新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.300、2005/10/12 10:55 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm

[民事・不法行為]
質問:私には夫がいます。同じ職場のやはり妻のいる男性と不倫関係になっていましたが,それが相手の妻に発覚してしまったようで,先日,相手方の弁護士から慰謝料を支払えという内容証明が届きました。今後どうすればよいでしょうか。何とか自分の夫や職場の人には,このことが知れないようにしたいのですが,可能でしょうか。

回答:
1、今後の流れとしては,まず,相手方の代理人との連絡を取り,慰謝料額についての交渉をすることになります。そこで話がまとまれば裁判にならずに和解となりますが,まとまらなければ,相手がさらに裁判まですすむかという判断をし,裁判となれば,あなたとしてはそれに応じざるを得ず,裁判過程でも和解できなければ,判決によって慰謝料の額が決まるということになります。
2、上記の手続き中,あなたの家族や職場に発覚しないようにできるかというと,あなたが弁護士に交渉を依頼したとしても,弁護士は確実にこれを約束することはできません。なぜなら,相手があなたの夫やその職場に直接連絡することを法的に事前に止めることは難しく,基本的には,相手方の代理人を通じて連絡しないで欲しいということをお願いするという形にならざるを得ないからです。あなたのケースでいえば,職場に不倫の事実を伝えることは,相手方にとっても,彼女の夫が今後同じ職場で働いていくことを考えれば不利益なので連絡をしないということは考えられます。また,あなたの夫に不倫の事実を伝えることも相手方にとってはあなたの夫が浮気相手に慰謝料請求する口実を与えることにはなるので,躊躇することはあるかもしれませんが,あくまで相手方の考え一つということです。
3、ただ,不倫の事実が,あなたの夫に発覚してしまう過程としては,相手方が直接あなたの夫あるいは職場に連絡するというケースに限られません。通常,相手方も自分の代理人のいうことは聞くことが多いでしょうから,相手方代理人に説得をお願いしておけば,制止を無視して,直接連絡するというケースは思ったより少ないものです。むしろ,あなたが,上記過程で相手方や裁判所と連絡を取る必要に迫られてした手紙や電話などのやりとり,あるいはこれも含めたあなたの行動が家族や職場に疑念を抱かせ,そこから発覚するケースというのが多いのではないでしょうか。そして,このようなケースで発覚することについては,あなたが,弁護士に依頼し,代理人をつけることによってある程度解決ができます。
4、すなわち,あなたが代理人をつければ,裁判前の過程においては,少なくとも,相手方代理人からの連絡は,あなたの代理人に対してなされるようになります。また,あなたの代理人は,あなたの都合の良い時間帯をあらかじめ聞いておいて,基本的には,その時間帯にあなたと連絡を取るようにするでしょうから,あなたが不自然な手紙や電話のやりとりをする必要は無くなります。(ただ,このような場合でも相手方代理人の制止を振り切って相手方当人が連絡をしてしまうというようなケースは止められない場合があることは上記の通りです。)
5、また,仮に交渉がまとまらず裁判になってしまった場合,あなたに,代理人がいない場合には,裁判所からの必要な通知があなたの住所に送達されることになり,これによってご家族に発覚することは多いと思われます(ちなみに,会社に送達されることは,基本的にはありません。)。裁判所から送達されてくる書面には,訴状,期日の呼出上,準備書面,当事者尋問の呼出状,控訴状などさまざまな書類があります。あなたは,裁判の期間中,家族がこのような裁判所からの郵便物を受け取らないように常に気を使わなければいけませんが,代理人がいれば,これらも代理人の事務所に対して送達されることになりますから安心です。(もう少し詳しくいうと,訴状については,その性質上,これを受け取って初めて,相手方が裁判をしてきたことがわかることになり,裁判所に事件として受理される前に代理人として裁判所に届けをしておくということができないので,住所に送達されるのを防ぐことは基本的にできません。その意味で,1回は裁判所からの書面をご自身で受け取らなければならないことにはなります。その他の書面については代理人がつくことで当然に,あるいは,裁判所にお願いをして,代理人の事務所に送達してもらうことが可能です。)
6、さらに,裁判が始まると月1回くらいのペースで平日の昼間に裁判所に行かなければならず,これによって,職場や家族の人に疑念を抱かれることがあるかもしれませんが,これも代理人が代わりに出頭するので大丈夫です。事案によっては,当事者尋問等,どうしても本人が裁判所に来ていただかなければいけないときが,1回か2回あるかもしれません。そのときのみ,職場に内緒で休みを取り,あるいは,ご家族に内緒で来ていただく必要があることにはなります。
7、本来,裁判のような手続きは,ご家族や職場の関係者にも事情を話して,理解を得た上で進める方が望ましいとは言えますが,本件のようなケースではご家族や会社に内緒に進めたいという要請が高いのもまた事実です。絶対に発覚しないというお約束は残念ながらできませんが,ご自身で以上の手続きを遂行するにあたって,家族や会社の方に全く知られないというのは不可能に近いのではないかと思いわれますので,その意味では,弁護士に依頼することをお薦めします。

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