新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1161、2011/9/27 11:54 https://www.shinginza.com/qa-fudousan.htm

【民事・住宅瑕疵担保履行法と住宅品質確保法】

質問:私は,不動産業者(宅建業法による免許あり)から分譲マンションを購入し,平成21年10月15日に引渡しを受けました(なお,このマンションの工事は同年9月に完了した,とのことです。)。しかし,住んでしばらくすると,このマンションには雨漏りする部分があることがわかり,売主である不動産業者に連絡を取ろうとしたところ,この業者は既に破産していました。私は,自分の費用で,雨漏りを直さなければならないのでしょうか。

回答:
1.売主である不動産業者が「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(以下「住宅瑕疵担保履行法」といいます。)に基づく義務(保険又は供託による瑕疵担保責任履行のための資力確保の措置をとる義務)を履行している限り,同法に基づいて保険金や供託金の支払を受けることができます。同法に従って資力確保措置がとられているのか,どのような資力確保措置がとられているのか等,契約書類をご確認ください。
2.欠陥住宅についての関連問題,書式集法律相談事例集キーワード検索:993番706番参照。

解説:

1.住宅瑕疵担保履行法の意義
  住宅瑕疵担保履行法は,新築住宅を供給する事業者に対して,瑕疵の補修等が確実に行われるよう,保険や供託を義務付ける法律です。
  この法律が制定されるに至った理由は,以下のとおりです。新築住宅売買,請負については,長期間の使用が予想され生活の基礎を成す建築物の品質保証は特に重要ですが,その基本的的構造,内容等について瑕疵があるかどうかは外見から確認できず,又見極めに専門的知識を要することから,購入者である一般人は不測の損害をこうむる危険性があります。民法上売買の瑕疵担保責任の権利行使期間は瑕疵を発見してから1年であり,特約で責任を排除することもできます(民法570条 566条3項,572条)。請負は,工作物により5年から10年の瑕疵担保責任の存続期間がありますが,免責の特約も認められております(民法638条,640条)。
  
  そこで,建物瑕疵による損害発生防止の趣旨から特別法により当事者の特約がなくても期間を一律にし,免責特約も排除して実質的に建物取得者を救済しようとしました。すなわち「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「住宅品質確保法」といいます。)に基づき,売主及び請負人に対し10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられいますし,免責の特約も無効とされています(住宅品質確保法94条)。しかしながら,10年という長期間ですので,その間に責任を負うべき売主等が倒産等により責任を負えなくなる事態や,損害額が多額で責任を負担できないという事態が予測されました。そして平成17年11月にいわゆる耐震偽装問題が発覚するに至り,住宅品質確保法のみでは消費者保護には不十分であることが明らかとなりました。そこで,瑕疵担保責任履行のための措置を充実し強化すべく,住宅瑕疵担保履行法が制定されたのです(同法1条参照)。
2.住宅瑕疵担保履行法の適用範囲
(1)住宅瑕疵担保履行法に基づく義務が課されるのは,所有者となる買主又は発注者(宅建業者である場合は除かれます。)に新築住宅を引き渡す「建設業者」及び「宅地建物取引業者(宅建業者)」(以下「業者」といいます。)です(同法2条2項,3項)。本件では,売主は不動産業者(宅建業法による免許あり)とのことですので,住宅瑕疵担保履行法に基づく義務が課されております。

(2)住宅瑕疵担保履行法は,平成21年10月1日以降に引き渡される新築住宅が対象となります(住宅瑕疵担保履行法の施行期日を定める政令)。ここで「住宅」とは,人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいいます(同法2条1項・住宅品質確保法2条1項)。そこで,戸建住宅,分譲マンションはもちろん,賃貸住宅も対象となるのに対し,制度趣旨から事務所,倉庫,物置,車庫は対象とはなりません。

  さらに「新築住宅」とは,新たに建設された住宅で,まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいいます(同法2条1項・住宅品質確保法2条2項)。そこで,竣工後1年を経過した住宅やいったん居住後に転売された住宅は,対象とはなりません。民法の例外的加重規定であり対象は限定されています。本件では,引渡しは平成21年10月15日になされたこと,分譲マンションであること,工事は同年9月に完了していることから,住宅瑕疵担保履行法の「新築住宅」に当たります。

(3)住宅瑕疵担保履行法で担保責任の対象となる「瑕疵」は,構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分(柱,基礎,外壁,屋根等)についての瑕疵です(同法2条4項・住宅品質確保法94条1項,95条1項)。本件では,雨漏りする部分があるとのことから,同法の「瑕疵」に当たります。

3.住宅瑕疵担保履行法における資力確保の方法
  補修や損害賠償金の支払が確実になされるための資力確保の方法として,業者は「保険(住宅瑕疵担保責任保険)への加入」や「保証金の供託」をしなければなりません(いずれかを選択してもよいし,組み合わせて利用してもよいです。)(住宅瑕疵担保履行法3条,11条)。
  「保険への加入」は,業者が,住宅瑕疵担保履行法に基づき国土交通大臣の指定する保険法人(同法17条)との間で保険契約を締結し,瑕疵が判明した場合,その補修費用等が保険金により填補される制度です。業者が倒産していて補修が行えない場合等は,発注者や買主は,保険法人に直接保険金を請求することができます(以上,同法2条5項,6項)。
  他方,「保証金の供託」は,引き渡した新築住宅に瑕疵が判明した場合,業者が自ら補修するのが原則ですが,倒産などにより補修が困難になった場合に備えて,現金等を供託所(法務局等)に預け置く制度です。供託された保証金は,一定の条件を満たしたときに,発注者や買主からの請求により必要な金額が還付されます(住宅瑕疵担保履行法6条,14条)。
  業者がどのような資力確保の方法をとっているかについては,契約締結までに業者から交付された書面に記載されている(住宅瑕疵担保履行法3条2項,10条,11条2項,15条)ので,それをもう一度確認してみてください。

(参照条文)

民法
第566条 売買の目的物が地上権,永小作権,地役権,留置権又は質権の目的である場合において,買主がこれを知らず,かつ,そのために契約をした目的を達することができないときは,買主は,契約の解除をすることができる。この場合において,契約の解除をすることができないときは,損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は,売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前2項の場合において,契約の解除又は損害賠償の請求は,買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。
第570条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは,第566条の規定を準用する。ただし,強制競売の場合は,この限りでない。
(担保責任を負わない旨の特約)
第572条  売主は,第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても,知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については,その責任を免れることができない。
第638条 建物その他の土地の工作物の請負人は,その工作物又は地盤の瑕疵について,引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし,この期間は,石造,土造,れんが造,コンクリート造,金属造その他これらに類する構造の工作物については,10年とする。 2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し,又は損傷したときは,注文者は,その滅失又は損傷の時から1年以内に,第634条の規定による権利を行使しなければならない。 (担保責任を負わない旨の特約)
第640条  請負人は,第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても,知りながら告げなかった事実については,その責任を免れることができない。

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
第1条 この法律は,国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である住宅の備えるべき安全性その他の品質又は性能を確保するためには,住宅の瑕疵の発生の防止が図られるとともに,住宅に瑕疵があった場合においてはその瑕疵担保責任が履行されることが重要であることにかんがみ,建設業者による住宅建設瑕疵担保保証金の供託,宅地建物取引業者による住宅販売瑕疵担保保証金の供託,住宅瑕疵担保責任保険法人の指定及び住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅に関する紛争の処理体制等について定めることにより,住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号。以下「住宅品質確保法」という。)と相まって,住宅を新築する建設工事の発注者及び新築住宅の買主の利益の保護並びに円滑な住宅の供給を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第2条 この法律において「住宅」とは住宅品質確保法第2条第1項に規定する住宅をいい,「新築住宅」とは同条第2項に規定する新築住宅をいう。
2 この法律において「建設業者」とは,建設業法(昭和24年法律第100号)第2条3項に規定する建設業者をいう。
3 この法律において「宅地建物取引業者」とは,宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3項に規定する宅地建物取引業者をいい,信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関であって,宅地建物取引業法第2条第2号に規定する宅地建物取引業を営むもの(第12条第1項において「信託会社等」という。)を含むものとする。
4 この法律において「特定住宅瑕疵担保責任」とは,住宅品質確保法第94条第1項又は第95条第1項の規定による担保の責任をいう。
5 この法律において「住宅建設瑕疵担保責任保険契約」とは,次に掲げる要件に適合する保険契約をいう。
一 建設業者が保険料を支払うことを約するものであること。
二 その引受けを行う者が次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること。
イ 住宅品質確保法第94条第1項の規定による担保の責任(以下「特定住宅建設瑕疵担保責任」という。)に係る新築住宅に同項に規定する瑕疵がある場合において,建設業者が当該特定住宅建設瑕疵担保責任を履行したときに,当該建設業者の請求に基づき,その履行によって生じた当該建設業者の損害をてん補すること。
ロ 特定住宅建設瑕疵担保責任に係る新築住宅に住宅品質確保法第94条第1項に規定する瑕疵がある場合において,建設業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅建設瑕疵担保責任を履行しないときに,当該住宅を新築する建設工事の発注者(建設業法第2項第5項に規定する発注者をいい,宅地建物取引業者であるものを除く。以下同じ。)の請求に基づき,その瑕疵によって生じた当該発注者の損害をてん補すること。
三 前号イ及びロの損害をてん補するための保険金額が2000万円以上であること。
四 住宅を新築する建設工事の発注者が当該建設工事の請負人である建設業者から当該建設工事に係る新築住宅の引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたって有効であること。
五 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き,変更又は解除をすることができないこと。
六 前各号に掲げるもののほか,その内容が第2号イに規定する建設業者及び同号ロに規定する発注者の利益の保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること。
6 この法律において「住宅販売瑕疵担保責任保険契約」とは,次に掲げる要件に適合する保険契約をいう。
一 宅地建物取引業者が保険料を支払うことを約するものであること。
二 その引受けを行う者が次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること。
イ 住宅品質確保法第95条第1項の規定による担保の責任(以下「特定住宅販売瑕疵担保責任」という。)に係る新築住宅に同項に規定する隠れた瑕疵がある場合において,宅地建物取引業者が当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに,当該宅地建物取引業者の請求に基づき,その履行によって生じた当該宅地建物取引業者の損害をてん補すること。
ロ 特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅に住宅品質確保法第95条第1項に規定する隠れた瑕疵がある場合において,宅地建物取引業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときに,当該新築住宅の買主(宅地建物取引業者であるものを除く。第19条第2号を除き,以下同じ。)の請求に基づき,その隠れた瑕疵によって生じた当該買主の損害をてん補すること。
三 前号イ及びロの損害をてん補するための保険金額が2000万円以上であること。
四 新築住宅の買主が当該新築住宅の売主である宅地建物取引業者から当該新築住宅の引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたって有効であること。
五 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き,変更又は解除をすることができないこと。
六 前各号に掲げるもののほか,その内容が第2号イに規定する宅地建物取引業者及び同号ロに規定する買主の利益の保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること。

第3条 建設業者は,各基準日(毎年3月31日及び9月30日をいう。以下同じ。)において,当該基準日前10年間に住宅を新築する建設工事の請負契約に基づき発注者に引き渡した新築住宅について,当該発注者に対する特定住宅建設瑕疵担保責任の履行を確保するため,住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
2 前項の住宅建設瑕疵担保保証金の額は,当該基準日における同項の新築住宅(当該建設業者が第17条第1項に規定する住宅瑕疵担保責任保険法人(以下この章及び次章において単に「住宅瑕疵担保責任保険法人」という。)と住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結し,保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に交付した場合における当該住宅建設瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。以下この条において「建設新築住宅」という。)の合計戸数の別表の上欄に掲げる区分に応じ,それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で,建設新築住宅の合計戸数を基礎として,新築住宅に住宅品質確保法第94条第1項に規定する瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を勘案して政令で定めるところにより算定する額(以下この章において「基準額」という。)以上の額とする。
3 前項の建設新築住宅の合計戸数の算定に当たっては,建設新築住宅のうち,その床面積の合計が政令で定める面積以下のものは,その2戸をもって1戸とする。
4 前項に定めるもののほか,住宅を新築する建設工事の発注者と2以上の建設業者との間で締結された請負契約であって,建設業法第19条第1項の規定により特定住宅建設瑕疵担保責任の履行に係る当該建設業者それぞれの負担の割合が記載された書面が相互に交付されたものに係る建設新築住宅その他の政令で定める建設新築住宅については,政令で,第2項の建設新築住宅の合計戸数の算定の特例を定めることができる。
5 第1項の住宅建設瑕疵担保保証金は,国土交通省令で定めるところにより,国債証券,地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債,株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第278条第1項に規定する振替債を含む。以下同じ。)をもって,これに充てることができる。
6 第1項の規定による住宅建設瑕疵担保保証金の供託は,当該建設業者の主たる事務所の最寄りの供託所にするものとする。
第6条 第3条第1項の規定により住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている建設業者(以下「供託建設業者」という。)が特定住宅建設瑕疵担保責任を負う期間内に,住宅品質確保法第94条第1項に規定する瑕疵によって生じた損害を受けた当該特定住宅建設瑕疵担保責任に係る新築住宅の発注者は,その損害賠償請求権に関し,当該供託建設業者が供託をしている住宅建設瑕疵担保保証金について,他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利を有する者は,次に掲げるときに限り,同項の権利の実行のため住宅建設瑕疵担保保証金の還付を請求することができる。
一 当該損害賠償請求権について債務名義を取得したとき。
二 当該損害賠償請求権の存在及び内容について当該供託建設業者と合意した旨が記載された公正証書を作成したときその他これに準ずる場合として国土交通省令で定めるとき。三 当該供託建設業者が死亡した場合その他当該損害の賠償の義務を履行することができず,又は著しく困難である場合として国土交通省令で定める場合において,国土交通省令で定めるところにより,前項の権利を有することについて国土交通大臣の確認を受けたとき。
3 前項に定めるもののほか,第1項の権利の実行に関し必要な事項は,法務省令・国土交通省令で定める。
第10条 供託建設業者は,住宅を新築する建設工事の発注者に対し,当該建設工事の請負契約を締結するまでに,その住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅建設瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について,これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
第11条 宅地建物取引業者は,各基準日において,当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について,当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため,住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
2 前項の住宅販売瑕疵担保保証金の額は,当該基準日における同項の新築住宅(当該宅地建物取引業者が住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結し,保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付した場合における当該住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。以下この条において「販売新築住宅」という。)の合計戸数の別表の上欄に掲げる区分に応じ,それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で,販売新築住宅の合計戸数を基礎として,新築住宅に住宅品質確保法第95条第1項に規定する隠れた瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を勘案して政令で定めるところにより算定する額(第13条において「基準額」という。)以上の額とする。
3 前項の販売新築住宅の合計戸数の算定に当たっては,販売新築住宅のうち,その床面積の合計が政令で定める面積以下のものは,その2戸をもって1戸とする。
4 前項に定めるもののほか,新築住宅の買主と2以上の自ら売主となる宅地建物取引業者との間で締結された売買契約であって,宅地建物取引業法第37条第1項の規定により当該宅地建物取引業者が特定住宅販売瑕疵担保責任の履行に係る当該宅地建物取引業者それぞれの負担の割合が記載された書面を当該新築住宅の買主に交付したものに係る販売新築住宅その他の政令で定める販売新築住宅については,政令で,第2項の販売新築住宅の合計戸数の算定の特例を定めることができる。
5 第1項の住宅販売瑕疵担保保証金は,国土交通省令で定めるところにより,国債証券,地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券をもって,これに充てることができる。
6 第1項の規定による住宅販売瑕疵担保保証金の供託は,当該宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所にするものとする。

第14条 第11条第1項の規定により住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている宅地建物取引業者(以下「供託宅地建物取引業者」という。)が特定住宅販売瑕疵担保責任を負う期間内に,住宅品質確保法第95条第1項に規定する隠れた瑕疵によって生じた損害を受けた当該特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅の買主は,その損害賠償請求権に関し,当該供託宅地建物取引業者が供託をしている住宅販売瑕疵担保保証金について,他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利を有する者は,次に掲げるときに限り,同項の権利の実行のため住宅販売瑕疵担保保証金の還付を請求することができる。
一 当該損害賠償請求権について債務名義を取得したとき。
二 当該損害賠償請求権の存在及び内容について当該供託宅地建物取引業者と合意した旨が記載された公正証書を作成したときその他これに準ずる場合として国土交通省令で定めるとき。
三 当該供託宅地建物取引業者が死亡した場合その他当該損害の賠償の義務を履行することができず,又は著しく困難である場合として国土交通省令で定める場合において,国土交通省令で定めるところにより,前項の権利を有することについて国土交通大臣の確認を受けたとき。
3 前項に定めるもののほか,第1項の権利の実行に関し必要な事項は,法務省令・国土交通省令で定める。
第15条 供託宅地建物取引業者は,自ら売主となる新築住宅の買主に対し,当該新築住宅の売買契約を締結するまでに,その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について,これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
第17条 国土交通大臣は,特定住宅瑕疵担保責任その他住宅の建設工事の請負又は住宅の売買に係る民法(明治29年法律第89号)第634条第1項若しくは第2項前段又は同法第570条において準用する同法566条第1項に規定する担保の責任の履行の確保を図る事業を行うことを目的とする一般社団法人,一般財団法人その他政令で定める法人であって,第19条に規定する業務(以下「保険等の業務」という。)に関し,次に掲げる基準に適合すると認められるものを,その申請により,住宅瑕疵担保責任保険法人(以下「保険法人」という。)として指定することができる。
一 保険等の業務を的確に実施するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有し,かつ,保険等の業務に係る収支の見込みが適正であること。二 職員,業務の方法その他の事項についての保険等の業務の実施に関する計画が,保険等の業務を的確に実施するために適切なものであること。
三 役員又は構成員の構成が,保険等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
四 保険等の業務以外の業務を行っている場合には,その業務を行うことによって保険等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
2 国土交通大臣は,前項の申請をした者が次の各号のいずれかに該当するときは,同項の規定による指定(以下単に「指定」という。)をしてはならない。
一 この法律の規定に違反して,刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者であること。
二 第30条第1項又は第2項の規定により指定を取り消され,その取消しの日から起算して2年を経過しない者であること。
三 その役員のうちに,次のいずれかに該当する者があること。
イ 第1号に該当する者
ロ 第20条第2項の規定による命令により解任され,その解任の日から起算して2年を経過しない者

住宅の品質確保の促進等に関する法律
第2条 この法律において「住宅」とは,人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
2 この法律において「新築住宅」とは,新たに建設された住宅で,まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。
3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは,住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって,次条の規定により定められたものをいう。
4 この法律において「住宅購入者等」とは,住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし,若しくはしようとする者又は購入され,若しくは建設された住宅に居住をし,若しくはしようとする者をいう。

第94条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては,請負人は,注文者に引き渡した時から10年間,住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について,民法(明治29年法律第89号)第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。
2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは,無効とする。
3 第1項の場合における民法第638条第2項の規定の適用については,同項中「前項」とあるのは,「住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条第1項」とする。
第95条 新築住宅の売買契約においては,売主は,買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては,その引渡しの時)から10年間,住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について,民法第570条において準用する同法第566条第1項並びに同法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において,同条第1項及び第2項前段中「注文者」とあるのは「買主」と,同条第1項中「請負人」とあるのは「売主」とする。
2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは,無効とする。
3 第1項の場合における民法第566条第3項の規定の適用については,同項中「前2項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条第1項」と,「又は」とあるのは「,瑕疵修補又は」とする。

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