新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.474、2006/9/21 13:28 https://www.shinginza.com/qa-jiko.htm

[民事・不法行為]
質問:飼い犬が交通事故に遭い,死んでしまいました。長い間家族同然に飼ってきましたが,精神的苦痛に対する慰謝料を請求できますか。

回答:
1,犬は,法律上,物として扱われますので,本件は,物的損害に関する事件として取り扱われることになります。(民法85条「この法律において物とは、有体物をいう」)そして,裁判例を検討すると,物的損害しかない場合に,精神的苦痛に対する慰謝料が認められることは,極めて例外的です。これは,物的損害については,一般的に,その損害が補填されれば問題なく,慰謝料を認める必要はないと考えられるからです。
2,ただ,本件のように,長い間家族同然に飼ってきた犬を死なされた場合,単に,その損害(その犬と同種同等の犬の売買相場金額)を補填されれば済む問題ではないと考えられ,慰謝料請求が認められる場合もあると考えられます。本件と同種の事案で,東京高裁平成16年2月26日判決は,慰謝料5万円を認めました。
3,ただ,愛玩用動物が死んだからといって,慰謝料請求が必ず認められるわけではありません。例えば,飼育してきた競走馬が交通事故により死亡した事案につき,競走馬は売却を予定された商品であることを理由に,慰謝料請求を否定した判例(札幌高裁昭和56年4月27日判決)もあります。また,愛玩用動物が死亡した事情に加えて,加害行為が悪質であることや加害者に不誠実な態度があること等の事情も考慮して,慰謝料請求を認めている判例も多く,愛玩用動物が死亡した事情のみで,慰謝料請求が必ず認められるとは限りません。様々な事情を考慮して判断する必要があるため,お近くの弁護士に相談するのがよいでしょう。

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