理委託契約」という。)、本件マンションの管理をしていた株式会社である(甲8)。

(2)本件マンションの計画及び建築

ア被告販売会社は、平成14年頃からマンションの建築を計画し、本件マンションの敷地上にあった旧建物及びその敷地を購入して、旧建物を取り壊して本件マンションの建築をすることについて具体的な調査を開始した(乙C2)。

イ被告販売会社は、平成15年6月、地質調査の専門業者である株式会社ジオレスト(以下「ジオレスト」という。)に対し、本件マンションの敷地の地質調査を依頼した。ジオレストは、調査の結果を、平成15年6月付けの2通の報告書にまとめ、被告販売会社に提供した。このうち、1通の報告書は、本件マンションの敷地のうち、本件斜面地を含む斜面や擁壁に関するものであった(以下、この報告書を「本件報告書」という。)。(甲12、18)

ウ被告販売会社は、同年7月11日、株式会社ダイフクから本件マンションの敷地及び敷地上の旧建物を購入した(甲2)。

エ被告販売会社は、旧建物を取り壊した上、同年8月19日、建築確認済証の交付を受けて、同年10月1日から本件マンションの建築を開始した(甲5の1、2、甲7)。

オ被告販売会社は、平成16年7月26日、本件マンションを完成させた(甲6)。

(3)本件マンションの区分所有建物の分譲販売

被告販売会社は、平成15年から平成17年にかけて、被告販売代理店を代理人として、本件マンションの区分所有建物を当初購入者らに分譲販売した(甲1の1から38まで、甲4)。

(4)被告管理会社による本件マンションの管理開始及び原告組合の成立等

ア被告管理会社は、平成16年7月26日から、被告販売会社から関係書類の引渡しをうけて、本件マンションの管理を始めた。

イ原告組合は、同年12月26日、臨時総会を開催して、役員や規約などを定めるなどして成立するとともに、被告管理会社との間で本件管理委託契約を締結した(甲8)。

(5)本件マンション建築後本件崩落前日までの本件斜面地の状態

ア本件斜面地は、その下を走る市道(a線。以下「本件市道」という。)から約15.9mの高さであり、本件市道から約8.2mの高さまで石積み擁壁で覆われていた。同擁壁の上には、被告販売会社が設置した落石防護柵があった。落石防護柵から上部は、本件マンションの建築当時、樹木などが生い茂っていたが、本件崩落前日には、樹木は減少しており、天端まで笹などの植生があった。(甲10、乙A4)

イ本件斜面地を含む一帯の土地は、平成23年11月22日神奈川県告示第639号により土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下「土砂災害防止法」という。)7条1項に基づく土砂災害警戒区域に指定された(甲23から25まで、乙A1、3)。

神奈川県土木事務所(以下「県土木事務所」という。)は、令和2年1月頃、本件斜面地の現地調査を行った(甲50の5)。

(6)本件崩落前日の出来事(甲50の2及び5)

ア被告管理会社の従業員である本件マンションの管理員(以下「本件管理員」という。)は、令和2年2月4日午前10時頃、本件斜面地の上部の平面部(以下「本件平面部」という。)に立ち入った。本件管理員は、本件平面部に亀裂(以下「本件亀裂」という。)を発見した。

イ本件管理員は、本件亀裂の写真を撮り、本件マンションの管理業務主任者であった被告管理会社の別の従業員(以下「本件従業員」という。)にメールで報告して相談した。しかし、これを受けた本件従業員は、原告組合にこのことを伝えなかった。

(7)本件崩落の発生

令和2年2月5日午前7時58分頃、本件斜面地のうち、落石防護柵より上部が幅約9m、高さ約10m、厚さ約1.5mにわたって崩落した。

亡B(以下「本件被害者」という。)は、本件市道を通行していたところ、崩落した土砂に巻き込まれて死亡した。(甲9、11)

(8)原告組合の本件報告書の発見と内容の確認

原告組合は、本件崩落発生後、本件マンションの管理員室において本件報告書を発見し、その内容を確認した。本件報告書には、要旨以下の内容が記載されていた。(甲12)

ア本件斜面地について、風化により強度が低下している部分がある。

イ敷地内の雨水排水処理を確実に行うため、斜面上部には、側溝を設置するか、若しくは段差をつけ、斜面部への雨水などの流入を防止する必要がある。

斜面の雑木・雑草の適宜な除去を行い、木根による異方性崩壊の促進を抑制することが望ましい。

ウ本件斜面地には、崩壊地が数か所存在しているため、落石防護工(ストーンガードなど)による対策を施すことが望ましい。また、本件斜面地の樹木の全面除去を行うならば、落石防護網工(ロックネットなど)や斜面保護工(モルタル吹き付け工)による対策を施すことが望ましい。

エ本件マンションの計画を考慮した斜面安定解析結果によれば、必要安全率は満足しており安定性は確保されている。

(9)本件崩落の原因(甲10、11、17)

本件崩落の原因は、本件斜面の地盤が風化したことにある。地盤が風化した原因は、放射冷却及び強い季節風が相まった乾湿、低温、凍結、強風の複合的作用にある。本件斜面地が東北東向きで日当たりが悪かったこと及び土層深(厚さ)が周辺の標準よりもやや小さかったことなどが原因で、風化防止作用としての植生が貧弱であったことも風化の原因である。

3争点及びこれに対する当事者の主張

(1)被告販売会社の不法行為責任の有無(争点1)

(原告らの主張)

ア被告販売会社は、本件報告書により本件斜面地の風化が進行していることを知っていたのであるから、条理上、本件斜面地に風化対策を行って崩落防止に必要な措置をとった上で販売するか、当初購入者らに対し、本件マンションを分譲販売する際に、本件報告書記載の本件斜面地の風化の状況を説明すべき義務を負っていた。そうであるにもかかわらず、被告販売会社は、本件斜面地の風化対策を一切せず、また、本件報告書記載の本件斜面地の風化の状況を説明しないばかりか、内容虚偽の本件説明を行った。

イ本件斜面地について安全性を確保すべき条理上の義務は、当初購入者ら以外の第三者に対しても負う注意義務であるし、当初購入者らに行う説明は、契約書や重要事項説明書の記載等を通じて転得者に引き継がれていくため、原告当初購入者ら以外の原告区分所有者らに対しても、注意義務違反が認められるべきである。

ウ以上のとおりであり、被告販売会社は不法行為責任を免れない。

(被告販売会社の主張)

ア否認ないし争う。本件マンションの分譲販売時において、原告らが主張する風化対策を行う必要性はなく、本件崩落も予見できないので、被告販売会社は条理上の義務を負わない。被告販売会社は、地質調査及び崩落の危険性の評価について専門業者であるジオレストに委託し、その報告を踏まえて、本件斜面地に落石防護柵を設置するなどしており、十分な措置を講じていた。

イまた、被告販売会社は、被告管理会社に対し、本件報告書を交付するとともに、本件斜面地の樹木及び雑草については定期的なメンテナンスが必要であることを説明し、当初購入者らに対しても、本件マンションの敷地の北、東側には擁壁があり、原告組合において管理を行う必要があることを重要事項説明書に記載するとともに説明している。

ウ本件崩落の原因は原告ら及び被告管理会社が本件斜面地の維持管理をしなかったことにある。

(2)被告販売代理店の不法行為責任の有無(争点2)

(原告らの主張)

被告販売代理店は、当初購入者らに対し、条理上、本件報告書記載の本件斜面地の風化の状況を説明すべき義務を負っていた。そうであるにもかかわらず、被告販売代理店は、本件報告書記載の本件斜面地の風化の状況を説明しなかったばかりか、内容虚偽の本件説明を行った。さらに、当初購入者らに行う説明は、転得者に引き継がれていくため、原告当初購入者ら以外の原告区分所有者らに対しても、注意義務違反が認められるべきである。

以上のとおりであり、被告販売代理店は不法行為責任を免れない。

(被告販売代理店の主張)

否認ないし争う。被告販売代理店は、本件報告書の内容は知らないし、本件斜面地に崩落の危険性があることを認識しておらず、認識することもできなかったので、当初購入者らに対して、条理上の説明義務を負わない。また、本件説明はしていない。さらに、説明対象ではない原告当初購入者ら以外の原告区分所有者らに対して説明義務違反が認められる余地はない。

(3)被告設計会社の不法行為責任の有無(争点3)

(原告らの主張)

被告設計会社は、本件報告書の内容を把握した上で、本件マンションの設計監理を委託されていたのであるから、条理上、本件斜面地についても動的コーン貫入試験や弾性波探査を行うなどの安全性を確保するための調査を実施した上、本件斜面地につき風化対策をとる義務があった。そうであるにもかかわらず、被告設計会社はこれらの義務を怠った。また、被告販売代理店の従業員が本件説明を行ったのは、被告設計会社からの説明が基になっている以上、被告設計会社も責任を負う。

以上のとおりであり、被告設計会社は不法行為責任を免れない。

(被告設計会社の主張)

否認ないし争う。ジオレストからは本件斜面地の落石の危険性の指摘を受けたにとどまり、崩落の危険性の指摘は受けていない以上、本件斜面地の風化対策までとる必要はなかった。

(4)被告管理会社の不法行為責任又は債務不履行責任の有無(争点4)。

(原告らの主張)

ア被告管理会社は、条理上、又は、本件管理委託契約に基づいて、本件報告書を精査した上で、本件斜面地の崩落防止のために適切な維持管理を行い、さらに、必要な措置を講じるべきことを原告らに対して助言すべき義務を負っていた。

イまた、本件崩落発生の前日に、本件管理員が本件亀裂を発見しているのであるから、被告管理会社は、本件崩落を防止するため、条理上、又は、本件管理委託契約上、崩落予防措置をとる義務があった。

ウそうであるにもかかわらず、被告管理会社はこれらを怠ったので、不法行為責任又は債務不履行責任を負う。

(被告管理会社の主張)

本件管理委託契約上、本件マンションの敷地は管理対象ではあったが、具体的な管理業務の内容が定められていなかったので、本件斜面地についての維持管理を被告管理会社は受託していなかったし、維持管理について助言すべき義務もなかった。本件報告書は、被告販売会社から原告組合に引き渡すべき書類に含まれていたもので、被告管理会社はこれを保管する義務のみを負っており内容を精査する義務はなかった。仮に本件報告書の内容を認識したとしても、本件斜面地の崩落の危険性を認識することはできなかった。また、本件亀裂の発見をもって、本件斜面地の崩落を予見することはできなかったため、原告組合に何らかの措置を講じるよう助言する義務もなかった。

(5)原告らの損害額(争点5)

(原告組合の主張)

本件崩落の発生に伴い、土砂撤去費用として112万2000円、交通誘導員配置費用として520万6300円、復旧工事の設計業務委託費用として939万4000円、応急復旧工事費用として2113万7600円、看板設置費用として64万0200円、建築基準法12条5項の規定に基づく報告のための調査費用として62万3700円の合計3812万3800円の負担を余儀なくされた。これに本件訴訟に係る弁護士費用381万円(上記損害の合計の約1割)を加えると、原告組合の損害は、合計4193万3800円となる。

なお、上記損害は、本件崩落による損害の一部であり、本件被害者の遺族に対して支払った損害金は含まれていない。

(原告区分所有者らの主張)

ア原告区分所有者ら全員の損害

上記原告組合の主張のとおりであり、同損害は原告区分所有者ら全員の損害総額に当たる。なお、原告区分所有者らの請求は一部請求であり、本件被害者の遺族に対して支払った損害金は含まれていない。

イ原告区分所有者ら各人の損害

本件マンション価値下落として一戸当たり100万円の損害

本件崩落により本件マンションは瑕疵物件となり、事実上売却が不可能となった。原告区分所有者らは、本件被害者の遺族から損害賠償請求を受けていたところ、一戸当たりの負担は約350万円となることから価格下落による損害は350万円以上と考えられる。そのうちの一部請求として100万円(原告区分所有者らが、共有持分権者である場合には、持分割合を乗じた金額)を請求するものである。

精神的損害として一戸当たり30万円の損害

本件崩落により、原告区分所有者らは、自身らの生命身体に対する危険が生じないか不安に感じるなどの精神的苦痛を受けた。これを慰謝するために相当な慰謝料額は一戸当たり30万円を下らない。なお、原告区分所有者らが共有持分権者である場合には一人当たり15万円として計算するのが相当である。

弁護士費用

上記、の合計の1割が相当である。

(被告らの主張)

否認ないし争う。

第3当裁判所の判断

1認定事実(後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の各事実が認められる。)

(1)被告販売会社の行為について

ア被告販売会社は、平成15年7月から本件マンションの建築工事に着手し、平成16年7月までに本件マンションの建築工事を終了して本件マンションを完成させた。

その間、被告販売会社は、本件報告書の内容に従い、本件斜面地の天端部分等に側溝を設けるとともに本件斜面地の石積み擁壁の上部に落石防護柵を設置した。また、本件斜面地の景観改修及び林層保護を目的として本件斜面地の法面改修をすることとした。その内容は、急勾配の法面保護のために主な既存樹木は残すこととした上での既存樹木の整枝、せん定、雑草、ツタ類の除去を行うというものであった。(乙A6から9まで)

イ被告販売会社は、平成16年7月26日、被告管理会社の担当者に対し、工事完成引渡書類一覧表と題する書面に、目次として、書類内容を記載した上で、工事完成引渡書類(以下「本件関係図書」という。)を引き渡した。上記目次7には、近隣関係引継資料が明記されており、近隣関係引継資料と題する書面には、「施主サイドから管理会社・管理組合に引継をしなければならない事項。1.側崖部分の既存植込みについては、斜面安定保護の為、伐採しないほうが宜しいと思います。定期的な樹木類のメンテナンスが必要です。2.同石積部分についても、雑草類の定期的なメンテナンスが必要です。」と記載した書面(以下「本件書面」という。)があった。(甲6の3、乙A10)

ウ被告販売会社は、目次には明記していなかったものの、本件関係図書の一部として、本件報告書を引き渡した。(甲6、乙A13)

(2)被告販売代理店の行為について(乙B1、証人C、弁論の全趣旨)

ア被告販売代理店の従業員は、平成15年から平成17年にかけての本件マンションの分譲販売当時、原告当初購入者らの一部に対し、地震などでマンション自体が崩壊することはないという趣旨で、地盤は問題がないという説明をした。

イ被告販売代理店の従業員は、被告販売会社から、本件報告書記載の本件斜面地の状況を聞いていなかった。

ウ被告販売代理店が当初購入者らに対して交付した土地付区分建物重要事項説明書には、管理の委託先として被告管理会社が指定されるとともに、その他事項として、東側及び北側には擁壁があり、その維持管理は原告組合が行うことが明記されていた(甲4の2)。

(3)被告設計会社の行為について(乙C2)

ア被告設計会社は、被告販売会社の委託を受けて、平成15年3月、本件マンションの建築行為について県土木事務所に相談をした。被告設計会社は、県土木事務所から、都市計画法29条の開発許可は不要である旨の回答を得た。

イ被告設計会社は被告販売会社の代理人として、同年6月10日、逗子市長に対し、逗子市まちづくり条例23条1項の事前協議を申請して、同年7月31日、逗子市長から協議終了の確認通知書を受領した(乙C3)。

ウ被告設計会社は、同年6月、本件報告書の内容を確認した。

エ被告設計会社は、同年7月11日、被告販売会社との間で本件マンションの設計契約を締結し、同年9月30日までに設計業務を完成させた。

オ被告設計会社は被告販売会社の代理人として、同年7月、本件マンションの建築確認申請をなし、同年8月19日、建築確認済証を取得した(甲5)。

カ被告設計会社は、同年10月1日から監理業務を開始した。

キ被告設計会社は被告販売会社の代理人として、平成16年7月1日、本件マンションの建築確認検査済証を取得するとともに、同月31日、逗子市長に対し、開発事業の完了届出を提出し、同月22日までに、同市長から、適合証を受領した。

(4)被告管理会社の行為について

ア被告管理会社は、本件マンションの分譲販売が開始された平成15年当時から、本件マンションの管理業務を将来成立予定の原告組合から受託することになること及び原告組合が被告管理会社以外の者に管理を委託できないことを知っていた。(甲4、7、31)。

イ被告管理会社は、平成16年7月26日、本件関係図書を受領したが、本件関係図書の内容を確認する義務がないとの理解の下、その内容を確認しなかった。

ウ被告管理会社は、本件管理委託契約に係る契約書を作成して、これを平成16年12月26日に成立した原告組合に対して示し、その承諾を得て本件管理委託契約を締結した(甲8、33、34、37)。

本件管理委託契約2条には、管理対象部分として敷地(本件斜面地が含まれる。)が記載されていたが、管理事務の内容及び実施方法を定める3条には、本件斜面地を明記した記載はされていなかった。しかし、本件管理委託契約3条の別表第2には、管理員業務として、点検業務が記載され、その対象には諸設備及び諸施設が含まれていた。さらに、本件管理委託契約2条の附属施設には、建物には当たらない車路、歩道、植込、フェンス、専用庭などが記載されていた。(甲8)

エ被告管理会社の担当者は、平成17年1月23日、原告組合の初代理事長であった原告G12に対し、本件関係図書は、被告管理会社が管理員を置いている管理員室で保管してあると説明した上で、本件関係図書を引き渡した(甲34、乙A13、原告G12(2頁)。

オ被告管理会社は、本件斜面地の植生の定期的なメンテナンスをしていないし、植生を含め本件斜面地の点検を行っていなかった(甲20、50の5)。

被告管理会社は、平成24年11月頃及び平成30年2月頃に、原告組合からの委託に基づき、本件斜面地の植生が風化防止のために必要であることを認識しないまま、本件斜面地の相当数の樹木の伐採や草刈り工事を行った(甲39、40、42、43、46、48、50の2及び5、乙A4、乙D2から5まで、原告G34)。

本件管理員は、本件従業員に対し、本件斜面地の枯れ木が倒れた場合には、本件市道にまで落下する危険があると指摘したり、ツタが伸びているといった状況に気付いたときには、本件斜面地に立ち入って、一種のサービスとして除草作業を行ったりしていた。(甲50の2及び5)

完成

2 争点1(被告販売会社の不法行為責任の有無)について

(1)原告らは、被告販売会社が本件報告書により本件斜面地の風化が進行していることを知っていたのであるから、条理上、本件斜面地に風化対策を行って崩落防止に必要な措置をとった上で販売すべき義務を負っていた旨の主張をする。

しかし、前提事実のとおり、本件報告書は、本件斜面地には風化により強度が低下している部分があることや、落石防護工による対策を推奨していることを示しているものの、斜面保護工(モルタル吹き付け工)については、本件斜面地の樹木の全面除去を行う場合と明記しているので、本件報告書からは、植生の適正な維持管理により風化を防止することができることをいうものと理解できる。

したがって、原告らが主張する本件斜面地の風化対策の必要性は、本件報告書の記載内容からは読み取れないので、本件報告書の内容を前提として、被告販売会社に条理上の風化対策を行う義務が生じる旨の主張は採用できない。

原告らは、本件報告書の記載内容から風化による崩落の危険性が読み取れる旨の主張をし、その主張に沿う意見書等(甲27から29まで)を提出する。

しかし、上記意見書等は、回答者が有する専門的知見を根拠に本件報告書の結論を超える意見を述べているものであり、被告販売会社が本件報告書の記載内容から風化による崩落の危険性を読み取れることの理由には当たらない。

(2)原告らは、被告販売会社は、原告当初購入者らに本件マンションを分譲販売する際に、本件報告書記載の本件斜面地の状況を説明すべき義務があったにもかかわらず、この義務に違反し、本件説明をした旨の主張をする。主張に沿う証拠(甲34、39、40、46、48、49、原告G12、原告G5、原告G34)がある。

しかし、本件報告書の内容は既に述べたとおりであり、本件斜面地の植生の維持管理は、原告組合又は被告管理会社の管理によってなされることが通常期待されているので、本件マンションの分譲販売する際に説明すべき義務があったとは認められないし、宅地建物取引業法35条1項の重要事項に該当するとも認められない。

また、「本件マンションの敷地は、硬い岩盤で覆われており、本件斜面地もその硬い岩盤が一体となって覆っているので、土砂などの崩落等の危険は一切ない」旨の説明(本件説明)をしたとの主張については、被告販売代理店の従業員が、本件マンションの敷地が硬い岩盤であることを説明するにとどまらず、本件斜面地が硬い岩盤に覆われていると説明し、植生の維持管理をしなくとも土砂崩落等の危険が一切ないとの説明をする合理的理由が認められないほか、発言の具体的内容を裏付ける客観的な証拠がないので認められない。

さらに、本件報告書の存在及び内容を知らなかったことを理由に本件斜面地の適正な維持管理ができなかったことをいう主張については、被告販売会社は、本件書面及び本件報告書を、被告管理会社を通じて原告組合に対し引き渡しているのであるから、被告販売会社に責任はないといわざるを得ない。

(3)原告らは、本件崩落の原因には、土層深(厚さ)が周辺の標準よりもやや小さかったことなど崩壊しやすい地盤にあり、本件報告書ではその調査がなされていないか結論に誤りがあるので、改めて被告販売会社は、本件斜面地の地盤を調査するか、崩壊しやすい地盤を前提とした風化対策を講じるべきであった旨の主張をする。主張に沿う意見書等(甲27から29まで)がある。

しかし、主張の根拠としている意見書等の内容のうち、ジオレストの責任をいう部分は被告販売会社の責任がないことを裏付けるものといえること、原告らが指摘する崩壊しやすい地盤は、本件マンションの竣工から本件崩落までの15年余りの風化の進行により生じた可能性が否定できないこと、上記意見書等が結論として述べる一般的に斜面は法面工事をすべきとの点については、そのような規範が当時一般的に存在したことが認められないので上記意見書等の存在及び内容を踏まえても、被告販売会社について原告らの主張の義務は認め難い。

(4)以上のとおりであり、原告ら主張の被告販売会社の義務違反は認められないので、同人の不法行為責任は認められない。

3 争点2(被告販売代理店の不法行為責任の有無)について

(1)原告らは、被告販売代理店の従業員が本件報告書記載の本件斜面地の状況を説明すべき義務を負っていた旨の主張をするが、被告販売代理店が本件報告書記載の本件斜面地の状況を知っていたとは認められないので、説明義務は認められない。

(2)原告らは、本件説明が違法である旨の主張をするが、これが採用できないことは上記2で説明したとおりである。

(3)以上のとおりであり、原告ら主張の被告販売代理店の義務違反は認められないので、同人の不法行為責任は認められない。

4 争点3(被告設計会社の不法行為責任の有無)について

(1)原告らは、被告設計会社は、本件報告書の内容を把握した上で、本件マンションの設計監理を委託されていたのであるから、条理上、本件斜面地についても、動的コーン貫入試験や弾性波探査を行うなど安全性を確保するための調査を実施した上、本件斜面地につき風化対策をとる義務があった旨の主張をする。

しかし、前提事実のとおり、本件報告書の内容は、本件斜面地について、地盤が軟弱であることから崩落の危険性があることをいうものではなく、風化により強度が低下しているところがあるものの、植生の維持管理をすることによって斜面保護工(モルタル吹き付け工)までの必要性はないことをいうものであるから、本件報告書の内容によって、原告ら主張の調査や風化対策をとるべき必要性は認識できない。また、本件マンションの設計監理の委託内容として、本件斜面地について原告ら主張の調査や工事が含まれていると解釈できる法

規上、契約上の根拠もない。

したがって、上記原告らの主張は採用できない。

(2)原告らは、被告販売代理店の従業員が本件説明を行ったのは、被告設計会社からの説明が基になっている以上、被告設計会社も責任を負うと主張する。

しかし、上記3のとおり、被告販売代理店について不法行為責任は認められないことから、これが認められることを前提とする原告らの上記主張は採用できない。

(3)以上のとおりであり、原告ら主張の被告設計会社の義務違反は認められないので、同人の不法行為責任は認められない。

5 争点4(被告管理会社の不法行為責任又は債務不履行責任の有無)について

(1)前提事実及び上記1の認定事実によれば、以下の各事実が認められるので、被告管理会社は、条理上、原告組合に対して、本件斜面地の崩落防止のための助言を行うべき義務及び本件斜面地の安定保護を損なうような行為を避ける義務を負っていたと認められる。

ア被告管理会社は、被告販売会社、当初購入者ら及び原告組合から、本件斜面地の管理を受託する管理会社として指定されており、その管理契約の内容についても本件マンションの管理に必要なものとするように委ねられていた。

イ被告管理会社は、被告販売会社から、本件斜面地の植生が安定保護のために必要であり、定期的な維持管理が必要である旨記載された本件書面を受領しており、その内容を確認することは容易であった。

ウ被告管理会社は、被告販売会社から、本件斜面地の植生が安定保護のために必要であり、定期的な維持管理や本件斜面地の点検が必要であることが理解できる本件報告書を受領しており、その内容を確認することは容易であった。

(2)被告管理会社は、上記義務を負っていたにもかかわらず、本件書面及び本件報告書の内容を確認しないまま、本件管理委託契約の内容を決定して原告組合との間で本件管理委託契約を締結し、本件斜面地の管理は業務の対象外との認識の下、従業員をして管理業務も助言も行わず、本件斜面地の安定保護を意識することなく樹木の伐採や除草作業を行っていたことが認められるので、上記義務に違反したものというほかなく、不法行為責任は免れないというべきである。

(3)これに反する被告管理会社の主張は以下のとおり採用できない。

ア被告管理会社は、本件管理委託契約は、本件斜面地の維持管理を内容としていないので、原告組合に対して本件斜面地に関する義務は負わない旨の主張をする。主張に沿う被告管理会社の従業員の尋問調書(甲50の1、2、5)がある。

しかし、被告管理会社は、原告組合が本件マンションの管理業務のすべてを被告管理会社に委託する以外に選択する余地のないことを知っている以上、本件マンションの管理に必要な業務を本件管理委託契約の内容とすべきであり、仮にその内容としないのであれば適切な助言をすべき義務があったというべきである。また、本件管理委託契約には、別表第2の点検業務の対象として、建物、諸設備及び諸施設が記載されているところ、本件管理委託契約の管理対象部分には、附属施設として、建物に当たらない車道、歩道、植込が挙げられていることを考慮すると、上記諸施設の中から、擁壁、落石防止柵、植生からなる本件斜面地を除外する解釈は合理的なものとは認められないので、本件斜面地は上記諸施設に含まれると解するのが相当である。

さらに、本件管理委託契約から助言義務が導かれるかどうかに関わりなく、被告管理会社が本件書面及び本件報告書を受領している以上、条理上の助言義務や本件斜面地の安定保護を損なう行為を避ける義務の発生は免れないと解される。

イ被告管理会社は、本件書面及び本件報告書の内容を確認する義務はなかった旨の主張をする。

しかし、被告管理会社が本件マンションの管理を受託して適切な管理業務を行うことが期待されていることや、被告販売会社が本件書面や本件報告書を交付した趣旨が本件マンションの管理のためにあることは理解可能であることからすれば、本件書面及び本件報告書の内容の確認義務が肯定できるので、それを怠ったことによる責任は免れないというべきである。

ウ被告管理会社は、本件書面及び本件報告書の内容を認識しても本件崩落の発生は予見できない旨の主張をする。

しかし、本件書面は、被告管理会社宛に、本件斜面地の安定のために植生の維持管理が必要であることを明記したものであり、本件報告書の内容は、風化防止策として植生の存在が重要であることを指摘したものであるので、植生を伐採したり、維持管理をしないでいたりする場合には本件斜面地の風化が進行するなどして不安定となり崩落に至ることは予見可能であると認められる。

エ被告管理会社は、本件報告書の内容はそもそも不十分であり、本件斜面地は、植生の維持管理にかかわらず、表層の風化を防ぐことができなかったので、被告管理会社の義務違反は本件崩落との間に因果関係はない旨の主張をする。主張に沿う意見書(乙D8)がある。

しかし、上記意見書の内容は、より調査をして植生の維持管理に関わらない崩落防止工事をとるべきことを記載しているにとどまり、植生の維持管理にかかわらず表層の風化を防ぐことができないことを記載したものではないので、因果関係を否定するに足りるものではない。加えて、証拠(甲17、18、28、乙C2)及び弁論の全趣旨によれば、本件斜面地は遅くとも昭和43年頃に宅地造成の結果として平成15年当時の植生が生い茂った石積み擁壁のある状態となり、その後、特段の風化対策も取られることなかったが、崩落事故は発生しなかったことがうかがえることを前提とすると、少なくとも平成15年当時に被告管理会社主張の風化対策を取るべき具体的必要性があったとは認められないし、植生の維持管理が無関係であるとも認め難いというべきである。

(4)原告らは、本件崩落発生の前日に、本件管理員が本件亀裂を発見しているのであるから、被告管理会社は、本件崩落を防止するために、条理上、又は、本件管理委託契約上、予防措置をとる義務があった旨の主張をする。

これまで述べたとおり、被告管理会社に義務違反が認められる以上、上記主張は判断することを要しない。

6 争点5(原告らの損害額)について

(1)原告組合の損害について

ア証拠(甲13、15、16)及び弁論の全趣旨によれば、本件崩落により、原告組合は以下のからまでの各費用を負担したこと、各費用は、本件崩落と相当因果関係のある損害であることが認められる。

土砂撤去費用

本件崩落後の土砂撤去費用として112万2000円を要した。

交通誘導員配置費用

本件崩落後の交通誘導員の配置費用として520万6300円を要した。

復旧工事の設計業務委託費用

本件崩落後の本件斜面地の復旧工事の設計業務委託費用として939万4000円を要した。

応急復旧工事費用

本件崩落後の本件斜面地の応急復旧工事費用として2113万7600円を要した。

看板設置費用

本件崩落後の本件市道の通行等の安全確保のための看板の設置費用として64万0200円を要した。

建築基準法12条5項の規定に基づく報告のための調査費用

原告組合は、本件崩落後、神奈川県知事から本件マンションの安全性について建築基準法12条5項の規定に基づく報告を求められ、この報告のために必要な調査をハウスプラス確認検査株式会社及び被告管理会社に依頼し、62万3700円の費用を要した。

小計

上記からまでの合計額は3812万3800円となる。

イ弁護士費用について

上記アの合計額の約1割に相当する381万円が原告組合の損害に当たることをいう同人の主張は理由があるので、同額を認めるのが相当である。

ウ合計

上記ア及びイの合計額は4193万3800円となり、同額が損害金の元本と認められる。

(2)原告区分所有者らの損害について

ア原告区分所有者ら全員の損害について

上記(1)のとおり、原告組合の損害が認められることを踏まえると、これに加えて原告区分所有者ら全員の損害が生じているとは認められない。

イ原告区分所有者ら各人の損害について

本件マンション価値下落について

原告区分所有者らは、本件崩落の発生により、本件マンションは瑕疵物件となり、事実上売却が不可能となったこと、この損害に本件被害者の遺族らからの損害賠償請求額を加算したものの一戸当たりの負担は約350万円であることを考慮すると価格の下落による損害は350万円以上と考えられる旨の主張をする。原告区分所有者らは、主張に沿う証拠(甲9、22、39から41まで)を提出する。

しかし、本件斜面地については、復旧工事がなされており具体的な崩落の危険性は認められないこと、本件崩落によって原告組合が被った損害は回復が見込まれること、以上を踏まえてもなお本件マンションの区分所有建物の価格が下落していることを認めるに足りる客観的証拠はないことを前提とすると、本件マンションの区分所有建物の価値下落による損害は認められない。

精神的損害について

原告区分所有者らは、本件崩落が発生したことや、本件崩落により原告区分所有者らが生命身体に対する危険が生じないか不安に感じるなどの精神的苦痛を受けたので、これが精神的損害として認められるべき旨の主張をする。

しかし、原告区分所有者らに財産的損害は認められないし、本件崩落は、原告区分所有者らに対する生命身体に対する危険を具体的に生じさせたものではなく、その後、本件斜面地については復旧工事が終了していることを踏まえると、原告区分所有者らが、本件崩落により種々の精神的苦痛を受けたとしても、本件記録上の全証拠によっても、相当因果関係のある損害であるとは認められない。

7結論

よって、原告組合の請求のうち被告管理会社に対する請求(4193万3800円及びこれに対する令和2年2月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払)は理由があるのでこれを認容し(なお、原告組合の主張する請求原因に関して被告管理会社に債務不履行損害賠償責任が認められるとしても認容すべき損害額が上記金額を超えるものとは認められない。)、原告組合のその余の請求及び原告組合を除く原告らの請求はいずれも理由がないのでこれらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

横浜地方裁判所第2民事部

別紙

請求の趣旨目録(省略)

別紙

物件目録

(一棟の建物の表示)

所在逗子市bc丁目d番地e

建物の名称A

構造鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付5階建

床面積1階557.27㎡

2階656.80㎡

3階656.80㎡

4階656.80㎡

5階656.80㎡

地下1階105.32㎡(敷地権の目的である土地の表示)

土地の符号1

所在及び地番逗子市bc丁目d番e

地目宅地

地積2670.36㎡

土地の符号2

所在及び地番逗子市bc丁目f番g

地目山林

地積76㎡

以上

関連事例集

Yahoo! JAPAN

※参照条文