遺留分の生前放棄手続について(最終改訂平成20年5月13日)
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遺留分とは何ですか。どうして認められるのですか。遺留分の生前放棄(相続開始前)できますか。どうして相続放棄は生前(相続開始前)出来ないのですか。
具体的質問:父から会社経営を引き継ぐ長男です。会社経営を円滑に引き継ぐため、遺言書を書いてもらう予定です。その際、他の兄弟には遺留分の生前放棄をしてもらいたいと思います。遺留分って何ですか。手続はどのように行うべきですか?相続放棄を生前に行う手続きは無いようですが、どうしてですか?
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回答、解説:
1、遺留分とは一定の相続人(兄弟姉妹以外の法定相続人)のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合です(民法1028条)。親だけが相続人となる場合は法定相続分の3分の1、その他、子供や配偶者が相続人となる場合等は法定相続分の2分の1です。兄弟姉妹には遺留分はありません。
2、遺留分制度は、個人財産処分の自由と一定の遺族の生活保障、その期待、そして遺産の公平な分配、取引の安全確保という相対立する利益の妥協調整として存在します。わが国の私法制度の基礎は、私有財産制(憲法29条)と私的自治の原則です。私有財産制は所有者の死後における処分をも自由に認めますから遺言自由の原則が基本です。しかし、遺産は、家族の生活の基盤でもあり、遺産による生活権確保の期待もしますからこれを保護しなければなりませんし、そもそも遺産自体が家族の有形無形の貢献により形成されるので公平上分割も必要です。更に遺留分は生前の贈与等の取引行為をさかのぼって否定しますから取引の安全も考慮しなければならないのです。以上の要請の調和として遺留分制度があるのです。
3、遺留分は相続と異なり生前(相続開始前)放棄ができますが、その際には、必ず家庭裁判所の許可を受けなくてはなりません(民法1043条1項)。前述のごとく、遺言自由の原則の例外ですから、遺産による生活権の確保、期待、遺産の実質的分割を求めない遺族の意思を尊重しているのです。一般的には「既に多額の生前贈与を受けている」「生活に困っていないので相続する必要が無い」などの事情がある事案が多いと思います。しかし、旧民法時代の家制度に基づく長男単独相続相続の風習がいまだ残っている可能性もあるので、放棄の真意を確認する意味で家庭裁判所の許可を条件としています。相続人の地位自体を放棄したわけではありませんから相続開始前の遺族の意思を尊重したのです。
4、他方、相続の生前放棄は法律上認められません。相続の放棄(民法939条)は、相続の効果を否定する意思表示であり、相続人の地位自体を事前に放棄することです。これを認めると、事実上、家業を継いだ者の要望、圧力等により放棄が強制され、遺産を純粋な財産と捉えて均等に分割するという相続人の平等原則、家族の対等平等の原則(憲法14条、24条)を確保できない可能性があるからです。又、旧民法時代の家制度、長子単独相続にも繋がる危険を含む事になります。更に、実質的には、相続の生前放棄により親子関係や親族関係に基づく相互扶助義務を自由に解消する結果にもなりうることも(民法881条参照)理由として考えられます。
5、何らかの対価を支払った上で、家庭裁判所へ遺留分放棄許可審判申立を行い、遺留分の生前放棄を行ってもらうことが多いでしょう。遺留分放棄と贈与を引き換えにすることを希望されるなら、停止条件つきの贈与契約を締結する方法も考えられます。弁護士さんとも相談してみましょう。
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