新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1064、2010/12/7 15:41

【刑事・裁判員裁判・対象事件・評決・理念】

質問:裁判員制度について教えてください。どうしてこのような制度ができたのですか。どのような場合に裁判員裁判がおこなわれるのでしょうか。判決は,裁判員の意見が本当に反映されるのでしょうか。

回答:
1.国民の中から選任された裁判員が裁判官と一緒に刑事訴訟手続に関与することが,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上につながると考えられたことによります。
2.裁判員裁判の対象となるのは,下記(1)・(2)のいずれかに該当する事件です。
(1)死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
(2)法定合議事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件
3.裁判員の意見は,原則として裁判官の意見と同じ重みを持ちますから,もちろん判決に反映されます。

解説:
第1 裁判員裁判の制度趣旨
 裁判員裁判は,その根拠規定である「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下では,「裁判員法」とします)第1条が「…国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ…」と規定するとおり,国民の司法参加による,司法への理解と信頼の向上を目的としています。
 従来の刑事裁判は,裁判官,検察官及び弁護人という法律の専門家のみの関与のもとに行われてきました。刑事裁判は,証拠による犯罪事実の認定,認定された事実についての法律の解釈,適用と法の範囲内での刑の量刑の判断という3つの段階を経て行われますが,法律の専門家の専門分野は法律の解釈適用が主なものです。証拠による事実の認定や量刑の判断という面においては一般国民の意見や判断を取り入れることにより,その適正が保たれるといえるでしょう。また,法律の専門家による裁判では難解な法律用語が頻繁に用いられたりするなどしたため,専門家以外の人にとっては刑事裁判が非常にわかりにくく,近寄りがたいものとなり,国民の考えから遠ざかってしまうという危険性がありました。そこで,裁判員が刑事裁判に参加し,裁判官と一緒に審理することにより,刑事裁判が身近でわかりやすいものとなり,司法への理解と信頼の向上につながることが期待されています。
 裁判員制度については,制度自体を疑問視する考え方もあるようです。法律に関して専門知識を有しない一般国民に刑事裁判を任せるのは過度な負担を国民に求めるものであり,公正な裁判が期待できないのではないかという意見です。しかし,法の理想は,正義にかなう公正,公平な法に基づき全ての紛争,事件(刑事,民事,行政事件)が裁判所により解決されることを意味し適正,公平な社会秩序を維持して個人の尊厳を保障することにありますが(憲法13条,同76条,同81条,司法権の優位),法の支配の根拠は,国家を構成する国民の総意に基づくものです。言葉を換えれば裁判所が有する司法権は元々国民全員が持っているもので,方法論として,三権分立を採用し均衡抑制により法の理想を実現しようとするところにあります。
 司法権のみならず,立法,行政権も国民の総意なくして存在することは不可能です。司法権は国民により信託されたものであり,信託した国民は,常に権力の行使を監視し,法の理想を実現する義務を有するものと言わざるを得ません。憲法上国民の三大義務(納税,教育,勤労)の他,国民は国家を樹立した時から法の支配を自ら理解,擁護しさらに充実発展させる憲法上の義務を有するものと考えられます。司法権を担う裁判官は,立法権と異なり国民審査を除き直接国民の判断により選ばれていませんので何らかの形で国民の参加等による監視が必要です。
 従って,選ばれた一般国民が刑事裁判に主体的にかかわることは,国民の憲法擁護義務として当然のことであり,むしろ自ら個々の事件を通じて裁判官とともに考え意思表示を行うことは(裁判員法66条),自らの人間としての尊厳を守るため必要な行為と言わざるを得ないでしょう。裁判の公正は,法解釈の除外(裁判官の専権),評決における裁判官の関与(裁判員法67条,多数決の意見に裁判官が必ず必要。),三審制(控訴審,上告審は裁判官のみが行う。)により保全されています。裁判員事件の遅延,裁判員の精神的負担は,別の手続きにより緩和していくべきものと考えます。特に,裁判員制度は,法的知識を有しない裁判員に対して刑事訴訟手続きを理解しやすいようにするため,争点があまりないにもかかわらず,公判前整理手続きが従来の手続きと異なり集中,連続して行われ,公判においてもパソコンによる画像解説,準備の必要性から弁護人の負担や,家族の精神的,経済的負担が増加し,手続遅延も生じるような事件もあるようです。

第2 裁判員裁判の対象事件
 裁判員裁判の対象となる事件については,裁判員法2条1項に定めがあります。
1 裁判員法2条1項1号該当事件
(1)まず,裁判員裁判の対象事件として「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」が挙げられます(裁判員法2条1項1号)。刑法典の中で,これに該当する犯罪としては,「現住建造物等放火」(刑法110条),「通貨偽造及び同行使等」(同法148条),「強制わいせつ致死傷」(同法181条1項),「強姦致死傷」(同2項),「殺人」(同法199条),「身代金目的略取等」(同法225条の2),「強盗致死傷」(同法240条),「強盗強姦及び同致死」(同法241条)などがあります。死亡の結果が生じなくても強姦致傷罪,強盗致傷罪は,傷害の概念が広く(人の生理的機能に障害を与えること,又は人の健康状態を不良に変更することと解釈されており全治1週間程度でも傷害の認定がなされます)例えば,窃盗犯が犯行中被害者等に怪我をさせてしまうと事後強盗致傷になり裁判員裁判の対象になってしまいます。
(2)また,特別法に定められている犯罪であっても,その法定刑に死刑または無期懲役もしくは無期禁錮が定められていれば,もちろん裁判員裁判の対象となります。例えば,「営利目的による覚せい剤の輸出入又は製造」(覚せい剤取締法第41条第2項)や,「営利目的によるけん銃等の輸入」(銃砲刀剣類所持等取締法第31条の2第2項)なども,裁判員裁判の対象事件に該当します。

2 裁判員法2条1項2号該当事件
(1)次に,「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)」も,裁判員裁判の対象となります。
(2)そこで,まず裁判所法第26条第2項第2号を見ると,同号は「死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪(但し,強盗罪等の一定の犯罪を除く)」について,合議体により審理すべきことを定めています(必要的合議事件)。裁判員法2条1項2号は,この必要的合議事件のうち,「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」を,裁判員裁判の対象事件としています。
(3)これに該当する刑法上の犯罪としては,傷害致死(刑法205条),危険運転致死(同法208条の2),遺棄等致死(同法219条,205条),逮捕等致死(同法221条,205条)などがあり,特別法上の犯罪として,決闘傷害致死(決闘罪に関する件第3条,刑法205条)があります。

第3 裁判員の意見
1 裁判員の地位と役割
(1)裁判員の地位
 裁判員法第8条は,「裁判員は,独立してその職権を行う。」と定めています。つまり,裁判員は,裁判官や他の裁判員の意見に拘束されることはなく,独立してその職権を行使することができるのです。
(2)裁判員の役割
 裁判員は,裁判官と同様に公判に立ち会い,審理に参加します。裁判員法第六条は,裁判官及び裁判員の権限として,@事実認定,A法令の適用,B刑の量定の3つを定めていますから,裁判員はこの3つについて,裁判官とともに審理をすることになります。 ア 
 ア 事実認定
  事実認定とは,証拠に基づいて,事実の有無を判断するプロセスです。以下では,被害者が刺殺されたという殺人事件で,被告人が犯人かどうか争われている場合を例に,事実認定がどのように行われるか,簡単にではありますが解説します。
  ア)直接証拠により事実を「認定」できるケース
   例えば,上記の事件で,犯人が被害者を刺す場面を目撃していた人がいるとしましょう。その人が,「被告人と犯人は間違いなく同一人物だった」と証言したとしたら,その証言が間違い(嘘,あるいは記憶違い等)でない限り,その証言から,被告人が犯人であるという事実が認定できることになります。なお,上記の証言が信用できるものであるか否か(嘘,あるいは記憶違い等による間違いがないか)の判断や,その証言どおり「被告人と犯人が同一人物である」と認められるか(それとも,よく似ている人物であるという認定にとどまるか)の判断(これらの判断を,「証拠の証明力」の判断といいます)は,裁判官及び裁判員の自由な判断に委ねられています(裁判員法62条)。これを「自由心証主義」といい,裁判官のみにより行われる裁判と同様の扱いとなっています(刑訴法318条)。
  イ)他の事実から,別の事実を「推認」するケース
   上記のケースと異なり,目撃者である証人の証言が,「犯人と被告人は,身長や体型もほぼ同じだが,同一人物であるかどうかはわからない」というものだった場合はどうでしょうか。この証言から認定できるのは,「犯人と被告人が,身長や体型がほぼ同じである」という事実だけです。犯人と身長・体格がほぼ同じ人は,被告人以外にも世の中に多数存在しますから,「犯人と被告人が,身長や体型がほぼ同じである」という事実から,「犯人と被告人が同一である」という事実を「推認」することはできません。
   しかし,上記の事実に加え,他の証拠から,@凶器に唯一付着していた指紋と,被告人の指紋が一致すること,A被告人が,事件の直前に,凶器と同一の刃物を購入していたこと,B被害者の血痕が,被告人の着衣に付着していたこと,C被告人は,かねてから被害者に恨みをもっていたこと,などの事実が認められるとしたらどうでしょうか。果たして,「被告人と犯人が同一である」ことについて,合理的な疑いを容れないといえるでしょうか。こういった判断をするのが,「事実認定」という作業になります。
 イ 法令の適用
  事実認定のあとには,その事実を法律の規定にあてはめるとどうなるか(何罪が成立するのか,あるいは無罪か)の判断を行うことになります。例えば,殺人罪と傷害致死罪を区分する要件は「殺意の有無」ですが,認定した事実から被告人に「殺意があった」といえるかどうかを,裁判官と裁判員が判断することになります。もっとも,法律の規定というのは,抽象的な文言により定められていることから,その文言が具体的にどのような内容を含むかについて,法律を「解釈」する必要があります。この「法律解釈」は,法律の専門的な知識が要求される難しい作業になりますし,他の事件における解釈との整合性を保つ必要もありますので,裁判官のみの合議により行うこととされています(裁判員法6条2項1号)。
 ウ 刑の量定
  法令の適用の結果,被告人が有罪であると判断された場合には,その量刑も決めることとなります。 以下に参考として掲げた条文にもあるとおり,法律上の刑の範囲は「○○年以上○○年以下」といったように幅をもって規定されています。その範囲内で,被告人に不利な事情と有利な事情を併せて考慮し,最終的な刑を決めることになります。
 
2 評議の方法
 これまで述べた裁判員の役割は,裁判官と裁判員の評議の中で行われることになります(裁判員法66条)。評議の方法は,裁判官と裁判員全員の多数決により行われ,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見により決せられることになります(裁判員法67条)。つまり,最終的に裁判官1人の意見を含む多数意見を形成しなければならないという制約はあるものの,その点を除けば,裁判員の意見は裁判官と同様に一票の重みを持ちますので,裁判員の意見は判決に反映されることとなります。

<参照条文>

憲法 
第六章 司法
第七十六条  すべて司法権は,最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
○2  特別裁判所は,これを設置することができない。行政機関は,終審として裁判を行ふことができない。
○3  すべて裁判官は,その良心に従ひ独立してその職権を行ひ,この憲法及び法律にのみ拘束される。
第七十九条  最高裁判所は,その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し,その長たる裁判官以外の裁判官は,内閣でこれを任命する。
○2  最高裁判所の裁判官の任命は,その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し,その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し,その後も同様とする。
○3  前項の場合において,投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは,その裁判官は,罷免される。
第八十一条  最高裁判所は,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
(対象事件及び合議体の構成)
第二条  地方裁判所は,次に掲げる事件については,次条の決定があった場合を除き,この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は,裁判所法第二十六条の規定にかかわらず,裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二  裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
(裁判官及び裁判員の権限)
第六条 第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において,刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決,同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は,第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。
一 事実の認定
二 法令の適用
三 刑の量定
2 前項に規定する場合において,次に掲げる裁判所の判断は,構成裁判官の合議による。
一 法令の解釈に係る判断
二 訴訟手続に関する判断(少年法第五十五条の決定を除く。)
三 その他裁判員の関与する判断以外の判断
3 裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い,それ以 外の審理は構成裁判官のみで行う。
(裁判員の職権行使の独立)
第八条 裁判員は,独立してその職権を行う。
(自由心証主義)
第六十二条 裁判員の関与する判断に関しては,証拠の証明力は,それぞれの裁判官及び裁判員の自由な判断にゆだねる。
(評議)
第六十六条 第二条第一項の合議体における裁判員の関与する判断のための評議は,構成  裁判官及び裁判員が行う。
2 裁判員は,前項の評議に出席し,意見を述べなければならない。
3 裁判長は,必要と認めるときは,第一項の評議において,裁判員に対し,構成裁判官の合議による法令の解釈に係る判断及び訴訟手続に関する判断を示さなければならない。4 裁判員は,前項の判断が示された場合には,これに従ってその職務を行わなければならない。
5 裁判長は,第一項の評議において,裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うとともに,評議を裁判員に分かりやすいものとなるように整理し,裁判員が発言する機会を十分に設けるなど,裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならない。
(評決)
第六十七条 前条第一項の評議における裁判員の関与する判断は,裁判所法第七十七条の   規定にかかわらず,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。
2 刑の量定について意見が分かれ,その説が各々,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見にならないときは,その合議体の判断は,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見になるまで,被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え,その中で最も利益な意見による。
第一節 公判準備及び公判手続
(公判前整理手続)
第四十九条  裁判所は,対象事件については,第一回の公判期日前に,これを公判前整理手続に付さなければならない。

裁判所法
第二十六条 (一人制・合議制)  地方裁判所は,第二項に規定する場合を除いて,一人の裁判官でその事件を取り扱う。
2  左の事件は,裁判官の合議体でこれを取り扱う。但し,法廷ですべき審理及び裁判を除いて,その他の事項につき他の法律に特別の定があるときは,その定に従う。
一  合議体で審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件
二  死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪(刑法第二百三十六条 ,第二百三十八条又は第二百三十九条の罪及びその未遂罪,暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条ノ二第一項若しくは第二項又は第一条ノ三の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第二条又は第三条の罪を除く。)に係る事件
三  簡易裁判所の判決に対する控訴事件並びに簡易裁判所の決定及び命令に対する抗告事件
四  その他他の法律において合議体で審理及び裁判をすべきものと定められた事件
3  前項の合議体の裁判官の員数は,三人とし,そのうち一人を裁判長とする。

刑法
(現住建造物等放火)
第百八条  放火して,現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船又は鉱坑を焼損した者は,死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(通貨偽造及び行使等)
第百四十八条  行使の目的で,通用する貨幣,紙幣又は銀行券を偽造し,又は変造した者は,無期又は三年以上の懲役に処する。
2  偽造又は変造の貨幣,紙幣又は銀行券を行使し,又は行使の目的で人に交付し,若しくは輸入した者も,前項と同様とする。
(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条  第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は三年以上の懲役に処する。
2  第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって女子を死傷させた者は,無期又は五年以上の懲役に処する。
3  第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し,よって女子を死傷させた者は,無期又は六年以上の懲役に処する。
(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は,死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(傷害致死)
第二百五条  身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,三年以上の有期懲役に処する。
(危険運転致死傷)
第二百八条の二  アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ,よって,人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し,人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で,又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ,よって人を死傷させた者も,同様とする。2  人又は車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し,よって人を死傷させた者も,前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し,よって人を死傷させた者も,同様とする。
(遺棄等致死傷)
第二百十九条  前二条の罪を犯し,よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。
(逮捕等致死傷)
第二百二十一条  前条の罪を犯し,よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。
(身の代金目的略取等)
第二百二十五条の二  近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で,人を略取し,又は誘拐した者は,無期又は三年以上の懲役に処する。
2  人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて,その財物を交付させ,又はこれを要求する行為をしたときも,前項と同様とする。
(強盗致死傷)
第二百四十条  強盗が,人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
(強盗強姦及び同致死)
第二百四十一条  強盗が女子を強姦したときは,無期又は七年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは,死刑又は無期懲役に処する。
覚せい剤取締法第41条第2項
(刑罰)
第四十一条  覚せい剤を,みだりに,本邦若しくは外国に輸入し,本邦若しくは外国から輸出し,又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は,一年以上の有期懲役に処する。
2  営利の目的で前項の罪を犯した者は,無期若しくは三年以上の懲役に処し,又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3  前二項の未遂罪は,罰する。

銃砲刀剣類所持等取締法
第三条の四  何人も,次の各号のいずれかに該当する場合を除いては,けん銃,小銃,機関銃又は砲(以下「けん銃等」という。)を輸入してはならない。
一  国又は地方公共団体が第三条第一項第一号又は第二号の所持に供するため必要なけん銃等を輸入する場合
二  国又は地方公共団体から前号のけん銃等の輸入の委託を受けた者が委託に係るけん銃等を輸入する場合
三  第四条第一項第三号又は第四号の規定によりけん銃等の所持の許可を受けた者が許可に係るけん銃等を輸入する場合
四  前号に規定する者から許可に係るけん銃等の輸入の委託を受けた者が委託に係るけん銃等を輸入する場合
五  第六条第一項の規定によりけん銃等の所持の許可を受けた者が許可に係るけん銃等を輸入する場合
第三十一条の二  第三条の四の規定に違反した者は,三年以上の有期懲役に処する。
2  営利の目的で前項の違反行為をした者は,無期若しくは五年以上の有期懲役又は無期若しくは五年以上の有期懲役及び三千万円以下の罰金に処する。
3  前二項の未遂罪は,罰する。

決闘罪に関する件
第三条 決闘ニ依テ人ヲ殺傷シタル者ハ刑法ノ各本条ニ照シテ処断ス

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