新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.776、2008/3/25 13:33 https://www.shinginza.com/qa-jiko.htm

【民事・交通事故・後遺症逸失利益と事故後の年収が変わらない場合】

質問:私は,民間企業に勤務(年収500万円)をしておりましたが,昨年,交通事故に遭い,足に重傷を負い,後遺障害(後遺障害等級14級,症状固定時40歳)が残りました。加害者は脇見運転をしていたため,私は,現在,加害者に対して,損害賠償請求をしております。しかし,加害者からは,私の収入が事故後も下がっていないことから,逸失利益は支払うことはできないと主張されております。逸失利益は認められないのでしょうか。

回答:
(1)結論から申しますと,後遺障害が残存しても,減収がない場合,原則として,逸失利益は認められないと考えられます。
(2)但し,@あなたが,後遺障害による労働能力低下による減収を回復すべく,特別の努力をしていて,その特別の努力がなければ,減収になっていたような場合や,Aあなたの会社の業種やあなたの仕事内容等から,特に昇給,昇任等に際して不利益な取扱いを受けるおそれがあるような場合などでは,逸失利益は認められる可能性があると考えられます。以下,詳しくご説明します。

解説:
1,まず,逸失利益について,ご説明します。交通事故等で,被害者が死亡したり,被害者に後遺障害が残り労働能力が低下した場合,仮に,加害者の加害行為がなければ,被害者は,将来の労働等によってどれだけの利益を得られたかという問題が生じます。これを,「将来得べかりし利益」などと呼ぶこともありますが,裁判実務では,一般的に,「逸失利益」と呼んでおります。逸失利益は,このように将来にわたる消極的な損害のことをいいますので,単に傷害の被害を受けた場合は問題にならず,被害者が死亡したり,被害者に後遺障害が残り労働能力が低下した場合のように,将来にわたって損害が生じる場合に問題になります。

2,具体的に検討する前に,交通事故における「逸失利益」の算定についての基本的な考え方,特殊性をご説明します。逸失利益とは簡単に言えば,被害者の事故による労働能力喪失について将来生じるであろう総合的損害の算定を,治療が終了し傷害の症状が固定した時点で算定するものです。すなわち,将来の損害なのです(将来の介護費,治療費も同様です)。民法709条不法行為の基本原則から言えば,将来の損害は発生が経験則上明らかであるものを除いて(例えば死亡による逸失利益)認められません。なぜなら,不法行為による損害の賠償請求とは他人の権利侵害により現実に生じた損害を請求する制度だからです。現実に発生していない損害を賠償する事を認めては加害者に不利益ですし,損害が現実に発生した時に請求を認めれば何も被害者にとり特別不利益とはいえないでしょう。私的自治の原則は過失責任主義を採用し,過失がなければ国民は自由に活動することができると言う論理からも,不確定な将来の損害を推定し被害者に認めることは出来ないはずです。しかし,この考え方は,交通事故による損害の算定では修正されなければなりません。私的自治の原則の理想は,適生,公平な経済,社会秩序の建設であり個人の尊厳の実質的確保です。交通事故の本質的原因は,存在そのものが危険性を有する自動車の出現にありますから,公平上その様な危険物を運転する加害者に一定の責任(危険責任,土地工作物のように報償責任の面もあります)を負わせる必要があります。又,不法行為の一般原則からすれば,被害者が過失を含め損害の具体的発生まで立証責任を負うことになりますが,被害が将来にわたり長期間に及ぶ場合,これについてその時期ごとに立証して,損害を請求することを要求する事は被害者救済,被害者の生きる権利,個人の尊厳を守ると言う点から不都合です。更には,請求が認められたとしても加害者に財産がなければ実質的救済は不可能です。

そこで,709条の原則を修正して適性,公平,実質的被害者の救済の理念により昭和30年民法の特別法として,自動車損害賠償保障法(自賠法)という法律が制定されました。その中心内容は,簡単に言うと被害者から加害者側への挙証責任の(事実上の)転換と被害救済のための責任保険の強制(自賠法5条,強制保険に加入しないと運転ができません)及び運行供用者という責任主体の拡大です(車両の所有者は運転していなくても責任があります)。自賠法の中心である強制保険は実質的迅速,公平適正な損害填補のためにあるのですが,そのためには将来の損害である逸失利益について被害者の損害立証を事実上軽減,転換するために昭和30年の自動車損害賠償保障法施行令(及び厚生労働省労働基準局長通達)により,現在までの判例等の類型,集積化により後遺障害別等級表が定められ後遺症等級,労働喪失率,保険額が明らかにされているのです(この表は労働者災害補償保険法,いわゆる労災保険法を準用しています。いわゆる「赤本」にも掲載されています)。自賠法の強制保険は最高4000万円(一般的には3000万円)ですが,その額を超える損害請求,訴訟については,当該等級表により被害者が将来の損害を具体的に立証できなくても,診断書による認定を受ければ事実上の損害の推定と言う事で請求が可能です。貴方の後遺障害等級14級もこの表に基づいています。しかし,この表はあくまで被害や救済のための一般的に類型化,推定ですから,加害者側が反証し有利な事情を主張することを妨げるものではありません。又,被害者も有利な事情を主張することは可能です。しかし,その具体的判断に当たっては適正公平な被害者の救済という自賠法の目的に従い解釈されなければならないわけです。

3,では,本件について具体的にご説明いたします。本件のように後遺障害が残った場合,逸失利益をどのように計算すべきでしょうか。この点,裁判実務では,「@基礎収入額×A労働能力喪失率×B就労可能年齢に達する年齢に対応する中間利息控除係数」で計算しております。以下,順にご説明します。

4,まず,@「基礎収入額」は,裁判実務では,有職者の場合,原則として,事故前の年収額を基礎とします。本件では,事故前のあなたの年収は500万円でしたので,この金額が基礎となります。

5,次に,A「労働能力喪失率」とは,労働能力の低下の程度のことをいいます。この点,労働能力の低下の程度は,本来であれば,被害者毎に,後遺障害が残存する身体の部位,障害の程度,事故前に従事していた仕事の職種・内容,事故後の減収の程度,今後転職する可能性等を総合的に考慮して決めることになります。しかし,被害者毎に,その労働能力の低下の程度を評価するのは困難を伴う場合がありますし,また,裁判実務では,毎日のように全国の裁判所に提訴される多くの損害賠償請求訴訟を迅速かつ公平に処理すべき要請もあります。そこで,「労働能力喪失率」は,裁判実務では,ある程度定型的に決められる傾向にあります。そして,裁判実務で尊重される基準として,財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤本」)があります。その基準(平成19年度版赤本)によりますと,「労働能力喪失率」は,本件のように,後遺障害等級14級の場合,0.05とされております。すなわち,足に後遺障害等級14級の後遺障害が残ったことにより,後遺障害が残らなかった場合に比べ,5%労働能力が低下し,その分収入も減額になったと考えられているということになります。一般的に,後遺障害等級が重い程,労働能力の低下の程度は大きいと考えられますし,後遺障害等級は客観的に決められておりますので,裁判実務では,基本的に,後遺障害等級を基準としております。

6,最後に,B「就労可能年齢に達する年齢に対応する中間利息控除係数」について,ご説明します。まず,「就労可能年齢」は,裁判実務では,一般的に,67歳とされております。すなわち,67歳まで働くことができたと考えられております。次に,「中間利息控除係数」とは,仮に,後遺障害が残らなければ,67歳まで収入がありますが,将来に及んで発生する損害額を,通常は一時払いされることになりますので,その間の利息相当額を控除すべきとの考えに基づくものです。そして,本件の場合の「就労可能年齢に達する年齢(67歳−40歳=27歳)に対応する中間利息控除係数」は,平成19年版赤本の基準によりますと,14.643とされております。

7,以上より,本件の場合,逸失利益は,「500万円×0.05×14.643=366万0750円」認められる可能性があります。

8,しかし,本件では,あなたは,加害者から,あなたの収入が事故後も下がっていないことから,逸失利益は支払うことはできないと主張されております。そこで,このように,後遺障害が残存しても,減収がない場合,逸失利益が認められるかが問題となります。この点,本件では,「労働能力喪失率」は,上記のように,裁判実務では,一般的に,0.05とされておりますが,これは,主に損害の定型化の観点から認められるものです。「労働能力喪失率」(労働能力の低下の程度)は,上記のように,本来であれば,被害者毎に,後遺障害が残存する身体の部位,障害の程度,事故前に従事していた仕事の職種・内容,事故後の減収の程度,今後転職する可能性等を総合的に考慮して決めることになりますので,0.05が必ず認められるわけではありません。そして,そもそも,逸失利益とは,上記のように,仮に,加害者の加害行為がなければ,将来の労働等によって得られたであろう経済的損害のことをいいますので,事故後も減収がない場合には,損害が観念できないことから,原則として,逸失利益は認められないと考えられます。

9,この点,最高裁昭和56年12月22日判決も,「かりに交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体を損害と観念することができるとしても,その後遺症の程度が比較的軽微であって,しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないという場合においては,特段の事情のない限り,労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。」と判示しております。

10,しかし,後遺障害が残存しても,減収がない場合,原則として,逸失利益は認められないと考えられますが,例外的に,認められる場合はあると考えられます。例えば,後遺障害の残存により,通常であれば,減収になると考えられるところ,本人が特別の努力をしたことにより,減収を免れている場合にまで,逸失利益を認めないのは,損害の公平な分担と被害者の救済を目的とした損害賠償制度の趣旨に反する結果になると考えられます。また,事故後1年しかたっていない現時点では,減収になっていないが,後遺障害の残存により,今後,昇給,昇任等に際して不利益な取扱を受けるおそれがある場合にまで,逸失利益を認めないのは,損害の公平な分担と被害者の救済を目的とした損害賠償制度の趣旨に反する結果になると考えられます。

11,この点,最高裁昭和56年12月22日判決も,「後遺症に起因する労働能力低下に基づく財産上の損害があるというためには,たとえば,事故の前後を通じて収入の変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであって,かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか,労働能力喪失の程度が軽微であっても,本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし,特に昇給,昇任,転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など,後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべきである。」と判示しております。よって,上記のような特段の事情がある場合には,逸失利益は認められると考えられますので,加害者に十分主張すべきです。

12,より詳しく相談したい場合には,交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

≪条文参照≫

自動車損害賠償保障法
(この法律の目的)
第一条  この法律は,自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより,被害者の保護を図り,あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。
(保険金額)
第十三条  責任保険の保険金額は,政令で定める。
2  前項の規定に基づき政令を制定し,又は改正する場合においては,政令で,当該政令の施行の際現に責任保険の契約が締結されている自動車についての責任保険の保険金額を当該制定又は改正による変更後の保険金額とするために必要な措置その他当該制定又は改正に伴う所要の経過措置を定めることができる。

自動車損害賠償保障法施行令
(保険金額)
第二条  法第十三条第一項 の保険金額は,死亡した者又は傷害を受けた者一人につき,次のとおりとする。
一  死亡した者
イ 死亡による損害(ロに掲げる損害を除く。)につき
                   三千万円
ロ 死亡に至るまでの傷害による損害につき
                   百二十万円
二  介護を要する後遺障害(傷害が治つたとき身体に存する障害をいう。以下同じ。)をもたらす傷害を受けた者
イ 別表第一に定める等級に該当する介護を要する後遺障害が存する場合(同一の等級に該当する介護を要する後遺障害が二存する場合を含む。)における当該介護を要する後遺障害による損害(ロに掲げる損害を除く。)につき
                    当該介護を要する後遺障害の該当する等級に応ずる同表に定める金額
ロ 介護を要する後遺障害に至るまでの傷害による損害につき
                    百二十万円
三  傷害を受けた者(前号に掲げる者を除く。)
イ 傷害による損害(ロからヘまでに掲げる損害を除く。)につき
                   百二十万円
ロ 別表第二に定める第五級以上の等級に該当する後遺障害が二以上存する場合における当該後遺障害による損害につき
                    重い後遺障害の該当する等級の三級上位の等級に応ずる同表に定める金額
ハ 別表第二に定める第八級以上の等級に該当する後遺障害が二以上存する場合(ロに掲げる場合を除く。)における当該後遺障害による損害につき
                    重い後遺障害の該当する等級の二級上位の等級に応ずる同表に定める金額
ニ 別表第二に定める第十三級以上の等級に該当する後遺障害が二以上存する場合(ロ及びハに掲げる場合を除く。)における当該後遺障害による損害につき
                    重い後遺障害の該当する等級の一級上位の等級に応ずる同表に定める金額(その金額がそれぞれの後遺障害の該当する等級に応ずる同表に定める金額を合算した金額を超えるときは,その合算した金額)
ホ 別表第二に定める等級に該当する後遺障害が二以上存する場合(ロからニまでに掲げる場合を除く。)における当該後遺障害による損害につき
                    重い後遺障害の該当する等級に応ずる同表に定める金額
ヘ 別表第二に定める等級に該当する後遺障害が存する場合(ロからホまでに掲げる場合を除く。)における当該後遺障害による損害につき
                    当該後遺障害の該当する等級に応ずる同表に定める金額
2  法第十三条第一項 の保険金額は,既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによつて同一部位について後遺障害の程度を加重した場合における当該後遺障害による損害については,当該後遺障害の該当する別表第一又は別表第二に定める等級に応ずるこれらの表に定める金額から,既にあつた後遺障害の該当するこれらの表に定める等級に応ずるこれらの表に定める金額を控除した金額とする。

別表第一 (第二条関係)

等級
介護を要する後遺障害
保険金額

第一級
一 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
二 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
四千万円

第二級
一 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
二 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
三千万円

備考 各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であつて,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする。
別表第二 (第二条関係)

等級
後遺障害
保険金額

第一級
一 両眼が失明したもの
二 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
三 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
四 両上肢の用を全廃したもの
五 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
六 両下肢の用を全廃したもの
三千万円

第二級
一 一眼が失明し,他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
二 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
三 両上肢を手関節以上で失つたもの
四 両下肢を足関節以上で失つたもの
二千五百九十万円

第三級
一 一眼が失明し,他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
二 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
三 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの
四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの
五 両手の手指の全部を失つたもの
二千二百十九万円

第四級
一 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
二 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
三 両耳の聴力を全く失つたもの
四 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
五 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
六 両手の手指の全部の用を廃したもの
七 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
千八百八十九万円

第五級
一 一眼が失明し,他眼の視力が〇・一以下になつたもの
二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
四 一上肢を手関節以上で失つたもの
五 一下肢を足関節以上で失つたもの
六 一上肢の用を全廃したもの
七 一下肢の用を全廃したもの
八 両足の足指の全部を失つたもの
千五百七十四万円

第六級
一 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
二 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
三 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
四 一耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
五 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
六 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
七 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
八 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
千二百九十六万円

第七級
一 一眼が失明し,他眼の視力が〇・六以下になつたもの
二 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
三 一耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
四 神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
五 胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
六 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
七 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
八 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
九 一上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの
十 一下肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの
十一 両足の足指の全部の用を廃したもの
十二 女子の外貌に著しい醜状を残すもの
十三 両側の睾丸を失つたもの
千五十一万円

第八級
一 一眼が失明し,又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
二 脊柱に運動障害を残すもの
三 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
四 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
五 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
六 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
七 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
八 一上肢に偽関節を残すもの
九 一下肢に偽関節を残すもの
十 一足の足指の全部を失つたもの
八百十九万円

第九級
一 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
二 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
三 両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの
四 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
五 鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの
六 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
七 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
八 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
九 一耳の聴力を全く失つたもの
十 神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
十一 胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
十二 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
十三 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
十四 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
十五 一足の足指の全部の用を廃したもの
十六 生殖器に著しい障害を残すもの
六百十六万円

第十級
一 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
二 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
三 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
四 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
五 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
六 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
七 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
八 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
九 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
十 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
十一 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
四百六十一万円

第十一級
一 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
二 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
三 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
四 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
五 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
六 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
七 脊柱に変形を残すもの
八 一手のひとさし指,なか指又はくすり指を失つたもの
九 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
十 胸腹部臓器の機能に障害を残し,労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
三百三十一万円

第十二級
一 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
二 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
三 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
四 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
五 鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
六 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
七 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
八 長管骨に変形を残すもの
九 一手のこ指を失つたもの
十 一手のひとさし指,なか指又はくすり指の用を廃したもの
十一 一足の第二の足指を失つたもの,第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
十二 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
十三 局部に頑固な神経症状を残すもの
十四 男子の外貌に著しい醜状を残すもの
十五 女子の外貌に醜状を残すもの
二百二十四万円

第十三級
一 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
二 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
三 一眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの
四 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
五 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
六 一手のこ指の用を廃したもの
七 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
八 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
九 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
十 一足の第二の足指の用を廃したもの,第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
十一 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
百三十九万円

第十四級
一 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
二 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
三 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
四 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
五 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
六 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
七 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
八 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
九 局部に神経症状を残すもの
十 男子の外貌に醜状を残すもの
七十五万円

労働能力の喪失率

自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合

障害等級
労働能力喪失率

第1級
100/100

第2級
100/100

自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合

障害等級
労働能力喪失率

第1級
100/100

第2級
100/100

第3級
100/100

第4級
92/100

第5級
79/100

第6級
67/100

第7級
56/100

第8級
45/100

第9級
35/100

第10級
27/100

第11級
20/100

第12級
14/100

第13級
9/100

第14級
5/100


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