新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1586、2015/3/20 12:00 https://www.shinginza.com/qa-seikyu.htm

【民事、動産先取特権による請負代金債権に対する物上代位権の行使、最高裁平成10年12月18日決定民集52巻9号2024頁】

工場機械代金債権の回収方法

質問:
 私は工場機械等の販売を行っているA社を経営しています。B社から弊社の工場機械を購入したいとの話があり、150万円で売買契約をしました。
 B社が工場機械の購入をしたのは、C社から工場機械の設置を請け負ったためでした。
 B社と弊社とは、これまで何度もこの種の取引を行って来ていますが、今回もこれまで同様、売買代金の支払前に、まずC社へ直接、工場機械を搬入して欲しいとの打診があったので、B社の指示どおり、工場機械をC社へ搬入しました。
 B社は無事、C社で工場機械の設置を完了させたのですが、弊社への売買代金の支払いが期日を過ぎても一向になされません。最近、B社は経営状態が良くないとの噂も聞きます。話によると、B社とC社との請負契約は、弊社の工場機械の代金を170万円、設置の費用を30万円として、請負代金を200万円と定めているようですが、B社はまだ、C社から請負代金の支払いを受けていないようなのです。弊社としては、ここから何とか売買代金を回収したいと思うのですが、可能でしょうか?



回答:

 結論から言うと可能と思われます。売買代金債権を持っているA社は、機械をB社に売却しているので当該機械に対して動産売買の先取特権(民法311条6号)という担保権を有しています。しかし、すでに機械はC社に移っていますので直接担保権は行使できません(民法333条)。ただ、先取特権の担保権の性質から物上代位権(民法304条1項)を有していますので、B社のC社に対する機械についての請負代金債権を対象として物上代位権を行使できるかが問題となります。というのは304条の条文上、「売買」のように目的物の請負により生じた請負代金の表示がないからです。また物上代位権が認められる趣旨は担保権が目的物の価値を把握していますので、対象目的物に代わる「物、金銭」に対してもその追求的効力が及ぶというものですが、請負は、材料に工作を施すものであり、請負代金が材料費に加え、工作を施すことによる労力をも加味して定められるものですから、目的物に代わる「金銭その他の物」すなわち、目的物から生じた価値である「金銭」、といえるか疑問があるからです。

 請負のように担保権の目的物に新たな付加価値がくわえられ生じた金銭は担保目的物の価値とは異なるので代位権を行使できないと解釈するのが原則と思われます。

 しかし、担保権に物上代位権を認めた制度趣旨から、材料費の請負代金に占める割合が大半を占めているような状況(事実上の転売契約と同視できるような状況)であれば、例外的に、売買代金債権と請負代金債権の一致する部分に対して、動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使が認められるものと解釈することが妥当でしょう。(同趣旨の判例があります。最高裁第三小法廷平成10年12月18日決定 民集52巻9号2024頁参照)。

 もっとも、動産売買の先取特権は、抵当権のように第三者に対する公示作用がありませんから、取引する第三者保護のため物上代位権の対象である権利について、その払渡し又は引渡し前に差押えをすることが要求されていますので(民法304条1項ただし書)、C社がB社に対して、請負代金を払渡す前に、B社のC社に対する請負代金債権を差し押さえる必要があります。又実務上、動産先取特権には登記のようなその存在を示す公的なものがありませんので、物上代位権による担保権執行手続きにおいて要件立証のための証拠書類に関し問題が生じないように注意する必要があります。この点法的専門家との協議をお勧めします。

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解説:

1(1)ご相談のケースにおける債権回収手段としては,A社のB社に対する売買代金請求権を被保全債権として,B社のCに対する請負代金請求権を差し押さえる方法が考えられます。
    しかし,強制執行をするには,債務名義を取得しないと行うことができません(民事執行法25条)。債務名義というのは,権利の存在を公に証明するものであり,強制執行をするために必要となる通行手形のようなものと思っていただくと分かり易いと思います。
    この債務名義の典型例としては,確定判決が挙げられますが(民事執行法22条1号),確定判決を得るには,相当の時間がかかりますから,確定判決を得るまでに債務者の財産が無くなってしまったり,債務者が破綻してしまったりして,せっかく時間と労力をかけて債務名義を取得し,強制執行まで行ったのに,結局は満足のいく回収ができなかったということにもなりかねません。
    そこで、このような場合、仮処分という手続きにより、債権の仮差押えをする必要が出てきますが、債権額の二割程度の保証金が必要となりますし、債権を現実に回収するにはやはり確定判決が必要となり時間がかかってしまうことになります。

 (2)この点,もし,A社が担保権を持っていれば,債務者が倒産した場合でも,一般債権者に対して優先権がありますし,上記のような債務名義を取得するということを行わずとも,差押えを行うことが可能です。担保権の設定契約などしていないのに,担保権を持っているなどということがあり得るのかと思われるかもしれませんが,動産売買の場面で認められる担保権というものがあります。
    動産売買契約における買主が売買代金を支払わない場合、本来であれば、売主は同時履行の抗弁権を行使して、売買契約の目的動産の引渡しを拒むことができます(民法533条)。
    ただ、商売をされている方なら誰もが思うことですが、そのようなことをして目的物の引渡しを拒んでいれば、誰も取引をしてくれず、他のところに頼むといって二度と取引をしてもらえなくなってしまいます。
    こうして、代金をもらう前に目的物を先に引渡すという状況が生じる訳ですが、このような状況で、買主が代金を支払わない場合にどうするのか、との問題が生じます。
    この場合に売主が代金を諦めるしかないとの結論は、取引上公平に欠けますので、民法は、動産売買の先取特権という権利を売主に認めています。

 2(1)先取特権とは、民法その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利のことをいいます。
    先取特権は、債権の担保のために目的物の交換価値を支配することを目的とする担保物件であり、「民法その他の法律の規定に従い」認められるものですので、法定担保物件の一つです。また、「法定」で認められる権利であることから、抵当権や質権のように当事者間の設定契約によることなく、法律上当然に発生する権利というところに特色があります。

 (2)民法321条は、動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産につき存在すると規定しています。前述したように、これは当事者間の公平に基づいて認められる権利です。
    ご相談のケースにおいても、この動産売買の先取特権を行使すれば良いではないか、ということになりますが、民法はさらに333条において、先取特権は、債務者がその目的物である動産をその第三者に引き渡した後は、その動産について行使することができないと規定しています。
    動産の先取特権は、不動産の場合のような登記という公示の方法が存在しないことから、無制限にその行使を認めてしまうと、第三者を害する結果になることがあります(動産取引の安全を害する、といいます。)。
    そのため民法は、動産の先取特権者の利益と、動産取引の安全との調和の観点から、動産の先取特権については、その目的物である動産を第三者に引き渡した後は、その動産について先取特権を行使することができないとしました。これを追及効の制限といいます。
    そして、民法333条にいう「第三取得者」とは、目的物の所有権を取得した者をいい、単に占有を取得したにすぎない、例えば、賃借人、質権者、受寄者などは含まないとされています。また、この第三取得者の主観は善意であっても悪意であっても良いとされています。これは、第三取得者が善意・無過失であるような場合には、民法192条により即時取得が認められることになり、何らの制限のない、きれいな権利を取得することが可能となるため(原始取得といいます)、悪意の場合に追及効の制限を認めてこそ、意義のあることだからです。なお、詳しい説明は割愛させていただきますが、民法192条の即時取得に必要な要件の大半は、民法186条1項、188条により推定され、立証責任の転換が図られているため、即時取得は成立しやすい状況にあります。即時取得が成立するための要件の一つである無過失の推定についての判例がありますので、ご紹介だけしておきます。
    「右法条にいう(筆者注:民法192条)「過失なきとき」とは、物の譲渡人である占有者が権利者たる外観を有しているため、その譲受人が譲渡人にこの外観に対応する権利があるものと誤信し、かつこのように信ずるについて過失のないことを意味するものであるが、およそ占有者が占有物の上に行使する権利はこれを適法に有するものと推定される以上(民法一八八条)、譲受人たる占有取得者が右のように信ずるについては過失のないものと推定され、請求取得者において過失のないことを立証することを要しないものと解すべきである。しかして、このように解することは、動産流通の保護に適合する所以であり、これに反する見解に立つ判例(大審院明治四一年(オ)第三三一号、同年九月一日判決、民録一四輯八七六頁)は改むべきものである。」(最一小判昭和41年6月9日民集20巻5号1011頁)。

 (3)ご相談のケースにおいては、A社は、B社の指示にしたがい、第三者であるC社に工場機械を引き渡しています。C社は、賃借人でも、質権者でも、受寄者でもなく、請負契約における注文者であり、いつの時点で所有権を取得するのかの問題はあるものの、民法333条における「第三取得者」に当たるといって良いと考えられます。
    したがって、A社の工場機械に対する動産先取特権の行使は、追及効の制限を受けることになると思われます。

3(1)目的動産に対する先取特権の行使について、民法333条により追及効の制限を受ける場合、どうすることもできないのかというと、そうではありません。
    先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができるとされています(民法304条1項本文)。これを物上代位権といいます。

 (2)例えば、甲→乙→丙と順次動産が売買され、引渡しも行われているという場面を考えてみます。
    本来、甲は同時履行の抗弁権(民法533条)により、売買代金と目的動産の引渡しの同時履行を主張可能です。しかし、これを行使せず、乙に目的動産を引き渡します。目的物が乙にある状況であれば、甲は動産売買の先取特権を行使して、目的動産から代金を回収することが可能となりますが(民法321条)、乙が丙に目的動産を引き渡してしまっていると、追及効の制限により、甲は当該動産に対して動産売買の先取特権を行使することができません(民法333条)。ただ、この場合でも甲は乙の丙に対する売買代金債権に対して、物上代位権を行使することができます(民法304条)

 (3)このように、物上代位権が認められるのは、上記具体例でいえば、丙が転売によって取得した売買代金債権は、目的動産に代わるものといえるからです。このことは、交換価値が具体化したところの価値代位物であると説明されます。価値代位「物」といっていますが、「もの」ではなく、債務者の請求権のこと指しています。上記具体例でいえば、目的動産の交換価値が具体化したものが、乙の丙に対する売買代金債権であるということです。
    なお、念のため「債務者の請求権」について付け加えさせていただきますと、債権者、債務者というのは、見方によって変わってくるものですが、この場面では、先取特権者である甲を債権者として見ています。

 (4)ご相談のケースに置き換えると、A社B社間の売買契約の買主であるB社は、B社C社間の請負契約の請負人でもありますので、注文者であるC社に対して請負代金債権を有しています。しかし、民法304条1項では、「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる」と規定されており、請負代金については触れられていません。A社がB社のC社に対する請負代金債権に対して、動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使できるのかが問題となります。

    この点につき、判断を示した最高裁の判例がありますので、ご紹介します。

    「動産の買主がこれを他に転売することによって取得した売買代金債権は、当該動産に代わるものとして動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使の対象となる(民法三〇四条)。これに対し、動産の買主がこれを用いて請負工事を行ったことによって取得する請負代金債権は、仕事の完成のために用いられた材料や労力等に対する対価をすべて包含するものであるから、当然にはその一部が右動産の転売による代金債権に相当するものということはできない。したがって、請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することはできないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができると解するのが相当である。
    これを本件について見ると、記録によれば、破産者Yは、申立外Zからターボコンプレッサー(TX-二一〇キロワット型)の設置工事を代金二〇八〇万円で請け負い、右債務の履行のために代金一五七五万円で右機械をXに発注し、XはYの指示に基づいて右機械をZに引き渡したものであり、また、右工事の見積書によれば、二〇八〇万円の請負代金のうち一七四〇万円は右機械の代金に相当することが明らかである。右の事実関係の下においては、右の請負代金債権をXがYに売り渡した右機械の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情があるということができ、Zが仮差押命令の第三者として右一七四〇万円の一部に相当する一五七五万円を供託したことによってYが取得した供託金還付請求権がXの動産売買先取特権に基づく物上代位権の行使の対象となるとした原審の判断は、正当として是認することができる。」(最三小決平成10年12月18日民集52巻9号2024頁)。

 (5)最高裁は、動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使に関し、その対象が転売によって取得した売買代金債権である場合には、価値代位物といえるが、目的動産に工作を施したことによって取得した請負代金債権である場合には、直ちに価値代位物とはいえないから、その行使を認めることはできないとしたということです。これは、請負というものが、材料に工作を施すものであり、請負代金は材料費と工作を施すことによる労力を加味して定められるものであるので、通常、材料として使用されたものの価値が大幅に増加するため、とても価値がイコールとはいえないからです。

    しかし、請負代金について材料費の割合が大半を占めるような場合には、請負代金債権は転売の場合における売買代金債権と変わらないといえるため、そのような事情があるのであれば、例外的に、請負代金債権の一致する部分対して、動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使を認めても良いとしました。

5.ご相談のケースにおいても、原則論としては、A社は、B社のC社に対する請負代金債権に対して、動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することはできません。

  しかし、本件請負代金は200万円ですが、請負契約において、材料費である工場機械の代金が170万円と明示されています。これは、材料費の請負代金に占める割合が85%に及ぶ計算となります。また、本件工場機械を注文者たるC社に搬入したのはA社であり、B社は純粋に設置工事のみを行ったといえ、請負契約の履行のための労力もそれほど大きくないといえます。このことは、設置費用の請負代金に占める割合が残りの15%であることからも伺えます。

  以上から、A社は、B社のC社に対する請負代金債権に対して、動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使しうるものと解されます。

  「行使しうる」と述べたのは、動産売買の先取特権行使のための要件がもう一つあるからです。民法304条1項は、ただし書きにおいて、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならないと規定しています。「その」というのは、価値代位物のことです。

  つまり、ご相談のケースでいえば、A社としては、C社がB社に対して請負代金を払い渡す前に、請負代金債権を差し押さえなければ、動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使ができなくなってしまうということです。幸いにも、C社はいまだ請負代金の支払いをしていないとのことですので、A社としては売買代金の回収を図るチャンスがあります。

6(1)では,法的な手続きとして,どのような手続きを行うことになるかですが,担保権実行としての債権差押命令の申立てというものを行うことになります。

    申し立てる裁判所(執行裁判所といいます。)は、原則として,債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所となります(民事執行法144条1項)。債務者が私人の場合はその住所,法人の場合はその主たる事務所または営業所を管轄する地方裁判所が管轄裁判所となります

    ご相談のケースでは、債権者がA社,債務者がB社であり,債務者たるB社の主たる事務所または営業所を管轄する地方裁判所へ申立てを行うことになります。

 (2)申立ては,債権差押命令申立書を上記の裁判所へ提出する形で行いますが、債務者の意思にかかわらず、強制的にその債権を取り上げるのと同じことを行おうというわけですから、それ相応の証明を行わなければなりません。

    ア ご相談のケースは、動産売買先取特権に基づいて物上代位権を行使しようという場面ですから、動産売買先取特権の存在を証する文書を添付書類として提出する必要があります(民事執行法193条1項,181条1項)。
      特定の動産を債権者が債務者に対して売り渡した事実を証する文書ということになるのですが,具体的には,特定の動産の売買の事実を証明するものとして,売買契約書,手付金等一部の代金についての債務者の押印のある領収書,請求書などが考えられます。また,これだけでは足りず,売買の目的物である動産が債権者から債務者へ引き渡されたことを証するものも必要とされており,これには,納品書,受領書,運送会社の配送票,荷受票などが考えられます。

    イ さらに、目的動産が債務者から第三債務者へ転売された事実の証明をも要すると解されており,先に見た債権者・債務者間の売買に関して要求されるものと同じ文書が,債務者・第三債務者間でも要求されるということになります。
アの書類と異なり売主の手元にない書類ですから準備ができない場合も多いでしょう。しかし売却した動産に対する担保権による物上代位ということですから、その動産についての債権についての差押であることが必要となり、上記の証明が必要となるわけです。この点で、差押えるべき債権が請負代金の場合、単なる動産の売買と異なることから、第三債務者への譲渡についてどの程度の証明ができるか問題となるわけです。せっかく第三債務者から請負契約書を手に入れることができたとしても、請負代金では先取特権による物上代位はできない、と申立の段階で言われてしまうことも予想されます。前記の判例を参考に必要な書類を用意する必要があります。

 (3)ご相談のケースにおいては,目的物である工場機械を第三債務者であるC社へ直接搬入していることから,先に述べた書類の作成が行われていることが前提とはなりますが,債務者から第三債務者へ搬入している場合に比べて,若干書類が集まり易い状況にあるといえるのではないでしょうか。ただ,それでも,足りない書類があるようであれば,第三債務者であるC社に協力をお願いして,書類を入手する必要があるでしょう。また,欠けている書類がある場合には,上申書や陳述書などで欠けている部分を補完することになります。

 (4)ご相談のケースでは,C社のB社に対する請負代金の支払期日が不明ですが,仮に,期日が差し迫っているのであれば,この場合には, A社のB社に対する売買代金債権を被保全債権として,B社のC社に対する請負代金債権の仮差押えを行ったのち,上記で述べた手続きを行うということも考えられます。

    とにかく,C社がB社へ請負代金を支払ってしまう前に差し押さえる必要がありますから,早急に,お近くの法律事務所へご相談なさることをお勧めいたします。


<参照条文>
民法
(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
(占有物について行使する権利の適法の推定)
第百八十八条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。
(即時取得)
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
(物上代位)
第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
(動産売買の先取特権)
第三百二十一条 動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。
(先取特権と第三取得者)
第三百三十三条 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
(同時履行の抗弁)
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

民事執行法
(債務名義)
第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
 一 確定判決
 二 仮執行の宣言を付した判決
 三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
 三の二 仮執行の宣言を付した損害賠償命令
 四 仮執行の宣言を付した支払督促
 四の二 訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(他の法令の規定により非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の規定を準用することとされる事件を含む。)若しくは家事事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
 五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
 六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
 六の二 確定した執行決定のある仲裁判断
 七 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)
(強制執行の実施)
第二十五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
(執行裁判所)
第百四十四条 債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2 差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
3 差押えに係る債権(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。
4 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(動産競売の要件)
第百九十条 動産を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、次に掲げる場合に限り、開始する。
 一 債権者が執行官に対し当該動産を提出した場合
 二 債権者が執行官に対し当該動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出した場合
 三 債権者が執行官に対し次項の許可の決定書の謄本を提出し、かつ、第百九十二条において準用する第百二十三条第二項の規定による捜索に先立つて又はこれと同時に当該許可の決定が債務者に送達された場合
2 執行裁判所は、担保権の存在を証する文書を提出した債権者の申立てがあつたときは、当該担保権についての動産競売の開始を許可することができる。ただし、当該動産が第百二十三条第二項に規定する場所又は容器にない場合は、この限りでない。
3 前項の許可の決定は、債務者に送達しなければならない。
4 第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)
第百九十三条 第百四十三条に規定する債権及び第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この項において「その他の財産権」という。)を目的とする担保権の実行は、担保権の存在を証する文書(権利の移転について登記等を要するその他の財産権を目的とする担保権で一般の先取特権以外のものについては、第百八十一条第一項第一号から第三号まで、第二項又は第三項に規定する文書)が提出されたときに限り、開始する。担保権を有する者が目的物の売却、賃貸、滅失若しくは損傷又は目的物に対する物権の設定若しくは土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)による収用その他の行政処分により債務者が受けるべき金銭その他の物に対して民法その他の法律の規定によつてするその権利の行使についても、同様とする。
2 前章第二節第四款第一目(第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条を除く。)及び第百八十二条から第百八十四条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条の規定は前項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。


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