新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.928、2009/11/6 10:53 https://www.shinginza.com/cooling.htm

【民事・訪問販売契約・リース契約の構造・零細事業者のクーリングオフ主張】

質問:私は,昭和の中ごろから下請けで時計部品修理を個人で行っており,借家を自宅兼事務所にしています。家庭用電話機1台で業務用にも使用していました。私は,年齢上パソコンを使うことはできませんし、手作業を中心とした仕事です。その規模は零細なもので生活するのがやっとの状況です。先日,私の事務所を訪れたある電気通信機器販売会社の販売員の勧誘を受け,「リース物件1台,リース期間84カ月,リース料総額70万5600円,リース月額8400円」の契約をしてしまいました。リース物件は,事務所用電話(以下「ビジネスフォン」)の主装置とこれに接続する電話機で,複数の従業員がいることを想定し,拡張性のあるビジネスフォンを前提として主装置,あるいは光ファイバーによるインターネット接続を念頭においた,ファックス自動切替機能が付いた電話機でした。私は,つい販売員の勧誘に乗ってしまったのですが,よくよく考えてみると,私の事業の実態からすれば,ビジネスフォンなど全く必要ないことに気づき,知人に相談した結果,契約から3日後に,業者に対して内容証明郵便でクーリングオフに通知をするとともに,既払いのリース料の返還を求めました。法律上,私の請求は認められるのでしょうか。なお,私は,経営悪化が理由で,上記リース契約締結の後所轄税務署に対して廃業届を提出しています。

回答:
1.結論から言うと、貴方の通知したクーリングオフは有効ですから、本件リース契約解除されています(特定商取法9条1項1号)。貴方が契約した「ファックス自動切替機能が付いた電話機のリース契約」は、特商法施行令第3条別表第3第2号、指定役務「次に掲げる物品の貸与」(ト)、の「電話機及びファクシミリ装置」に該当し、契約書等、特定商取法5条の書面を受け取ってから8日以内にクーリングオフのハガキを発送しており問題はありません(発信主義 同法9条1項2号)。
2.法律構成上の問題点として、本件のような場合、リース契約会社とは、別個の電話機の販売会社が訪問販売を行っているので、リース会社がそもそも特定商取法2条1項1号の「訪問販売」「役務の提供の事業を営む者」に該当しないとも考えられますが、本法律の制度趣旨上、リース会社と販売会社は法的評価として一体と考えるべきであり、リース会社が訪問販売をしているものと解釈されるべきです。
3.さらに、貴方は、時計修理という営業をしており、特定商取法26条1項1号の「申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当するので特定商取法、訪問販売の規定が適用になるか問題ですが、個人営業で事業の規模、事業廃止の事実を考えると、本法律の制度趣旨から「営業のため」という規定には該当しないものと考えるのが妥当でしょう。
4.事務所事例集767番751番719番590番350番327番302番262番228番227番149番140番120番も参照してください。

解説:
特定商取法、訪問販売の趣旨について
この法律の制度趣旨ですが,簡単に言うと日常社会生活における一般消費者の保護です。具体的内容は,ほとんどが商取引業者の規制と消費者保護のための解除権,取消権の付与です。私的法律関係においては契約自由の原則が支配しますから公序良俗に反しない限り契約内容も自由ですし,契約した以上履行しなければ違約金を請求され,契約の解除も解除しようとする人が解除理由を具体的に立証しなければなりません。そこで,業者は以上の法理論を奇貨として、 更なる営利を追求するため社会生活上の消費的取引行為について業者の経済力,情報力,組織力,営業活動の宣伝,広告等を利用し事実上消費者に不利益な種々の商取引態様を考え出し,一般社会生活における商取引に無防備な消費者利益を侵害する事態が生じました。そこで,法の理想から契約自由の原則の本来の目的である適正、公平な社会経済秩序の確立し,一般消費者保護のため特に規制が必要な典型的な取引形態を「特定取引」として当法律が制定され,訪問販売契約もその様な取引行為の一形態です。この契約の特殊性は,消費者が予期することなく訪問した業者の説明に応じ契約したものの,突然の訪問による商品等の説明は営利を目的にした饒舌であたかも日常生活の利便性、円滑性について過大な説明が伴うのが常であり、売らんかなという業者の説明に乗せられてしまう危険性が存在し、冷静になってその後実際に役務を受けてみると日常生活に不必要である場合が多いことに気がつくことになります。従って、業者からの訪問販売は、瞬時に価値判断ができないという特質ゆえ,消費者保護が必要となり、トラブルが多発しやすい要因が常に潜在していると考えられます。又,業者の説明,宣伝はあたかも消費者にとり社会生活上利益が生じるように前もって作られており,消費者が惑わされる一因ともなっています。以上より,当訪問販売法の解釈に当たっては法の理想である適正,公平,権利濫用防止の原則(憲法12条,民法1条,2条)から商取引に優位性をもつ業者の利益よりも無防備な消費者保護が特に必要になります。

1.問題の所在(特定商取引法の適用について)
近時,あなたのように,零細な個人事業者や高齢化した自営業者などを狙(ねら)って「電話代が安くなる」とか「黒電話は使えなくなる」などの虚偽のセールストークを用いて訪問勧誘をし,電話機リース契約を締結させる被害が多発しています。訪問販売については,特定商取引法9条により,消費者は事業者に対して,書面により申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)をすることができますが,本件のようなケースの場合,契約者がクーリングオフをすると,リース会社は、まず(1)「悪質訪問販売を行ったのは当社ではなく,別の訪問販売業者である」従って、特定商取引法2条1項の、訪問販売の業者にそもそも該当しないという主張が考えられます。確かに、リース契約では,リース会社と提携関係にある電話機販売業者が顧客を訪問勧誘してリース契約の申し込みをさせ,これをリース会社に持ち込むことによってリース契約が成立します。リース契約はリース会社と顧客との間に締結され,リース会社は電話機販売業者から電話機を買い取り,この電話機を顧客に対してリースすることになるため,訪問勧誘した電話機販売業者は顧客とは直接の契約関係には立ちませんから一見リース会社の主張が正しいようにも思われます。

次に、(2)「契約者は消費者ではなく,営業のために契約したものであり特定商取引法26条1項により本法律の適用はない」などと主張してクーリングオフを拒絶することが通常でした。すなわち,特定商取引法26条が定める適用除外規定により,「営業のため又は営業として契約する場合」には,同法の定めるクーリングオフができないこととなります。以上の理由により,電話機リース契約は特商法の訪問販売に該当するかにつき,リース会社は否定的な見解を取っていましたが,経済産業省は平成18年12月6日に通達を改正し,(1)訪問勧誘によるリース契約の取引形態(リース提携販売)について訪問販売に該当するもので,電話機販売業者とリース業者とが特商法の規制対象業者であることを明確化するとともに,(2)特商法26条1項1号の適用除外規定「営業のためもしくは営業として」の契約の解釈については,「一見事業者名で契約を行っていても,主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合には」特商法の適用があることを明確化しました。しかし,通達の改正後も個別のケースの処理においては,リース会社が「営業のための契約」の解釈について契約の形式的な名義にこだわった主張をすることから特商法による解決が困難なことも少なくない実情にあり,本件においても,本件リース契約は特定商取引法の適用があるか,また,同契約は特商法26条1項1号の適用除外に当たるか,の2点が争点となります。

2.まず、リース物件を取り扱った販売会社と提携しているリース契約会社は、訪問販売行為を直接していませんが、販売会社とリース会社は法的に一体と考え特定商取法2条1項1号の訪問販売の主体と解釈することになります。消費者保護の観点から、リース会社の販売会社との提携、リース契約行為は、訪問販売業者と一体的に考えるべきであり、特定商取法の趣旨を脱法する行為と評価することができるからです。

3.次に、同様の理由により、形式的に営業をしていても、その利用実態が零細で事実上個人消費者と同様であれば訪問販売として保護する必要があるからです。

4.(判例の検討)本件と同様の事案において,判例(名古屋高裁平成19年11月19日判決)は,「被告(リース会社)は,電気通信機器販売会社に対し,本件契約を含むリース契約自体の勧誘および同契約締結の取り次ぎを継続的に行わせていたということが明らかである。そうであれば,本件契約は,被告ではなく同契約の対象物件の売主に過ぎない電気通信機器販売会社を通じて勧誘されたものであり,かつ,リース対象物件の販売契約とそのリース契約とは一応別個の法律関係にあるとはいえ,本件においては,原告(印刷画工の個人事業主)に対する電気通信機器販売会社によるリース契約の勧誘,電気通信機器販売会社から被告へのリース対象物件の販売および被告と被告とのリース契約が全体として一体を成しているのであり,かつ,被告は,リース契約の勧誘から締結に至るまで電気通信機器販売会社の従業員をいわば手足として利用していたものと認めるのが相当である。そして,訪問販売等の特定商取引を公正にし,購入者が受けることのある損害の防止を図ることにより,購入者の利益を保護し,併せて商品等の流通および役務の提供を円滑にし,もって国民経済の健全な発展に資するという特商法の目的に鑑(かんが)みると,被告は特商法の2条1項1号所定の「役務提供事業者」に該当し,本件契約は特商法所定の訪問販売と認められるというべきである。・・・特商法26条1項1号の趣旨は,契約の目的,内容が営業のためのものである場合には適用除外とするというのにとどまり,仮に申し込みをした者が事業者であっても,これらの者にとって,営業のためにもしくは営業として締結するものではない販売または役務の提供を特商法適用の除外事由とするものではないというべきである。そうすると,同号が定める適用除外となるのは,申し込みをした者が事業者であり,かつ,これらの者にとって,当該契約の目的,内容が営業のためのものである場合ということになる。・・・被告は,事業とはいっても印刷画工をもっぱら一人で,手作業で行うような零細事業者に過ぎず,かつ被告自身パソコンを使えないというのであって,上記目的物は一般に汎用性,あるいは利用度の高いコピー機等とは異なり,被告が行う印刷画工という仕事との関連性も必要性も極めて低いことからすると,本件において特商法との関係では,本件契約は,被告の営業のためにもしくは営業として締結したものと認めることはできない。」と判断し,結論としては,特定商取引法の適用を肯定し,クーリングオフを認めました。妥当な解釈です。尚、第一審(名古屋地裁平成19年6月20日判決)は特定商取法の適用を否定しています。

5.(結論)あなたの場合も,上記の判例が述べる,訪問販売等の特定商取引を公正にし,購入者が受けることのある損害の防止を図ることにより,購入者の利益を保護し,併せて商品等の流通および役務の提供を円滑にし,もって国民経済の健全な発展に資するという特商法の制度趣旨に鑑みると,一般消費者と同様,同法による救済が認められるべきであり,クーリングオフの適用が肯定されると考えられます。

<参考条文>

特定商取引に関する法律
(定義)
第二条  この章において「訪問販売」とは,次に掲げるものをいう。
一  販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所,代理店その他の経済産業省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において,売買契約の申込みを受け,若しくは売買契約を締結して行う指定商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け,若しくは役務提供契約を締結して行う指定役務の提供
二  販売業者又は役務提供事業者が,営業所等において,営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け,若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う指定商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け,若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う指定役務の提供
第五条  販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を除き、遅滞なく(前条ただし書に規定する場合に該当するときは、直ちに)、主務省令で定めるところにより、同条各号の事項(同条第四号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一  営業所等以外の場所において、指定商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は指定役務につき役務提供契約を締結したとき(営業所等において特定顧客以外の顧客から申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結したときを除く。)。
二  営業所等以外の場所において指定商品若しくは指定権利又は指定役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みを受け、営業所等においてその売買契約又は役務提供契約を締結したとき。
三  営業所等において、特定顧客と指定商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は指定役務につき役務提供契約を締結したとき。
2  販売業者又は役務提供事業者は、前項各号のいずれかに該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約を締結した際に、指定商品を引き渡し、若しくは指定権利を移転し、又は指定役務を提供し、かつ、指定商品若しくは指定権利の代金又は指定役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、前条第一号の事項及び同条第四号の事項のうち売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項その他主務省令で定める事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
第九条  販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において指定商品(その販売条件についての交渉が販売業者と購入者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引の態様である商品として政令で定める指定商品を除く。以下この項において同じ。)若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け,営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条及び次条において「申込者等」という。)は,次に掲げる場合を除き,書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。
一  申込者等が第五条の書面を受領した日(その日前に第四条の書面を受領した場合にあつては,その書面を受領した日)から起算して八日を経過したとき。ただし,申込者等が,販売業者若しくは役務提供事業者が第六条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし,又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し,これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には,当該申込者等が,当該販売業者又は当該役務提供事業者が経済産業省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過したとき。二  申込者等が第四条又は第五条の書面を受領した場合において,指定商品でその使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該販売業者が当該申込者等に当該商品を使用させ,又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
三  第五条第二項に規定する場合において,当該売買契約に係る指定商品若しくは指定権利の代金又は当該役務提供契約に係る指定役務の対価の総額が政令で定める金額に満たないとき。
2  申込みの撤回等は,当該申込みの撤回等に係る書面を発した時に,その効力を生ずる。
3  申込みの撤回等があつた場合においては,販売業者又は役務提供事業者は,その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
4  申込みの撤回等があつた場合において,その売買契約に係る商品の引渡し又は権利の移転が既にされているときは,その引取り又は返還に要する費用は,販売業者の負担とする。
5  役務提供事業者又は指定権利の販売業者は,役務提供契約又は指定権利の売買契約につき申込みの撤回等があつた場合には,既に当該役務提供契約に基づき役務が提供され又は当該権利の行使により施設が利用され若しくは役務が提供されたときにおいても,申込者等に対し,当該役務提供契約に係る役務の対価その他の金銭又は当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭の支払を請求することができない。
6  役務提供事業者は,役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合において,当該役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは,申込者等に対し,速やかに,これを返還しなければならない。
7  役務提供契約又は指定権利の売買契約の申込者等は,その役務提供契約又は売買契約につき申込みの撤回等を行つた場合において,当該役務提供契約又は当該指定権利に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは,当該役務提供事業者又は当該指定権利の販売業者に対し,その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。
8  前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは,無効とする。
(訪問販売における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第九条の二  申込者等は,販売業者又は役務提供事業者が訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより,当該各号に定める誤認をし,それによつて当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。
一  第六条第一項の規定に違反して不実のことを告げる行為 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  第六条第二項の規定に違反して故意に事実を告げない行為 当該事実が存在しないとの誤認
2  前項の規定による訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは,これをもつて善意の第三者に対抗することができない。
3  第一項の規定は,同項に規定する訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十六条 の規定の適用を妨げるものと解してはならない。
4  第一項の規定による取消権は,追認をすることができる時から六月間行わないときは,時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも,同様とする。
(適用除外)
第二十六条  前三節の規定は,次の販売又は役務の提供で訪問販売,通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては,適用しない。
一  売買契約又は役務提供契約で,その申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供
二  本邦外に在る者に対する商品若しくは権利の販売又は役務の提供
三  国又は地方公共団体が行う販売又は役務の提供
四  次の団体がその直接又は間接の構成員に対して行う販売又は役務の提供(その団体が構成員以外の者にその事業又は施設を利用させることができる場合には,これらの者に対して行う販売又は役務の提供を含む。)
イ 特別の法律に基づいて設立された組合並びにその連合会及び中央会
ロ 国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二 又は地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条 の団体
ハ 労働組合
五  事業者がその従業者に対して行う販売又は役務の提供
2  第四条から第十条までの規定は,次の訪問販売については,適用しない。
一  その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売
二  販売業者又は役務提供事業者がその営業所等以外の場所において指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受け又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することが通例であり,かつ,通常購入者又は役務の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる取引の態様で政令で定めるものに該当する訪問販売
3  第十八条,第十九条及び第二十一条から前条までの規定は,次の電話勧誘販売については,適用しない。
一  売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結するために電話をかけることを請求した者(電話勧誘行為又は政令で定める行為によりこれを請求した者を除く。)に対して行う電話勧誘販売
二  販売業者又は役務提供事業者が電話勧誘行為により指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け又は当該売買契約若しくは当該役務提供契約を郵便等により締結することが通例であり,かつ,通常購入者又は役務の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる取引の態様で政令で定めるものに該当する電話勧誘販売
4  第十条及び前条の規定は,割賦販売(割賦販売法 (昭和三十六年法律第百五十九号)第二条第一項 に規定する割賦販売をいう。以下同じ。)で訪問販売又は電話勧誘販売に該当するものについては,適用しない。
5  第十一条及び第十三条の規定は,割賦販売等(割賦販売,割賦販売法第二条第二項 に規定するローン提携販売又は同条第三項 に規定する割賦購入あつせんに係る販売をいう。次項において同じ。)で通信販売に該当するものについては,適用しない。
6  第二十条の規定は,割賦販売等で電話勧誘販売に該当するものについては,適用しない。

特定商取引に関する法律施行令
(指定商品等)
第三条  法第二条第四項 の指定商品は、別表第一に掲げる物品とする。
2  法第二条第四項 の指定権利は、別表第二に掲げる権利とする。
3  法第二条第四項 の指定役務は、別表第三に掲げる役務とする。
別表第一 (第三条関係)
一 動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る。)であつて、人が摂取するもの(医薬品(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項の医薬品をいう。以下同じ。)を除く。)
二 みそ、しようゆその他の調味料
三 犬及び猫並びに熱帯魚その他の観賞用動物
四 盆栽、鉢植えの草花その他の観賞用植物(切花及び切枝並びに種苗を除く。)
五 障子、雨戸、門扉その他の建具
六 手編み毛糸及び手芸糸
七 不織布及び幅が十三センチメートル以上の織物
八 真珠並びに貴石及び半貴石
九 金、銀、白金その他の貴金属
十 家庭用石油タンク並びにその部品及び附属品
十一 太陽光発電装置その他の発電装置
十二 ペンチ、ドライバーその他の作業工具及び電気ドリル、電気のこぎりその他の電動工具
十三 家庭用ミシン及び手編み機械
十四 ぜんまい式のタイマー、家庭用ばね式指示はかり及び血圧計
十五 時計
十六 望遠鏡、双眼鏡及び生物顕微鏡
十七 写真機械器具
十八 映画機械器具及び映画用フィルム(八ミリ用のものに限る。)
十九 複写機及びワードプロセッサー
二十 乗車用ヘルメットその他安全帽子、繊維製の避難はしご及び避難ロープ並びに消火器及び消火器用消火薬剤
二十一 火災警報器、ガス漏れ警報器、防犯警報器その他の警報装置
二十二 はさみ、ナイフ、包丁その他の利器及びのみ、かんな、のこぎりその他の工匠具二十三 ラジオ受信機、テレビジョン受信機、電気冷蔵庫、エアコンディショナーその他の家庭用電気機械器具、照明器具、漏電遮断器及び電圧調整器
二十四 電話器、インターホン、ファクシミリ装置、携帯用非常無線装置及びアマチュア無線用機器
二十五 超音波を用いてねずみその他の有害動物を駆除する装置
二十六 電子式卓上計算機並びに電子計算機並びにその部品及び附属品
二十七 乗用自動車及び自動二輪車(原動機付自転車を含む。)並びにこれらの部品及び附属品
二十八 自転車並びにその部品及び附属品
二十九 ショッピングカート及び歩行補助車
三十 れんが、かわら及びコンクリートブロック並びに屋根用のパネル、壁用のパネルその他の建築用パネル
三十一 眼鏡並びにその部品及び附属品並びに補聴器
三十二 家庭用の医療用吸入器、電気治療器、バイブレーター、指圧代用器、温きゆう器、磁気治療器、医療用物質生成器及び近視眼矯正器
三十三 コンドーム、生理用品及び家庭用の医療用洗浄器
三十四 防虫剤、殺虫剤、防臭剤及び脱臭剤(医薬品を除く。)並びにかび防止剤及び防湿剤
三十五 化粧品、毛髪用剤及び石けん(医薬品を除く。)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム並びに歯ブラシ
三十六 衣服
三十七 ネクタイ、マフラー、ハンドバック、かばん、傘、つえ、サングラス(視力補正用のものを除く。)その他の身の回り品、指輪、ネックレス、カフスボタンその他の装身具、喫煙具及び化粧用具
三十八 履物
三十九 床敷物、カーテン、寝具、テーブル掛け、タオルその他の家庭用繊維製品及び壁紙
四十 家具及びついたて、びようぶ、傘立て、金庫、ロッカーその他の装備品並びに家庭用洗濯用具、屋内装飾品その他の住生活用品
四十一 住宅に附属して屋外に設置するバルコニー、車庫、物置その他これらに類する簡易なプレハブ式の工作物の部材
四十二 ストーブ、温風機その他の暖房用具、レンジ、天火、こんろその他の料理用具及び湯沸器(電気加熱式のものを除く。)、太陽熱利用冷温熱装置並びにバーナーであつて除草に用いることができるもの
四十三 浴槽、台所流し、便器、浄化槽、焼却炉その他の衛生用の器具又は設備並びにこれらの部品及び附属品
四十四 融雪機その他の家庭用の融雪設備
四十五 なべ、かま、湯沸かしその他の台所用具及び食卓用ナイフ、食器、魔法瓶その他の食卓用具
四十六 囲碁用具、将棋用具その他の室内娯楽用具
四十七 おもちや及び人形
四十八 釣漁具、テント及び運動用具
四十九 滑り台、ぶらんこ、鉄棒及び子供用車両
五十 新聞紙(株式会社の発行するものに限る。)、雑誌、書籍及び地図
五十一 地球儀、写真(印刷したものを含む。)並びに書画及び版画の複製品
五十二 磁気記録媒体並びにレコードプレーヤー用レコード及び磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物
五十三 シャープペンシル、万年筆、ボールペン、インクスタンド、定規その他これらに類する事務用品、印章及び印肉、アルバム並びに絵画用品
五十四 楽器
五十五 かつら
五十六 神棚、仏壇及び仏具並びに祭壇及び祭具
五十七 砂利及び庭石、墓石その他の石材製品
五十八 絵画、彫刻その他の美術工芸品及びメダルその他の収集品

別表第二 (第三条関係)
一 保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利
二 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利
三 語学の教授を受ける権利

別表第三 (第三条関係)
一 庭の改良
二 次に掲げる物品の貸与
 イ 家庭用ミシン
 ロ 複写機及びワードプロセッサー
 ハ 消火器
 ニ 火災警報器、ガス漏れ警報器、防犯警報器その他の警報装置
 ホ 家庭用の医療用洗浄器
 ヘ ラジオ受信機、テレビジョン受信機、電気冷蔵庫、エアコンディショナーその他の家庭用電気機械器具及び電圧調整器
 ト 電話機及びファクシミリ装置
 チ 電子計算機
 リ 家庭用の電気治療器、磁気治療器及び近視眼矯正器
 ヌ 衣服
 ル 寝具
 ヲ 浄水器
 ワ 楽器
三 保養のための施設又はスポーツ施設を利用させること。
四 住居又は次に掲げる物品の清掃
 イ 家庭用石油タンク
 ロ エアコンディショナー及び換気扇
 ハ 床敷物及び布団
 ニ 太陽熱利用冷温熱装置
 ホ ふろがま
 へ 浴槽、台所流し、便器、浄化槽、給水管、排水管、焼却炉その他の衛生用の器具又は設備
五 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと。
六 墓地又は納骨堂を使用させること。
七 眼鏡若しくはかつらの調整又は衣服の仕立て
八 次に掲げる物品の取付け又は設置
 イ 障子、雨戸、門扉その他の建具
 ロ 太陽光発電装置その他の発電装置
 ハ 家庭用の医療用洗浄器
 ニ ラジオ受信機、テレビジョン受信機、電気冷蔵庫、エアコンディショナーその他の家庭用電気機械器具、照明器具、漏電遮断器及び電圧調整器
 ホ 電話機、インターホン、ファクシミリ装置及びアマチュア無線用機器
 ヘ れんが、かわら及びコンクリートブロック並びに屋根用のパネル、壁用のパネルその他の建築用パネル
 ト 浴槽、台所流し、便器、浄化槽、給水管、排水管、焼却炉その他の衛生用の器具又は設備
 チ 融雪機その他の家庭用の融雪設備
九 住宅に附属して屋外に設置するバルコニー、車庫、物置その他これらに類する簡易なプレハブ式の工作物の組立て又は設置
十 次に掲げる物品の取り外し又は撤去
 イ 家庭用電気機械器具
 ロ 防虫剤、殺虫剤、防臭剤及び脱臭剤(医薬品を除く。)並びにかび防止剤及び防湿剤
 ハ 太陽熱利用冷温熱装置
 ニ 浄化槽
十一 結婚又は交際を希望する者への異性の紹介
十二 易断を行うこと又は易断の結果に基づき助言、指導その他の援助を行うこと。
十三 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞させ、又は観覧させること。
十四 家屋、門若しくは塀又は次に掲げる物品の修繕又は改良
 イ 障子、雨戸、門扉その他の建具
 ロ 家庭用石油タンク
 ハ 太陽光発電装置その他の発電装置
 ニ 家庭用ミシン及び換気扇
 ホ 履物
 ヘ 畳及び布団
 ト 太陽熱利用冷温熱装置
 チ ふろがま
 リ 浴槽、台所流し、便器、浄化槽、給水管、排水管、焼却炉その他の衛生用の器具又は設備
 ヌ 神棚、仏壇及び仏具並びに祭壇及び祭具
十五 プログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、又は記録させること。
十六 名簿、人名録その他の書籍(磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもつて調製するものを含む。)、新聞又は雑誌への氏名、経歴その他の個人に関する情報の掲載若しくは記録又はこれらに掲載され若しくは記録された当該情報の訂正、追加、削除若しくは提供
十七 土地の測量、整地又は除草
十八 家屋における有害動物又は有害植物の防除
十九 住宅への入居の申込み手続の代行
二十 技芸又は知識の教授
二十一 次に掲げる取引(商品取引所法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第十項に規定する商品市場における取引に該当するもの及び海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律(昭和五十七年法律第六十五号)第二条第二項に規定する海外商品市場における同条第一項に規定する先物取引に該当するものを除く。)又はこれらの取引の委託の媒介、取次ぎ又は代理を行うこと(いずれも当該取引の決済に必要な金銭の預託を受けるものに限る。)。
 イ 物品の売買取引(役務の提供を受ける者に当該物品が現に引き渡されることとなるものを除く。)
 ロ 物品についてあらかじめ約定する価格と将来の一定の時期における現実の当該物品の価格の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引
 ハ 商品指数(二以上の商品たる物品の価格の水準を総合的に表した数値をいう。)についてあらかじめ約定する数値と将来の一定の時期における現実の当該商品指数の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引
 ニ 当事者の一方の意思表示により当事者間においてイ、ロ又はハに掲げる取引を成立させることができる権利を相手方が当事者の一方に付与し、当事者の一方がこれに対して対価を支払うことを約する取引

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