法の支配と民事訴訟実務入門(平成20年9月22日改訂)
各論16、近隣紛争の調停を自分でやる。


質問
私の住んでいる建物の敷地は私道に面していますが、その私道は私以外の人の共有となっています。今回、建て替えるのですが、水道管やガス管の交換が必要と言われました。私道の掘削が必要になり私道の共有者の方たちに承諾してもらおうと思ったのですが、反対する人もいて承諾してもらえません。役所など相談に行っても共有者の人と話し合って承諾してもらうよう言われるだけです。このままでは、家の建て替えができないので困っています。法的に解決する方法はないでしょうか。

回答
1. 私道利用の紛争についてはまず民事調停である宅地建物調停手続きを利用してください。
2. 水道管、ガス管交換のため持ち分のない私道堀削は可能ですが、その法的な根拠は、憲法12条、13条、民法209条、220条、221条、水道法11条に求めることができます。
3. 最終的には水道、ガス工事妨害禁止の仮処分、私道掘削権確認の訴えが考えられます。

解説

基本的考え方について、

本件近隣紛争、水道管、ガス管交換のための私道堀削の争点は、社会生活の必要性から他人の土地を利用することができるか、その法的根拠は何かということです。ご質問からは私道の利用形態はわかりませんが(私道の利用については事務所事例集NO699号参照)、いずれの形態が取られていても当該土地を堀削利用しなければ水道、ガス管等を設置できない状況であれば貴方の主張は認められます。
所有権絶対の原則の原則(憲法29条)から言えば、たとえ土地所有者が私道として第三者に通行を認めたからと言って、当該私道についてガス水道管設置工事の権利を認めたことにはなりません。しかし、このような工事を認めたからと言って土地所有者に特別な不利益は考えられませんし、他方、現代社会において水道、ガスの利用は社会生活上必要不可欠です。このような場合は私道所有者の主張は権利の濫用として認められません。憲法12条、13条はこれを明言します。その理論的根拠は法の支配に求めることができます。私有財産制、所有権絶対の原則は、法の支配の理念が社会制度として具体化したものですが、その目的は適正公平な法社会秩序を形成し個人の尊厳を保障するところにあります。従って、私有財産制、所有権絶対の原則は、制度に当然内在する原理として権利濫用、信義誠実の法理が存在するのです。民法の相隣関係の規定はその法理を具体化した一例にすぎません。憲法12条、民法1条その他の総則的規定もその趣旨を明らかにしています。民法、水道法の規定等も以上の理念のもとに解釈することになります。


1 私道の利用に関する紛争を解決する手続として考えられるもの
  法律的な解決として最も有効なのは裁判(訴訟)です。しかし、近隣の紛争となると今後の付き合いもあることから裁判をすることは望ましいことではありません。このような場合、話し合いの延長として簡易裁判所の民事調停を利用するのが良いでしょう。
また、同様の制度として簡易裁判所の民事調停のほかにも弁護士会の紛争解決センターによる仲裁という制度もあります。
このような制度をまず検討し、それでも解決できないという場合に裁判、訴訟を検討するのが良いでしょう。

2 民事調停とはなにか
民事調停法によれば、民事に関する紛争が生じた場合、紛争の当事者は裁判所に民事調停を申したてることができます。そして、調停においては、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とし、当事者の合意に基づく調停の成立のための協議が行われます(民事調停法1,2)。このように、調停は協議、話し合いによる円満な解決を目的とする制度です
民事調停の中で宅地に関する調停を宅地建物調停(民事調停法24)といいます。他の民事調停との違いは管轄が原則としてその土地建物の所在地を管轄する簡易裁判所とされていることだけで、調停の方法等について違いはありません。
調停の申し立ては、口頭でもよいことになっていますが、通常は調停申立書を作成して申し立てることになっています。また、裁判の場合、証拠が問題となるのですが、民事調停の場合は紛争の実情を調停委員に理解してもらうために申し立てと一緒に資料を提出することになっています。

3 他人の土地を利用することができる根拠について
相手の承諾を得るために民事調停等の手続きを利用するとして、私道とは言え他人の土地を掘削することができる権利があるのか、調停を申し立てる前に知っておく必要があります。
まず、私道と呼ばれるものにもいろいろあります。現実に道路として利用されているもので国や地方自治体が所有管理していない道路が私道と呼ばれているものですが、その中にも位置指定道路や建築基準法の42条2項道路と呼ばれる道路があります。これらの私道は私道の所有者であっても道路以外には使用することはできません。しかし、道路以外に使用しないということで私道の持主の所有権が制限されていますが、だからと言って所有者以外の人がその下に水道管等を引くために掘削する権利があるのか、所有者はそれを認めなければならない義務があるのかについては、別の議論が必要です。これは所有権がなぜ制限さるのか、という問題です。他方で私道の所有権が尊重されますが、反面ではあなたのような袋地の土地の所有権をどこまで保護されるべきかという、権利関係の調和の問題です。この点について、特に規定した法律はありません。そこで、民法の相隣関係(民209条以下)の規定や下水道法などの規定を根拠に検討されています。そして結論からいえば、袋地の所有者は上下水道管やガス管の設置のため他人の土地を利用する権利があるとされています。このように考えないと、袋地が宅地として利用できなくなってしまいますし、それを認めたからと言って道路の所有者に不利益はなく権利の調和という点からは道路の使用を認めることが妥当な結論であること異論はないでしょう。その理由、法的根拠としては、下水道法11条1項「・・他人の土地または排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、・・・出来る。」という規定や、民法220条、221条で排水のために低地を利用できることや流水のための工作物の利用が認められていることが挙げられています。以上を前提に具体的に調停を申し立てる方法等について説明します。

4 調停申立書の書き方  
申立書は次のようなものになります。

----------------------------------------------------------------------------------------
宅地調停申立書
平成  年  月  日
00簡易裁判所御中
〒   住 所                 (送達場所)
   申立人
〒   住 所 
相手方
〒   住 所 
相手方
〒   住 所 
相手方
宅地調停申立事件
調停事項の価額     金    万    円
貼用印紙額     金    万    円

申立 の 趣 旨
  相手方らは申立人に対し、申立人が別紙物件目録1記載の土地の利用のために、別紙物件目録2記載の土地を、別紙図面のとおり掘削して水道管、ガス管を設置することを承諾する。
との調停を求める。
紛争の実情
第1 土地の所有関係
1 申立人は別紙物件目録1記載の土地(以下「本件土地1」という)を所有し、相手方らは別紙物件目録2記載の土地(以下「本件土地2」という)を共有している。
2 申立人は本件1の土地に居住しているが、建て替えを計画している。また、本件土地2は道路位置指定を受けた私道であるが、本件土地について申立人は共有持ち分を有していない。そして本件土地1は本件土地2に接道しているだけである。また、上下水道管、ガス管は本件土地2に埋設されている。
3 申立人は建物の建て替えに際し、ガス管や上下水道管等の交換が必要であることから、その工事を業者に依頼しようとしたところ、業者から本件土地2は私道であり、私道の所有者が掘削を承諾している書面が必要という指示があった。そこで、申立人は相手方らに対し、その旨の承諾を求めたが、申し立てに人に本件土地2について持ち分がないことから承諾を拒否された
4 申立人は相手方らの承諾が得られないと、建物の建て替えができないことからこまり、役所等に相談したが話し合って承諾を得るよう助言するだけだった。しかし、申立人としてはこれ以上直接相手方らと協議することは困難ですので、調停を申し立てます。
(別紙)不動産目録
   1 本件土地1
     所在        種類     面積
   2 本件土地2
     所在        種類     面積
(別紙)上下水道工事、ガス管工事図面

資料
甲1  不動産登記事項証明書
甲2  土地の公図
甲3  道路位置指定についての書類
 
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5 申立書の書き方
@ 申立書の構成は、訴状と同様まず表題的なものとして、裁判所に提出する日付、宛名として提出する裁判所、当事者の表示として申立人と相手方の住所を記載します。宅地調停の場合は初めに説明したとおり不動産の所在地の簡易裁判所が管轄裁判所になります。
A 事件名、訴額と貼用印紙額の記載
事件名は、申立人が自由に付けて良いのですが、宅地調停申立事件で良いでしょう。調停事項の価格は、調停を求める事項の価格です。本件のような場合は、建物を建築する予定の土地の価格が基準となりますが、できるだけ低い金額になるよう裁判所に相談してから記載すればよいでしょう。なお、不動産の価格の算定には不動産固定資産評価証明書を都税事務所や市役所等で用意する必要があります。
B 以上が表題的な部分で、次に本文として「申立の趣旨」「紛争の実情」となります。まず申立の趣旨には、申立人が裁判所に求める調停の内容を記載します。裁判の場合と違い、裁判所が申立の趣旨に限定されて判断することはありませんから、訴訟の場合のように厳密に考える必要はありません。
紛争の実情には、申立人の求める権利が明らかになるよう記載し、さらに事実として紛争が生じている経緯を記載します。調停委員にどのような問題ないのか理解してもらうのが目的です
C 申立書の提出
申立書が完成したら関連の資料と一緒に裁判所に提出すること他の事件と同じです。
 
6 調停が始まるとどうなるか
    申立書が受理されるとその場で、あるいは後日裁判所から連絡があり第1回目の調停の期日がきまります。相手方にも裁判所から通知があります。その際に申立書の副本が届けられます。
調停の期日に裁判所の書記官室に行くと名前を書くカードが用意されていますので署名して申立人待合室で呼び出されるまで待っていて下さい。用意ができると調停委員2名のいる調停室に呼ばれます。ここでは、相手方とは別に呼ばれますので直接相手方と会うことはないでしょう。初めに調停手続きについて説明がありその後、申立人、相手方交互に事情を聞かれます。調停委員は双方から事情を聞いて紛争について理解し調停委員の指導で解決に向けた協議が繰り返されます。調停の回数は決まりがありません。協議が成立する見込みがあれば何回でも可能です。
調停期日が繰り返され、協議が成立すれば調停成立と言って裁判所が調停調書をつくります。特に、署名や捺印はしません。わかりにくい場合は、調停調書案を書面化してもらい検討の上調停を成立させることもできます。しかし、調停成立に口頭で了解し、調停室を出るともう撤回することはできません。
以上が、調停の手続きです。数日後に調停調書が作成され郵送されますからその調書により、相手方らが承諾したことが明らかになります。

≪条文参照≫
憲法
第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


民法
(隣地の使用請求)
第二百九条  土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
(排水のための低地の通水)
第二百二十条  高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。
(通水用工作物の使用)
第二百二十一条  土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる。
2  前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。



第一章 総則
    第一節 通則
(この法律の目的)
第一条  この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする。
(調停事件)
第二条  民事に関して紛争を生じたときは、当事者は、裁判所に調停の申立をすることができる。
(管轄)
第三条  調停事件は、特別の定がある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。

(調停機関)
第五条  裁判所は、調停委員会で調停を行う。ただし、裁判所が相当であると認めるときは、裁判官だけでこれを行うことができる。
2  裁判所は、当事者の申立があるときは、前項但書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。
(調停委員会の組織)
第六条  調停委員会は、調停主任一人及び民事調停委員二人以上で組織する。
(調停主任等の指定)
第七条  調停主任は、裁判官の中から、地方裁判所が指定する。
2  調停委員会を組織する民事調停委員は、裁判所が各事件について指定する。
(民事調停委員)
第八条  民事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行い、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行う。
2  民事調停委員は、非常勤とし、その任免に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。
2  調停委員会は、相当であると認めるときは、調停の結果について利害関係を有する者を調停手続に参加させることができる。
(調停の成立・効力)
第十六条  調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
(調停に代わる決定)
第十七条  裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。
(異議の申立)
第十八条  前条の決定に対しては、当事者又は利害関係人は、異議の申立をすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から二週間とする。
2  前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の決定は、その効力を失う。
3  第一項の期間内に異議の申立がないときは、同項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
(調停不成立等の場合の訴の提起)
第十九条  第十四条(第十五条において準用する場合を含む。)の規定により事件が終了し、又は前条第二項の規定により決定が効力を失つた場合において、申立人がその旨の通知を受けた日から二週間以内に調停の目的となつた請求について訴を提起したときは、調停の申立の時に、その訴の提起があつたものとみなす。
(受訴裁判所の調停)
第二十条  受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又はみずから処理することができる。但し、事件について争点及び証拠の整理が完了した後において、当事者の合意がない場合には、この限りでない。
2  前項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し又は第十七条の決定が確定したときは、訴の取下があつたものとみなす。
3  第一項の規定により受訴裁判所がみずから調停により事件を処理する場合には、調停主任は、第七条第一項の規定にかかわらず、受訴裁判所がその裁判官の中から指定する。
(即時抗告)
第二十一条  調停手続における決定に対しては、最高裁判所規則で定めるところにより、即時抗告をすることができる。その期間は、二週間とする。
(非訟事件手続法 の準用)
第二十二条  特別の定がある場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第一編 の規定を準用する。但し、同法第十五条 の規定は、この限りでない。
(この法律に定のない事項)
第二十三条  この法律に定めるものの外、調停に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。
    第二節 民事調停官
(民事調停官の任命等)
第二十三条の二  民事調停官は、弁護士で五年以上その職に在つたもののうちから、最高裁判所が任命する。
2  民事調停官は、この法律の定めるところにより、調停事件の処理に必要な職務を行う。
3  民事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。
4  民事調停官は、非常勤とする。
5  民事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。
一  弁護士法 (昭和二十四年法律第二百五号)第七条 各号のいずれかに該当するに至つたとき。
二  心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。
三  職務上の義務違反その他民事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。
6  この法律に定めるもののほか、民事調停官の任免に関して必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
(民事調停官の権限等)
第二十三条の三  民事調停官は、裁判所の指定を受けて、調停事件を取り扱う。
2  民事調停官は、その取り扱う調停事件の処理について、この法律の規定(第二十二条において準用する非訟事件手続法 の規定を含む。)及び特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 (平成十一年法律第百五十八号)の規定において裁判官が行うものとして規定されている民事調停及び特定調停に関する権限(調停主任に係るものを含む。)のほか、次に掲げる権限を行うことができる。
一  第四条、第五条第一項ただし書、第七条第二項、第八条第一項、第十七条、第三十条(第三十三条において準用する場合を含む。)において準用する第二十八条、第三十四条及び第三十五条の規定において裁判所が行うものとして規定されている民事調停に関する権限
二  第二十二条において準用する非訟事件手続法 の規定(同法第五条 の規定を除く。)において裁判所が行うものとして規定されている権限であつて民事調停に関するもの
三  特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 の規定において裁判所が行うものとして規定されている特定調停に関する権限
3  民事調停官は、独立してその職権を行う。
4  民事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。この場合において、裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項 の規定は、民事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。
(民事調停官に対する手当等)
第二十三条の四  民事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
   第二章 特則
    第一節 宅地建物調停
(宅地建物調停事件・管轄)
第二十四条  宅地又は建物の貸借その他の利用関係の紛争に関する調停事件は、紛争の目的である宅地若しくは建物の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定めるその所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。
(地代借賃増減請求事件の調停の前置)
第二十四条の二  借地借家法 (平成三年法律第九十号)第十一条 の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第三十二条 の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。
2  前項の事件について調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。
(地代借賃増減調停事件について調停委員会が定める調停条項)
第二十四条の三  前条第一項の請求に係る調停事件については、調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において、当事者間に調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意(当該調停事件に係る調停の申立ての後にされたものに限る。)があるときは、申立てにより、事件の解決のために適当な調停条項を定めることができる。
2  前項の調停条項を調書に記載したときは、調停が成立したものとみなし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

下水道法
(この法律の目的)
第一条  この法律は、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もつて都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とする。

(排水に関する受忍義務等)
第十一条  前条第一項の規定により排水設備を設置しなければならない者は、他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、又は他人の設置した排水設備を使用することができる。この場合においては、他人の土地又は排水設備にとつて最も損害の少い場所又は箇所及び方法を選ばなければならない。
2  前項の規定により他人の排水設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
3  第一項の規定により他人の土地に排水設備を設置することができる者又は前条第二項の規定により当該排水設備の維持をしなければならない者は、当該排水設備の設置、改築若しくは修繕又は維持をするためやむを得ない必要があるときは、他人の土地を使用することができる。この場合においては、あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
4  前項の規定により他人の土地を使用した者は、当該使用により他人に損失を与えた場合においては、その者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(使用の開始等の届出)


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