法の支配と民事訴訟実務入門(平成21年8月5日改訂)
各論18、手形小切手訴訟を自分でやる。


質問:商品売買の取引先から受け取った金500万円の約束手形を所持しています。この手形は先日不渡りとなり手振出人は夜逃げしてしまいました。裏書人に請求したのですが支払ってくれません。手形金を請求したいと思い調べたところ、手形訴訟・小切手訴訟という方法があると聞きました。自分でやるにはどうしたらよいですか?



回答:

1. 理論的に、貴方は、振出人、裏書人に対して500万円の手形金請求を通常の民事訴訟手続きで起こすこともできますし、簡易迅速な解決を目的とした特別な手形訴訟手続(民訴350条以下)で訴えを提起することもできます。
2. 手形金請求訴訟で敗訴しても、振出手形の原因になった法律関係である売買による売買代金請求訴訟を振出人(売買の買主が振出人の場合)、保証人(裏書人等が保証人になっていれば)に通常訴訟で訴えを提起できます。
3. 本件の場合取引上手形金決済を早くしたいでしょうから迅速簡易解決に適切な手形訴訟手続きについてご説明します。
4. 尚、手形金請求は権利の消滅時効期間(手形法70、77条、所持人の振出人に対する請求は満期から3年、裏書人に対して満期から1年、その他の場合は6か月。小切手は小切手法51条により、呈示期間後6か月)が短いので注意してください。

解説

手形(小切手)訴訟手続きの基本的考え方をご説明します。
まず手形とは一定の金額の支払いを目的とする有価証券です。有価証券とは財産権を表章し、その表象された財産権の移転行使が証券自体によってなされる証券(証券は財産上の権利義務について記載された紙片で有価証券と証拠証券に分かれます)です。すなわち、手形は、その紙自体に要件に従い手形であることを認識して署名押印すると、原因となった取引関係とは無関係に手形金請求権が突然出現し、手形金債権と手形の紙(用紙)が結合し一体となっている(設権証券といいます)ところに基本的特色があります。貴方が売買代金として受け取った約束手形に表章されている手形金請求権は売買代金請求権とはまったく法的に別個独立の権利です(ただ、決済されると支払いの手段ですので売買代金請求権も消滅するので二重請求はできません)。どうしてこのような手形が必要かというと、商取引の支払い決済を安全、簡易、迅速、低廉に行うためです。取引が単純であれば現金決済でいいですが、取引が複雑となって金額が高額となり、期間の猶予が必要な決済、遠隔地取引での決済送金(外国為替)等の商取引が生じます。そこで、手形という証券(紙片)に振出の原因となった取引関係とは無関係な金銭債権を認め(無因性といいます)、現金に代わる取引決済の手段としたのです。証券自体に権利が表章されているので流通が確保され、手形により取引の信用維持(手形割引)、迅速(証券の移転は容易)、安全で(現金を持ち歩く必要がない)簡易な(証券の移転は簡単)取引決済が可能になり経済取引が円滑に行われる訳です。例えば、貴方の場合、単なる売買代金債権を持っているより、手形債権であれば不渡り制度により信用性が高く、手形割引により期限前の譲渡も容易であり多額の現金を持つよりも安全です。従って、万が一手形、小切手の請求に対し手形債務者が任意に支払いに応じなければ、簡易迅速に手形債権の訴訟による強制的実現を可能にして、手形(小切手)制度の信用、安全性を維持し法の支配の理念に基づく公正な経済取引秩序を保持しなければなりません。そのために証拠方法を制限し特別な手形訴訟手続きが用意されているのです。以上のような手形の特殊な権利構成により手形訴訟も種々特則が定められています。尚、手形制度の短所も指摘されており新たな制度も考えられています。事務所事例集NO683 号、電子記録債権法参照。以下詳論します。

1 手形(約束手形と為替手形)や小切手の請求について、通常訴訟や支払督促等の手続きを取ることはもちろんできますが、簡易・迅速に、債務名義を取得するための手続として手形小切手訴訟の特則が定められています(民事訴訟法第5編)。
手形や小切手は支払いを迅速、確実かつ安全にするための制度ですから、不払いになった時にも迅速に債務名義が得られるよう民事訴訟の特別な手続きとして設けられた手続きです。そのため1回の裁判で判決ができるよう証拠が制限されています(手形訴訟の中核)。証拠が制限されているということは、被告の抗弁の立証が制限される半面、原告が敗訴する危険性もあるということですからその点十分理解してこの制度を利用する必要があります。

2 手形訴訟における証拠の制限について(手形訴訟特則の中心です)
手形訴訟においては、迅速、簡易性確保のため証拠が書証に限定され、証人尋問はできません(例外として本人尋問が認められる場合があります。民訴352条.3,207条.1)。手形(以下小切手も含む)はご存じのように、通常は銀行が発行している手形用紙であることを認識して手形要件を記載して振出し、振出された手形に裏書すればそれだけで取引関係とは無関係に手形上の債務が発生します。従って、原告とすると要件が手形面上そろっている(被告が署名押印した)手形を証拠として提出すれば立証できたことになります(他の書証と違い権利の存在内容まで立証されたことになる)。しかし、被告となっている振出人や裏書人が自分の印鑑ではない(印鑑偽造)と反論した場合、原告とすればそれが、被告の印鑑による印影であることを立証する必要が出ていきます(勿論、手持ちの印鑑証明、契約書、銀行届出印を証明する他の手形等の書証があれば否認されても立証が可能ですができなければ通常訴訟で証拠を収集して立証することになります)。印鑑が被告のものであることを認めれば、それを誰が押したのかについてまで原告が立証する必要はありません(民訴228条4項。印鑑が作成者のものであれば、その人の意思に基づき文書全体が作成されたという二重の推定。総論11参照)。以上の効果として逆に被告としても、印鑑が自分のものである以上はそれが自分以外の人によって押捺されたことを立証(反証)することは迅速性を有する手形訴訟では事実上できないことになります(反証も書証があればできます。例えば手形偽造犯人の供述書)。また、被告が単に答弁書(本人尋問)で「自分の印鑑ではない。偽造印である」「自分の印鑑だが他人が押した」と単純に争っても偽造された事情を説明しない限り(例えば印鑑、手形用紙が盗難にあい、刑事裁判になっている。銀行の手形届出印を提出)自由心証主義から被告の署名、印鑑と推定されて敗訴することにはなります(民事訴訟規則145条)。さらに手形訴訟では文書の送付嘱託や提出命令(法352条)、反訴の提起(法351条)は認められていません。このような手続きをとっていたのでは1回の裁判では終結できないからです(簡易、迅速性の要請)。
そこで、原告としては被告が以上のような反論(債務不履行、資金不足、詐欺など偽造以外の反論は手形の無因、設権性から第三者に対して通常意味をなさない)をしないであろうと予測される場合に限って手形訴訟を提起することになります。なお、手形訴訟を提起したが、被告が予想に反して手形に押されている印鑑が具体的理由を述べ自分のものではないと主張した場合や原告の立証が不十分なときは(他に立証する書証がない)、原告は通常訴訟への移行を申し立てることが認められています(民訴353)。原告が証拠の不備で敗訴しないように通常訴訟への移行が無条件に認められているのです(通常訴訟で人証、物証等を用意して争う)。
また、手形判決には控訴が認められず、手形判決に対する異議の申し立てにより、適正な訴訟を行うため通常訴訟による裁判が始まることになっています。但し、異議の申立をしても、手形判決には仮執行宣言が付いておりそれに基づいて強制執行は可能ですから、被告は強制執行停止命令申立という別の手続きが必要になります。仮執行宣言をつけなければ、債務者の異議により手形債権の簡易迅速な執行はできなくなり、手形制度の信用は失われ公正な取引秩序を維持できなくなるからです。従って、執行停止の保証金も原則的に請求金額の全額となります。

3 以上が手形小切手訴訟の概略です。そこで、具体的に訴訟を提起する前に必要な手形小切手に関する法律上の考え方をもう一度説明します。
  手形や小切手は有価証券の一種で、金銭の支払い請求権が手形や小切手と一体となって手形や小切手と一緒に転々流通すると考えられています。ですから、手形が振り出された原因となっている法律関係に基づく請求権とは別の請求権となります。そのため、手形振り出しの原因となった原因関係についての当事者間の抗弁は、「人的抗弁の切断」と言って、手形を交付した当事者以外の手形所持人には主張できないとされています(手形法17 何が人的抗弁として切断されるのかは、手形法の問題ですので専門家に相談した方が良いでしょう)。
  他方で、手形はこのように原因関係とは関係がなく成立しますが、手形要件を満たさないと手形上の債権は発生しないことになります。但し、要件が記載されていなくても白地補充権といって要件を後から補充する権利がある場合には手形は無効とはなりません(手形法10条、77条2項)。振り出しや裏書の手形行為の時点では要件を欠いていたとしても、請求の際に要件が補充されていれば権利は発生することになります。手形要件でも実際の商取引で重要性がない要件(例えば、受取人欄、振出日、取引の支払時期が決まらない満期日)は空白、省略されて手形取引が行われていたことが理由です(本来手形は要式証券であり手形要件の厳格性から無効なのですが、無効とすると取引が混乱するので商慣習を尊重し一旦有効として権利行使の時まで白地を補充し完全な手形にすればよいということになっています)。これらの点は、裏書人に対する遡及権を追及する場合問題になります。裏書人の遡及権は手形が支払呈示された時点で手形要件が具備していないと発生しないことから、手形を銀行に取り立てに出した際に白地の部分があると遡及出来ないという事態が生じます。手形訴訟で、被告となった裏書人が手形交換にまわった手形のマイクロフィルムを証拠として提出し要件がそろっていないことを主張立証することがありますから、銀行に取り立てを依頼する場合白地の補充を忘れないようにする必要がります。手形振出人が白地手形の自由な補充権を後の手形取得者に与えているという権利構成になりますのでこの補充は取引実態と異なっていても有効ですから事情を知らない第三取得者は補充さえしてしまえばいい訳です。
  いずれにしろこれらの点は、手形小切手の実務に慣れ親しんでいないと間違い易いところですので慎重な対応が必要です。専門家に相談しておく必要があるでしょう

4 そこで次に訴状の書式に基づいて説明します。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
訴 状(手形小切手訴訟)
東京地方裁判所
民事第7部 御中
平成○年○月○日
〒123-4567
東京都○区○1−2−3
原 告    ○○○○

〒123-4567
東京都○区○3−2−1
被 告    ○○株式会社
       代表取締役 ○○○○
〒123-4567
東京都○区○3−2−1
被 告    xx株式会社
       代表取締役 ○○○○
約束手形金請求事件


訴訟物価額     金269万円
貼用印紙額   金19,000円

請求の趣旨
1 被告らは原告に対し,各自金269万円及びこれに対する平成○年○月○日から完済にいたるまで年6分の割合による金員を支払え。
1 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決ならびに仮執行の宣言を求める。
本件は手形訴訟による審理・裁判を求める。

請求の原因

1 被告○○○○株式会社は別紙約束手形目録記載の約束手形1通を振り出した(甲第1号証の1ないし甲第1号証の3)。
2 原告は受取人xx株式会社が、平成  年  月  日裏書きした上記約束手形を取得し、現在所持している。
2 原告は上記手形を支払呈示期間内に支払場所に呈示したがその支払を拒絶された(甲第1号証の3)。
3 よって原告は、上記手形の振出人である被告○○○○株式会社お呼び裏書人である被告xx株式会社に対し上記手形金269万円及びこれに対する平成○年○月○日から完済にいたるまで手形法所定年6分の割合による利息金の支払を求める。

証 拠 方 法
甲1号証の1から3まで 本件約束手形(表面、裏面、付箋)
添 付 書 類
1、訴状副本       1通
1、甲号証写し        各1通
1、資格証明書   1通


約束手形金目録
1、約束手形
金 額 金269万円
満 期 平成○年○月○日
支 払 地 東京都○区
振 出 地 同 上
支 払 場 所       株式会社○○銀行○○支店
振 出 日 平成○年○月○日
振 出 人 ○○○○株式会社 
受 取 人 xx株式会社
第一裏書人       同 上
(支払拒絶証書作成義務免除)
    第一被裏書人 (白地)
――――――――――――――――――――――――――――――――

5 訴状の書き方
@ 訴状の構成は、他の事件と同様まず表題的なものとして、裁判所に提出する日付、宛名として提出する裁判所、当事者の表示として原告と被告の住所を記載します。提出する裁判所は管轄裁判所を記載します。原則は被告の住所地の地方裁判所ですが、手形訴訟では手形に記載された支払地を管轄する裁判所にも管轄があります。
  また、手形訴訟を求めることを明記する為「訴状(手形訴訟)」と記載するのが良いでしょう。
A 事件名、訴額と貼用印紙額の記載
事件名は、原告が自由に付けて良いのですが、建物明渡請求事件とするのが通常です。訴額は、手形金額になります。必要な印紙を訴状に貼って提出することになります。なお、訴額の記載は、空欄にしておいて裁判所の受付で確認してから記載するほうが、間違いないでしょう。
満期以降完済まで遅延損害金の請求ができますが、これは付帯債権となり訴額には入りません
B  以上が表題的な部分で、次に本文として「請求の趣旨」「請求の理由」となります。まず請求の趣旨には、原告が裁判所に求める判決の主文を記載します。「手形金額と遅延損害金を支払え」という判決を求めることになります。
 なお、ここでも手形訴訟によることを明記し、仮執行の宣言についても記載します。
C  次に請求の原因には、原告が記載した請求の趣旨の根拠となる事実を記載します。手形訴訟の場合は、定型化されていますので書式に従った記載が望ましいでしょう。

D 訴状の提出
訴状が完成したら裁判所に提出すること他の事件と同じです。訴状と一緒に、手形の写しを証拠として提出必要があります。

 6  裁判が始まるとどうなるか
    裁判手続きについては、証拠が制限されていること、原則として1回の裁判で終結となることを除いては他の訴訟事件と同様です。
被告の答弁によって手形訴訟では原告の請求が立証できない場合、裁判所からどうするか聞かれますが、それは「このままでは原告の希望する判決ができませんよ。通常訴訟への移行を申し立てたほうが良いですよ。」という趣旨です。申立は口頭でも可能ですので素直に通常訴訟への移行を申し立てるのが良いでしょう。

参考URL(大阪地方裁判所商事部の説明ページ)
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/minji4/dai3_2.html


≪条文参照≫
第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則
(手形訴訟の要件)
第三百五十条  手形による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
2  手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴状に記載してしなければならない。
(反訴の禁止)
第三百五十一条  手形訴訟においては、反訴を提起することができない。
(証拠調べの制限)
第三百五十二条  手形訴訟においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。
2  文書の提出の命令又は送付の嘱託は、することができない。対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える物件の提出の命令又は送付の嘱託についても、同様とする。
3  文書の成立の真否又は手形の提示に関する事実については、申立てにより、当事者本人を尋問することができる。
4  証拠調べの嘱託は、することができない。第百八十六条の規定による調査の嘱託についても、同様とする。
5  前各項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
(通常の手続への移行)
第三百五十三条  原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。
2  訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
3  前項の場合には、裁判所は、直ちに、訴訟が通常の手続に移行した旨を記載した書面を被告に送付しなければならない。ただし、第一項の申述が被告の出頭した期日において口頭でされたものであるときは、その送付をすることを要しない。
4  第二項の場合には、手形訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
(口頭弁論の終結)
第三百五十四条  裁判所は、被告が口頭弁論において原告が主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合には、前条第三項の規定による書面の送付前であっても、口頭弁論を終結することができる。
(口頭弁論を経ない訴えの却下)
第三百五十五条  請求の全部又は一部が手形訴訟による審理及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部又は一部を却下することができる。
2  前項の場合において、原告が判決書の送達を受けた日から二週間以内に同項の請求について通常の手続により訴えを提起したときは、第百四十七条の規定の適用については、その訴えの提起は、前の訴えの提起の時にしたものとみなす。
(控訴の禁止)
第三百五十六条  手形訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。ただし、前条第一項の判決を除き、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
(異議の申立て)
第三百五十七条  手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
(異議申立権の放棄)
第三百五十八条  異議を申し立てる権利は、その申立て前に限り、放棄することができる。
(口頭弁論を経ない異議の却下)
第三百五十九条  異議が不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、異議を却下することができる。
(異議の取下げ)
第三百六十条  異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
2  異議の取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
3  第二百六十一条第三項から第五項まで、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条の規定は、異議の取下げについて準用する。
(異議後の手続)
第三百六十一条  適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
(異議後の判決)
第三百六十二条  前条の規定によってすべき判決が手形訴訟の判決と符合するときは、裁判所は、手形訴訟の判決を認可しなければならない。ただし、手形訴訟の判決の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。
2  前項の規定により手形訴訟の判決を認可する場合を除き、前条の規定によってすべき判決においては、手形訴訟の判決を取り消さなければならない。
(異議後の判決における訴訟費用)
第三百六十三条  異議を却下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負担の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。
2  第二百五十八条第四項の規定は、手形訴訟の判決に対し適法な異議の申立てがあった場合について準用する。
(事件の差戻し)
第三百六十四条  控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
(訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行)
第三百六十五条  第二百七十五条第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければならない。
(督促手続から手形訴訟への移行)
第三百六十六条  第三百九十五条又は第三百九十八条第一項(第四百二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、支払督促の申立ての際にしなければならない。
2  第三百九十一条第一項の規定による仮執行の宣言があったときは、前項の申述は、なかったものとみなす。
(小切手訴訟)
第三百六十七条  小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、小切手訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
2  第三百五十条第二項及び第三百五十一条から前条までの規定は、小切手訴訟に関して準用する。

民事訴訟法
(文書の成立)
第二百二十八条  文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2  文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3  公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4  私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5  第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

手形法
第十条  未完成ニテ振出シタル為替手形ニ予メ為シタル合意ト異ル補充ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ違反ハ之ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ為替手形ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二編 約束手形
第七十五条  約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一  証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字
二  一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束
三  満期ノ表示
四  支払ヲ為スベキ地ノ表示
五  支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
六  手形ヲ振出ス日及地ノ表示
七  手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名
第七十六条  前条ニ掲グル事項ノ何レカヲ欠ク証券ハ約束手形タル効力ヲ有セズ但シ次ノ数項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 満期ノ記載ナキ約束手形ハ之ヲ一覧払ノモノト看做ス
○3 振出地ハ特別ノ表示ナキ限リ之ヲ支払地ニシテ且振出人ノ住所地タルモノト看做ス
○4 振出地ノ記載ナキ約束手形ハ振出人ノ名称ニ附記シタル地ニ於テ之ヲ振出シタルモノト看做ス

第十一章 時効
第七十条  引受人ニ対スル為替手形上ノ請求権ハ満期ノ日ヨリ三年ヲ以テ時効ニ罹ル
○2 所持人ノ裏書人及振出人ニ対スル請求権ハ適法ノ時期ニ作ラシメタル拒絶証書ノ日附ヨリ、無費用償還文句アル場合ニ於テハ満期ノ日ヨリ一年ヲ以テ時効ニ罹ル
○3 裏書人ノ他ノ裏書人及振出人ニ対スル請求権ハ其ノ裏書人ガ手形ノ受戻ヲ為シタル日又ハ其ノ者ガ訴ヲ受ケタル日ヨリ六月ヲ以テ時効ニ罹ル


第七十七条  左ノ事項ニ関スル為替手形ニ付テノ規定ハ約束手形ノ性質ニ反セザル限リ之ヲ約束手形ニ準用ス
一  裏書(第十一条乃至第二十条)
二  満期(第三十三条乃至第三十七条)
三  支払(第三十八条乃至第四十二条)
四  支払拒絶ニ因ル遡求(第四十三条乃至第五十条、第五十二条乃至第五十四条)
五  参加支払(第五十五条、第五十九条乃至第六十三条)
六  謄本(第六十七条及第六十八条)
七  変造(第六十九条)
八  時効(第七十条及第七十一条)
九  休日、期間ノ計算及恩恵日ノ禁止(第七十二条乃至第七十四条)
○2 第三者方ニテ又ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払ヲ為スベキ為替手形(第四条及第二十七条)、利息ノ約定(第五条)、支払金額ニ関スル記載ノ差異(第六条)、第七条ニ規定スル条件ノ下ニ為サレタル署名ノ効果、権限ナクシテ又ハ之ヲ超エテ為シタル者ノ署名ノ効果(第八条)及白地為替手形(第十条)ニ関スル規定モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス

小切手法
第九章 時効
第五十一条  所持人ノ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対スル遡求権ハ呈示期間経過後六月ヲ以テ時効ニ罹ル
○2 小切手ノ支払ヲ為スベキ債務者ノ他ノ債務者ニ対スル遡求権ハ其ノ債務者ガ小切手ノ受戻ヲ為シタル日又ハ其ノ者ガ訴ヲ受ケタル日ヨリ六月ヲ以テ時効ニ罹ル


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