新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1755、2017/05/12 12:23 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

【刑事、漁業法違反、窃盗罪との関係、弁護活動の方法】

漁業法違反起訴前弁護


質問: 現在,私は、海岸で岩カキを取ってしまい漁業法違反の罪に問われ,海上保安庁から呼び出しを受けています。確かに看板で取ってはいけないという禁止の表示はありましたが,ここまで大事になるとは思っておりませんでした。できれば,前科は付けたくないと思っております。今後,私はどのようにしたらよいでしょうか。




回答:

1 一定の海域について,漁業協同組合が漁業を排他的に行うことができる権利(漁業権)を侵害した場合には,漁業法違反となります。今回の行為も,無断で養殖・漁業の対象となり得る貝類を取ってしまったということで,漁業法違反が成立するでしょう。当該犯罪は告訴がなければ処罰されない犯罪類型ですが,各地漁業組合では漁業従事者の生活権に関わる重大事案と捉えて一律に刑事告訴をする扱いになっていることが多いようです。
  漁業法は,一定の海域の海産資源を保護するという社会的法益に関する罪でもありますので,何もしなければ罰金刑(20万円が上限)となる可能性が高いと言えます。刑罰に付随する処分(医師資格等の行政上の資格制限,職場の懲戒処分)も考えられるところです。

2 具体的な活動としては,漁業協同組合と示談交渉を行い,告訴を取消してもらうことが必要となります。漁業権は,海産資源に関して独占することのできる財産的価値を有する権利ですので,その点に伴い生じた被害(海産資源相当額,捜査機関への捜査協力に伴う休業損害,迷惑料等)を弁償する必要があります。告訴を取消してもらえた場合には,検察庁に告訴取消書を提出することによって漁業法違反の罪については必ず不起訴処分となります。
  ただ,漁業組合としてもこのような密漁行為に対しては厳格な姿勢で臨んでいることも多く,示談交渉については細心の注意が必要であり,また専門的経験も必要となります。基本的には通常の示談方法と異なるところはなく、誠心誠意お詫び申し上げる気持ちが重要で相手方の対応に応じて示談金を受け取っていただけるような状況づくりが求められます。重罪ではありませんので方法論さえ間違わなければ告訴取消は可能でしょう。どうしてもお困りの場合には,お近くの弁護士への相談をお薦め致します。

3 その他,漁業法に関する事例集としては1724番1411番1266番等を参照してください。


解説:

第1 漁業法違反について

 1 漁業権とは・その性質

(1)現在,あなたは漁業法違反の被疑事実により刑事処罰の対象となっているということです。まずは,漁業法の概略,漁業権の内容について説明していきます。

  漁業法とは,漁業生産に関する基本制度を定めることによって,漁業者(漁業を営む者),その他漁業調整機構が,水面を総合的に利用し,漁業生産力を発展させることを目的とするとされています(漁業法1条)。すなわち,漁業を営む者を一定程度制限する(行政による監督化に置く)ことによって,適正な海産資源の保護・発展を目的とするところに法律の制度趣旨があると言えます。
  すなわち,漁業法の目的としては,その海域周辺の海産資源の保護という社会的な法益保護をもその目的としているといえます。

(2)一方で,漁業法を営む者については,「漁業権」という権利を与えることによって,その保護も図っています。漁業権とは,「置漁業権、区画漁業権及び共同漁業権」を意味するものとされ(漁業法2条),それぞれ定置網漁,区画漁業(養殖業),共同漁業(定着性の水産動物を目的とする漁業,網漁具を利用する漁業)といった内容を有するとされています(漁業法6条各号参照)。漁業権は,通常,各地方の漁業協同組合が都道府県知事から許可を受けることによって与えられます(漁業法10条)。その上で,個別の漁業については,漁業を営む権利を有する者がこれを行使することとなります。

  こういった漁業を営む権利については,次の者が有するとされています。
 
漁業法8条1項
「漁業協同組合の組合員(漁業者又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該漁業協同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会がその有する各特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権ごとに制定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則で規定する資格に該当する者は、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有する当該特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。」

  すなわち,漁業権行使に関する規則に規定する資格を有し,かつ漁業協同組合の組合員(漁業者のみ)でなければ,漁業を営む権利を行使することはできません。

 (3)漁業権は,あくまで都道府県(行政)から許可を受けて漁業を営むという行政上の権利ですが,上記のとおり,漁業権の指定を受けた漁業協同組合(その組合員)は,その海域の漁業を排他的に独占する権利を有しており,組合の個別的な財産権と評価することができます。

  漁業権は,「漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。」(漁業法23条1項)とされているのはこの裏付けであり,海面上について私法上の財産権に準じた権利を有しているということになります。

 (4)このように,漁業上は,指定された海域付近の漁業資源の確保という社会的な法益を保護する法律であるとともに,各漁業権者(漁業協同組合)が有する個別の漁業権・財産権といった個別的法益を保護する法律であると評価することができます。この点は,後述の漁業組合との示談交渉の解釈において意味を有することとなります。

 2 漁業法違反

 (1)次に,本件で成立する犯罪についてみていきます。

   あなたは,とある漁業組合が管理する海域において岩ガキを無断で取ってしまったということです。

   上記のように,一定の水面を漁業組合権者・組合員が共同で利用して,貝類などの定着性の水産動物を目的とする漁業(養殖業)については,漁業を営む権利として法的保護の対象となるものであり,漁業の対象となり得るカキ(貝類)を無断で取ってしまうことは,漁業権者の「漁業を営む権利」を侵害したものとして,20万円以下の罰金刑に処せられる可能性があります(漁業法143条)。

   一方で,本条違反の犯罪は,いわゆる親告罪と言って告訴がない限り処罰されない犯罪類型になります。ただ,漁業組合としても本件のような密漁にも該当するような行為については厳格な態度で臨んでいることが多く,一律に告訴を行う方針であることも多いといえるでしょう。

   なお,漁業の対象となる海産動物を捕獲するという行為は漁業法違反の他に,漁業組合に対する窃盗罪が成立する場合も考えられます。養殖施設にいる魚など漁業組合に所有権があり,占有管理している海産動物を採取することは、漁業組合等の海産動物に対する所有権、占有権を侵害することになり窃盗罪(刑法235条)に該当し,10年以下の懲役か50万円以下の罰金という重い処罰が下されることとなります。漁業組合等が所有権、占有権を有しない漁業の対象となる海産動物については窃盗罪が成立しませんので、漁業権の侵害として漁業法違反の犯罪が成立します。漁業権はあくまで行政から許可を得て漁業を営む権利であり,当該海産物に対する直接の支配権(所有権)を有するわけではありませんから、今回の場合も窃盗罪には該当しないことになります。実際の運用も,漁業法違反のみの告訴,刑事処罰の対象とされるのが通常です。

※参考文書、全国漁業組合連合会パンフレット「海のルールとマナー教本」
https://www.zengyoren.or.jp/cmsupload/press/65/20120518uminoru-rutomana-dokuhon.pdf

 (2)そして,現在あなたは漁業法違反の被疑者として,海上保安庁に呼び出しを受けているとのことです(海上保安庁職員も,刑事訴訟法の特別司法警察職員として捜査権限を有します)。今後は在宅事件として所定の取調べを受け,検察庁に事件が送致され,検察官が最終的な刑事処分を決めることとなります。

   上記のとおり,漁業法違反は,一定の海域の海産資源の確保という社会的な法益を保護する社会的法益に反する罪という側面があります。このような社会的法益に関する犯罪については不起訴処分にはなりにくい類型であり,何もしなければ罰金刑に処せられる可能性が高いと言えるでしょう。

   罰金刑を科された場合には,法律上の前科が付いてしまう他,一定の資格制限(医師など),職場に発覚してしまった場合には懲戒処分の対象ともなってしまう可能性があります。

第2 具体的な弁護活動について

 1 示談交渉の必要性

 (1)次に,漁業法違反の場合の具体的な弁護活動についてみていきます。

   上述のとおり,漁業法違反は親告罪(器物損壊罪のように犯罪自体が軽微であるとの理由。)ですので,告訴がなければ処罰することができない犯罪類型となります。そして,告訴は起訴されるまでは取り消すことができますので(刑事訴訟法237条),示談交渉により告訴を取消してもらえるか否かが重要となります。告訴が取り消されれば,不起訴処分になります。

   示談交渉の相手方は,告訴権者でありこの場合は漁業権を有する者になりますが,通常は,その海域について漁業権を有するのは各漁業協同組合となります。

   上述のとおり漁業法は当該地方の海産資源の確保を目的とする社会的法益に関する罪でもありますが,個別の漁業権・財産権をも保護することを目的とする犯罪類型ですから,漁業権者として受けた損害については賠償の上,示談交渉に臨む必要があります。

   漁業権はあくまで行政から許可を受けて漁業を営む権利であり行政上の権利に過ぎず,示談交渉の相手方にならないのではないかとの疑問も生じ得るところです。しかし,上記のとおり,漁業権とは私法上の財産権(物権)とみなすことができますので,海産資源を害された場合には財産的損害が生じたとして,損害賠償(金銭賠償・被害弁償)の対象となり得ます。実際に漁業組合自身が告訴権者ともなっておりますので,示談交渉の際には適切な被害弁償の上,告訴を取り下げてもらうように交渉を行う必要があるでしょう。

(2)漁業組合として受けた損害としては,具体的な海産動物の財産的な価値に加え,海上保安庁に対して告訴の手続きを行った場合にはその分の休業損害があります。刑事事件における良い情状としては金銭的な負担をある程度行ったという事実も重要ですので,一定程度の迷惑料も上乗せして支払う必要があるでしょう。また,本人の謝罪の意思を伝えるため,謝罪文を交付することも有効といえます。

   示談金額については,個別の具体的事情(被害にあった海産動物の価額,被害感情の強さ)を総合的に考慮して決定することとなりますが,具体的な指標といったものはありません。ただ,取得した海産動物の価額が極めて大きい(数十,百万円単位)ということでなければ,本来処罰を受ける際の罰金額を被害者である漁業協同組合に交付するという結論が相当ともいえます。したがって,罰金額相当(漁業法違反では法定刑は20万円)の金額に多少の謝罪金を上乗せした支払条件を提示することが了解を得られやすいでしょう。

   ただ,漁業組合としても,このような犯罪類型は多数発生しているところであり,海産資源を害した者に対しては厳罰を持って臨むということで,基本的には示談交渉に応じない姿勢を示す組合も多いでしょう。具体的な弁護活動については,専門的な経験を有する弁護士への相談をお勧めします。

 2 供託・贖罪寄付

   仮に示談が成立しないような場合には,告訴の取消しもなされませんので,社会的法益を害した犯罪類型として,罰金刑の可能性が高まります。ただ,示談金を受け取らない場合であっても,法務局に同額の金銭を供託することによっていつでも被害弁償金を受け取れる地位を取得することになり良い情状と評価される場合があります。

   また,本件のような社会的法益に関する犯罪類型に対しては,社会に対する贖罪の意思を示すために,一定の金額を贖罪寄付することも有効といえます。

   供託金額については,上記の1の示談交渉の際に提示した金額がベースになります。贖罪寄付の金額については,やはり明確な指標といったものはありません。ただ,贖罪寄付は自己の経済的負担をもって,社会に対して贖罪をするという意味合いもあり,本人の資力からしても十分な金額をもって行う必要があるでしょう。ここでも,社会的制裁としての漁業法違反における刑罰(20万円)に相当する金額が一定の参考になるといえます。当該金額に,本人の資力の程度,謝罪の意思の強さを考慮して,貴額を増減させることになります。

   贖罪寄付の対象については,様々な機関があります。もっとも有用なのは,当該漁業組合が口座を開示した場合には,その口座に一定の金銭を寄付金として振り込むことになります。直接の被害者である漁業組合への寄付金の交付はもっとも有利な情状となり得ます。漁業組合がこれを拒否したような場合には,日本弁護士連合会,全国の単位弁護士会(東京弁護士会など)が贖罪寄付を受け付けているので,そちらに寄付を行うとよいでしょう。贖罪寄付希望の旨の連絡を行うと,申込書等必要書類を頂けるので,当該申込書を提出し,一定の金額を振り込むと贖罪寄付証明書,領収書の発行を受けることができます。

   これらの資料を有利な情状資料として担当検察官に提出することとなります。

 3 検察官との交渉(弁護活動)

   上記の漁業組合との交渉の他に,検察官に対して不起訴処分となるように意見書を提出し,交渉を行うことが重要といえます。特に本人からでは主張しづらい謝罪・反省の意思,示談に関する状況については,弁護人から主張してもらうことが望ましいと言えるでしょう。

<参照条文>
漁業法

(この法律の目的)
第一条  この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し、もつて漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。
2  この法律において「漁業者」とは、漁業を営む者をいい、「漁業従事者」とは、漁業者のために水産動植物の採捕又は養殖に従事する者をいう。
3  この法律において「動力漁船」とは、推進機関を備える船舶であつて次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一  専ら漁業に従事する船舶
二  漁業に従事する船舶であつて漁獲物の保蔵又は製造の設備を有するもの
三  専ら漁場から漁獲物又はその製品を運搬する船舶
四  専ら漁業に関する試験、調査、指導若しくは練習に従事する船舶又は漁業の取締りに従事する船舶であつて漁ろう設備を有するもの

(漁業権の定義)
第六条  この法律において「漁業権」とは、定置漁業権、区画漁業権及び共同漁業権をいう。
2  「定置漁業権」とは、定置漁業を営む権利をいい、「区画漁業権」とは、区画漁業を営む権利をいい、「共同漁業権」とは、共同漁業を営む権利をいう。
3  「定置漁業」とは、漁具を定置して営む漁業であつて次に掲げるものをいう。
一  身網の設置される場所の最深部が最高潮時において水深二十七メートル(沖縄県にあつては、十五メートル)以上であるもの(瀬戸内海(第百十条第二項に規定する瀬戸内海をいう。)におけるます網漁業並びに陸奥湾(青森県焼山崎から同県明神崎燈台に至る直線及び陸岸によつて囲まれた海面をいう。)における落とし網漁業及びます網漁業を除く。)
二  北海道においてさけを主たる漁獲物とするもの
4  「区画漁業」とは、次に掲げる漁業をいう。
一  第一種区画漁業 一定の区域内において石、かわら、竹、木等を敷設して営む養殖業
二  第二種区画漁業 土、石、竹、木等によつて囲まれた一定の区域内において営む養殖業
三  第三種区画漁業 一定の区域内において営む養殖業であつて前二号に掲げるもの以外のもの
5  「共同漁業」とは、次に掲げる漁業であつて一定の水面を共同に利用して営むものをいう。
一  第一種共同漁業 藻類、貝類又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業
二  第二種共同漁業 網漁具(えりやな類を含む。)を移動しないように敷設して営む漁業であつて定置漁業及び第五号に掲げるもの以外のもの
三  第三種共同漁業 地びき網漁業、地こぎ網漁業、船びき網漁業(動力漁船を使用するものを除く。)、飼付漁業又はつきいそ漁業(第一号に掲げるものを除く。)であつて、第五号に掲げるもの以外のもの
四  第四種共同漁業 寄魚漁業又は鳥付こぎ釣漁業であつて、次号に掲げるもの以外のもの
五  第五種共同漁業 内水面(農林水産大臣の指定する湖沼を除く。)又は農林水産大臣の指定する湖沼に準ずる海面において営む漁業であつて第一号に掲げるもの以外のもの

(組合員の漁業を営む権利)
第八条  漁業協同組合の組合員(漁業者又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該漁業協同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会がその有する各特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権ごとに制定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則で規定する資格に該当する者は、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有する当該特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。
2  前項の漁業権行使規則又は入漁権行使規則(以下単に「漁業権行使規則」又は「入漁権行使規則」という。)には、同項の規定による漁業を営む権利を有する者の資格に関する事項のほか、当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項を規定するものとする。
3  漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、その有する特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法 (昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会及び総代会を含む。)の議決前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下同じ。)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第十四条第六項の規定により適格性を有するものとして設定を受けた特定区画漁業権及び第一種共同漁業を内容とする共同漁業権については、当該漁業権に係る漁場の区域が内水面(第八十四条第一項の規定により農林水産大臣が指定する湖沼を除く。第二十一条第一項を除き、以下同じ。)以外の水面である場合にあつては沿岸漁業(総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業及び内水面における漁業を除いた漁業をいう。以下同じ。)を営む者、河川以外の内水面である場合にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川である場合にあつては当該河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者)であつて、当該漁業権に係る第十一条に規定する地元地区(共同漁業権については、同条に規定する関係地区)の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。
4  前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項 (同法第八十九条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の二第四項 に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。この場合において、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。
5  前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の二第五項 の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。
6  漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
7  第三項から第五項までの規定は特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止について、前項の規定は漁業権行使規則又は入漁権行使規則の変更又は廃止について準用する。この場合において、第三項中「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と読み替えるものとする。

(漁業の免許)
第十条  漁業権の設定を受けようとする者は、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。

(漁業権の性質)
第二十三条  漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。
2  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第二編第九章 (質権)の規定は定置漁業権及び区画漁業権(特定区画漁業権であつて漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有するものを除く。次条、第二十六条及び第二十七条において同じ。)に、第八章から第十章まで(先取特権、質権及び抵当権)の規定は特定区画漁業権であつて漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有するもの及び共同漁業権に、いずれも適用しない。

第百四十三条  漁業権又は漁業協同組合の組合員の漁業を営む権利を侵害した者は、二十万円以下の罰金に処する。
2  前項の罪は告訴がなければ公訴を提起することができない。

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