新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.277、2005/7/25 13:52 https://www.shinginza.com/qa-fudousan.htm

[民事・契約]
質問:私は、不動産業者から土地付きの一戸建ての住宅を購入することを決め、その業者と売買契約を結び、手付金として売買代金の20%に相当する金額を支払いました。その後、さらに良い物件を見つけたため、契約の解除を申し出たところ、売買代金の20%の手付金は返せないと言われました。やはり、その業者がいうとおり、支払った手付金の返還を求めるということはできないのでしょうか。

回答:
1、今回のご質問は、不動産業者からの不動産の購入ということですので、売主が宅地建物取引業者であることを前提にご説明致します。解約手付に基づく解除を行う場合には、売買契約が成立した後でも、相手方が契約の履行に着手するまでは、契約を解消することができます。契約解除の理由は問われない一方で、売主側が行使する場合は、受領済みの手付金の倍額を買主に返還し、買主側が行使する場合は、支払済みの手付金を放棄しなければならないものとされています(民法557条)。そして、宅地建物取引業者が売主の場合は、手付金額は、売買代金の20%を超えてはならないとの規制があります(宅地建物取引業法39条1項)。
2、このように、解約手付による解除は、「相手方が契約の履行に着手するまで」は可能とされていますが、一般的な取引においては、手付解除ができる期日を合意によって契約書に明記し、その期日又は第1回の内金支払い日のどちらか先に到来する期日までは、お互いに解除権を認めるとされていることが多いようです。
3、ご質問の場合には、売買契約書に手付金について売買代金の20%相当とする定めがあることが前提になりますが、その定めさえあれば、20%という割合は法律に反する割合ではありませんので、解除できる期間であっても、相手方の主張するように、あなたが売買代金の20%を負担しなければならないということになり、支払済みの手付金の返還請求はできないということになります。
4、もっとも、不動産取引においてもいわゆるクーリングオフ制度があり、一定の条件を充たす場合には、契約締結後8日間以内であれば、契約の撤回をすることができ、その場合には、支払済みの手付金の返還請求をすることができます(宅地建物取引業法37条の2)。また、例えば、買主が契約どおりの支払いをしたのに売主が引き渡さないなどの契約違反があった場合に、相手方に履行を催告したのち、契約を解除するような場合(民法541条)、購入した建物に、契約の目的を達することができないような、隠れた瑕疵(不良)があったので解除するような場合(民法570、566条)も、支払済みの手付金の返還請求をすることができます。もし、このような事情がありそうな場合には、お早めに、法律事務所に相談して下さい。             

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