新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.261、2005/6/17 17:13 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問:未成年(16歳以上20歳未満)の息子が、犯罪を犯し逮捕された後、家庭裁判所で少年院送致の決定が出ました。決定後直ちに少年院に送られてしまうのでしょうか。決定に対し異議を申し述べる手段はあるのでしょうか。

回答:
1、少年に対する、少年院送致等の保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年本人、その法定代理又は付添人(弁護士か家庭裁判所の許可を得た者)から、決定のあった日の翌日から起算して2週間以内に、「抗告」をすることができます(少年法32条)。高等裁判所宛の抗告申立書を原裁判所(決定を出した家庭裁判所)に提出して行いますが、抗告申立書には、抗告理由を具体的に記載する必要があります(少年審判規則43条)。少年院に送致されたくない、と主張するためには、事情にもよりますが、通常、少年の保護の必要性(要保護性)の判断の基礎となった事実の誤認、あるいは少年院収容が必要でないこと(にもかかわらず少年院を選択したという処分が著しく不当であること)を中心に述べることになります。原決定後の事情であっても主張の余地があります。
2、抗告が為された場合、抗告裁判所(高等裁判所)に事件が送られ(裁判所にもよりますが、1ヶ月程度かかる場合があります)、抗告裁判所が事件を受理してから、審理に必要な期間経過後(これも、裁判所にもよりますが、やはり1ヶ月程度かかる場合があります)、抗告審における決定(抗告棄却、又は原決定取消、つまり原裁判所に差し戻し又は他の家庭裁判所に移送)が為されます。
3、抗告が為されても、少年院収容の執行は当然には停止されません。但し、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもって執行を停止することができます(少年法34条)ので、執行停止の申立を行って、停止の判断をもらえるよう促すことになりますが、事実誤認が疑われる場合などでなければ難しいかもしれません。
4、抗告審の決定に更に不満がある場合、抗告審の決定に対しては、憲法違反若しくは憲法の解釈に誤りのあること、又は最高裁・高等裁判所の判例と相反する判断がなされたこと、を理由とする場合に限り、最高裁に対し再抗告をすることができます(少年法35条)。
5、一度なされた審判ですので、異議を認めてもらうのは難しいという面もありますが、原審判の状況や事情の変更によっては、抗告した方がいい場合もありますので、あきらめずに、既に付添人(弁護士)がいればその付添人に、まだ付添人がいないようであれば、弁護士を探して、早急に相談することをおすすめします。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る