新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.350、2006/2/6 13:47 https://www.shinginza.com/syouhisya.htm

[民事・消費者]
質問:消費者被害として、展示会商法、SF(催眠)商法、点検商法、開運商法、内職商法、原野商法などいろいろありますが、消費者問題のための法的救済としてどのようなものがありますか。具体的にどのように解決できるのでしょうか。

回答:
1、消費者問題を救済するための法律として、消費者契約法と特定商取引に関する法律(特定商取引法)があります。消費者契約法によると、消費者と事業者が締結した契約に関し、虚偽告知や断定的判断の提供、不利益事実の不告知、不退去などの事由があるときには、当該契約を取消すことができる消費者取消権が認められています(消費者契約法4条)。また、契約の内容に消費者にとって不利となる事業者の損害賠償責任を免除する特約や消費者が事業者に支払う損害賠償の額を予定する条項がある場合には、その効力は無効とされています(消費者契約法8条、9条)。
2、特定商取引法は、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売、特定継続的役務提供、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引などの取引形態を規制対象としており、クーリング・オフなどの規定が設けられ、消費者の保護を目的とした規制が強化されています。平成16年11月に改正がなされ、事業者の責任の明確化、消費者の被害救済が強化されました。
3、具体的な消費者トラブルとして、展示会商法、SF催眠商法、点検商法、開運商法、内職商法、原野商法などいろいろあります。以下、それぞれについて具体的に説明します。まず、展示会商法とは、ホテルなどに展示会を開催して、そこに高齢の女性を誘い込んで着物や毛皮などの高額な商品を巧みな勧誘文句で売りつける商法です。この商法の場合、展示会が「店舗に類する場所」に該当すると評価できれば、クーリング・オフによって無条件解約が可能です。次に、SF催眠商法とは、大勢の高齢者などを会場に誘いこみ、日用品などを無料でサービス品として配り、巧みな話術によって安心信頼させて、高齢者らをある種の興奮状態に陥らせて冷静な判断能力を失わせたところで、そこにつけこんで高級布団や健康食品などの高額な商品を売りつける商法です。この商法は、特定商取引法2条1項2号の訪問販売に該当すると評価できる場合に、クーリング・オフによって無条件解約が可能です。点検商法とは、市役所の水道局員などを装い、条例に基づく水質調査の必要があるなどとうそをついて自宅に上がりこみ虚偽の調査などをして安心させた上で、水質調査の結果水が汚染されていて健康が害されると嘘の調査結果を告げて、消費者の不安を煽って高額な浄水器などを売りつける商法です。開運商法とは、消費者やその家族に運気の悪さ、悪霊がついているなどとその健康や財産などの不安を煽り、一定の商品を身に着ければその不安を除去し開運をすることができると騙し、高額商品を売りつける商法です。内職商法とは、ワープロによる書類作成などの内職を、簡単に自宅で高収入が得られると消費者の興味を煽る勧誘文句で誘い、内職の前提として登録料などの高額な前払いの費用負担を求めてきて、結果的に内職を提供しなかったり、報酬を支払わなかったりする商法です。これは、モニター商法とともに業務提供誘引販売取引に該当します。契約書面を受け取ってから、20日以内はクーリング・オフが可能です。原野商法とは、北海道などの価値の低い山林や原野を、将来鉄道が敷設されることや工場、住宅の開発計画があるなどの虚偽の情報を伝えて、消費者に不動産価値の高騰を期待させて、山林原野を高値で売りつける商法です。宅地建物取引業法37条の2に違反する余地もあります。
4、具体的な解決の方法としては、まず、クーリング・オフによる無条件解約の方法があります。原則として、政令でクーリング・オフができると指定されている商品(クーリング・オフ適用除外商品でない)で、販売業者の営業所以外の場所で締結された契約であれば、通常、契約書を受領したときから8日以内に、申し込みの撤回や解除の意思表示を記載した書面を発信すれば、無条件解約できます。また、内職商法などの業務提供誘引販売取引の場合には、契約書を受領したときから20日以内はクーリング・オフができます。また、訪問販売の場合には、一定の要件を満たせば、特定商取引法に基づく取消しをすることもできます。さらに、前述の消費者契約法に基づく消費者取消権を行使して契約の解消をする方法もあります。現実問題としては、当該取引の具体的な状況によって、取消しが可能かどうか異なります。したがって、もし消費者被害を受けたと思ったときは、早急にお近くの弁護士の法律相談を受けて、具体的な事情を説明し、取消しが可能かどうか相談を受けることをお勧めします。また、クーリング・オフは、日数の制限がなされていますので、すみやかに書面で意思表示をすべきです。

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