新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1303、2012/7/12 14:12 https://www.shinginza.com/idoushin.htm

【運転免許の取消・停止処分の軽減・酒気帯び運転・医道審議会】

質問:私は,62歳の医師で,北海道のある町で30数年間医院を開業しております。お正月,新年会でお酒を飲んだのですが,近くに急患がありつい,酒気帯び運転をしてしまいました。その際誤って,人身事故を起こしてしまい相手方の車両に乗っていた夫婦が3週間と,1週間の怪我を負っています。アルコール濃度は0.30でした(呼気1リットル中のアルコール濃度)。
@運転免許は取消しになるでしょうか。その期間はどの程度でしょうか。また,短縮を申し立てることは可能でしょうか。ここでは車がないと僻地往診もできませんので困っています。
A刑事罰はどの程度でしょう。
B医師免許への影響はどのようになるでしょうか。

回答:
1 この場合,相談者様の普通自動車の運転免許は取消しとなり,免許を再取得することのできない欠格期間は2年となる可能性が高いと考えられます。
2 運転免許取消の手続としての「公安委員会による意見の聴取」の手続等において,免許取消の欠格期間の短縮を求めることが可能です。弁護士が代理人として同行・出席し,証拠の提出や必要な主張を行うことによって処分の軽減を求めることもできます。ただし,飲酒運転をしてしまった本件のような場合には,欠格期間の短縮の見通しとしては厳しいものと考えられます。
3 刑事罰については,このままでは酒気帯び運転(道路交通法違反)と自動車運転過失傷害罪が成立し,略式裁判による罰金刑(刑事訴訟法第461条)か,正式な裁判のうえ執行猶予付の懲役刑の判決のどちらかになる可能性が高いでしょう。早期に示談を成立させるなどの情状活動を行い,不起訴処分ないし略式罰金を求めてゆくことが必要になってくると考えられます。
4 医師であれば,刑事責任の重さが後の医道審議会の医師資格に関する行政処分にも影響してくると考えられます。刑事事件及び医道審議会からの処分について,早期の対応が必要となってくるため,弁護士に相談された方がよいでしょう。
5 法律相談事例集キーワード検索:道路交通法違反に関して1115番1085番1079番1042番参照。医道審議会に関して1144番1085番1102番1079番1042番1034番869番735番653番551番313番266番246番211番48番参照。

解説:
1 運転免許の点数制度,停止・取消について
 (1)自動車の運転免許に対する行政処分の種類について
  わが国では,自動車を運転するためには自動車運転免許を取得する必要となっていますが,交通違反を犯した人に対しては,公安委員会により免許の停止,取消等の行政処分が下されることがあります(道路交通法第103条以下参照)。この制度は,道路交通の安全を確保するために,道路交通に危険を生み出す運転者を規制するものです。
  運転免許に対する行政処分の種類としては,概略として以下のような内容のものが挙げられます。

@ 運転免許の拒否・保留処分(道路交通法第90条参照)
  運転免許試験に合格した者について,道路交通に危険を生じさせるおそれのある一定の類型の者(幻覚を伴う精神病であって政令で定める者など)に対し,運転免許を与えなかったり,6カ月を超えない範囲内において免許を保留することができる行政処分です。

A 運転免許の取消・停止処分(道路交通法第103条参照)
  運転免許を一度受けた者が,運転に関し道路交通法の規定や同法に基づく処分に違反した場合や,その者の運転行為が著しく道路交通の危険を生じさせるおそれがあるような場合には,免許の効力を将来にわたって取り消したり,6か月を超えない範囲で効力を停止するという行政処分です。運転免許が取り消された場合には,一定の期間の間,免許の試験を受けることができなくなります(欠格期間)。そして,上記のうち道路交通法の違反事由は,道路交通法施行令に規定されており,いわゆる点数制度が採用されています。

(2)運転免許の点数制度(算定方法)について
  点数制度とは,自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて,その過去3年間の累積点数等に応じて免許の停止や取消等の処分を行う制度です。その目的は,交通違反等を繰り返す者は事故を起こす危険性が定型的に高いことから,その回数・態様が一定限度を超えた場合には,その者の運転行為を禁止することにより道路交通の安全を確保するところにあります。
  本件において,具体的な交通違反等の点数,取消・停止の点数がどのようになるかについてみてゆきます(点数の計算方法については,警察庁HPをご参照ください。http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/sub_07.htm)。本件の合計点数については,以下のように計算できます。

@ 基礎点数
  基礎点数とは,交通違反の態様に応じてつけられる基礎的な点数のことをいいます。例えば,速度超過,信号無視,携帯電話使用等の交通違反の態様に応じて点数が加算されます。
  基礎点数について,同時に2以上の交通違反行為に該当する場合には,最も高い点数によって計算されます。本件では,アルコール濃度0.30の酒気帯び運転の場合,基礎点数は酒気帯び点数0.25以上として基礎点数は25点が加算されます。

A 付加点数
  付加点数とは,交通違反を起こし,さらに交通事故を起こしてしまった場合に加算される点数のことをいいます。
  本件は,被害者に3週間のけがを負わせたということですので(事故が専ら違反者の不注意によるものではない場合には),交通事故としての付加点数は治療期間が15日以上30日未満の6点となります。なお,負傷者が複数いる場合には,最も負傷の程度が重い者の治療に要する期間となります。
  以上を合計すると,今回の累積点数(@+Aの合計点数)の合計は31点になると考えられます。

 (3)本件の場合の運転免許の停止・取消について
  免許の取消処分か,停止処分となるかについては,累積点数の高さと過去3年間以内の運転免許の停止処分回数に応じて決定されます。具体的な処分内容については,上記警察庁のHPをご参照ください。
  本件は合計点数が31点であり,過去に運転免許の停止回数がない場合には,自動車の運転免許は取消となり,免許を受けることができない欠格期間は2年になると考えられます。

2 運転免許の停止期間や取消の欠格期間の短縮を申し立てることは可能か
 (1) 取消欠格期間の短縮を申し立てる方法
  そして,運転免許の取消しの場合には,公安委員会等における意見の聴取という手続が取られます(道路交通法第104条第1項参照)。欠格期間の短縮を求めるためには,意見の聴取手続において自己に有利な事情についての主張をして,処分の軽減(今回であれば欠格期間の短縮)を求めることが可能です。処分の軽減の基準については,警察庁の通達によって,ある程度の指針が設けられています。

ア 「運転免許の効力の停止等の処分量定基準の改正について」(警察庁丙運発第11号)
  運転免許取消における欠格期間については,以下のように短縮することが可能とされています(「運転免許の効力の停止等の処分量定基準の改正について」http://www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/menkyo/menkyo20090430-01.pdfの11頁以下参照)。

 「一般違反行為(※)をしたことを理由として処分を行おうとする場合に累積点数が令別表第3の1の表の第1欄に掲げる区分に応じ同表の第2欄から第6欄までに掲げる点数に達し,若しくは特定違反行為をしたことを理由として処分を行おうとする場合の累積点数が令別表第3の2の表の第1欄に掲げる区分に応じ同表第2欄から第9欄までに掲げる点数に達し,又は令別表第4第1号から第3号までに掲げる行為をし,若しくは令別表第5第1号から第4号までに掲げる行為をしたことにより,免許の取消し,免許の拒否又は1年以上10年を超えない範囲内の期間の自動車等の運転の禁止の処分基準に該当することとなった者において,その者の運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情があるときは,それぞれ次の区分により処分を軽減することができるものとする。」

※ 一般違反行為とは,特定違反行為以外の違反行為を指します。特定違反行為とは,故意により自動車の運転で人を死傷または建造物破壊するもの,危険運転致死罪に該当し得るものなど,危険性が重大とされる一定の類型で,運転免許取消の欠格期間は10年となっています。そして,今回の場合には一般違反行為をしたことを理由として免許の取消事由に該当しますので,上記の特段の事情が認められる場合には,欠格期間が1年短縮する判断がなされることとなります。なお,免許取消の欠格期間が1年であった場合には,180日の自動車等の運転の禁止に軽減されることが認められています。

イ 「運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について」(警察庁丁運発第44号)
  また,具体的に,運転者としての危険性がより低い特段の事情があるとして,処分の軽減ができるかについては,運転免許の停止等についての警視庁の処分に関する指針が参考になるものと考えられます(「運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について」http://www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/menkyo/menkyo20090430-11.pdfの2頁以下参照)。
  この基準は,運転免許の停止処分に関するものですが,アと同様に「運転者としての危険性がより低いと評価すべき事情」を考慮するものであり,運転免許取消の欠格期間の短縮の判断においても参考になる基準と考えられます。
  「処分基準に該当することとなった者において次の各号に掲げる事情があり,かつ,処分を軽減することがその者の運転者としての危険性の改善に効果があると認められるときは,30日間の処分を軽減することができるものとする。

@ 交通事故の被害の程度又は不注意の程度のいずれか一方が軽微であり,かつ,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合,
A 違反行為等の動機が,災害,急患往診,傷病人搬送その他やむを得ない事情によるものであり,かつ,危険性がより低いと認める場合,
B 違反行為等が他からの強制によるものであるなどやむを得ない事情によるものであり,危険性がより低いと認める場合,
C 被害者の年齢,健康状態等に特別な事情があるとき等同一原因の他の事故に比べて被害結果を重大ならしめる他の事由が介在した場合であって,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合,
D 被害者が被処分者の家族又は親族であって,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合,
E 前各号に掲げる場合のほか,危険性がより低いと評価すべき特段の事情があり,明らかに改善の可能性が期待できる場合には停止等の処分が軽減できる」
とされています。

 (2) 意見の聴取手続における主張
  公安委員会における意見の聴取手続については,上記の欠格期間の短縮についての基準(@からEの各要素)を踏まえた上で,必要な証拠資料を収集・提出し,「運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情がある」事を主張する必要があります。
  意見の聴取手続については,必要に応じて,補佐人や弁護士を代理人として立てることが可能です(道路交通法第104条第2項参照)。
  意見の聴取手続における,具体的な主張等について検討します。

ア まず,自己に有利な証拠を収集することが必要です。
  例えば,被害者が軽傷(また,生活に事実上の支障がないことなど)であることを示す証拠を収集したり,被害者と示談し,示談合意書(和解合意書)を交わすことが考えられます。
  処分を受ける者が,運転者として危険性がより低いと評価すべき事情があること,明らかに改善の可能性があることを示す資料,自己が危険運転を常習的に繰り返してきた者ではないことや,今回の行為についての反省の情や,今後の再犯防止策を具体的に示す資料(上申書等)を作成することが考えられます。
  また,処分を受ける者の処分の軽減を求めたり,今後危険運転行為をしないように指導監督する旨の上申書や嘆願書等の収集も考えられます。

イ 次に,意見聴取手続において必要な主張を行う必要があります。
  ここでは,上記の証拠等を踏まえ,上記(1)ア・イの基準に該当する旨の法律上又は事実上の主張を,口頭もしくは意見書等の提出等によって行う必要があります。
  例えば,被害者の被害の程度が軽微なものであったこと,本件事故についての自己の過失はほとんどなかったことなどの法律的な主張(上記(1)イの@参照)をすることが考えられます。また,運転者としての危険性がより低い事情や明らかに改善の可能性が認められる事情として,今後危険運転を二度と繰り返さないことを示す事実(再発防止策の実施,指導監督者の存在)などを,証拠を踏まえて説得的に主張する必要があるでしょう。自己の自動車運転の必要性,欠格期間が長期にわたることによる不利益等も主張することが可能です。

ウ 意見の聴取手続の結果,公安委員会が欠格期間の短縮を認めるべきと判断した場合には,1年間の欠格期間の短縮の判断がなされることとなります。
  ただ,本件では,故意に酒を飲んで自動車を運転してしまったことについては争うことが難しい以上,欠格期間の短縮が認められる可能性としては必ずしも高くありません。

 (3) その他の軽減を求める手続
  意見の聴取手続を経て公安委員会が下した停止処分や取消処分に関する決定について不服がある場合には,公安委員会に対する異議申立て(行政不服審査法第1条第2項),処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法第8条等参照)等の手段が考えられます。

3 刑事責任について
 (1) 該当する犯罪と法定刑
  運転免許に対する行政処分とは別に,本件行為は刑法上,道路交通法上の犯罪行為に該当しますので,刑事上の処分(懲役刑,罰金刑)が下される可能性があります。本件の各行為は,刑法上,自動車運転過失傷害罪(刑法第211条第2項:7年以下の懲役若しくは禁固,または100万円以下の罰金刑)と道路交通法上の飲酒運転罪(道路交通法第117条の2第1号,第65条第1項:5年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑)に該当する可能性が高いでしょう。

 (2) 刑事事件の見通しと対処,医道審議会による医師資格処分への影響
  以上の刑事事件の見通しとしては,具体的な事情にもよりますが,自己に有利な情状を収集・主張しなかった場合には,略式罰金か執行猶予付の懲役刑の判決になる可能性が高いと考えられます。
  さらに,相談者様は医者ということで。刑事処罰を受けた場合には厚生労働省(医道審議会)により,医師資格の取消,業務停止,戒告等の行政処分が下されることになってしまいます。医道審議会による医師資格の制限の軽重については,刑事処分の軽重に比例することが多い結果となっています。

  執行猶予付きであっても懲役刑となってしまった場合には,比較的長期(3月以上)の業務停止期間が科されることが多くなっています。一方,罰金刑や不起訴処分で済めば,業務停止期間が比較的短期(1か月から3カ月程度)になることが多く,医道審議会において必用な弁護活動を行うなどした場合には,戒告(医師業務の停止とならない)処分ですむ可能性もあります(医道審議会の詳細や処分例については,当事務所HPの医道審議会の頁をご参照下さい)。
  そこで,まずは検察官により起訴の判断がされる前に,被害者との示談活動をし,刑事処罰を求めない旨の上申書を得ることや,贖罪寄付を行うなどの自己に有利な情状活動を積極的に行ってゆき,不起訴処分や略式罰金にする必要性が高いと考えられます。緊急性の高い事案ですので,情状活動等については,弁護士に依頼し,迅速に弁護活動を行ってゆく必要性が高いものと考えられます。

《参照条文》

<刑法>
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条  業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も,同様とする。
2  自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

<道路交通法>
(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条  何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
(免許の拒否等)
第九十条  公安委員会は,前条第一項の運転免許試験に合格した者(当該運転免許試験に係る適性試験を受けた日から起算して,第一種免許又は第二種免許にあつては一年を,仮免許にあつては三月を経過していない者に限る。)に対し,免許を与えなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当する者については,政令で定める基準に従い,免許(仮免許を除く。以下この項から第十二項までにおいて同じ。)を与えず,又は六月を超えない範囲内において免許を保留することができる。
一  次に掲げる病気にかかつている者
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ又はロに掲げるもののほか,自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
一の二  介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第八条第十六項 に規定する認知症(第百三条第一項第一号の二において単に「認知症」という。)である者
二  アルコール,麻薬,大麻,あへん又は覚せい剤の中毒者
三  第八項の規定による命令に違反した者
四  自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反する行為(次項第一号から第四号までに規定する行為を除く。)をした者
五  自動車等の運転者を唆してこの法律の規定に違反する行為で重大なものとして政令で定めるもの(以下この号において「重大違反」という。)をさせ,又は自動車等の運転者が重大違反をした場合において当該重大違反を助ける行為(以下「重大違反唆し等」という。)をした者
六  道路以外の場所において自動車等をその本来の用い方に従つて用いることにより人を死傷させる行為(以下「道路外致死傷」という。)で次項第五号に規定する行為以外のものをした者
七  第百二条第六項の規定による通知を受けた者
2  前項本文の規定にかかわらず,公安委員会は,次の各号のいずれかに該当する者については,政令で定める基準に従い,免許を与えないことができる。
一  自動車等の運転により人を死傷させ,又は建造物を損壊させる行為で故意によるものをした者
二  自動車等の運転に関し刑法第二百八条の二 の罪に当たる行為をした者
三  自動車等の運転に関し第百十七条の二第一号又は第三号の違反行為をした者(前二号のいずれかに該当する者を除く。)
四  自動車等の運転に関し第百十七条の違反行為をした者
五  道路外致死傷で故意によるもの又は刑法第二百八条の二 の罪に当たるものをした者(免許の取消し,停止等)
第百三条  免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは,その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし,第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは,当該処分は,その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ,することができない。
一  次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ及びロに掲げるもののほか,自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
一の二  認知症であることが判明したとき。
二  目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるものが生じている者であることが判明したとき。
三  アルコール,麻薬,大麻,あへん又は覚せい剤の中毒者であることが判明したとき。
四  第六項の規定による命令に違反したとき。
五  自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(次項第一号から第四号までのいずれかに該当する場合を除く。)。
六  重大違反唆し等をしたとき。
七  道路外致死傷をしたとき(次項第五号に該当する場合を除く。)。
八  前各号に掲げるもののほか,免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
2  免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは,その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は,その者の免許を取り消すことができる。
一  自動車等の運転により人を死傷させ,又は建造物を損壊させる行為で故意によるものをしたとき。
二  自動車等の運転に関し刑法第二百八条の二 の罪に当たる行為をしたとき。
三  自動車等の運転に関し第百十七条の二第一号又は第三号の違反行為をしたとき(前二号のいずれかに該当する場合を除く。)。
四  自動車等の運転に関し第百十七条の違反行為をしたとき。
五  道路外致死傷で故意によるもの又は刑法第二百八条の二 の罪に当たるものをしたとき。
(意見の聴取)
第百四条  公安委員会は,第百三条第一項第五号の規定により免許を取り消し,若しくは免許の効力を九十日(公安委員会が九十日を超えない範囲内においてこれと異なる期間を定めたときは,その期間。次条第一項において同じ。)以上停止しようとするとき,第百三条第二項第一号から第四号までのいずれかの規定により免許を取り消そうとするとき,又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の処分移送通知書(同条第一項第五号又は第二項第一号から第四号までのいずれかに係るものに限る。)の送付を受けたときは,公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において,公安委員会は,意見の聴取の期日の一週間前までに,当該処分に係る者に対し,処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し,かつ,意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
2  意見の聴取に際しては,当該処分に係る者又はその代理人は,当該事案について意見を述べ,かつ,有利な証拠を提出することができる。
3  意見の聴取を行う場合において,必要があると認めるときは,公安委員会は,道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め,これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。
第百十七条の二  次の各号のいずれかに該当する者は,五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で,その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

<道路交通法の規定に基づく意見の聴取及び弁明の機会の付与に関する規則>
(代理人)
第五条  行政庁は,当事者が意見の聴取の期日に代理人を出頭させようとするときは,意見の聴取の期日までに,代理人の氏名及び住所並びに当事者が代理人に対して当事者のために意見の聴取に関する一切の行為をすることを委任する旨を記載した書面を提出させるものとする。
2  行政庁は,代理人がその資格を失ったときは,当該代理人を選任した当事者に,書面でその旨を届け出させるものとする。

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