公益法人等への遺贈について(最終改訂平成24年9月5日)


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高齢の単身者(妻子が居ないか、又は先に亡くなっている場合)から、「兄弟姉妹や甥姪に相続させたくないがどうしたらよいか?」、「介護担当者に遺贈したいが可能か?」、という相談を受けることがあります。この問題には、様々な法的な要素が関係してきますので、順次解説してみたいと思います。


概要:

1、 介護保険の担当者は、介護保険法に基き、保険給付を受けてサービスを提供しています。介護保険の理念は、加齢に伴って生ずる要介護状態となった者の尊厳を維持し自立した日常生活を営むことができるよう必要な福祉サービスを提供することにあります(介護保険法1条)から、介護担当者がその地位を利用して金品を借り受けたり贈与を受けたり遺贈を受けたりすることは好ましいことではありません。介護保険によるサービスを行うに当たり公正、公平性を欠く危険がありますし、肉体的、精神的に弱っている被保険者から、職務上の地位を利用して経済的対価を暗に求めるような事態を回避しています。介護保険の運営者である市区町村など自治体のガイドラインや、多くの事業所の就業規則では、介護担当者が、被保険者から金品を借り受けたり、贈与を受けたり、遺贈を受けることは禁止事項に含まれています。介護保険制度全体を考えても、介護対象者と介護担当者の間にそのような財産のやり取りを生じることは好ましくありませんので、遺贈を受けてもらうことは困難でしょう。

2、 甥姪さんには、あなたの相続財産について、「遺留分」がありませんので、「相続廃除」の手続を取る必要はありません。遺言書を作成して、甥姪以外の個人や団体に対して、全ての相続財産を遺贈する、ということを遺言書に残しておけば、甥姪に相続させない、というあなたのお考えを実現させることができます。注意点は、3つあります。@遺贈は契約ではありませんので相続開始後に放棄されてしまう可能性があります、A遺言書の内容を実現させるために、事前に遺言執行者に依頼して遺言書にもこれを明記しておくことが必要です、B遺言書について、後日甥姪から遺言無効裁判を提起される可能性がありますので、遺言書は公正証書遺言で作成することと、遺言能力があることを証拠資料に残しておく必要があります。

3、 全ての相続財産を遺贈する相手として考えられるのは、長年お世話になった知人など個人ですが、適当な人が居なければ、国や市区町村などの地方自治体や、国連の各団体や、NPO法人や、公益社団法人や公益財団法人などを検討することになります。それぞれの団体の運営理念や財務状況を調査した上で、慎重に遺贈先をお決めになることをお勧め致します。


解説:

1、 (遺贈と介護担当者の服務規定の趣旨)
介護保険の担当者は、介護保険法に基き、市区町村などの自治体から保険給付を受けてサービスを提供しています。介護保険の理念は、加齢に伴って生ずる要介護状態となった者の尊厳を維持し自立した日常生活を営むことができるよう必要な福祉サービスを提供することにあります(介護保険法1条)から、介護担当者がその地位を利用して金品を借り受けたり贈与を受けたり遺贈を受けたりすることは好ましいことではありません。介護保険の運営者である市区町村など自治体のガイドラインや、多くの事業所の就業規則では、介護担当者が、被保険者から金品を借り受けたり、贈与を受けたり、遺贈を受けることは禁止事項に含まれています。介護福祉士(介護福祉士法2条2項)やホームヘルパー(介護保険法8条2項、介護保険法施行令3条)の資格者は、倫理教育を受けており、遺贈を受けることは禁止事項に含まれています。介護制度全体を考えても、介護対象者の財産を保護したり、サービスの公平な提供の観点に鑑みても、介護対象者と介護担当者の間にそのような財産のやり取りを生じることは好ましくありませんので、遺贈を受けてもらうことは困難でしょう。

介護担当者の規律について、法令での規定は次のようになっています。「誠実義務」「信用失墜行為の禁止」という規定になっており、具体的に遺贈が禁止されているわけではありません。

社会福祉士及び介護福祉士法
第44条の2(誠実義務) 社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。
第45条(信用失墜行為の禁止) 社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
第46条(秘密保持義務) 社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。

一方、介護保険の保険者(運営主体)である、地方自治体では、次のようなガイドラインが定められていることが多い様です。参考例として、東京都文京区のガイドラインから禁止事項を引用します。当然、遺贈を受けることは出来ない規約になっています。兵庫県の「訪問介護・介護予防訪問介護の手引き」にも同様の規約があります。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0004/2481/houmonnkaigo-guideline.pdf
http://web.pref.hyogo.jp/hw18/documents/000143262_1.pdf

>(訪問介護サービスに伴う禁止行為)
>ホームヘルパーとサービス利用者との関係は、対等である。しかし、実際には必ずしも対等と
>は言えない。特に意思能力の十分でない高齢者の場合にはそうである。ホームヘルパーから何ら
>かの働きかけがあった場合、本人の意に反して、それを受け入れざるを得ないこととなる。そこ
>で、利用者を保護するため次の行為を行ってはならない。
> なお、この禁止行為は、ホームヘルパーとして派遣中はもとより、派遣終了後も同様とする。
>(1) 訪問先で知り得た秘密を他の利用者等他で話すこと。
>(2) 金品の贈与・遺贈を受けること。
>(3) 金品の貸し借りを行うこと。
>(4) 宗教への入信等の勧誘を行うこと。
>(5) 物品の購入及びサービス等の勧誘を行うこと。
>(6) 各種の保険加入の勧誘を行うこと。
>(7) 印鑑・預金通帳・キャッシュカード・家の鍵及び不必要な金銭等を預かること。
>(8) 留守宅における訪問介護サービス
>(9) 利用者に自宅の電話番号を教えること。


また、介護労働者法15条で指定されている、「介護労働安定センター」で作成している、標準就業規則にも、介護職員の金品の授受を禁止している条項がありますので、ほとんどの事業所で、同様の規約が定められているものと思われます。つまり、法令で直接禁止されているわけではないが、多くの事業所で労働契約や就業規則の内容として規定されているために、事実上、介護担当者は金品の借用・贈与・遺贈を受けることは出来ないことになっているというわけです。

http://www.dosuru.kaigo-center.or.jp/pdf/2010s6.pdf

>(服務心得)
>第13条 職員は、常に次の事項を守って規律を保持し、職務に精励しなければならない。
>(17)職務上の地位を利用して金品の貸借関係を結んだり、贈与、饗応その他の利益を受けたりしないこと


2、(甥姪の遺産に対する権利)
甥姪さんには、あなたの相続財産について、「遺留分」がありませんので、「相続廃除」の手続を取る必要はありません。


遺留分とは、被相続人の意思により遺贈や生前贈与(原則として死亡1年以内の贈与)があっても、最低限引き継ぐことができる相続分です。民法1028条が規定するように、兄弟姉妹(及び代襲者である甥姪)には、遺留分がありませんので、生前贈与や遺言による相続財産の処分により、相続分をゼロとすることが可能です。遺留分を有する法定相続人を相続から除外したい場合は、家庭裁判所の許可を得て「廃除」の手続を取る必要がありますが、今回は、遺留分の無い甥姪への相続財産をゼロにしたいということですので、廃除の手続は不要になります。

民法1028条(遺留分の帰属及びその割合)兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1号 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
2号 前号に掲げる場合以外(※筆者注=子供と配偶者)の場合 被相続人の財産の二分の一
民法892条(推定相続人の廃除)遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

遺言書を作成して、甥姪以外の個人や団体に対して、全ての相続財産を遺贈する、ということを遺言書に残しておけば、甥姪に相続させない、というあなたのお考えを実現させることができます。遺贈とは、遺言書により、相続財産を他人に無償で譲る意思表示です(民法964条)。単独行為と言って、遺言者単独の意思表示により効力を生じますが、遺贈の相手方(受遺者といいます)は、相続同様に放棄することもできます(民法986条1項)。

民法第964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
第986条1項 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2項 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

遺贈する場合の注意点は、3つあります。@遺贈は契約ではありませんので相続開始後に放棄されてしまう可能性があります。遺贈が放棄されてしまいますと、遺贈が効力を有しませんので、原則通り法定相続人である甥姪に相続財産が引き継がれることになります。遺贈先とは事前の協議が必要でしょう。A遺言書の内容を実現させるために、事前に遺言執行者に依頼して遺言書にもこれを明記しておくことが必要です。B遺言書について、後日甥姪から遺言無効裁判を提起されたときのために、遺言書は公正証書遺言で作成することと、遺言能力があることを証拠資料に残しておく必要があります。

民法第969条(公正証書遺言)公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一号  証人二人以上の立会いがあること。
二号  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三号  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四号  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五号  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

3、(遺贈の相手方)
 全ての相続財産を遺贈する相手として考えられるのは、長年お世話になった知人など個人ですが、適当な人が居なければ、国や市区町村などの地方自治体や、国連の各団体や、NPO法人や、公益社団法人や公益財団法人などを検討することになります。公益法人であれば、法令の根拠に基いて、特定の理念に従って運営されているので、寄付を行った場合には、法人の理念に従った用途に資金が利用される可能性が高いと言えます。有名な例ですと、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って創設されたノーベル財団により、1901年から現在に至るまで、科学技術や医学や文学など、人類のために多大な貢献をした受賞者に財団の利子が分配され続けている、というものがあります。個人の遺産だけで財団を設立することができるというのは珍しいケースですが、(莫大な資産を有するわけではない)普通の市民の方でも、既存の公益法人等に対して遺贈による寄付をすることにより、何らかの形で死亡後にも遺志を生かすことができるでしょう。
 長年お世話になったということで個人的な知り合いに遺贈するのも良いと思いますが、株式会社や知り合いではない特定個人などへの遺贈はあまりお勧めできません。営利企業ですと剰余金の配当や解散時の残余財産分配により、目的の使途に使われなくなってしまうおそれがあります。それぞれの団体の運営理念や財務状況を調査した上で、慎重に遺贈先をお決めになることをお勧め致します。折角遺贈するのであれば、相手方団体等については事前に良く調査した方が良いでしょう。使途不明金があるような団体に寄付してしまうと、御希望の目的に相続財産を生かすことができなくなってしまいます。

国・・・寄付の受け入れの窓口は、財務省の財務局になります。
<参考URL=財務省財務局ホームページ>
http://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/zaimu.htm

独立行政法人・・・独立行政法人通則法に基いて設立された法人です。政府(国庫)から財源の交付を受けることができますし、剰余金など不要財産があれば国庫納付の制度があります(独立行政法人通則法46条、46条の2)。日本育英会を引き継いだ独立行政法人日本学生支援機構などがあります。
<参考URL=総務省の独立行政法人一覧表>
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/pdf/satei2_01_03.pdf

市区町村などの地方自治体・・・自治体に対する寄付は、「ふるさと納税」と同じ窓口(税務課など)で取り扱っていることが多いようです。

国連の各団体、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所、認定NPO法人国連UNHCR協会)、UNICEF(国連児童基金、公益財団法人日本ユニセフ協会)、WFP(国連世界食料計画、認定NPO法人国連WFP協会)・・・国際的な救援活動などに遺産を活かしたい、ということであれば、これらの機関への遺贈を検討されると良いでしょう。

学校法人・・・出身高校や大学の法人や、応援したい学校法人に遺贈することができます。学校法人では、営利性を目的としていませんから剰余金の配当や残余財産の分配は禁じられており、私立学校法30条3項及び51条2項で、閉校して解散する場合などでも、財産は必ず教育の事業又は国庫に充てられることになっています。

認定NPO法人・・・NPO法人は、特定非営利活動促進法に基いて設立された法人で、ボランティア活動を目的とする法人です。剰余金の配当や解散時の残余財産分配が禁じられておりますが、比較的簡易に設立できてしまうため、一部の法人で助成金詐取目的や営利目的の隠れ蓑として悪用されているのではないか、という疑いが指摘されています。そのような法人に遺贈しても、期待した目的に財産が使われない恐れがあります。NPO法人の内、一定の基準を満たす法人は、認定NPO法人に認定されることにより、寄付金について所得控除や税額控除など税制上の優遇措置を受けることができます。なお、平成24年3月31日まで、認定NPO法人の認定は国税庁が行っており、平成24年4月1日以降は、都道府県と政令指定市が行っております。NPO法人に遺贈するのであれば、認定NPO法人に遺贈することをお勧め致します。

https://www.npo-homepage.go.jp/found/index.html (認定NPO法人について内閣府解説ページ)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/npo/meibo/01.htm(国税庁認定の認定NPO法人一覧)

公益社団法人、公益財団法人・・・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基いて設立された、社団(社員の集まり)及び財団(300万円以上の寄付により設立された財団)のうち、一定の基準を満たす法人が内閣総理大臣(内閣府)又は都道府県知事の認定を受けたものです(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律4条)。
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/koeki/pictis_portal/common/portal.html(内閣府の公益法人情報サイト)

特定公益増進法人・・・公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものについては、法人税の損金算入(経費計上)に関して特別枠の優遇措置があります(法人税法37条4項、法人税法施行令77条)。つまり、当該法人の公益性が高いことについて、国税庁のお墨付きがある法人ということになります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5283.htm(国税庁の解説ページ)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/tokutei_koueki/index.htm(財務省サイト、特定公益増進法人の一覧)

4、(最後に)
相続財産の処分についてお困りの場合は一度お近くの法律事務所にご相談なさってみて下さい。

公益法人等への遺贈・死因贈与の手続は次の通りになります。
1)遺贈先の選定(団体の運営状況や貸借対照表など計算書類を検討)
2)遺贈先団体との事前協議
3)遺言書の文案作成、遺言執行者の決定
4)公証役場との遺言書文案協議、遺言書作成
5)遺言書作成後は、遺言執行者と遺言者の定期連絡
6)遺言者死亡後は、遺言執行者の就任及び執行着手
7)相続財産の換価と遺贈先団体への引渡し
8)最終精算して、遺言執行業務終了


<参考条文>
※介護保険法
(目的)
第一条  この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
(介護保険)
第二条  介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)に関し、必要な保険給付を行うものとする。
2項 前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。
3項 第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
4項 第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
(保険者)
第三条  市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする。
2項 市町村及び特別区は、介護保険に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。
(国民の努力及び義務)
第四条  国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
2項 国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担するものとする。
(国及び地方公共団体の責務)
第五条  国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
2項 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
3項 国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。
第八条  この法律において「居宅サービス」とは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売をいい、「居宅サービス事業」とは、居宅サービスを行う事業をいう。
2項 この法律において「訪問介護」とは、要介護者であって、居宅(老人福祉法 第二十条の六 に規定する軽費老人ホーム、同法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設における居室を含む。以下同じ。)において介護を受けるもの(以下「居宅要介護者」という。)について、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの(定期巡回・随時対応型訪問介護看護(第十五項第二号に掲げるものに限る。)又は夜間対応型訪問介護に該当するものを除く。)をいう。

※介護保険法施行令
(法第八条第二項及び第八条の二第二項の政令で定める者)
第三条
 法第八条第二項及び第八条の二第二項の政令で定める者は、次の各号に掲げる研修の課程を修了し、それぞれ当該各号に定める者から当該研修を修了した旨の証明書の交付を受けた者(以下この条において「養成研修修了者」という。)とする。
一 都道府県知事の行う介護員の養成に関する研修 当該都道府県知事
二 都道府県知事が指定する者(以下この条において「介護員養成研修事業者」という。)の行う研修であって厚生労働省令で定める基準に適合するものとして都道府県知事の指定を受けたもの(以下この条において「介護員養成研修」という。) 当該介護員養成研修事業者
2 前項第二号の事業者の指定は、都道府県の区域ごとに、その指定を受けようとする者の申請により、次に掲げる要件を満たすと認められる者について、当該都道府県知事が行う。
一 厚生労働省令で定める基準に適合する介護員養成研修を適正に実施する能力があると認められること。
二 次に掲げる義務を適正に履行できると認められること。
  イ 養成研修修了者について、厚生労働省令で定める事項を記載した名簿を作成し、及びこれを都道府県知事に送付すること。
  ロ 厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、又は当該事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときに、厚生労働省令で定めるところにより、十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出ること。
  ハ 介護員養成研修の実施に関して都道府県知事が当該事業に関する情報の提供、当該事業の内容の変更その他の必要な指示を行った場合に、当該指示に従うこと。
3 都道府県知事は、介護員養成研修事業者が、前項各号に掲げる要件を満たすことができなくなったと認められるときは、第一項第二号の指定を取り消すことができる。
4 前三項に規定するもののほか、養成研修修了者に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

※社会福祉士及び介護福祉士法
(目的)
第一条  この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。
2  この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
(誠実義務)
第四十四条の二  社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第四十五条  社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
(秘密保持義務)
第四十六条  社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。


※介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律
第十五条(指定等) 厚生労働大臣は、介護労働者の福祉の増進を図ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、第十七条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
一  職員、業務の方法その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。
二  前号に定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、介護労働者の福祉の増進に資すると認められること。
2  厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、同項の規定による指定を受けた者(以下「介護労働安定センター」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。
3  介護労働安定センターは、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
4  厚生労働大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
第十六条(指定の条件) 前条第一項の規定による指定には、条件を付け、及びこれを変更することができる。
2  前項の条件は、当該指定に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
第十七条(業務) 介護労働安定センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一  介護労働者の雇用及び福祉に関する情報及び資料を総合的に収集し、並びに事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対して提供すること。
二  職業紹介事業者の行う職業紹介事業に係る介護労働者に対して、その者が賃金の支払を受けることが困難となった場合の保護その他のその職業生活の安定を図るために必要な援助を行うこと。
三  次条第一項に規定する業務を行うこと。
四  前三号に掲げるもののほか、介護労働者の福祉の増進を図るために必要な業務を行うこと。

※私立学校法
(申請)
第三十条  学校法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、文部科学省令で定める手続に従い、当該寄附行為について所轄庁の認可を申請しなければならない。
一  目的
二  名称
三  その設置する私立学校の名称及び当該私立学校に課程、学部、大学院、大学院の研究科、学科又は部を置く場合には、その名称又は種類(私立高等学校(私立中等教育学校の後期課程を含む。)に広域の通信制の課程(学校教育法第五十四条第三項 (同法第七十条第一項 において準用する場合を含む。)に規定する広域の通信制の課程をいう。)を置く場合には、その旨を含む。)
四  事務所の所在地
五  役員の定数、任期、選任及び解任の方法その他役員に関する規定
六  理事会に関する規定
七  評議員会及び評議員に関する規定
八  資産及び会計に関する規定
九  収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類その他その事業に関する規定
十  解散に関する規定
十一  寄附行為の変更に関する規定
十二  公告の方法
2  学校法人の設立当初の役員は、寄附行為をもつて定めなければならない。
3  第一項第十号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、学校法人その他教育の事業を行う者のうちから選定されるようにしなければならない。
(残余財産の帰属)
第五十一条  解散した学校法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
2  前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
3  国は、前項の規定により国庫に帰属した財産(金銭を除く。)を私立学校教育の助成のために、学校法人に対して譲与し、又は無償で貸し付けるものとする。ただし、国は、これに代えて、当該財産の価額に相当する金額を補助金として支出することができる。
4  前項の助成については、私立学校振興助成法 (昭和五十年法律第六十一号)第十一条 から第十三条 までの規定の適用があるものとする。
5  第二項の規定により国庫に帰属した財産が金銭である場合には、国は、その金額について第三項ただし書の処置をとるものとする。
6  第二項の規定により国庫に帰属した財産(金銭を除く。)は、文部科学大臣の所管とし、第三項本文の処分は、文部科学大臣が行う。ただし、当該財産につき同項ただし書の処置がとられた場合には、当該財産を財務大臣に引き継がなければならない。

※特定非営利活動促進法
(目的)
第一条  この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
2  この法律において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一  次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。
イ  社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。
二  その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ  宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ  政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ  特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
3  この法律において「認定特定非営利活動法人」とは、第四十四条第一項の認定を受けた特定非営利活動法人をいう。
4  この法律において「仮認定特定非営利活動法人」とは、第五十八条第一項の仮認定を受けた特定非営利活動法人をいう。
第十一条  特定非営利活動法人の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  目的
二  名称
三  その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
四  主たる事務所及びその他の事務所の所在地
五  社員の資格の得喪に関する事項
六  役員に関する事項
七  会議に関する事項
八  資産に関する事項
九  会計に関する事項
十  事業年度
十一  その他の事業を行う場合には、その種類その他当該その他の事業に関する事項
十二  解散に関する事項
十三  定款の変更に関する事項
十四  公告の方法
2  設立当初の役員は、定款で定めなければならない。
3  第一項第十二号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、特定非営利活動法人その他次に掲げる者のうちから選定されるようにしなければならない。
一  国又は地方公共団体
二  公益社団法人又は公益財団法人
三  私立学校法第三条 に規定する学校法人
四  社会福祉法第二十二条 に規定する社会福祉法人
五  更生保護事業法第二条第六項 に規定する更生保護法人
(残余財産の帰属)
第三十二条  解散した特定非営利活動法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、定款で定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
2  定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定がないときは、清算人は、所轄庁の認証を得て、その財産を国又は地方公共団体に譲渡することができる。
3  前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

※公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
(目的)
第一条  この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業の実施が公益の増進のために重要となっていることにかんがみ、当該事業を適正に実施し得る公益法人を認定する制度を設けるとともに、公益法人による当該事業の適正な実施を確保するための措置等を定め、もって公益の増進及び活力ある社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  公益社団法人 第四条の認定を受けた一般社団法人をいう。
二  公益財団法人 第四条の認定を受けた一般財団法人をいう。
三  公益法人 公益社団法人又は公益財団法人をいう。
四  公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。
(行政庁)
第三条  この法律における行政庁は、次の各号に掲げる公益法人の区分に応じ、当該各号に定める内閣総理大臣又は都道府県知事とする。
一  次に掲げる公益法人 内閣総理大臣
イ 二以上の都道府県の区域内に事務所を設置するもの
ロ 公益目的事業を二以上の都道府県の区域内において行う旨を定款で定めるもの
ハ 国の事務又は事業と密接な関連を有する公益目的事業であって政令で定めるものを行うもの
二  前号に掲げる公益法人以外の公益法人 その事務所が所在する都道府県の知事(公益認定)
第四条  公益目的事業を行う一般社団法人又は一般財団法人は、行政庁の認定を受けることができる。
(公益認定の基準)
第五条  行政庁は、前条の認定(以下「公益認定」という。)の申請をした一般社団法人又は一般財団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について公益認定をするものとする。
一  公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。
二  公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。
三  その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。
四  その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
五  投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。
六  その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。
七  公益目的事業以外の事業(以下「収益事業等」という。)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
八  その事業活動を行うに当たり、第十五条に規定する公益目的事業比率が百分の五十以上となると見込まれるものであること。
九  その事業活動を行うに当たり、第十六条第二項に規定する遊休財産額が同条第一項の制限を超えないと見込まれるものであること。
十  各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十一  他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十二  会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。
十三  その理事、監事及び評議員に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること。
十四  一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
ロ 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること。
(1) 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
(2) 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること。
ハ 理事会を置いているものであること。
十五  他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること。ただし、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。
十六  公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること。
十七  第二十九条第一項若しくは第二項の規定による公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)において、公益目的取得財産残額(第三十条第二項に規定する公益目的取得財産残額をいう。)があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から一箇月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めているものであること。
イ 私立学校法 (昭和二十四年法律第二百七十号)第三条 に規定する学校法人
ロ 社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条 に規定する社会福祉法人
ハ 更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)第二条第六項 に規定する更生保護法 人
ニ 独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人
ホ 国立大学法人法 (平成十五年法律第百十二号)第二条第一項 に規定する国立大学法人又は同条第三項 に規定する大学共同利用機関法人
ヘ 地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人
ト その他イからヘまでに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人
十八  清算をする場合において残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは前号イからトまでに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めているものであること。

※所得税法
(寄附金控除)
第七十八条  居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合において、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一  その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の四十に相当する金額を超える場合には、当該百分の四十に相当する金額)
二  二千円
2  前項に規定する特定寄附金とは、次に掲げる寄附金(学校の入学に関してするものを除く。)をいう。
一  国又は地方公共団体(港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)
二  公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したもの
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
三  別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(前二号に規定する寄附金に該当するものを除く。)
3  居住者が、特定公益信託(公益信託ニ関スル法律第一条 (公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭は、前項に規定する特定寄附金とみなして第一項の規定を適用する。
4  第一項の規定による控除は、寄附金控除という。

※所得税法施行令
(公益の増進に著しく寄与する法人の範囲)
第二百十七条  法第七十八条第二項第三号 (公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金)に規定する政令で定める法人は、次に掲げる法人とする。
一  独立行政法人
一の二  地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 (定義)に規定する地方独立行政法人で同法第二十一条第一号 又は第三号 から第五号 まで(業務の範囲)に掲げる業務(同条第三号 に掲げる業務にあつては同号 チに掲げる事業の経営に、同条第五号 に掲げる業務にあつては地方独立行政法人法施行令 (平成十五年政令第四百八十六号)第四条第一号 (公共的な施設の範囲)に掲げる介護老人保健施設の設置及び管理に、それぞれ限るものとする。)を主たる目的とするもの
二  自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
三  公益社団法人及び公益財団法人
四  私立学校法 (昭和二十四年法律第二百七十号)第三条 (定義)に規定する学校法人で学校(学校教育法第一条 (定義)に規定する学校をいう。以下この号において同じ。)の設置若しくは学校及び専修学校(学校教育法第百二十四条 (専修学校)に規定する専修学校で財務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)若しくは各種学校(学校教育法第百三十四条第一項 (各種学校)に規定する各種学校で財務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第六十四条第四項 (私立専修学校等)の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
五  社会福祉法人
六  更生保護法人

※独立行政法人通則法
(目的等)
第一条  この法律は、独立行政法人の運営の基本その他の制度の基本となる共通の事項を定め、各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下「個別法」という。)と相まって、独立行政法人制度の確立並びに独立行政法人が公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。
2  各独立行政法人の組織、運営及び管理については、個別法に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(定義)
第二条  この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。
2  この法律において「特定独立行政法人」とは、独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるものをいう。
(業務の公共性、透明性及び自主性)
第三条  独立行政法人は、その行う事務及び事業が国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることにかんがみ、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならない。
2  独立行政法人は、この法律の定めるところによりその業務の内容を公表すること等を通じて、その組織及び運営の状況を国民に明らかにするよう努めなければならない。
3  この法律及び個別法の運用に当たっては、独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。
(財源措置)
第四十六条  政府は、予算の範囲内において、独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。
(不要財産に係る国庫納付等)
第四十六条の二  独立行政法人は、不要財産であって、政府からの出資又は支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るもの(以下この条において「政府出資等に係る不要財産」という。)については、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付するものとする。ただし、中期計画において第三十条第二項第四号の二の計画を定めた場合であって、その計画に従って当該政府出資等に係る不要財産を国庫に納付するときは、主務大臣の認可を受けることを要しない。
2  独立行政法人は、前項の規定による政府出資等に係る不要財産(金銭を除く。以下この項及び次項において同じ。)の国庫への納付に代えて、主務大臣の認可を受けて、政府出資等に係る不要財産を譲渡し、これにより生じた収入の額(当該財産の帳簿価額を超える額(次項において「簿価超過額」という。)がある場合には、その額を除く。)の範囲内で主務大臣が定める基準により算定した金額を国庫に納付することができる。ただし、中期計画において第三十条第二項第四号の二の計画を定めた場合であって、その計画に従って当該金額を国庫に納付するときは、主務大臣の認可を受けることを要しない。
3  独立行政法人は、前項の場合において、政府出資等に係る不要財産の譲渡により生じた簿価超過額があるときは、遅滞なく、これを国庫に納付するものとする。ただし、その全部又は一部の金額について国庫に納付しないことについて主務大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。
4  独立行政法人が第一項又は第二項の規定による国庫への納付をした場合において、当該納付に係る政府出資等に係る不要財産が政府からの出資に係るものであるときは、当該独立行政法人の資本金のうち当該納付に係る政府出資等に係る不要財産に係る部分として主務大臣が定める金額については、当該独立行政法人に対する政府からの出資はなかったものとし、当該独立行政法人は、その額により資本金を減少するものとする。
5  主務大臣は、第一項、第二項又は第三項ただし書の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。
6  前各項に定めるもののほか、政府出資等に係る不要財産の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

※法人税法(寄附金の損金不算入)
第三十七条  内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2  内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益の益金不算入)又は第八十一条の三第一項(第二十五条の二に係る部分に限る。)(個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入)の規定を適用しないとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上益金の額に算入される第二十五条の二第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3  第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一  国又は地方公共団体(港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
二  公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
4  第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人を除く。以下この項及び次項において同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。


※法人税法施行令
第七十七条(公益の増進に著しく寄与する法人の範囲) 法第三十七条第四項 (公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金)に規定する政令で定める法人は、次に掲げる法人とする。
一  独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 (定義)に規定する独立行政法人
一の二  地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 (定義)に規定する地方独立行政法人で同法第二十一条第一号 又は第三号 から第五号 まで(業務の範囲)に掲げる業務(同条第三号 に掲げる業務にあつては同号 チに掲げる事業の経営に、同条第五号 に掲げる業務にあつては地方独立行政法人法施行令 (平成十五年政令第四百八十六号)第四条第一号 (公共的な施設の範囲)に掲げる介護老人保健施設の設置及び管理に、それぞれ限るものとする。)を主たる目的とするもの
二  自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
三  公益社団法人及び公益財団法人
四  私立学校法第三条 (定義)に規定する学校法人で学校(学校教育法第一条 (定義)に規定する学校をいう。以下この号において同じ。)の設置若しくは学校及び専修学校(学校教育法第百二十四条 (専修学校)に規定する専修学校で財務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)若しくは各種学校(学校教育法第百三十四条第一項 (各種学校)に規定する各種学校で財務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第六十四条第四項 (私立専修学校等)の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
五  社会福祉法第二十二条 (定義)に規定する社会福祉法人
六  更生保護事業法第二条第六項 (定義)に規定する更生保護法人

第七十七条の二(特定公益増進法人に対する寄附金の特別損金算入限度額) 法第三十七条第四項 (寄附金の損金不算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる内国法人の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一  普通法人、協同組合等及び人格のない社団等(次号に掲げるものを除く。) 次に掲げる金額の合計額の二分の一に相当する金額
イ 当該事業年度終了の時における資本金等の額(当該資本金等の額が零に満たない場合には、零)を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額の千分の三・七五に相当する金額
ロ 当該事業年度の所得の金額の百分の六・二五に相当する金額
二  普通法人、協同組合等及び人格のない社団等のうち資本又は出資を有しないもの、法別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人並びに財務省令で定める法人 当該事業年度の所得の金額の百分の六・二五に相当する金額
2  前項各号に規定する所得の金額は、第七十三条第二項各号(一般寄附金の損金算入限度額)に掲げる規定を適用しないで計算した場合における所得の金額とする。
3  第一項各号に規定する所得の金額は、内国法人が当該事業年度において支出した法第三十七条第七項 に規定する寄附金の額の全額は損金の額に算入しないものとして計算するものとする。
4  第一項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。
5  内国法人が第一項各号に掲げる法人のいずれに該当するかの判定は、各事業年度終了の時の現況による。


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