新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1255、2012/4/12 18:13 https://www.shinginza.com/koumuin.htm

【行政処分・公立学校教師の飲酒運転と免職・弁明の手続き・佐賀地方裁判所平成20年12月12日判決 福岡高等裁判所平成18年11月9日判決】

質問:私は市立中学校の教員ですが,先日,職場の同僚の結婚式でお酒を飲んだにもかかわらず,帰りに運転をして,前方不注視で衝突事故を起こしてしまいました。私の車も相手の車も大破し,双方怪我を負ったため,救急車で病院に運ばれました。治療を終えた後,警察から事情を聞かれましたが,アルコールを測る呼気検査や血液検査はなされませんでした。事故の翌日,職場の管理職に,結婚式で飲酒をした帰りに交通事故を起こした旨を報告しました。職場からは,現在,自宅待機を命じられていますが,同僚の話を聞く限り,私の処分については,飲酒運転を理由に懲戒免職の方向で検討されているようです。今は自分の軽率な行動を深く反省し,被害者の方にはたいへん申し訳ないことをしたと思っています。しかし,可能であれば懲戒免職処分だけは免れたいです。懲戒免職処分を免れるために,今の私にできることはないでしょうか。

回答:
1.あなたが前方不注視で衝突事故を起こし,被害者に怪我を負わせた点については,自動車運転過失傷害罪が成立します。単純な交通事故での軽傷事故については,加害者が任意保険に加入しており,保険などを通じて適正な被害弁償がなされる場合には,同罪については不起訴処分となる可能性が高いです(刑法211条2項但し書き)。ご相談の件の被害者の方がどの程度の怪我を負われたのかわかりませんが,被害者に謝罪をするとともに被害弁償を果たして,刑事事件について不起訴処分となれば,行政処分(懲戒免職処分)においてもあなたにとって有利な事情となります。
2.事故当日,あなたが飲酒をした後に車を運転した点についてですが,道路交通法は65条1項で「酒気を帯びて車両等の運転」をすることを禁止する一方,同条項違反については,運転者が「酒に酔った状態」,「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」にあった場合のみを罰則の対象としています(同法117条の2第1号,117条の2の2第1号)。飲酒による道路交通法違反(酒酔い運転又は酒気帯び運転)が捜査対象となっているかは,懲戒処分に対する争い方を決めるうえでも重要となってきますので,この点について捜査機関に確認する必要があります。
3.懲戒免職処分を免れるためには,処分の決定に先立って弁明の機会の付与を求め,処分権者が想定している不利益処分の原因となる事実を把握し,それぞれの事実に対して的確な弁明を行う必要があります。また,教育委員会に対し処分基準の開示を求め,予定されている処分が基準から逸脱していないかの検証も必要です。
4.尚,事故があった場合に学校側に届けることは当然ですが,その前にお近くの法律事務所で相談を必ず受けてください。というのは,届け出を受けた学校の校長,教頭先生は,届け出を受けた時点から教育委員会側の立場に立ち,貴方の非違行為の究明することになり貴方の弁解,酌量事情を意外と聞いてくれません。どちらかというと懲戒処分をしやすい様に,証拠の保全に努めるのが通常です。これを怠れば学校の管理者としての責任追及を受ける立場にあり,貴方を擁護する余裕も利益もありません。例えば,顛末書,事情聴取書を作成,署名押印を求めます。又,被害者への謝罪という名目で,被害者を訪問し飲酒運転の実態を明らかにして懲戒処分に備えようとします。行政処分は刑事処分とは異なりますが,結果として刑事処分(罰金,免許停止)よりも貴方の将来を左右する効果を有する場合があります。懲戒免職がそれです。同時に教員免許が失効します(教育職員免許法10条1項)。このような場合,防御権として黙秘権行使(憲法38条1項)の類推適用も考える必要があります。さらに先回りして捜査機関,被害者側との折衝も不可欠でしょう。本件でいえば,加入保険会社にかかわりなく(保険会社は示談金の出し惜しみ,症状固定の関係からなかなか示談しないようです。),早急な被害者側との示談と自動車運転過失傷害罪の不起訴処分が重要となります。
5.弁明の機会の付与についての法的根拠や,懲戒処分を争った際に審査されるポイント,飲酒運転の意義に関する参考裁判例については,下記の解説をご覧ください。
6.飲酒運転と行政処分関連事務所事例集論文1247番1233番1086番1085番1079番参照。

解説:
1 公務員の懲戒処分における弁明の機会について
  行政庁が,国民に対して,処分を行うに際しての手続きに関する共通事項については,行政手続法が規定をしています。そして,行政手続法では,不利益処分を行うに当たっては,不利益性の程度に応じて聴聞又は弁明の機会の付与が必要とされています(行政手続法13条1項)。聴聞,弁明いずれの手続きも基本的には,@予定される不利益処分の内容,根拠法令,原因事実の通知,A意見陳述機会の付与,B最終処分と理由の提示という流れとなっています。このうち,Aの意見陳述の機会の段階が聴聞手続と弁明手続とで異なり,聴聞手続のほうが手厚い内容となっています。
  ご相談のような懲戒処分は,行政手続法の定める「不利益処分」(行政手続法2条4号)に該当します。しかし,公務員の職務又は身分に関してされる処分については,同法3条1項9号により適用除外とされているため,ご相談の件については行政手続法の適用がありません。各地方公共団体の独立性を尊重し(憲法92条以下)公的職務の公正,適正,迅速化を図ろうとしています。

  そこで,公務員の懲戒処分の手続きがどのように規律されるのかが問題となりますが,この点については地方公務員法29条4項が「職員の懲戒の手続及び効果は,法律に特別の定めのある場合を除く外,条例で定めなければならない。」と定めています。
  地方公務員法上の規定としては,不利益処分に関する説明書の交付について定めた49条があります。同説明書には,処分の事由,不服申立先,不服申立期間が記載されます。その他の懲戒処分の手続及び効果については,条例で定められることになりますが,条例は各地方公共団体が制定権を有しているため,ご相談の件についてもあなたのお勤めの都道府県条例を確認する必要があります。
  それゆえ,懲戒処分に先立ち聴聞・弁明の機会が与えられているのかについても,各地方公共団体の定める条例を検討することになります。
  条例に聴聞・弁明の機会について定めた規定があれば問題はありませんが,かかる規定がない場合に弁明の機会を経ることなく懲戒処分を科すことができるかは問題となります。福岡高等裁判所平成18年11月9日判決は,弁明の機会についての条例が存在しない地方公共団体において,弁明の機会の付与なく免職処分がなされた事案について,以下のとおり判示しています。

  「いやしくも,懲戒処分のような不利益処分,なかんずく免職処分をする場合には,適正手続の保障に十分意を用いるべきであって,中でもその中核である弁明の機会については例外なく保障することが必要であるものというべきである。
  これを本件についてみるに,本件処分に先立ち,X校長,Y教育長及びZ教頭らが控訴人に対し,本件酒気帯び運転及び本件紛失について事情聴取を数度行っていることは認められるものの,これはあくまで処分をする側の必要からする事実調査の域を出ないものであって,控訴人に対して弁明の機会を付与したものとはいえない。また,そのほかに,控訴人に弁明の機会が与えられた形跡はない。
  そうであれば,本件処分は,適正手続の保障という意味においても重大な問題を含んでいるものといわざるを得ない。」
  上記裁判例では,免職処分がなされる場合,弁明の機会については例外なく保障することが必要とされています。ご相談の件についても懲戒免職の方向で処分が検討されているとのことですので,処分がなされる前に弁明の機会の付与を求めていく必要があります。そして,処分権者側の都合で行われる事情聴取と弁明の機会とは,その性質が本質的に異なりますので,弁明の機会の付与を求める際には,この点も指摘するべきでしょう。

2 懲戒処分を争った際に審査されるポイント
  地方公務員に対する懲戒処分の根拠については,地方公務員法に規定がありますが,同法は,いかなる非違行為に対しいかなる処分をすべきかについては何らの基準も定めていません。それゆえ,懲戒処分の要否及び内容については,懲戒権者に裁量が認められると解されており,裁量権の逸脱,濫用が認められる場合に限り,当該処分は違法となります。そして裁量権の逸脱,濫用と認められるのは,決定された懲戒処分が社会通念上著しく妥当を欠いて苛酷であるとか,著しく不平等であって,公正原則,平等原則等に抵触する場合に限られるとされています。

  この点については,地方公務員(消防職員)に対する懲戒免職処分の適法性が問題となった大阪高等裁判所平成21年4月24日判決が参考になりますので引用します。
  「本件処分の根拠となる地方公務員法29条1項は,地方公務員に同項1号ないし3号所定の非違行為があった場合,懲戒権者は,戒告,減給,停職又は免職の懲戒処分を行うことができる旨を規定するところ,同法は,すべての職員の懲戒について「公正でなければならない」と規定し(同法27条1項・公正原則),すべての国民はこの法律の適用について平等に取り扱われなければならない(同法13条・平等原則)と規定するほかは,どのような非違行為に対しどのような懲戒処分をすべきかについて何ら具体的な基準を定めていない。
  したがって,本件において,消防長は,被控訴人の非違行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか,被控訴人の非違行為の前後における態度,懲戒処分等の処分歴,選択する懲戒処分が他の公務員及び社会に与える影響等,諸般の事情を考慮して,懲戒処分をすべきかどうか,また,懲戒処分をする場合にいかなる処分をすべきかを,その裁量により決定することができると解される(最高裁昭和47年(行ツ)第52号同52年12月20日第三小法廷判決・民集31巻7号1101頁参照)。もっとも,懲戒権者が裁量権の行使としてした懲戒処分は,それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められる場合でない限り,その裁量権の範囲内にあるものとして,違法とならないものというべきであるが,決定された懲戒処分が社会通念上著しく妥当を欠いて苛酷であるとか,著しく不平等であって,裁量権を濫用したと認められる場合には,公正原則,平等原則等に抵触するなどとして違法となると解される。」

  上記裁判例の示すとおり,「非違行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか,被控訴人の非違行為の前後における態度,懲戒処分等の処分歴,選択する懲戒処分が他の公務員及び社会に与える影響等,諸般の事情」が懲戒処分を争った際の審査のポイントとなりますので,これらの点についての資料を揃える等して効果的に弁明を行う必要があります。非違行為と職務行為の関連性も重要なポイントです。地方公務員には様々な職務内容がありますが,例えば,市営バスの運転手や消防署職員など,運転すること自体が職務行為の重要な一部となっている場合では,飲酒運転について厳重な処分が下る可能性が高まってしまいます。これらの職員の運転が飲酒によって危険にさらされてしまうと,多くの市民が犠牲になる交通事故が多発しかねないからです。
  教職員の場合には,日常的に生徒に対する生活指導を行うことが職務内容に含まれていますので,未成年者の飲酒が禁止されていることを生徒に対して説明していかなければなりませんし,どうして未成年者の飲酒が禁止されているのか,飲酒にはどのような危険が伴うのか説明する必要がありますので,教職員の立場で,職務時間外であったとしても,飲酒運転を行って交通事故を起してしまった場合には,厳重な処分が下る可能性が高くなってしまいます。なお,自治体を挙げて飲酒運転撲滅の運動を行っているような場合には,飲酒運転と職務行為との関連性が高くなくても懲戒免職が有効となってしまう場合がありますので注意が必要です(高松高裁平成23年5月10日判決など)。この点,法解釈,刑事処分の減免を含め法的専門家と事前の協議が不可欠となるでしょう。

3 飲酒運転の意義に関する参考裁判例
  ご相談の件の参考になる裁判例として,佐賀地方裁判所平成20年12月12日判決があります。同判決は,処分基準として「飲酒運転をした教職員は,免職とする。」と定められた懲戒処分の指針における,「飲酒運転」の意義について解釈を示しています。すこし長くなりますが,同判決が「飲酒運転」の意義について判示した箇所の全文を引用します。

  「被告は,本件指針における「飲酒運転」とは,「通常の状態で身体に保有する程度以上にアルコールを保有している状態で自動車を運転すること」であり,道路交通法における酒気帯び運転に至らない程度のアルコールを保有して運転した場合を含むと主張している。
  なるほど,「飲酒運転」という文言は,「酒気帯び運転」や「酒酔い運転」とは異なっており,文字通り解釈すると,「酒を飲んだ上自動車を運転すること」という意味であることは明らかであるし,道路交通法65条1項は,「通常の状態で身体に保有する程度以上にアルコールを保有している状態で自動車を運転すること」を一般的に禁止しているのであるから,これとの対比からも,本件指針における「飲酒運転」については,被告主張のように解釈するのが相当であると解される。
  そして,上記の意味での「飲酒運転」は,上記のとおり,違法行為である以上,前記で説示したとおり,これが地方公務員法29条1項1号及び3号に該当することは明らかであり,また教員については,児童生徒と直接触れ合い指導する立場にあるから,とりわけ高いモラルと法及び社会規範遵守の姿勢が強く求められているから,これを非違行為として,これに懲戒処分を科すこと自体は,社会通念上著しく妥当性を欠くとは到底いえないことも明らかである。
  しかしながら,他方,懲戒免職処分は,当該職員としての身分を失わせ,職場から永久に放逐するというものであり,停職以下の処分とは質的に異なり,公務員にとっていわば「死刑宣告」にも等しい究極の処分であるから,その選択が慎重にされるべきこともまた当然である。
 さらに,懲戒処分の対象となる非違行為自体も,同じ違法行為とはいえ,刑罰法規に触れる犯罪行為とそれ以外の違法行為との間には質的な差違が存在することも明らかである。
  そうすると,本件指針における「飲酒運転」に関する条項は,職務外の刑罰法規には触れない違法行為についても,標準例とはいえ,懲戒免職処分のみを科すという指針になるが,この基準は,今日における飲酒運転に対する社会的非難の度合いの高まりという社会情勢や教員が一般の公務員に比してもより高いモラルを求められていることを考慮しても,あまりに苛酷というべきであって,重きに失し,社会通念上妥当性を欠くものというべきであり,本件指針の「飲酒運転」の意義については,少なくとも刑罰法規に触れる「酒気帯び運転」以上のアルコール分(呼気1リットル中,0.15mg以上)を身体に保有した状態で自動車を運転することと限定的に解釈しない以上,本件指針における上記条項自体,裁量権を逸脱・濫用したものといわざるを得ない。この点は,前記のとおり,酒気帯び運転に至らない程度のアルコールを身体に保有した状態による運転で,公務員が懲戒免職処分を受けた例は見当たらないことからも根拠づけられ,この結論は,本件指針の上記条項が周知徹底されていたとしても異なるものではないものと解される。」

  上記判決は,「飲酒運転」の意義については,「通常の状態で身体に保有する程度以上にアルコールを保有している状態で自動車を運転すること」と解釈するのが相当であるとしています。他方で,懲戒免職処分という重大な処分の特殊性を考慮し,「飲酒運転」については懲戒免職処分のみを科すという指針では重きに失し,社会通念上妥当性を欠くとしたうえで,「飲酒運転」の意義については,少なくとも刑罰法規に触れる「酒気帯び運転」以上のアルコール分(呼気1リットル中,0.15mg以上)を身体に保有した状態で自動車を運転することと限定的に解釈しなければ,「飲酒運転をした教職員は,免職とする。」という条項自体が違法となるとしています。

  すなわち,上記判決は,指針によれば飲酒運転に対しては懲戒免職処分のみを科すことになるという点を重視して,「飲酒運転」の意義を限定して解釈すべきとの結論を導いています。それ故,上記判決の射程としては,処分の量定として,飲酒運転の場合は懲戒免職とするという基準が定められている場合にのみ妥当するかのように思えます。しかし,仮に,「飲酒運転」に対する処分の量定として,懲戒免職のほかに停職等その他の処分も定められていたとしても,「飲酒運転」の意義を拡大して解釈し,刑罰法規に触れない程度のアルコール分を体内に保有した状態の場合でも懲戒免職処分を選択することは,上記判決の趣旨に反するといえます。したがって,上記判決の射程については,「飲酒運転」を理由に懲戒免職処分を行うためには,少なくとも刑罰法規に触れる「酒気帯び運転」以上のアルコール分を身体に保有した状態での運転行為が必要であると解すべきでしょう。

4 ご相談の件について
  上記3の裁判例を参考にする限り,「飲酒運転」を理由に懲戒免職処分を科すためには,少なくとも刑罰法規に触れる「酒気帯び運転」以上のアルコール分を身体に保有した状態での運転行為が必要といえそうです。
  ご相談をうかがう限り,酒気帯び運転等による道路交通法違反が被疑事実となっているのか,運転行為時にあなたが身体に保有していたアルコール分が不明ですので,この点を捜査機関に確認する必要があります。仮に,刑罰法規に触れる「酒気帯び運転」以上のアルコール分を身体に保有した状態での運転行為を示す証拠がないのであれば,処分権者に対して弁明の機会付与を求めて,上記裁判例参考にしながら,「飲酒運転」を理由とした懲戒免職処分は許されないとの弁明をすべきです。
  ご相談の件については,問い合わせや折衝をすべき機関が多岐に渡り,また,迅速な対応が必要ですので,早急にお近くの法律事務所にご相談されることをおすすめいたします。

<参照法令>

行政手続法
2条(定義)
この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
4号 不利益処分 行政庁が,法令に基づき,特定の者を名あて人として,直接に,これに義務を課し,又はその権利を制限する処分をいう。ただし,次のいずれかに該当するものを除く。
 イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲,時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって,当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの
3条(適用除外)
1項 次に掲げる処分及び行政指導については,次章から第四章までの規定は,適用しない。
9号 公務員(国家公務員法2条1項 に規定する国家公務員及び地方公務員法3条1項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導
13条(不利益処分をしようとする場合の手続)
1項 行政庁は,不利益処分をしようとする場合には,次の各号の区分に従い,この章の定めるところにより,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
1号 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか,名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分,名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
2号 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与

地方公務員法
13条(平等取扱の原則)
すべて国民は,この法律の適用について,平等に取り扱われなければならず,人種,信条,性別,社会的身分若しくは門地によつて,又は第16条第5号に規定する場合を除く外,政治的意見若しくは政治的所属関係によつて差別されてはならない。
27条(分限及び懲戒の基準)
1項すべて職員の分限及び懲戒については,公正でなければならない。
29条(懲戒)
1項 職員が次の各号の一に該当する場合においては,これに対し懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる。
1号 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
2号 職務上の義務に違反し,又は職務を怠つた場合
3号 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
4項 職員の懲戒の手続及び効果は,法律に特別の定がある場合を除く外,条例で定めなければならない。
49条(不利益処分に関する説明書の交付)
1項 任命権者は,職員に対し,懲戒その他その意に反すると認める不利益な処分を行う場合においては,その際,その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
2項 職員は,その意に反して不利益な処分を受けたと思うときは,任命権者に対し処分の事由を記載した説明書の交付を請求することができる。
3項 前項の規定による請求を受けた任命権者は,その日から15日以内に,同項の説明書を交付しなければならない。
4項 第1項又は第2項の説明書には,当該処分につき,人事委員会又は公平委員会に対して不服申立てをすることができる旨及び不服申立期間を記載しなければならない。

道路交通法
65条(酒気帯び運転等の禁止)
1項 何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
117条の2第1号
次の各号のいずれかに該当する者は,五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で,その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
117条の2の2第1号
次の各号のいずれかに該当する者は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で,その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

道路交通法施行令
44条の3(アルコールの程度)
法第117条の2の2第1号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は,血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。

刑法
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条  業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も,同様とする。
2  自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

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