新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.308、2005/11/16 9:45 https://www.shinginza.com/qa-souzoku.htm

[民事・登記]
質問:父親が亡くなり、建物を相続しましたが、敷地が曽祖父名義(60年前に戦死)になっています。土地の固定資産税は20年以上父親が払っていました。祖父の兄弟は5人で、それぞれの子供(父の従兄弟)は20人以上になります。敷地の名義移転をするには全員の承諾が必要でしょうか。

回答:
1、敷地の名義移転をするということは、その不動産の登記をあなた名義に移転するということです。登記を移転するには、登記原因が必要です。登記原因とは、簡単に言えば、その不動産があなたの物になった経緯(売買、相続など)です。本件については、ご質問の敷地が相続によってあなたの所有になるまでに、3回の相続が行われていることになります。3回の相続の結果、あなたの所有になっているのかどうかを確認する必要があります。
2、まず、曽祖父が亡くなり、祖父に土地が相続されたときの事情を検討します。曽祖父が亡くなったのは60年前ですので、昭和20年当時の民法が適用されます。当時の民法は、家督相続が基本であり、遺産は、家督相続人が全て相続します。家督相続人がいない場合は、当時の民法の割合で遺産分割が行われます。家督相続人は「長男」が最優先ですので、まずは、祖父が長男であるかどうかを戸籍などで調べることになります。
3、ご質問の内容から、祖父には兄弟が5人いて、その子供たちは20人以上ということですが、祖父が長男であれば、単独で遺産を相続することになりますので、祖父の兄弟にもその子供たちにも相続権はなく、特に承諾は要らないことになります。
4、次に、祖父が亡くなったときの事情を同様に調査します。亡くなった時期(民法の相続に関する部分は昭和23年、昭和55年に改正されています)により、相続分はどのようになっているか、遺言などはなかったか、などです。祖父の子供が父親一人で、両親ともに他界しているのであれば、遺産は全て子、すなわち父親のものになると考えてよいでしょう。
5、最後に、あなたの相続の問題を検討します。現在は、配偶者2分の1、子2分の1という法定相続分になっています。自分以外に父の遺産を相続する権利のあるものはいないか、遺言は残っていないかなどを調査します。
6、祖父が長男、父親に敷地の相続権あり、自分の相続権にも問題がない、ということであれば、承諾などを得ることなく相続の登記が可能です。登記原因を証する資料として、戸籍謄本などを添付の上、登記移転手続きを行うことになります。登記移転手続きについては、お近くの司法書士を依頼されると良いでしょう。なお、解説と異なり、別に相続権を有している親戚が存在した場合でも、お父様が20年間その建物を自己のものとして占有していた場合(居住していた・税金を支払っていたなど)、時効取得を主張できる可能性もあります。そのような可能性がある場合には、時効を援用するなどの行為が必要になりますので、お近くの弁護士に相談されることをお勧めいたします。

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