新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1673、2016/02/22 11:12 https://www.shinginza.com/qa-hanzai-hosyaku.htm

【刑事、勾留取消請求、勾留の裁判に対する準抗告、検察官の判断による釈放、保釈

検察官による自発的身柄釈放

質問:
35歳の息子が、強要罪で逮捕され、勾留されて5日たちます。昨日、被害者と示談したのですが、依頼している弁護士の話では、示談は成立したものの、10日間の勾留満期まで身柄の解放は難しいだろう、とのことでした。示談が成立しているのに、釈放はそこまで難しいものなのでしょうか。
弁護士の説明では、息子は元交際相手の女性と偶々会って食事した後、帰り道の路上で、要求に応じなければ、過去の性行為時の写真データをインターネット上にばらまく旨を告げて、性交渉を迫った、ということです。



回答:
1. 勾留からの早期身柄の解放の方法としては、(1)勾留取消請求(刑事訴訟法207条1項、87条1項)、(2)勾留の裁判に対する準抗告の申立て(刑事訴訟法429条1項2号)という方法が刑事訴訟法に規定されています。
2 しかし、勾留決定後の示談の成立により、勾留取消、あるいは準抗告が認められるかというと、その可能性は低いと言えます。
そこで、法律の規定はありませんが、検察官による勾留満期前の釈放を促す、という方法が有効と言えます。そのためには、認められないとしても、勾留の取消や準抗告の申し立てを事前、あるいは並行して行うことになります。

3. 勾留取消請求や準抗告によって身柄解放を実現するためには、裁判官ないし裁判所に勾留の要件(多くの場合、@罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれの有無、A勾留の必要性の有無の2点が重要な判断要素となります。)が欠けていると認めてもらう必要があります。しかし、法定刑に罰金の定めがない犯罪の場合、類型的に、重罰を恐れて罪証隠滅や逃亡を図る動機が大きいと判断される傾向にあること、起訴・不起訴の判断の当否について介入できる立場にない裁判所が、示談によって不起訴処分の見込みが高まったという事情をそこまで重視するとは考え難いこと、元交際相手という関係上、釈放後に被害者と接触して懇願や威迫等によって供述を変遷させる等の行動に出る可能性が合理的に疑われ得る状況にあること等からすると、示談成立という新事情を踏まえても、裁判官ないし裁判所が勾留の要件を欠いていると判断してくれる可能性は、残念ながら高くはないのではないか、というのが率直な感覚です。

4. しかし、仮に勾留取消請求や準抗告による身柄解放の見込みが薄いと思われても、検察官が任意で被疑者を釈放できる立場にある以上、身柄の早期釈放に向けて検察官との交渉を尽くすべきですし、身柄拘束の長期化に対する牽制となり得るようであれば、躊躇うことなく勾留取消請求や準抗告の申立てを行うべきでしょう。

5. 検察官は、独自に勾留の当否を判断し、釈放が相当と考えた場合、勾留期間中であっても、裁判官や裁判所の判断に拘束されることなく、自らの判断で被疑者を釈放することができる立場にあります。あなたの場合、被害者との示談成立によって、これまでの捜査の進捗状況によっては、検察官が、さらに捜査を尽くすことなく不起訴の判断ができる状態になっている可能性が考えられます。かかる糸口から、検察官に既に勾留の必要性が欠けていると思ってもらえるよう交渉することによって任意の釈放を実現できる可能性も十分あり得るように思われます。具体的な書類としては、示談書の他に、被害者の釈放を求める上申書、親族、弁護士の法遵守の誓約書等が考えられます。早期釈放のための手段と見込みについて、今一度弁護人とよく協議して、尽くせる手段は十分尽くしてもらえるよう要請してみることをお勧めいたします。

解説:

1.(強要罪とは)

はじめに、被疑罪名について確認しておきましょう。

 今回問題となっている強要罪とは、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した」場合に成立する犯罪です(刑法223条1項)。あなたが本件の被害者である元交際相手に対して、過去の性行為時の写真データをインターネット上にばらまく旨を告げて、性交渉を迫った行為は、要求に応じなければ被害者の「名誉・・・に対し害を加える旨を告知して脅迫し」、あなたと性交渉を行うという「義務のないことを行わせ」ようとしたものといえ、結果としてその目的を遂げていないことから、同罪の未遂罪が成立していることになります(刑法223条3項)。

 本罪の法定刑は、3年以下の懲役とされており、意外に思うかもしれませんが、法定刑に罰金刑の定めがない、比較的重い犯罪類型といえます。本件は未遂犯の事案ではありますが、自己の意思により犯罪を中止したような場合でない限り、その刑は任意的に減軽され得るにとどまります(刑法43条)。

2.(刑事手続の状況)

(1)身柄関係

 刑事事件の被疑者が逮捕された場合、逮捕から48時間以内に送検の手続きがとられた上(刑事訴訟法203条1項)、検察官による勾留請求が認められると、裁判官によって10日間の勾留(逮捕に引き続き行われる比較的長期の身柄拘束処分)が決定され、余罪を含めた捜査をさらに尽くす必要性が高い等の事情により検察官の勾留延長請求が認められた場合、更に10日間、勾留期間が延長される(逮捕と合わせて最長23日間)ことになります(刑事訴訟法208条1項・2項)。あなたは、現在、逮捕に引き続き勾留されているとのことですが、このことは、検察官による勾留請求を受けた裁判官が、あなたが法律上定められている勾留の要件を充足していることを裁判によって認めた、ということを意味しています。

 被疑罪名となっている強要未遂罪が罰金刑の定めがない比較的重い犯罪類型であること、元交際相手という被害者との関係や脅迫を手段とする犯行であるという事案の性質上、威迫や懇願等による罪証隠滅が疑われやすいこと等からすると、本件は勾留の要件である逃亡のおそれ(刑事訴訟法207条1項、60条1項3号)や特に罪証隠滅のおそれ(刑事訴訟法207条1項、60条1項2号)、勾留の必要性(207条1項、87条1項)が優に認められるものと言わざるを得ず、あなたに対する勾留を認めた裁判は正当な判断であったと考えられます。

 現在の勾留に引き続き、勾留延長請求が行われるか否かについては、被疑事実に争いがなく、余罪(例えば、過去の性行為時に撮影した写真データを用いた名誉毀損(刑法230条1項)や私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)違反等)がある等の特別な事情がないようであれば、勾留延長まではされない可能性が高いと思われます。

(2)刑事処分の見通し

 前述のとおり、強要未遂罪は法定刑に罰金刑の定めがない比較的重めの犯罪類型ではありますが、本罪は個人の意思決定ないし意思実現の自由という個人的法益に対する犯罪であるため、かかる法益の主体である被害者との間で示談が成立し、被害者の宥恕(刑事処罰を求めない意思表示)を得ることができていれば、執行猶予中の犯行である等の特別な事情がない限り、通常は不起訴処分となる可能性が高いものと考えて差し支えないでしょう。未遂罪であることから強要罪の同種事案と比較して犯情が悪質であるとはいえず、被害者とも示談が成立しているにもかかわらず、正式起訴するというのは、検察官による終局処分の判断としては明らかに不相当であると思われます(刑事訴訟法248条参照)。

 あなたの場合、既に被害者との示談が成立しているとのことですから、上記のような特別な事情がないようであれば、刑事処分としては不起訴処分を獲得できる見込みが高いといえるでしょう。

3.(勾留期間満了前の身柄解放を実現するための手続き)

 もっとも、不起訴処分が見込まれるからといって、それが身柄解放に直結するわけではありません。あなたは10日間の勾留を認める裁判によって身柄拘束されているわけですから、釈放されるためには法律上定められた所定の手続きを経る必要があります。勾留満期前の身柄解放を実現する手段としては、以下の3つが挙げられます。

(1)検察官の判断による釈放

 検察官は勾留期間満了前であっても、勾留の要件がなくなったと考えるときは、自らの判断で被疑者を釈放することができます。刑事訴訟法上、このことを直接的に規定した条文はありませんが、「勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」旨定める刑事訴訟法208条1項の文言から当然のことと解されています。実際には、弁護人に検察官と交渉してもらい、任意での釈放を要請してもらうことになります。

(2)勾留取消請求

 勾留の要件が事後的に欠けた場合、裁判官に対して勾留の取消請求をすることができ、裁判官によって勾留の要件を満たさないと判断された場合、決定によって勾留が取り消されることになります(刑事訴訟法207条1項、87条1項)。実際上は、弁護人において手続きを行う必要があります。

(3)勾留の裁判に対する準抗告

 勾留の裁判に対する不服申立の手続きとして、法は準抗告の申立てを規定しています(刑事訴訟法429条1項2号)。準抗告の申立てがなされると、裁判所(3名の裁判官による合議制)によって勾留の要件の有無が審査され(刑事訴訟法429条1項、3項)、勾留の要件が欠けていると判断された場合、勾留の裁判が取り消され、検察官の勾留請求が却下される結果、身柄が解放されることになります(刑事訴訟法432条、426条2項)。準抗告は、本来、勾留を認めた裁判に誤りがあったかどうかを問う事後審的な手続きではありますが、実際には原裁判後に生じた事情を斟酌して勾留の是非が判断されるため、この点では勾留取消請求との差異はないといえるでしょう。やはり勾留取消請求と同様、弁護人の協力なしに申立てすることは実際には困難でしょう。

4.(示談の成立が勾留判断に影響するか)

 あなたが勾留取消請求または勾留の裁判に対する準抗告を行った場合、被害者との示談が成立した現状を踏まえて、裁判官または裁判所によって、勾留の要件を満たしているか否かが改めて判断されることになります。前述のとおり、勾留が認められるためには、(1)被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること(刑事訴訟法207条1項、60条1項柱書)、(2)被疑者に住所不定、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由、逃亡すると疑うに足りる相当な理由のいずれかの事情があること(これらを合わせて、勾留の理由といいます。刑事訴訟法207条1項、60条1項各号)、(3)諸般の事情に照らして勾留の必要性があること(刑事訴訟法207条1項、87条1項)の3つの要件を充足する必要があるとされています。多くの場合、@罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれの有無、A勾留の必要性の有無の2点が重要な判断要素となります。

 これらが示談の成立という新事情によって既に欠けているといえるかどうかですが、結論としては、司法判断によって身柄解放してもらえる見込みは依然厳しいものと考えられます。

 まず、筆者の経験上、法定刑に罰金刑の定めがある犯罪類型か否かで、勾留判断の厳しさに大きな差異があるように思います。仮に検察官が終局処分として起訴を選択した場合、罰金刑の定めがある犯罪では略式起訴といって、公開の法廷で審理を行う通常の裁判手続とは異なり、簡易裁判所が軽微な事件について、公判を開かずに書面審理だけで、100万円以下の罰金を科す(これを「略式命令」といいます。)手続きを選択することが可能です(刑事訴訟法461条以下)。他方、法定刑に罰金刑の定めがない犯罪類型の場合、起訴されると公開の法廷での正式裁判となり、有罪の場合、懲役刑が科されることになります。このように、起訴された場合の不利益の程度が大きく異なるため、罪証隠滅や逃亡を図る動機付けの点で、罰金刑の定めがない犯罪の場合、類型的に、勾留の理由と必要性が高いと判断されている節があります。

 示談の成立によって、現実的には不起訴処分がほぼ確実視される状況になったとしても、起訴・不起訴の判断主体はあくまで検察官であり(刑事訴訟法247条、248条)、裁判所が起訴・不起訴の判断の当否について介入できる立場にないことからすると、不起訴処分の見込みが高まったという事情が勾留判断の際にそこまで重視されるとも思えません。

 元交際相手という関係上、釈放後に被害者と接触して懇願や威迫等によって供述を変遷させる等の行動に出ることは、客観的には比較的容易であると考えられ、まして、被害者に対する脅迫を内容とする事案であることからすると、再度同じように脅迫等の行動に出るのではないかという疑念が出てくるのはむしろ合理的であるともいえます。

 これらからすれば、示談の成立や被害者に対して接触しない旨の誓約といった事後的な対応によって、勾留の理由及び必要性がなくなった、とまで判断してもらうことはかなり困難なのではないか、というのが筆者の率直な感覚です。あなたの弁護人によれば、示談が成立した現状を踏まえても勾留満期前の釈放は難しいとのことですが、弁護人も上記のような考えに基づき、勾留取消請求や準抗告による身柄解放は期待できないと考えているのではないかと思われます。

5.(釈放に向けた検察官との交渉の必要性)

 しかし、仮に勾留取消請求や準抗告による身柄解放の見込みが薄いと思われても、検察官が任意で被疑者を釈放できる立場にある以上、身柄の早期釈放に向けて検察官との交渉を尽くすべきですし、交渉の過程で身柄拘束の長期化に対する牽制となり得ると感じたのであれば、躊躇うことなく勾留取消請求や準抗告の申立てを行うべきでしょう。

 前述のとおり、検察官は、独自に勾留の当否を判断し、釈放が相当と考えた場合、勾留期間中であっても自らの判断で被疑者を釈放することができる立場にあります。かかる勾留の当否の判断は裁判官や裁判所の判断に拘束されるものではありません。すなわち、仮に勾留の裁判に対する準抗告が棄却されたとしても、検察官は独自の判断で釈放相当と考えれば、釈放することができるのです。その意味で、検察官による任意の釈放を促す交渉によって、勾留取消請求や準抗告によっては釈放が困難な事案においても釈放を実現できる可能性がある、ということがいえます。

 ここで、公平な第三者的立場から勾留判断を行う裁判所と異なり、検察官は被疑者を追及する立場であることから、裁判所が釈放を認めないような事案で検察官による任意の釈放が期待できるような場合など、実際にはあり得ないのではないか、という疑問を持たれるかもしれません。確かに、検察官が勾留相当と考えて勾留請求したにもかかわらず裁判官が勾留請求却下の判断をしたり、検察官の請求通りに勾留を認めた裁判が弁護人の準抗告によって取り消される、といったケースはよく目にするところであり、検察官は、その立場上、裁判所よりも厳しめの勾留判断をするものだ、という印象を持たれている方も多いかもしれません。

 しかし、検察官は、裁判所とは異なり、自ら捜査を指揮し(刑事訴訟法193条)、自ら終局処分を決定する立場にあるのであり、捜査の進捗度に応じた身柄拘束の必要性について最も確実な判断ができる地位にあります。例えば、裁判所が検察官による起訴・不起訴の判断のために更なる捜査の余地があると考えていても、検察官は起訴・不起訴の判断のための捜査は既に十分であり、これ以上被疑者の身柄拘束を継続する必要性がないと考えている、といった状況は実際には十分あり得ることです。

 あなたの場合、被害者との示談が成立したことによって、これまでの捜査の進捗状況によっては、検察官が、さらに捜査を尽くすことなく不起訴の判断ができる状態になっている可能性が考えられます。かかる糸口から、検察官に既に勾留の必要性が欠けていると思ってもらえるよう交渉することによって任意の釈放を実現できる可能性も十分あり得るように思われます。

 早期釈放のための手段と見込みについて、今一度弁護人とよく協議して、尽くせる手段は十分尽くしてもらえるよう要請してみることをお勧めいたします。

 最後に、次のような実務上の運用が想定できますので、御紹介したいと思います。示談の成立を受けて勾留の裁判に対する準抗告を行い、棄却されたものの、その後、検察官による勾留満期前の任意での釈放を実現できたケースです。判断の参考にして頂ければと思います。

(1)公務員である被疑者が、被害者である親族の居宅において、同人に対して顔面を手拳で数十回殴打するなどの暴行を加え、眼球破裂、肋骨骨折等の重傷を負わせた傷害(刑法204条)の事案において、被害者との示談成立の後、準抗告の申立てを行った。裁判所の判断は「本件に至るまでの被疑者と被害者の関係、被害者の心身の状態、本件犯行が発覚した経緯に加え、事案の重大性、被疑者の身上関係を併せ考慮すると、被疑者を釈放すれば、犯行状況や犯行の動機・経緯等の罪体及び重要な情状事実について、関係者と通謀するなどして罪証を隠滅すると疑うに足りる相当なる理由があると認められる。以上によれば、弁護人が指摘する事情を踏まえても、勾留の必要性も認められる。」として、棄却の決定がなされたが、その後、検察官の判断で釈放の指揮がとられた。

(2)会社員である被疑者が、被害者である元交際相手の女性に対し、性行為時に撮影した動画データ等を所持していることを利用して、要求に応じなければ同人の名誉にいかなる危害を加えるかもしれない旨を告知して脅迫し、ホテルに同泊させるなど義務のないことを行わせようとしたが、その目的を遂げなかった強要未遂(刑法223条3項、1項)の事案において、被害者との示談成立の後、準抗告の申立てを行った。裁判所の判断は「本件事案の性質及び内容、本件に至る経緯、被疑者と被害者との関係等に照らせば、罪体及び本件に至る経緯や動機など重要な情状事実について罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認められ、生活状況等もあわせて考慮すると、逃亡すると疑うに足りる相当な理由も否定できない。このような本件事案の性質等に照らすと、勾留の理由や必要性があるとして勾留を認めた原裁判の判断に誤りはないし、弁護人が主張する示談等の事情を考慮しても、勾留の理由や必要性がないとは言えない」として、棄却の決定がなされたが、その後、検察官の判断で釈放の指揮がとられた。


≪参照条文≫
刑法
(未遂減免)
第四十三条  犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
(傷害)
第二百四条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(強要)
第二百二十三条  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3  前二項の罪の未遂は、罰する。
(名誉毀損)
第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

刑事訴訟法
第六十条  裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一  被告人が定まつた住居を有しないとき。
二  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
○2  勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
第八十七条  勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
第百九十三条  検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をすることができる。この場合における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定めることによつて行うものとする。
○2  検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。
○3  検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。
○4  前三項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。
第二百三条  司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
第二百七条  前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
第二百八条  前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
○2  裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。
第二百四十七条  公訴は、検察官がこれを行う。
第二百四十八条  犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
第四百二十六条  抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。
○2  抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。
第四百二十九条  裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。
二  勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判
○3  第一項の請求を受けた地方裁判所又は家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。
第四百三十二条  第四百二十四条、第四百二十六条及び第四百二十七条の規定は、第四百二十九条及び第四百三十条の請求があつた場合にこれを準用する。
第四百六十一条  簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。


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