新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.297、2005/9/12 15:04 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問:高校2年の息子が、コンビニで万引きをしてしまい、これに気付いた店員に追いかけられて肩をつかまれたため,手を振りほどこうとして店員を転倒させてしまいました。息子は,警察に逮捕された後、家庭裁判所で鑑別所に送られることになり,学校に行けなくて困っています。息子をすぐに鑑別所から出す方法はないでしょうか。学校にわかると退学になる可能性もあり、心配です。

回答:
1、鑑別所に送られることになったということですので,息子さんは,家庭裁判所で監護措置決定を受けたということになります。監護措置とは,少年を少年鑑別所に収容して身柄の保全をしながら,少年の行動観察及び心身の鑑別を行う措置のことをいいます。監護措置の要件については,少年法上「審判を行うため必要があるとき」(法17条1項本文)と規定されており,裁判所は,事案の悪質性や非行事実に至る経緯等に鑑み,少年の資質鑑別を行う必要があると判断した場合に監護措置決定を行うことになります。監護措置の期間は原則として2週間ですが,特に継続が必要な場合には原則として1回に限り更新できるとされています(法17条3項)。もっとも,実際の運用としては,更新される場合がほとんどですので,もし,監護措置決定が出された場合には,4週間近くの収容を覚悟しなければなりません。
2、ただし,家庭裁判所による監護措置決定については,少年,その法定代理人または付添人は,異議申立てをすることができます(法17条の2第1項)。この異議申立ては,非行事実を行っていないことを理由とすることはできず,主に監護措置の必要性の有無,程度について争うことになると考えられています。
3、一般に,監護措置に対する異議申立てが認められ,実際に監護措置が取り消されるケースは非常に少ないといわざるを得ませんが,本ケースでは,息子さんが店員を転倒させたのは偶発的なものにすぎないといえますので,息子さんがこれまで補導歴も非行歴もなく,就学環境や家庭環境にも特段の問題がないのであれば,監護措置が学校生活に与える悪影響をも考慮して,監護措置が取り消しになる可能性もあります。また,被害者と早期に示談を成立させることができれば,監護措置が取り消される可能性も高まると考えられます。ですから,あなたの場合は,弁護士に依頼して,少年の付添人になってもらった上で,示談交渉を進めてもらい,異議申立てにより,少年の心身鑑別が必要ない理由を十分に家庭裁判所に主張してもらうことを検討してみてください。

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