新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.401、2006/4/26 15:48 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm

[債務整理・任意整理]
質問:最近,ある大手消費者金融に対して金融庁から営業停止の行政処分が出たとの報道があり,これに関連していわゆるグレーゾーンの廃止に関する議論をよく耳にします。実は,私も大手消費者金融数社から借入をしているのですが,いずれもそのグレーゾーンの範囲に入る金利で契約しています。このグレーゾーンというのは,一体どういうものなのでしょうか。また,グレーゾーンの範囲内にある私の金利が下がることはあるのでしょうか。よろしくお願いします。

1、ご質問のグレーゾーンとは,簡単に言うと,貸金の利息について,「民事上は無効扱いになるが,刑事上は処罰されない利息」のことをいいます。大手消費者金融からの借入に限らず,金銭の借入をする際,通常,当事者間で利息を設定した上で契約(金銭消費貸借契約)をしますが,この利息につき,現行法上(平成18年4月現在),おおまかにいって,2つの規制が設けられています。
2、1つ目は,利息制限法による民事上の制限であり,これによると,元本が10万円未満の場合は年20%,10万円以上100万円以下の場合は年18%,100万円以上の場合は年15%という上限が決められており,これ以上の利息での貸付につき,その超過した部分については民法上原則として無効ということになり,超過して支払った利息については,不当利得(民法703条,704条)として,法律上,貸主に対して返還請求できます(ただし,これには「みなし弁済」という例外があります。貸金業の規制等に関する法律43条)。
3、そして,2つ目は,出資法(出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律)による刑事上の制限であり,現行の出資法によると,業者が貸付を行う場合,元本額にかかわらず年29.2%を超える金利での利息契約をした者に対して,懲役や罰金といった重い刑事罰が科せられるとされています。
4、やや分かりにくいところもありますが,以上のように,年15〜20%以上年29.2%以下の利息をグレーゾーンと呼び,民事上は原則無効であるにもかかわらず,刑事上の処罰の対象にならないことから,ほとんどの消費者金融業者はこのグレーゾーン,しかも上限の29.2%に限りなく近い金利での貸付を行っています。
5、次に,契約した金利が下がるかについてですが,例えば,借りている本人が消費者金融業者に対して利息制限法の範囲内の金利に変更して欲しいと任意の交渉をしたとしても,残念ながら,これに応じる業者はまずいないというのが現状です。
6、しかし,利息制限法の制限を超えた利息については,あくまで民法上原則無効であり,返還請求できるものですので,弁護士や司法書士等の専門家に,任意整理という債務整理を依頼し,相手方業者と交渉してもらうことによって,これまで払いすぎていた利息部分を残元本に充当したり,計算上,元本までも超えて支払っていた場合には,その超過部分の返還請求を行ったりすることができます。
7、ただ,このような手続を依頼すると,信用情報期間に登録(いわゆるブラックリスト)され,一定期間,新規の借入ができなくなるなど,一定のデメリットもございますので注意が必要です。

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