新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.937、2009/12/21 10:43 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm

【親族・離婚請求に伴う財産分与義務者からの申し立て等】

質問:長年別居していた妻と、最近、離婚の協議、調停をしましたが、妻が離婚に応じないので、訴訟を起こす予定です。妻との間に子供はいません。私は、ここ数年のうちに、海外で生活したいと思っており、その前に解決したいのですが、離婚訴訟だけでなく、判決で離婚が成立した後、今度は財産分与の請求をされる、となったら、ますます時間がかかります。別居前までの、同居していた期間について、妻に財産分与を主張されても、別居期間よりはかなり短く、多額にもならないと思うので、相当額であれば応じてもいいと思います。いっそのこと、訴訟の際に、財産分与も解決して下さい、とこちらから申し出ることはできないでしょうか。妻は、私への感情なのか、財産分与よりも、これまで通りの生活費を受け取る方がいいと思っているのか、離婚に際しての経済的な条件の話はせず、とにかく離婚はしたくない、としか言わないので、こちらから、正式な手続として申し出ないと、同時解決は図れないと思っています。

回答:
1.財産分与は、あくまでも請求する側から申し出る手続であり、分与する義務を負う側からの申し立てはできないという考え方が実務の主流ですので、こちらから正式な手続として、財産分与を申し立てることは難しいかもしれません。訴訟手続中、判決が出る迄の間、財産分与についての条件を決めて和解できないか、相手から申立しないか、説得等で最善を尽くして、それでも、財産分与の結論が出なければ、財産分与の時効期間の2年間、様子を見るしかないでしょう。
2.尚、判例上、本件は有責配偶者からの離婚請求で問題になっています。神戸地裁平成元年6月23日判決では、有責配偶者から財産分与請求訴訟を認めており、財産分与請求を認めるのが相手方である妻の利益にかなうものであるかどうかという観点から、今後の判例も必ず否定されるものとは必ずしも断言できませんので付言しておきます。

解説:
1.(民法768条、771条)確かに、離婚を訴訟で請求する際には、裁判所は、申立てにより、財産の分与に関する処分についても裁判しなければならない、という規定があります(人事訴訟法32条、付帯処分についての裁判)。しかし、もともと、財産分与については、「相手方に対して、財産の分与を請求することができる。」という規定になっているので(民法768条、771条)、分与する義務を負う側から、この「申し立て」ができるのかについては、争いがあります。

2.この点、上記民法の文言からは、協議に代わる処分を請求する者を、財産分与を請求する者に限る趣旨とは認められない、財産分与についての、具体的な内容の形成を要求することを認めても、請求する側に支障はない、分与する側が、一刻も早く精算したいと思うのも当然のことだ、等の理由で、分与義務者からの申立を認めた裁判の例もあります(神戸地裁平成元年6月23日判決)。この神戸地裁の判決は最高裁判決昭和62年9月2日判決で有責配偶者からの離婚請求について、条件の1つに相手方に対する財産的提案が示され、有責配偶者からの財産分与請求の提訴が許されるものとする少数意見と同様の見解です。

3.(最高裁判決昭和62年9月2日判決)最高裁の少数意見の内容。「多数意見は、民法七七〇条一項五号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら責任のある有責配偶者からされた場合に、当該請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断する一つの事情として、離婚を認めた場合における相手方配偶者の経済的状態が斟酌されなければならないとし、相手方配偶者が離婚により被る経済的不利益は、離婚と同時又は離婚後において請求することが認められている財産分与又は慰藉料により解決されるべきものであるとしている。しかし、右の経済的不利益の問題について、これを相手方配偶者の主導によって解決しようとしても、相手方配偶者が反訴により慰藉料の支払を求めることをせず、また人事訴訟手続法(以下「人訴法」という。)一五条一項による財産分与の附帯申立もしない場合には、離婚と同時には解決されず、あるいは、経済的問題が未解決のため離婚請求を排斥せざるをえないおそれが生ずる。
 一方、経済的不利益の解決を相手方配偶者による離婚後における財産分与等の請求に期待して、その解決をしないまま離婚請求を認容した場合においては、相手方配偶者に対し、財産分与等の請求に要する時間・費用等につき更に不利益を加重することとなるのみならず、経済的給付を受けるに至るまでの間精神的不安を助長し、経済的に困窮に陥れるなど極めて苛酷な状態におくおそれがあり、しかも右請求の受訴裁判所は、前に離婚請求を認容した裁判所と異なることが通常であろうから、相手方配偶者にとって経済的不利益が十全に解決される保障がないなど相手方配偶者に対する経済的配慮に欠ける事態の生ずることも予測される。したがって、相手方配偶者の経済的不利益の解決を実質的に確保するためには、更に検討を加えることが必要である。

 そこで、財産分与に関する民法七六八条の規定をみると、同条は、離婚をした者の一方は相手方に対し財産分与の請求ができ、当事者間における財産分与の協議が不調・不能なときは当事者は家庭裁判所に対して右の協議に代わる処分を請求することができる旨を規定しているだけであって、右規定の文言からは、協議に代わる処分を請求する者は財産分与を請求する者に限る趣旨であるとは認められない。また、人訴法一五条一項に定める離婚訴訟に附帯してする財産分与の申立は、訴訟事件における請求の趣旨のように、分与の額及び方法を特定してすることを要するものではなく、単に抽象的に財産分与の申立をすれば足り(最高裁昭和三九年(オ)第五三九号同四一年七月一五日第二小法廷判決・民集二〇巻六号一一九七頁参照)、裁判所に対しその具体的内容の形成を要求すること、いいかえれば裁判所の形成権限の発動を求めるにすぎないのであって、通常の民事訴訟におけるような私法上の形成権ないし具体的な権利主張を意味するものではないのであるから、財産分与をする者に対して、その具体的内容は挙げて裁判所の裁量に委ねる趣旨でする申立を許したとしても、財産分与を請求する側において何ら支障がないはずである。更に実質的にみても、財産分与についての協議が不調・不能な場合には、財産分与を請求する者だけではなく、財産分与をする者のなかにも一日も早く協議を成立させて婚姻関係を清算したいと考える者のあることも当然のことであろうから、財産分与について協議が不調・不能の場合における協議に代わる処分の申立は財産分与をする者においてもこれをすることができると解するのが相当というべきである。

 以上のような見地から、我々は、人訴法一五条一項による財産分与の附帯申立は離婚請求をする者においてもすることができると考える。そしてこのように解すると、有責配偶者から離婚の訴えが提起され、相手方配偶者の経済的不利益を解決しさえすれば請求を許容しうる場合において、相手方配偶者が、たとえ意地・面子・報復感情等のために、慰藉料請求の反訴又は人訴法一五条一項による財産分与の附帯申立をしようとしないときは、有責配偶者にも財産分与の附帯申立をすることを認め、離婚判決と同一の主文中で相手方配偶者に対する財産分与としての給付を命ずることができることになり、相手方配偶者の経済的不利益の問題は常に当該裁判の中において離婚を認めるかどうかの判断との関連において解決され、さきに我々が憂慮した相手方配偶者の経済的不利益の問題の解決を全うすることができることになるのではないかと思うのである。」

4.(神戸地裁判決)事案としては、有責配偶者である原告(64歳)は高校の先生であり妻との同居1年、別居30年です。前述の最高裁少数意見と同様に財産分与1200万円の支払いと離婚を認めています。内容。「次に原告は被告に対し離婚給付を申立てるので判断する。 人事訴訟手続法(以下「人訴法」という。)一五条一項は、夫婦の一方が提起する離婚の訴においては財産分与等のいわゆる附帯申立をなしうることを規定する。そして右財産分与の附帯申立は、財産分与を受け得ると主張する請求者からその相手方の出捐を余儀なくされることになる者に求めるのが通例であるが、財産分与に関する民法七六八条の規定をみると、同条は、離婚をした者の一方は相手方に対し財産分与の請求ができ、当事者間における財産分与の協議が不調・不能なときは当事者は家庭裁判所に対して右の協議に代わる処分を請求することができる旨を規定しているだけであって、右規定の文言からは、協議に代わる処分を請求する者は財産分与を請求する者に限る趣旨であるとは認められない。

 また、人訴法一五条一項に定める離婚訴訟に附帯してする財産分与の申立は、訴訟事件における請求の趣旨のように、分与の額及び方法を特定してすることを要するものでなく、単に抽象的に財産分与の申立をすれば足り、裁判所に対しその具体的内容の形成を要求すること、いいかえれば裁判所の形成権限の発動を求めるにすぎないのであって、通常の民事訴訟におけるような私法上の形成権ないし具体的な権利主張を意味するものではないのであるから、財産分与をする者に対してその具体的内容は挙げて裁判所の裁量に委ねる趣旨でする申立を許したとしても、財産分与を請求する側において何ら支障がないはずである。更に実質的に見ても、財産分与についての協議が不調・不能な場合には、財産分与を請求する者だけでなく、財産分与をする者のなかにも一日も早く協議を成立させて婚姻関係を清算したいと考える者のあることも当然のことであろうから、財産分与について協議が不調・不能の場合における協議に代わる処分の申立は財産分与をする者においてもこれをすることができると解するのが相当である。そこで人訴法一五条一項による財産分与の附帯申立は離婚請求をし,財産分与を出捐する者においてもすることができると解する。本件においても、離婚請求をし、財産分与を出捐する原告から被告に対し財産分与すると申立てるのであり、原告は、離婚に伴ない相手方配偶者の被告に経済的不利益の問題が生ずるのを慮って、本訴に附帯して問題の解決を図ろうとするにあると考えられるが、原告の申立は相当と考えるので、原告の申立の趣旨を考え併せて、本件における財産分与の相当な金額を定めることとする。

 ところで、財産分与の性質・内容は、各種の要素、すなわち夫婦共同生活中の共通の財産関係の清算と、離婚を惹起した有責配偶者の離婚そのものに起因する相手方配偶者の損害の賠償と、離婚後の生活についての扶養といった内容を含むと解されている。本件についてみると、原告の資産・収入がどの程度であるか必ずしも明らかではないが、前記認定のように、原告と被告の同居期間は一年に満たず、以後長期間にわたって別居状態が続いたもので、この間原告がなにがしかの資産を形成しているにしても、被告自身がこれに寄与したとは認められないし、また今日原・被告の婚姻生活の破綻につき原告を有責ときめつけるわけにはいかないこと、原告は、被告との別居後、被告に対し、被告やAの生活費等を分担し、それ相応に誠実に対処してきたこと、原告自身老母を抱え、被告との婚姻生活破綻後に形成された家庭があること、原告と被告の年齢、生活環境等諸般の事情を考えると、原告から被告に対する財産分与の額は、原告自身の申立てる金額を斟酌し、一二〇〇万円をもって相当と考える。(なお原告は、財産分与額として、一時金のほか、原告又は被告のいずれか一方の死亡、もしくは原告が満八〇才に達するまでの間、毎月一定の金額の支払をも申し立てているが、これまで原告から被告に対し毎月の生活費等の仕送りをめぐって生じた軋轢を考え併せると、この際一時金をもって支払うのが相当である。)してみると、原告は被告に対し、財産分与として金一二〇〇万円を支払うべきである。」

5.(原則的考え方)しかし、どちらかといえば、分与義務者からの申立は認められない、とする考え方の方が、実務上の主流ではないかと思います(大阪高裁平成4年5月26日判決)。その理由としては、やはり、民法と人事訴訟法の文言からは、財産分与を請求する者を、申立権者として予定していると思われること、分与する義務を負う者は、その請求をされない限りは、現実に分与する義務を負わないのだから、通常は、義務を負う可能性のある者から申し立てる必要があるとは考えにくいことに加えて、もし、そういう必要性が考えられるとすると、本来は離婚自体が、判決では認められにくい分与義務者(例えば、民法770条1項に規定する離婚原因が生じたことに責任があると思われる、有責配偶者)が、離婚に応じる、あるいは裁判で認めてもらうために、分与するという提案を行う、という場合が多く、そのような場合、応じたくないと言う分与請求の権利者に、積極的な財産分与についての具体的な主張は期待しにくく、結果として、裁判所も、権利者に有利な判断がしにくく、権利者に酷である、離婚確定後に、権利者にしっかり行わせた方がいい、という実際的な理由もあるようです。もちろん、裁判所の判断は、具体的事情によって異なりますので、こちらに、申立の具体的な必要性が認められる可能性も否定できませんが、その主張、証明はかなり大変だと思いますので、やはり、基本的には難しい、と想定すべきだと思います。訴訟手続中、判決が出る迄の間、財産分与についての条件を決めて和解できないか、相手から申立しないか、説得等で最善を尽くすのが現実的な方法です。それでも、財産分与の結論が出なければ、一般論にはなりますが、財産分与の時効期間の2年間、様子を見るしかないでしょう。

6.(大阪高裁平成4年5月26日判決)この事件は、事業に成功した有責配偶者(84歳、別居26年、不倫約40年)からの離婚請求の事案であり、離婚に応じない妻に対して離婚を有利にするため(有責配偶者の離婚請求を認める条件として相手方に対する生活保障が必要のため)予備的に離婚請求と共に夫から妻の財産分与請求(1億5000万円を請求の限度にしています。他に5億6000万円の不動産分与の提案。)を求める訴えを提起しています。結果的に離婚を認める事情として斟酌されています。判決内容「四 財産分与の申立てについて、控訴人は、主位的請求として被控訴人との離婚のみを求め、右請求が認容されない場合の予備的請求として離婚請求と併せて財産分与の申立てをしているところ、財産分与請求権は離婚によって生ずる権利であって、離婚請求認容の条件となるものではないから、このような予備的申立てが許されないことは明らかであるが、右財産分与の申立てが無条件の申立てであると解するとしても、離婚に伴って相手方配偶者に対して財産分与をなすべき義務を負う者が離婚請求に付随して財産分与の申立てをすることは、以下の理由により許されないものと解するのが相当である。

1 離婚をした当事者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる(民法七六八条一項、七七一条)ところ、財産分与について協議が成立しないときは、当事者は家庭裁判所に対して財産分与の処分を求めることができ(民法七六八条二項、家事審判法九条一項乙類五号)、また、右申立ては、離婚請求訴訟において、付随的申立てとして行うことができる(人事訴訟手続法一五条一項)。右申立ては、財産分与請求権の具体的内容の形成を求めるものであるから、財産分与を請求する者を申立権者として予定しているものと解するのが相当である。一方、財産分与の義務を負う者は、協議や裁判所の処分によってその具体的内容が確定するまでは、相手方配偶者に対して現実に財産を分与する義務を負うことはないのであるから、このような者が自ら財産分与の具体的内容の形成を求める申立てを行う必要を生ずることは通常考えられないところであり、申立権を認める必要はないと解される。
2 有責配偶者の離婚請求の許否と離婚が成立した場合の財産分与とは別個の問題であり、離婚訴訟と同一手続内で財産分与について判断し、その具体的内容を確定しなければ、離婚請求の許否について判断ができないとか、財産分与の内容いかんによって離婚請求に関する判断が左右されるという性質のものではないから、有責配偶者からの離婚請求の場合に、特に義務者からの財産分与の申立てを認めるべき理由はないというべきである。
3 有責配偶者からの離婚請求訴訟において、被告となった相手方配偶者は、離婚請求を争っている場合でも、右請求が認容された場合に備えて、予備的に財産分与の申立てをすることができると解されるが、相手方配偶者が予備的に財産分与の申立てをせず、もっぱら離婚請求の当否のみを争っている場合には、裁判所が財産分与の要否並びに分与の額及び方法を定めるに当たって考慮すべき分与の対象となる財産の内容、総額や財産の形成・維持に対する当事者の貢献の内容について、相手方配偶者からの積極的な主張、立証を期待することはできない。このような場合に有責配偶者からの申立てに基づいて財産分与に関する処分を行うとすると、裁判所は、実際上、職権でこれらの事情を探知することは困難であるから、主として財産分与の義務を負う有責配偶者の主張立証事実に基づいて財産分与の具体的内容を決定せざるを得ないこととなり、離婚による相手方配偶者の経済的不利益の救済として必ずしも十分な効果が期待できない。したがって、この場合には、離婚確定後家庭裁判所における調停、審判手続によって財産分与請求権の具体的内容の形成をはかるのが相当であると考えられる。」

7.(二つの判決の解釈)以上のように大阪高裁、神戸地裁の2つの矛盾した判決がありますが、裁判所としては、理論を重視するより離婚に伴う妻の利益を考慮した結果、財産関係が簡易である場合は財産分請求を認めて夫婦の二重生活を解消し、資産が膨大でさらに調査が必要である場合はこれを認めない立場(後に審判で妻の財産分与請求を認める)であると言ってもいいと思います。本来財産分与は、離婚に伴う財産の清算、扶養の必要性、離婚原因を作った配偶者への社会的制裁、損害賠償の要素を含むものであり離婚に伴う夫婦の実質的平等、公平の理念(憲法24条)から認められた相手方配偶者保護の制度であることを考えると実体に即した適正な夫婦関係を維持するという法の理想から矛盾した判決とは即断できないものとも考えられます。財産分与請求権は理論的にも形成権である遺留分請求権のように請求する者の意思表示が前提として必要ではありませんし、公平上法が認めた特別の権利であり(民法762条、夫婦別産制の例外)その趣旨に従い相手方からも請求可能であると解釈できるものと考えられますので二つの判決が理論的にも矛盾とは断定できないでしょう。従って、財産関係が複雑でなければ、貴方も予備的請求で財産分与の請求を行ってみることも可能です。

8.(最後に)なお、離婚に応じないからといって、生活費の支払いを止めて、経済的メリットをなくしてしまおう、という方法はお勧めできません。法律上の夫婦関係が継続する以上は、相手の生活を扶助する義務があり(民法752条)、その婚姻関係から生ずる費用(婚姻費用)として、双方の収入に応じて必要と認められる、相手の生活費を支払う義務を負担することになります(民法760条)。その義務を履行しない場合には、相手の生活を省みず、悪意の遺棄を行った(民法770条1項2号)、または、婚姻の継続を相当と認める事情がある(民法770条2項)と判断されるおそれがあり、そうなると、判決で離婚を得ること自体が難しくなってしまいます。訴訟となると、訴状の作成や期日での手続等のため、弁護士をご依頼される必要があると思いますし、奥様も、反論等を行っていくためには、弁護士に依頼する必要も出てくるでしょう。ご依頼される弁護士とよくご相談の上、根気よく、相手の説得に努めて行くことが大切であると思います。

≪条文参照≫

<憲法>
第二十四条  婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
○2  配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

<人事訴訟法>
第二節 附帯処分等
(附帯処分についての裁判等)
第三十二条  裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分又は標準報酬等の按分割合に関する処分(厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項 、国家公務員共済組合法 (昭和三十三年法律第百二十八号)第九十三条の五第二項 (私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)第二十五条 において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法 (昭和三十七年法律第百五十二号)第百五条第二項 の規定による処分をいう。)(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
2  前項の場合においては、裁判所は、同項の判決において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

<民法>
(財産分与)
第七百六十八条  協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2  前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3  前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。 (協議上の離婚の規定の準用)
第七百七十一条  第七百六十六条から第七百六十九条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。
(裁判上の離婚)
第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一  配偶者に不貞な行為があったとき。
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 (同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条  夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
(婚姻費用の分担)
第七百六十条  夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

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