少年事件の相談Q&A

新銀座法律事務所|2026年9月15日改訂

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お子さんが警察から連絡を受けたとき、まず確認したいのは、行為時と現在の年齢、疑われている行為、身体拘束の有無、本人の説明です。ここでは13歳の万引き疑いの設例を中心に、家族ができることを説明します。

制度全体は少年事件の手続・制度、条文は少年法の現行条文をご参照ください。

Q1.13歳の息子が万引きの疑いで呼び出されました。少年院に行くのでしょうか?

相談例

13歳の息子が店の商品を万引きした疑いがあると警察から連絡がありました。息子は最近、家に帰らず友人の家を転々としており、以前にも警察から注意を受けています。しかし、今回の万引きは「やっていない」と言っています。親子で警察署へ来るように言われました。どのように対応すればよいでしょうか。

回答:疑われているだけで、触法行為や少年院送致が決まるわけではありません

行為時13歳であれば、刑法41条によりその行為について刑事責任を問われません。ただし、窃盗罪に当たるような行為をしたことが認められれば、触法少年として警察の調査や児童相談所の対応の対象となります(少年法3条1項2号)。本人が否定している現段階で、万引きをしたと決めつけることはできません。

まずは本人の話を落ち着いて聴き、当日の行動、同行者、購入した物、レシート、メッセージ、位置情報などを整理してください。防犯カメラ等の保存期間が短いこともあるため、弁護士に相談し、必要な証拠の保全を検討します。「謝れば帰れる」などの見込みで、していない行為を認めさせないことが大切です。

警察では、刑事処分のための捜査とは異なる触法調査が行われます

警察官は、客観的な事情から触法少年と疑うに足りる相当の理由がある場合、必要な調査をすることができます。調査は少年の情操の保護に配慮して行われるべきものです(6条の2)。少年や保護者は、調査の段階から弁護士を付添人に選任できます(6条の3)。

14歳未満の触法行為について、刑事責任を問うための逮捕・勾留はされませんが、法律に基づく押収・捜索等の調査や、児童相談所による一時保護が問題になる場合はあります。出頭に当たっては、疑われている行為、当日の予定、保護者の同席、休憩、本人の体調への配慮などを確認しましょう。保護者や弁護士がすべての聴取に当然に同席できるとは限らないため、事前に調整します。

児童相談所などの福祉的な対応が優先されます

警察は、重大な触法事件や家庭裁判所の審判が適当と考える事件を児童相談所長へ送致します(6条の6第1項)。それ以外でも、要保護児童として児童相談所への通告が行われる場合があります(児童福祉法25条)。児童相談所などでは、事実関係と本人・家庭の状況を調べ、指導、生活環境の調整、施設入所等の必要性を検討します。

家庭裁判所が14歳未満の少年を審判するには、知事または児童相談所長からの送致が必要です(少年法3条2項、児童福祉法27条1項4号)。すべての触法事件が家庭裁判所に進むわけではありません。ただし、少年法6条の7第2項が定める重大な触法事件には、原則として家庭裁判所へ送致する特則があります。

少年院送致には、年齢に応じた厳しい要件があります

家庭裁判所へ送致された場合には、審判不開始、不処分、保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致などが検討されます。決定時14歳未満の少年を少年院に送致できるのは、特に必要と認められる場合に限られます(24条1項ただし書)。第1種・第3種少年院の対象年齢はおおむね12歳以上とされていますが、13歳であることや以前に警察から注意を受けたことだけで、少年院送致が決まるものではありません。

今回の行為の有無を明らかにすることと、家に帰らない理由や本人の困りごとを理解して生活を整えることを、並行して進める必要があります。触法少年の手続(PDF)もご覧ください。

Q2.万引きが認められなくても、家出を理由に処分されますか?

万引きの事実が認められないことと、別の理由による保護・支援の必要性は区別されます。18歳未満では、少年法3条1項3号の所定の事由があり、性格・環境に照らして将来罪を犯すなどのおそれがある場合、虞犯少年として手続が進むことがあります。

ただし、家出や親との不仲だけで虞犯と決まるわけではありません。家庭内での虐待、いじめ、居場所のなさ、障害・疾病、周囲からの働きかけなどの事情も確認する必要があります。13歳の少年については、この場合も知事または児童相談所長からの送致がなければ家庭裁判所は審判できません。18・19歳には虞犯の規定は適用されません(3条2項・65条1項)。虞犯少年の手続(PDF)をご参照ください。

Q3.児童相談所の一時保護と少年鑑別所への収容は同じですか?

目的も根拠も異なります。一時保護は、児童の安全確保や状況把握等のため、児童相談所長等が児童福祉法33条に基づいて行う措置です。期間は原則2か月以内ですが、継続に関する規定があります。

2025年6月から、一時保護の開始に当たり裁判官が審査する制度が施行されています。親権者等の同意がある場合などの法定の例外を除き、開始から7日以内または開始前に一時保護状を請求する仕組みです(児童福祉法33条3項以下)。一時保護への疑問がある場合には、その理由、見通し、面会・連絡、学校生活への配慮、解除に向けて必要な事項を確認してください。

これに対して、少年鑑別所への観護措置は、家庭裁判所等が少年法17条などに基づいて行うものです。13歳の触法事件で同条により収容する期間は、原則2週間以内、更新を含め通常は合計4週間以内です。犯罪少年の一定の事件に認められる通算8週間の特則を、触法事件にそのまま当てはめることはできません。

観護措置がとられても、少年院送致が決まったことにはなりません。必要性を争う場合は、観護措置への異議申立て等を検討します(17条の2)。

Q4.本人が「やっていない」と言うとき、親はどうすればよいですか?

本人の説明を記録し、何が分かっていて何が不明なのかを分けましょう。調書等に本人の説明と異なる記載がある場合には訂正を求め、理解できないまま署名等をしないよう助言します。証拠は削除・変更せず保存し、関係者との口裏合わせや被害者への強い働きかけは避けてください。

弁護士は、本人から事情を聴き、証拠や記録を検討して、必要な調査・証拠調べや意見提出を行います。家庭裁判所の審判で非行事実が認められない場合は、非行なしを理由とする不処分が問題になります(23条2項)。処遇を軽くしてもらうための反省や示談を先に求めるのではなく、まず事実関係を確認することが必要です。

Q5.謝罪・弁償や示談をすれば、事件は終わりますか?

示談成立は重要な事情ですが、少年事件が必ず終わるわけではありません。窃盗罪は、被害者の告訴がなければ処罰できない「親告罪」ではありません。犯罪の嫌疑が認められる少年の事件は原則として家庭裁判所に送られ、被害の回復に加えて、本人の理解や再非行防止の体制も検討されます。

実際に行為があった場合は、被害者の意向に配慮し、連絡方法、謝罪の内容、弁償額、支払方法等を調整します。被害者が直接の接触を望まない場合もあります。金銭の支払だけでなく、本人が被害を理解し、同じ行為を繰り返さないよう生活を整えることが大切です。事実を争う場合の示談は、認否との関係や文言を弁護士と慎重に検討してください。

Q6.17歳で逮捕された場合は、どのように進みますか?

17歳は刑事責任を負う年齢ですが、原則として少年法による手続が適用されます。逮捕後は、警察・検察官の捜査、勾留等の要否の判断、家庭裁判所への送致、調査・審判へと進む場合があります。在宅のまま手続が進む事件もあります。

家庭裁判所は、非行事実や保護の必要性を踏まえて処分を判断します。拘禁刑以上の刑に当たる罪で刑事処分が相当な場合の逆送や、行為時16歳以上で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件の原則逆送もあります(20条)。逮捕直後は弁護士との接見、身体拘束を避けるための受入体制、証拠の確保などを早急に検討します。

逮捕後の時間制限と調査・審判の解説/逮捕された犯罪少年の手続(PDF)

Q7.18・19歳は成人なので、少年法は適用されませんか?

18・19歳にも「特定少年」として少年法が適用されます。家庭裁判所を経ずに通常の成人と同じ扱いになるわけではありません。ただし、処分時に特定少年である場合の保護処分は、6か月の保護観察、2年の保護観察、少年院送致の3種類で、犯情の軽重を考慮した相当な限度を超えることはできません(64条)。

行為時18歳以上の強盗罪や不同意性交等罪など、死刑・無期・短期1年以上の拘禁刑に当たる罪は原則逆送の対象となり、特定少年のとき犯した罪について起訴されると推知報道の禁止が解除される場合があります(62条・68条)。万引きとして疑われていても、逮捕を免れようとして一定の暴行・脅迫を行った場合などは、事後強盗等の別の犯罪の成否が問題になることがあります。罪名だけでなく、具体的な行為を確認する必要があります。

特定少年の特例の詳しい解説/犯罪少年・特定少年の手続(PDF)

Q8.保護観察、試験観察、少年院送致の違いは?

用語意味
保護観察家庭などで生活しながら保護観察官・保護司の指導監督や援助を受ける、最終的な保護処分の一つです。
試験観察処分を決める前に、家庭裁判所調査官が生活や取組を一定期間観察する措置です。家庭で行う場合や、適切な民間の協力者等に補導を委託する場合があります。最終処分ではありません。
少年院送致少年院に収容して矯正教育を行う、保護観察とは別の保護処分です。刑事裁判による拘禁刑とも異なります。
少年鑑別所への観護措置審判・調査を進めるために一定期間収容する措置です。最終的な保護処分ではありません。

根拠は少年法17条・24条・25条・64条等です。特定少年の2年の保護観察中には、重大な遵守事項違反等を理由として別途少年院への収容が決定される制度もあります(66条)。

Q9.学校や将来の就職、前科への影響はありますか?

家庭裁判所の保護処分は刑罰ではないため、保護処分を受けたこと自体が、刑事裁判の有罪判決による前科になるわけではありません。ただし、捜査・審判等の記録や処分歴が残らないという意味ではありません。逆送後に有罪の刑が確定した場合は別です。

学校の対応、資格制限、就職時の申告の要否などは、処分内容や個別の規則・法令、質問の内容によって異なります。「必ず退学になる」「将来は一切影響しない」といった一律の説明はできません。通学を続けるための調整や、必要な範囲での情報共有を、本人の意向も踏まえて検討します。特定少年の刑事処分には、資格制限に関する少年法60条の特例が適用されない場合もあります(67条6項)。

Q10.家族は何を準備すればよいですか?

  • 事件・手続の情報:行為日、本人の生年月日、警察署と担当者、逮捕日時、呼出状、裁判所の事件番号や決定書。
  • 本人の説明と証拠:当日の行動、認める点・争う点、映像・レシート・メッセージ等の所在。資料は元の状態で保存します。
  • 生活状況:居住先、通学・就労、家族の支援体制、交友関係、医療・福祉の支援の有無。
  • 具体的な支援案:帰宅後に誰が支えるか、学校や職場とどう連携するか、本人が困ったときの相談先、生活習慣や交友関係をどう整えるか。
  • 被害者対応:連絡の経緯、弁償・示談の状況。相手の意向を尊重し、無断で繰り返し接触しないようにします。

本人の意思を聴かずに保護者だけで計画を作っても、実行が難しいことがあります。本人が続けられる支援内容を、家族・弁護士・必要な支援者と一緒に考えていくことが大切です。弁護人・付添人の役割もご参照ください。

Q11.処分に納得できないときは、どうすればよいですか?

保護処分への抗告は、法令違反、重大な事実誤認、処分の著しい不当という法定の理由が必要で、原則として決定の翌日から数えて2週間以内です(32条)。観護措置への異議申立ては、これとは別の手続です(17条の2)。期限が短いため、決定書、告知を受けた日、争いたい点をまとめて、速やかに弁護士へ相談してください。不服申立ての説明をご覧ください。

手続のフローチャート(PDF)

いずれも2026年9月改訂版です。図は一般的な流れを示しています。

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