借地権の更新拒絶・正当事由・建替え

ホーム > 暮らしの法律知識 > 不動産・賃貸借 > 借地権の更新拒絶

最終改訂:令和8年(2026年)9月29日

「契約期間が終わるので土地を返してほしい」「古い家を建て替えたいが地主が承諾しない」。借地の紛争では、借地権を最初に設定した時期、普通借地か定期借地か、建物の有無、契約書の内容を確認することが出発点です。土地を貸す側・借りる側の双方に向け、更新拒絶の正当事由、立退料、建替え、裁判手続を解説します。

まず押さえたい結論
  • 普通借地では、期間満了だけで当然に土地を返してもらえるわけではありません。更新請求や使用継続に対する遅滞のない異議と、更新を拒む正当事由が問題になります。
  • 平成4年(1992年)8月1日より前に設定された借地権には、更新などについて旧借地法が引き続き適用されます。最近、更新契約書を作り直したというだけで新法の借地に変わるものではありません。
  • 「50年以上貸した」「建物が古い」「もっと収益性の高い建物にしたい」という事情だけで結論は出ません。立退料も、支払えば必ず明渡しが認められるという制度ではありません。
  • 更新、増改築の承諾、再築による期間延長、建物買取請求は別の問題です。建物を取り壊す前、明渡しの合意に署名する前に確認してください。
弁護士への無料相談関連するQAを検索

1.最初に確認すること:借地権の種類と適用法

借地借家法でいう借地権は、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権です(2条1号)。他人の土地上に自分の家や店舗を所有する場合が典型です。建物そのものを借りる「借家」とは区別します。単なる青空駐車場・資材置場の賃貸借や、無償の土地使用貸借には、この借地の保護規定がそのまま適用されるわけではありません。

借地の種類による基本的な違い
種類期間・更新の基本特に確認すること
旧法借地権1992年8月1日より前に設定された借地権。更新には旧借地法4条・6条などが適用され、正当事由による制限があります。当初の契約日、建物の構造、約定期間、更新・再築の履歴。現行法の全部が適用されないという意味ではありません。
現行法の普通借地権原則30年。最初の更新後は20年、その後は10年。これより長い期間の合意は可能です。借地借家法3〜9条。期間満了時の建物、更新請求・使用継続、異議と正当事由を確認します。
一般定期借地権50年以上。法定の特約により、更新・再築による期間延長・建物買取請求を排除します。22条の特約と方式を満たすか。書面による特約が基本で、同条2項は電磁的記録による場合も定めています。
事業用定期借地権等10年以上50年未満。10年以上30年未満と30年以上50年未満で法律の構成が異なります。専ら事業用で、居住用は除外。公正証書が必要です(23条)。古い契約は当時の制度も確認します。
建物譲渡特約付借地権設定後30年以上を経過した日に建物を相当の対価で地主に譲渡し、借地権を消滅させる特約です。24条。一般定期借地権のように必ず更地で返還する仕組みではなく、建物使用の継続についての規定もあります。

更新契約書の日付だけで旧法・新法を決めない

例えば、昭和40年代に借地を始め、令和になって更新契約書を作成した場合でも、従前の借地権を更新したのであれば、更新については旧法が基本です。借地借家法附則6条が旧法借地の更新を従前の例によるとし、朽廃・再築についても附則5条・7条などが経過措置を定めています。相続や借地権譲渡があった場合も、権利の沿革を追う必要があります。

「今後は定期借地にする」という書面への署名は、単なる条件調整とは異なる重大な意味を持ちます。旧借地権の終了と新しい権利の設定が本当に合意されたのか、方式を満たすか、説明と対価はどうだったかを慎重に検討します。

根拠:借地借家法2〜9条・22〜24条、附則4〜11条(e-Gov)。

2.期間が満了すると、借地契約はどうなるのですか

合意更新と、法律による更新

話合いで更新契約書を作るのが合意更新です。合意できなくても、現行法の普通借地では、建物が存在し、借地人が更新を請求したとき、または満了後も土地の使用を継続したときは、5条による更新が問題になります。地主が遅滞なく異議を述べ、かつ6条の正当事由を備えているかが重要です。旧法借地でも、旧借地法4条・6条に更新の保護があります。

現行法では、法定更新後の期間も4条による期間です。建物賃貸借の法定更新のように、当然に「期間の定めのない契約」になると考えてはいけません。旧法では建物の堅固・非堅固の別が意味を持ち、更新後は原則として堅固建物30年、非堅固建物20年です。これより長い約定や再築による期間への影響も確認します。

建物を先に壊すことには注意が必要です。現行法5条の更新保護は建物の存在を要件とします。建物が滅失した場合や、満了前に取り壊した場合は、再築・期間延長・旧法の適用を含めて個別の検討が必要です。「建て替えるつもりだから問題ない」と判断しないでください。

30年・50年という数字だけで終わるわけではありません

普通借地の保護と、適法に設定された定期借地の終了は別です。普通借地を50年以上続けたこと自体は、定期借地への転換や返還義務発生の理由になりません。なお、新法施行直後に設定された30年の普通借地は、既に令和4年(2022年)以降、当初期間の満了を迎え得る時期に入っています。新法の普通借地はまだ更新期を迎えていない、という古い説明は現在には当てはまりません。

3.更新拒絶の通知は、いつ、どのようにすればよいですか

借地では、更新請求や満了後の使用継続に対して、地主が遅滞なく異議を述べたかが問題になります。「遅滞なく」は、全国一律に何日以内と数値で決まるものではありません。更新の申入れ、満了日、交渉、通知到達、満了後の対応を時系列に整理します。

満了前の更新拒絶通知がどのような効力を持つかも、通知の内容やその後の経緯によります。地主側は、かなり前に通知したから以後は何もしなくてよい、と考えることを避け、更新請求や満了後の使用継続への対応まで準備します。借地人側も、早い時期の通知だから無視してよいとは考えず、更新希望とその理由を伝えて記録を残します。

内容証明郵便は、通知の内容と発送を記録する手段であり、配達証明と組み合わせれば到達の立証にも役立ちます。しかし、内容証明を送っただけで正当事由が生まれたり、契約が終了したりするわけではありません。代理人からの通知については、権限や対象となる契約・土地も確認します。

借家の「1年前から6か月前まで」と混同しないでください。

普通の建物賃貸借の更新拒絶には、借地借家法26条・28条の規律があります。東京都の賃貸アパートの建替え・更新拒絶に関する相談事例も、その通知期間と正当事由を説明しています。これは建物を借りる場合の案内であり、土地の借地契約へ通知期限をそのまま流用することはできません。

4.更新拒絶の「正当事由」は、何を基準に判断するのですか

借地は、住まいや営業の拠点となる建物を所有するための長期の法律関係です。借地人は建築・維持に費用を投じ、地主も土地利用の制約を受けながら地代を得ています。正当事由は、所有者の希望だけ、借地人の希望だけで結論を出すのではなく、両者の具体的な必要性や経過を比較して判断する仕組みです。

正当事由の主な判断材料と、準備したい証拠
判断する事情具体例資料の例
地主の使用の必要性自宅・事業施設として必要か。他の土地で代替できるか。利用計画が具体的で実現可能か。住居・事業の状況、所有不動産、建築計画、資金計画
借地人の使用の必要性居住者の生活、年齢・健康・通院、家族の事情、営業の地域性、顧客や設備、代替地の有無。生活状況の説明、診療・介護資料、営業資料、移転先調査
従前の経過当初の目的、権利金・更新料、更新や増改築の合意、双方の約束、地代の支払状況。新旧契約書、領収書、振込記録、承諾書、書簡
土地の利用状況現在の使用実態、周辺環境、建物の状態、修繕や建替えの合理性、土地利用規制。写真、診断書、修繕見積り、配置図、都市計画資料
財産上の給付の申出立退料、代替地・代替住居、移転期間の確保、再入居条件が不利益をどの程度調整するか。具体的な条件書、見積り、不動産鑑定、支払方法の提案

老朽化や耐震性の不足は、自動的な終了理由ではありません

建物の安全性は大切ですが、築年数だけでは、危険の程度や補修可能性は分かりません。専門家の診断、補強の可否と費用、建替えの必要性、借地人が自ら行う改修案などを具体的に検討します。地主による収益性の高い再開発案がある場合も、その計画だけで居住・営業継続の利益を排除できるとは限りません。

旧法借地で問題となる「朽廃」は、単なる老朽化とは区別される法律上の概念です。旧借地法2条や附則5条の適用、約定期間などによって検討が必要であり、耐震診断で課題が指摘されたことと直ちに同じにはなりません。

極端な不利益だけが保護されるわけではありません

借地人が更新を求めるために、移転すると生命が危険になる、会社が必ず倒産する、といった極端な事態まで立証しなければならないわけではありません。他方、長く住んだという事実だけで常に更新が保証されるわけでもありません。日常生活や営業にどのような支障があるのか、代替策で解消できるかを具体的に示すことが大切です。

根拠:借地借家法6条、旧借地法4条1項・6条。判例の比較衡量の考え方は次の裁判例解説も参照してください。

5.立退料はいくら必要ですか。建物買取請求とは違いますか

法律上の一律の相場や計算式はありません

立退料は、明渡しに伴う双方の利害を調整し、正当事由を補うために考慮されます。「地代の何か月分」「更地価格の何割」といった一律の基準はありません。借地権の取引価値、建物の価値、移転費用、営業への影響、代替物件、当事者の使用の必要性などを踏まえ、提示額と条件の妥当性を検討します。

税務上の路線価に付された借地権割合は、税務評価のための指標です。これを更地価格に掛けた金額が、必ず裁判上の立退料になるわけではありません。権利金が少額だった、授受されなかったというだけで、借地権や更新保護がなくなるわけでもありません。

金銭のほか、代替地の提供、移転準備期間、再入居の機会も交渉材料になります。ただし、従前は建物を所有していたのに、新しい建物には借家人として入る提案であれば、資産・賃料負担・将来の権利が変わります。「戻れるから同じ条件」とは評価できません。

建物買取請求権は別に検討する

借地権の期間が満了し、更新されない場合には、借地借家法13条により、建物等を時価で買い取るよう地主に請求できることがあります。旧法借地についても経過措置を踏まえて検討します。更新拒絶が有効なら、当然に借地人が自費で建物を取り壊す、という結論にはなりません。

建物買取請求の代金は、建物等の時価を問題とするもので、借地権自体を当然に時価で買い取らせる権利とは異なります。立退料の提案に建物代金が含まれているかも確認し、二重計上や請求漏れを避けます。代金と明渡しの関係、使用を続ける場合の金銭負担、登記手続も一緒に整理します。

地代不払等を理由とする債務不履行解除、合意による終了、適法な定期借地の満了では、同じ結論になるとは限りません。建物買取請求を考えている場合は、取壊しの発注や「買取請求をしない」という合意をする前に相談してください。

6.判断の基礎となる裁判例

判決の日付だけでなく、借地か借家か、旧法か現行法か、当事者が何を主張し、どのような事情が認定されたかが重要です。古い裁判例でも基本原則を理解する意味がありますが、金額や結果をそのまま現在の別の物件に当てはめることはできません。

最高裁大法廷昭和37年6月6日判決:地主と借地人の双方の必要性

旧借地法4条1項の正当事由について、地主側だけでなく借地権者側の事情も考慮し、地主に自己使用の必要がある場合にも、借地人が使用を継続する必要性を踏まえて判断すべきことを示しました。土地の所有者だから常に優先される、という考え方ではありません。当事務所No.1108の判例紹介にも掲載しています。

最高裁平成6年10月25日判決:立退料の申出・増額の時期

旧借地法の事案で、正当事由の判断は異議申出時を基準としつつ、それを補完する立退料等の提供・増額の申出について、信義に反する事情がない限り、事実審の口頭弁論終結時までのものを原則として考慮できるとしました。ただし、これは異議が遅滞なく述べられ、異議の時点で他の正当事由を構成する事情が存在することを前提としています。最初は理由がなくても、後からお金を積めばよいという判決ではありません。裁判所掲載の判決全文(PDF)を参照してください。

最高裁昭和41年4月21日判決:無断増改築と解除

増改築制限特約の存在を前提としても、通常の土地利用として相当で、地主への影響から信頼関係を破壊するおそれが認められない増改築について、特約に基づく解除を制限する考え方を示した事例です。もっとも、事後の裁判で判断されるため、無断で着工してよいという意味ではありません。当事務所No.552で解説しています。

満了が近い時期の増改築に関する裁判例

当事務所No.1108で紹介する東京高裁平成13年11月9日決定は、満了が近い借地の大規模な増改築について、更新の見込みや緊急の必要性、地主の不利益を重視した事例です。一方、同ページで紹介する東京高裁平成15年6月13日決定は、老朽化による建替えの必要性と土地利用上の相当性を認め、更新可能性への影響は付随処分で考慮すれば足りるとした事例です。

結論が異なるのは、申立ての時期、利用実態、契約の残存期間、計画内容等が異なるからです。更新拒絶訴訟と増改築許可は密接に関係しますが、一方の見込みだけで他方も自動的に決まるものではありません。

7.地主が建替えを承諾しない場合、どうすればよいですか

「更新」「工事の許可」「期間延長」を分けて検討する

更新されたから希望する建物を自由に建てられる、建替えが許可されたから希望どおり期間も延びる、という関係ではありません。借地契約で制限している建物の種類・構造・規模・用途、増改築制限、再築に関する条項を確認します。建築確認や接道などの公法上の条件も別に満たす必要があります。

建替えに関係する主な許可手続
手続使う場面注意点
借地条件の変更
17条1項
建物の構造等を制限する借地条件を、事情の変更に応じて変える必要があり、協議がまとまらない場合。例えば、木造に限る約定の下で鉄筋コンクリート造へ変更する計画。増改築許可も併せて必要になることがあります。
増改築の許可
17条2項
増改築制限特約があり、通常の土地利用として相当な工事について地主と協議が調わない場合。旧法借地でも現在の申立てには原則としてこの手続を用います。計画図、工事内容、交渉経過を具体化します。
更新後の再築の許可
18条
現行法の借地で、更新後、残存期間を超えて存続する建物を新築するやむを得ない事情があり、地主が承諾しない場合。1992年8月1日より前の借地には適用されません(附則11条)。17条の手続との関係も確認します。

借地非訟では、残存期間、土地の状態、これまでの経過等を踏まえ、必要に応じて鑑定委員会の意見を聴きます。許可に当たり、承諾料に相当する財産上の給付や地代等の変更が命じられることがあります。「必ず更地価格の3%」「常に10%」といった法定の固定率はありません。

再築で期間が延びるか

現行法7条では、期間満了前の建物滅失後、地主の承諾を得て残存期間を超えて存続する建物を築造した場合の期間延長を定めています。承諾日または築造日の早い方から20年が基本ですが、残存期間やより長い合意期間があればそれによります。同条2項の「通知後2か月以内に異議がない場合」のみなし承諾には条件があり、更新後の通知には適用されません。

更新後の無承諾再築は、8条による解約等の問題にもつながります。旧法借地は附則7条により異なる扱いです。また、期間延長のためのみなし承諾と、契約上の増改築制限への承諾を安易に同一視しないでください。

東京地方裁判所の借地非訟の説明と公式申立書・Q&AのPDFも参考になります。着工・取壊しの前に、必要な承諾や許可、借地権の対抗力を確認してください。

8.借地権マンションの更新・建替えと、令和8年改正

借地権マンションでは、敷地利用権が土地賃借権か地上権か、普通借地か定期借地か、区分所有者が直接借りているか転借しているかを確認します。建替え等の区分所有者間の意思決定と、地主との借地契約の処理は別の問題です。

一般定期借地権であっても、存続期間中の建替えが法律上すべて禁止されるわけではありません。ただし、残存期間、契約条項、承諾・許可の要否、融資・費用回収、満了時の返還条件が大きな制約になります。建替えれば定期借地の期間も当然に延びるとは考えられません。

敷地の一部だけが借地である場合も、面積が少ないから建替え可能とは断定できません。その部分が接道、敷地面積、建蔽率・容積率、避難経路等にどのような意味を持つかを、建築士の計画と合わせて調べます。少額の権利金や借地面積の比率だけで、更新の可否は決まりません。

令和8年(2026年)4月施行の改正との関係

改正区分所有法では、建替えに加え、建物更新、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、建物取壊し等の決議制度が整備されました。建替え決議等に伴う専有部分の賃貸借終了請求と補償金の制度も設けられています(64条の2、各準用規定)。

この専有部分の賃貸借終了制度は、部屋を借りている人との関係を対象とします。敷地の地主が、マンションの建替えを理由に土地の借地権を無条件で消滅させられるという制度ではありません。また、区分所有者間の決議だけで地主の承諾が当然に得られたことにもなりません。借地の更新・建替え承諾等と、再生事業の法定手続をそれぞれ検討する必要があります。

参照:建物の区分所有等に関する法律、法務省・改正法の案内。決議・事業手続の時期による経過措置も確認します。

市街地再開発事業の権利変換による権利処理が行われる場合には、さらに都市再開発法の問題が加わります。民間の単なる建替え計画を「再開発」と呼んでいる場合と、法定の市街地再開発事業とは区別してください。

9.更新拒絶通知を受けた借地人は、何をすればよいですか

  1. 通知と封筒を保管し、到達日を記録します。更新拒絶、債務不履行解除、定期借地の満了通知、話合いの提案のどれなのかを読み分けます。
  2. 当初の契約と更新経過を確認します。古い契約書がなければ、領収書、登記事項証明書、相続資料、以前の地主との書簡等を集めます。
  3. 更新を希望する理由を具体化します。生活・営業の状況、移転の困難、建物の維持管理、代替場所の有無を整理します。地主の計画や要求の根拠も確認します。
  4. 地代の支払を続けます。更新が争われているからといって一方的に支払を止めると、別の解除理由を作るおそれがあります。
  5. 受領拒否があれば、弁済供託を検討します。支払の提供や拒否の証拠を保存し、供託原因・金額・供託所・通知を確認します。単に自分の口座に留保することとは異なります。
  6. 署名・解体・移転の前に相談します。明渡承諾書、借地権放棄、定期借地への切替え、補償の清算条項には重大な効果があります。裁判所から届いた訴状等は放置せず、指定期限内に対応します。

返答では、更新を求める意思、地代を支払う意思、提案内容を検討中であることなどを、事情に応じて明確にします。誤った法的主張を断定したり、感情的な応酬を重ねたりするより、契約と事実に基づいた交渉が有効です。供託の基本は法務省の供託案内も参照してください。

10.借地の返還を求める地主は、何を準備すべきですか

まず、契約が本当に満了するか、旧法・新法のどちらか、更新を重ねた結果の期間、建物の構造と再築履歴を確定します。次に、自己使用や建替えの必要性と、借地人の利用を継続させる利益を具体的に比較します。利用計画に実現性がない、資金の裏付けがない、代替地の検討がない場合、希望だけを述べても説得力は高まりません。

正当事由の主張を支える資料として、建物の診断、修繕・建替え費用、土地利用規制、建築計画、代替策、補償案等を準備します。立退料を提案する場合は、金額だけでなく、支払時期、建物買取との関係、取壊し費用、移転期限、担保権・借家人の処理まで検討します。

返還が必要な時期から逆算し、交渉と適時の異議、調停・訴訟を準備します。合意できなければ、裁判による判断が必要になることがあります。地主が自ら建物を壊す、出入りを妨げる、荷物を搬出するなどの方法で明渡しを実現することは避けてください。強制的な実現には適法な執行手続が必要です。

合意解決には、立退料による明渡し以外にも、借地権と底地の同時売却、借地人による底地の購入、土地の一部返還、権利の等価交換などがあります。それぞれ登記・融資・税務の確認が必要であり、借地人の生活や事業も見据えて比較します。

11.交渉・調停・訴訟と、相談に必要な資料

更新拒絶の有効性や土地明渡しを争う場合は、通常の民事訴訟が中心になります。話合いによる解決を目指す民事調停も選択肢です。一方、地主の承諾に代わる増改築許可等は借地非訟の手続です。借地非訟に申し立てれば、更新拒絶や明渡しの全問題が一度に解決するわけではありません。

借地非訟の管轄は、原則として土地所在地を管轄する地方裁判所です(借地借家法41条)。申立書には土地・建物・予定工事を特定する資料を付けます。手数料、予納金、提出部数、提出方法は、利用する裁判所の現行案内を確認してください。

相談時の資料チェックリスト
  • 最初の契約書、更新契約書、特約・覚書、建替え・譲渡の承諾書
  • 土地・建物の登記事項証明書、地図・公図、測量図、建物の図面
  • 地代・権利金・更新料の領収書、振込記録、供託書
  • 更新拒絶・解除・明渡しの通知、配達記録、メール、交渉メモ
  • 写真、耐震・劣化診断、修繕見積り、建替え計画、資金計画
  • 居住・通院・介護・営業の状況、移転先候補、移転費用の見積り
  • マンションの場合は、管理規約、総会資料、敷地利用権の構成、区分所有者・地主の関係が分かる資料

資料が全部そろっていなくても、満了日や返答期限が近い場合は先に相談してください。「契約開始→相続・譲渡→更新→増改築→今回の通知」の順に1枚の時系列表を作ると、問題を整理しやすくなります。

12.よくある質問

更新料を払わないと必ず明け渡すことになりますか

借地の更新料は、法律によって更新のたびに一律に発生するものではありません。支払合意の有無、その内容や適用範囲、従前の取扱いを調べます。有効な合意がある場合の不払については、契約違反の程度や信頼関係も問題になります。「地域の慣習だから当然に払え」「払わなくても絶対に解除されない」という両極端の判断は避けてください。関連QA No.420も参照してください。

地主が亡くなったり、底地が売られたりしたら借地は終了しますか

その事実だけで当然に終了するものではありません。相続による承継や、買主に借地権を対抗できるかを検討します。借地権の登記のほか、借地人が自己名義で登記された建物を所有する場合には、借地借家法10条の対抗力が問題になります。建物の名義、登記の時期、競売と抵当権の関係には注意が必要です。

建物が火災で焼失したら、借地権もなくなりますか

建物の滅失だけで常に直ちに借地権が消滅するわけではありません。ただし、更新時の建物の有無、再築による期間延長、更新後の再築、第三者に対する対抗力は別々に確認します。10条2項には所定の掲示による対抗力の継続と、滅失後2年を超えて対抗力を維持するための再築・登記の規律があります。災害後は、安全確保と並行して権利保全の相談をしてください。

借地権付き建物を売って解決できますか

土地賃借権の譲渡には、原則として地主の承諾が必要です。承諾が得られない場合には、借地借家法19条の許可手続や地主の介入権が問題になります。第三者への売却を先に完了すると紛争を招くおそれがあるため、承諾・許可を条件とする契約設計を検討します。関連QA No.1948を参照してください。

このページの説明は、賃貸マンションの部屋にも使えますか

生活への影響を丁寧に整理するという点は共通しますが、期間・更新・通知・補償の制度は異なります。部屋を借りている方は、不動産・賃貸借の法律Q&Aや建物賃貸借の更新拒絶(No.1209)をご覧ください。

15.新銀座法律事務所への無料相談

更新拒絶の通知が届いた方、借地の返還・建替えを検討している方は、ご相談ください。借地人・地主のどちらの立場からも、契約の種類、満了日、通知内容、使用の必要性、交渉の進め方を整理します。

新銀座法律事務所では、電話・LINE・メール等で無料法律相談を受け付けています。受付後、弁護士から電話で一般的な見解を回答する方式です。無料の電話回答は5分程度を目安とし、契約書や証拠を詳しく検討する相談・代理人としての交渉等は別途ご案内します。

電話:0120-48-5791
受付時間:平日9時〜21時/土日祝日9時〜18時

相談時には「借地権の更新拒絶について」とお伝えいただき、①地主・借地人の別、②当初の契約時期、③満了日、④通知の内容と到達日、⑤建物の利用状況を簡潔にお知らせください。

無料相談の方法・LINE・メール受付事務所へのアクセス

受付方法・相談範囲の詳細は無料法律相談の案内をご確認ください。

16.法令・裁判例・公式資料

本記事は、下記の法令、裁判所・法務省・自治体の公表資料および当事務所の事例集を参照して改訂しています。法令の適用には、借地権設定時・更新時等の経過措置も関係します。

主な法令・公的解説

裁判所のPDF・申立書

申立書PDFは、改訂時点で裁判所の書式一覧から案内されているものへリンクしています。提出する際は、同一覧と管轄裁判所の最新の取扱いをご確認ください。

記事の先頭へ戻る