新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.247、2005/4/20 16:42 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問:18歳の息子が、詐欺、強盗致傷、暴行事件を何度も起こしてしまい、逮捕された後家庭裁判所で中等少年院送致の決定が出ました。どのぐらいの期間少年院にいることになるのでしょうか?

回答:
1、少年院には、目的、年齢により初等、中等、特別、医療少年院に分かれており、中等少年院は、通常、心身に著しい故障のない16歳以上20歳未満のものを収容することになっています(少年院法2条3項)。中等少年院の収容期間については特に法律に決まりがあるわけではありませんし、成人の刑事事件の判決言い渡し(懲役3年、禁固2年など)のように期間を明示して中等少年院の決定が出るわけではありません。少年法の目的は、刑事事件を犯した少年の処罰を目的にするわけではなく、教育によって当該少年の心身を矯正して健全な人格を回復することにあります。個々人の少年によりその目的の達成により期間も判断していくことになります。少年の人格について早期改善の可能性の大小により,短期処遇と長期処遇とに区分されます。この判断は、中等少年院におい少年の調査の上で決められます。家庭裁判所は、初等、中等少年院送致決定をする際に,処遇勧告を行う場合があります。資料を基に短期処遇又は長期処遇が当該少年について、適切である旨の処遇勧告を行うのです(尚、短期処遇には一般短期処遇又は特修短期処遇があります。)。一般的には仮退院者の平均在院期間は,長期処遇では374日,一般短期処遇では148日,特修短期処遇では79日程度といわれています。
2、年齢による収容期間の制限。少年院の長は、少年が満20歳に達したときは少年を退院させなければなりません。但し、少年の少年院に対する送致後1年未満の場合は、送致から1年間に限り収容継続することができます(少年院法11条1項)。1年の延長期間が経過しても、心身の著しい故障・犯罪的傾向が矯正されず、退院が不適当と考えられる場合、少年院の責任者は、送致した裁判所に対して、さらに収容を継続すべき旨の決定の申請をしなければなりません。このような場合は、少年の身体的自由をさらに拘束することになるので、慎重な手続がとられることになります。裁判所は、期間延長の申請の審理にあたり、専門的知識を有する者及び収容中の少年院職員の意見を聞いた上で、さらに期間を定めて、収容継続の決定をすることになります。但しこの期間は最長23歳までです。少年院において、23歳に達しても精神に著しい故障があり公共の福祉のため退院不適当であると認めるときは、家庭裁判所は、少年院の責任者の申請により、最長26歳を超えない範囲で期間を定めて医務少年院に収容を継続すべき旨の決定することができます(少年院法11条参照)。
3、本件では、まだ18歳ですから、短期処遇では5ヶ月程度、長期処遇では1年程度で退院が可能と思われます。少なくとも特別な事情がなければ20歳前には退院することができるものと推測することができます。ご不明な点は、お近くの弁護士にご相談ください。

≪少年院法≫
第二条  3  中等少年院は、心身に著しい故障のない、おおむね十六歳以上二十歳未満の者を収容する。
第十一条  在院者が二十歳に達したときは、少年院の長は、これを退院させなければならない。但し、送致後一年を経過しない場合は、送致の時から一年間に限り、収容を継続することができる。
2  少年院の長は、前項の場合において、在院者の心身に著しい故障があり、又は犯罪的傾向がまだ矯正されていないため少年院から退院させるに不適当であると認めるときは、本人を送致した裁判所に対して、その収容を継続すべき旨の決定の申請をしなければならない。
3  前項の申請を受理した裁判所は、その審理にあたり、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識を有する者及び本人を収容中の少年院の職員の意見をきかなければならない。
4  裁判所は、本人が第二項の状況にあると認めるときは、期間を定めて、収容を継続すべき旨の決定をしなければならない。但し、この期間は二十三歳を超えてはならない。
5  裁判所は、少年院の長の申請に基いて、二十三歳に達する在院者の精神に著しい故障があり公共の福祉のため少年院から退院させるに不適当であると認めるときは、二十六歳を越えない期間を定めて医療少年院に収容を継続すべき旨の決定をしなければならない。
6  第二項から第四項までの規定は、前項の場合にこれを準用する。
7  少年院の長が裁判所に対し、在院者の収容を継続すべき旨の決定の申請をした場合には、第一項の規定にかかわらず、裁判所から決定の通知があるまで収容を継続することができる。
8  少年院の長は、在院者が裁判所の定めた期間に達したときは、これを退院させなければならない。

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