新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.910、2009/9/1 14:25

【民事訴訟・送達・再審・同居人の訴状受け取りと表見代理について】

質問:知人の男性に金銭を貸し付けたときに、その連帯保証人として、その知人の兄の署名と、実印での捺印と、印鑑証明書等をもらって、借用書を作成していました。支払が滞り、その知人と兄の双方に対して、訴訟を起こしましたが、初回期日に欠席し、書面もださなかったので、そのまま判決が出ました。知人と連絡が取れず、半年後、兄とようやく連絡が取れたので、判決を示して支払いを請求したら、自分は署名捺印していない、弟が勝手にやった、訴訟が提起されたことも知らなかった、等と主張し、裁判をやり直すといって、支払に応じません。裁判所で確認してみたら、兄の訴状も、同居人として知人が受け取っていたようです。借用書の時点では住所が異なっていましたが、訴訟の時は同居しているようだったので、双方同じ住所を送達場所としていました。本当に兄が、了承していないのか、訴状を受け取っていないのかも疑わしいし、判決も出ているのに、裁判のやり直しをされてしまうのでしょうか。無断でやったと主張されていますが、もし、裁判のやり直しになったときには、勝てる余地はありますか。

回答:
1.訴訟前の実体法の観点から考えると、弟が兄の署名を偽造して印鑑証明を勝手に使い押印したのであれば、偽造であり兄は法律行為をしていないので兄に連帯保証人の法的責任はありません。例外的に別件で実印、印鑑証明を預けておいた場合には本人名義での権限外の行為であり、表見代理の類推適用により責任が生じる場合があると思います(最判昭和44年12年19日)。
2.次に、同居している弟が、自ら偽造行為を隠すため勝手に兄の訴状を受け取っていますが、有効な訴状の送達になるかどうかが問題です。民訴106条1項は、本人以外の同居者に対する訴状の送達も有効としていますが、「同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるもの」とはどのような関係にあるものを指すかを明らかにする必要があります。結論から言うと同居する弟は「相当のわきまえのある者」に該当します。相当のわき前のあるものとは、本人と法律上の利害関係がなく訴状を受け取る資格がある同居者をさしますので、偽造した弟が兄に保証債務履行の訴状を知られたくないという関係では法律上の利害関係があるということにはならないからです。判例も同趣旨です。
3.次に、訴状の送達が有効でも、兄は何ら主張立証ができない不都合があり、この兄の救済をどのようにするか問題ですが、再度訴訟をやり直す再審の理由があるかどうか問題となります。この点、弟が勝手に兄の訴状を代理して受け取っているので民訴338条1項3号の「法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。」に該当するかどうか問題であり、再審の制度趣旨から再審理由に当たるものと解釈いたします。判例も同趣旨です。
4.お兄さんは偽造の場合自らの財産(例えば不動産)について強制執行され著しい損害が生じる危険があれば、強制執行停止の仮処分(仮の地位を定める仮処分、民事保全法23条2項)を申し立てて、再審の訴訟を起こすことになります。
5. 法の支配と民事訴訟実務入門 総論9、「訴状の送達。送達とは何ですか。」参照。

解説:
1.(実体法上の関係)弟が、兄の実印を使い署名を偽造していれば、兄は連帯保証行為をしていないので、法的責任を負いません。但し、兄が別個の取引等で弟に代理権を与えており、弟が本人の名義で法律行為を行い、第三者が本人自身の行為と信用し、そう信じるについて正当性があれば、110条の直接適用ではなく、類推適用が可能です。判例(最判昭和44年12月19日)は、110条の類推適用の場面としながら、売買の買主が権利者と年齢が15歳も違う売主を本人であると安易に信じたとして過失を認定しています。山林を担保にして消費貸借の代理権を与えられていた者が本人と偽って山林を売却した事案です。

2.(送達について)訴訟は被告に対して訴状が送達されて初めて開始されますので、訴状は、被告本人の住所地で被告本人に交付して送達するのが原則ですが(民訴101条、138条)、偽造されて連帯保証人になった兄に対して訴状は直接交付されていません。偽造した同居中の弟が当該偽造を隠すために本件訴状を勝手に受け取り隠ぺいしているのでこの送達が有効かどうか、そもそも訴訟が開始されているかどうか問題となります。確かに本人に交付はしていませんが、同居人に対する送達が、民訴訴訟の民訴106条1項で認められており、同条の「同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるもの」とはどのような関係にあるものを指すかを明らかにする必要があります。相当のわき前のあるものとは本人と法律上の利害関係がなく、訴状を受け取る資格がある同居者をさします。すなわち、被告と法律上の利害関係がない同居者に手渡せば送達は有効になるわけで有効に訴訟は開始されたことになります。

3.(理由)どうして、同居者の範囲を広く解釈するかというと民事訴訟の本質に理由があります。民事訴訟は、私的紛争を公的、強制的に解決する手続きであり適正公平迅速低廉に行う必要があります(民訴2条)。これは紛争の当事者に対して、自力救済を禁止して裁判を受ける権利(憲法32条)を認め保障することを意味しますので、私的紛争が発生すれば、直ちに迅速に当事者の主張、立証を公平に聞き判断(判決、等裁判)しなければなりませんから、被告に対して訴状を確実に送り被告の反論の機会を与える必要があります。そこで、紛争の内容を記載した訴状(他の重要な書類も同じ、例えば判決)は、送付の形式を「送達」といって法が認めた特別な形式により確実に相手方に届くようにしたのです(民訴138条、101条以下)。すなわち、送達とは、訴訟手続きを行うために必要な書類を法定の方式に従い訴訟の当事者や関係人に対し交付し、または交付を受ける機会を与える行為であり(民訴98条以下)、「特別送達」と言って、通常郵便配達人が配達交付してその事実関係について郵便認証し(郵便会社の管理職、資格者で郵便局の中にいます)、認証を受けて送達報告書を作成し裁判所に提出する特別の方式で行われます(郵便法49条、民事訴訟法109条)。しかし、被告に対して厳格な方式により送付しても交付するときに被告自身の不在、又住所が不明の場合、さらに事実上、これを拒否乃至回避し(居留守)、訴訟の開始を遅延させる危険もあります。

そこで、迅速な裁判実現のため被告本人への訴状交付以外に被告の同居人(他に被告の使用人、従業員)に対して交付しても送達の効力を認めています。同居人が当該訴状を受領後実際に被告に渡すかどうかには無関係です。このような状態は被告に不利益ですが私的紛争について当事者に裁判を受ける権利を保障している以上、その反射的効果として、国家は「国民が裁判を受けるための機関」を設置しこれに対応しなければなりませんし、国民は裁判を起こされたら信義則上これに応ずるように配慮する義務、すなわち裁判に対して自ら反論する義務がありこれを果たさず放棄すると一定の不利益をこうむることになります。従って、被告になった者は、国民の義務として住所等を明らかにして提起された裁判に応じ、答える法的義務を有しますので、自らの同居人に対する送付により裁判は開始される効果を受忍することになります。以上の趣旨から、本条の「相当のわき前のあるもの」とは、被告と特別な法的利害関係を有し、訴状を受け取っても被告に交付しない危険性が明らかな特別な関係を有する者以外のすべての者と広く解釈しなければならず、事実上の不都合不利益を有する関係者は同居人であれば有効に送達を受ける地位を有することになります。

4.(本件の検討)偽造した弟が兄に保証債務履行の訴状を知られたくないという関係は法律上の利害関係か事実上の利害関係かという問題ですが、弟は、訴状を受け取ったときには、兄から保証人の弁済により求償等法的な請求を受けているわけではありませんし、単に自らの連帯保証債務の偽造を知られたくないという実際上の不都合が生じる関係にあり、「相当のわき前のあるもの」に該当することになります。従って訴訟は有効に開始されています。

5.(最近の判例。再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件。最高裁判所第3小法廷平成19年3月20日決定の検討。)再審制度は平成8年の改正により再審開始許否の手続き(決定)と本案の手続き(判決)に分離されており本件は再審事由があるかどうかの決定手続きです(民訴345条乃至347条新設)。憲法違反を理由とする特別抗告以外の理由(判例違反、重要事項に関する理由)から認められる民訴377条の許可抗告事件です。決定内容。「民訴法106条1項は,就業場所以外の送達をすべき場所において受送達者に出会わないときは,「使用人その他の従業者又は同居者であって,書類の受領について相当のわきまえのあるもの」(以下「同居者等」という。)に書類を交付すれば,受送達者に対する送達の効力が生ずるものとしており,その後,書類が同居者等から受送達者に交付されたか否か,同居者等が上記交付の事実を受送達者に告知したか否かは,送達の効力に影響を及ぼすものではない(最高裁昭和42年(オ)第1017号同45年5月22日第二小法廷判決・裁判集民事99号201頁参照)。したがって,受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が,その訴訟において受送達者の相手方当事者又はこれと同視し得る者に当たる場合は別として(民法108条参照),その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には,当該同居者等に対して上記書類を交付することによって,受送達者に対する送達の効力が生ずるというべきである。」と判断している。妥当な決定です。

6.(擬制自白)次に、送達が有効であれば訴訟は開始され、被告が何ら答弁しなければ、国民の義務として、自らの主張、立証する義務を放棄していますから、自ら権利を主張しなければその効果を得ることができないという私的自治の大原則から反論がないものとして原告の主張を真実と認め(擬制自白)裁判所は原告勝訴の判決を下さざるを得ません(民訴159条1項、3項、243条、244条1項)。

7.(不利益の救済) しかし、兄とすれば、勝手に弟に連帯保証債務を偽造され、何の反論の機会もないまま、判決が確定し判決に基づき強制執行(さらに同居している弟への判決の送達受領により)により自らの財産を失う可能性が生じます。そこで兄の利益保護が問題になります。そもそも民事訴訟の最終目的は、法の理想に基づく公正で公平な社会秩序の建設、維持にあり、このような兄の利益を保護するために控訴できずに判決が確定していますので、確定した判決を取り消す再審制度を利用できるかどうか問題になります。

8.(再審事由に当たるか) 弟は、兄に代わり訴状の受けっとっており、あたかも兄の代理人のように対応していますので再審事由民訴338条1項3号の「法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。」に該当するかどうか問題になりますが、結論から言えば3号の再審理由に該当するものと解釈します。

9.(理由) 再審とは、確定判決に再審理由に該当する重大な瑕疵がある場合に確定判決を取り消し再度の審理を求める非常の不服申し立て及び審判を言います(民訴388条)。一度判決が確定し、公的、強制的に紛争が終結したのにこれを蒸しかえすのは法的安定性に欠けるようにも思いますが、訴訟は迅速低廉に遂行することが要請されますので、すべての判決が形式的に確定していても、確定後判決の過程において手続き上重大な瑕疵が発見された場合にこれを放置することは、民事訴訟の目的、理想である適正公平な解決による公正な社会法秩序を維持することはできませんし、裁判に対する国民の信頼、信用もひいては失い真の紛争解決にはつながりません。そこで例外的に重大な瑕疵の場合に限り再審事由としています。3号が再審事由となっている理由は、訴訟手続きについて法定、訴訟代理権等授権がないのに訴訟行為が行われたのであれば、本人にとっては無権代理であり、その訴訟上の法的効果を受ける理由がないのですが、それを気がつかず主張しないまま(民訴388条1項但し書き、再審補充性といいます。)、訴訟が進行し裁判が確定した場合、公平、公正な裁判の実現という理想から反論できなかった訴訟の当事者の不利益を救済する規定です。訴状の送達は、原告の主張内容を確認し反論する重要な訴訟行為であり、同居者があたかも代理人と権限なく訴状を受領し、本人に手渡さなかった場合には本人は一切主張立証の反論ができないのですから、本号の制度趣旨である公平、公正の見地から同様に救済されるべきです。この場合、5号の再審事由(他人の犯罪行為による攻撃防御方法の提出妨害)に当たるという説もありますが、3号の主張は5年の除斥期間(本来主張できないが法が特別に認めた権利)にかからないので(民訴342条2項、3項)、一切の訴訟行為ができなかった当事者保護を厚くするために3号に該当すると解釈すべきです。

10.(判例の検討。前記最高裁判所第3小法廷平成19年3月20日決定。)内容。「しかし,本件訴状等の送達が補充送達として有効であるからといって,直ちに民訴法338条1項3号の再審事由の存在が否定されることにはならない。同事由の存否は,当事者に保障されるべき手続関与の機会が与えられていたか否かの観点から改めて判断されなければならない。すなわち,受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため,同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が速やかに交付されることを期待することができない場合において,実際にもその交付がされなかったときは,受送達者は,その訴訟手続に関与する機会を与えられたことにならないというべきである。そうすると,上記の場合において,当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付されず,そのため,受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには,当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に扱う理由はないから,民訴法338条1項3号の再審事由があると解するのが相当である。抗告人の主張によれば,前訴において抗告人に対して連帯保証債務の履行が請求されることになったのは,抗告人の同居者として抗告人あての本件訴状等の交付を受けたAが,Aを主債務者とする債務について,抗告人の氏名及び印章を冒用してBらとの間で連帯保証契約を締結したためであったというのであるから,抗告人の主張するとおりの事実関係が認められるのであれば,前訴に関し,抗告人とその同居者であるAとの間には事実上の利害関係の対立があり,Aが抗告人あての訴訟関係書類を抗告人に交付することを期待することができない場合であったというべきである。したがって,実際に本件訴状等がAから抗告人に交付されず,そのために抗告人が前訴が提起されていることを知らないまま前訴判決がされたのであれば,前訴判決には民訴法338条1項3号の再審事由が認められるというべきである。抗告人の前記3の主張は,抗告人に前訴の手続に関与する機会が与えられないまま前訴判決がされたことに民訴法338条1項3号の再審事由があるというものであるから,抗告人に対する本件訴状等の補充送達が有効であることのみを理由に,抗告人の主張するその余の事実関係について審理することなく,抗告人の主張には理由がないとして本件再審請求を排斥した原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,以上の趣旨をいうものとして理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,上記事由の有無等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。」

11.(判例の検討)第一審、控訴審では、補充送達は有効であるから、再審事由はないとの判断であるが、最高裁において破棄差し戻しとなっています。実質的な公正公平な裁判という理想から妥当な判断でしょう。

12.(本件の検討)兄は、勝手に保証債務を偽造されて何ら反論できなかったのであり、3号再審の決定を得て、再審の本案の裁判で確定した判決を取り消してもらい、それまでに強制執行の停止の仮処分を得ていれば事実上の損害は生じないことになります。但し、兄が表見代理の規定が適用されるようであれば再審の本案訴訟で敗訴することになります。

≪条文参照≫

<民事訴訟法>
(裁判所及び当事者の責務)
第二条  裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。
(訴状の送達)
第138条 訴状は、被告に送達しなければならない。
(交付送達の原則)
第101条 送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。
(送達場所)
第103条 送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。
ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
2 前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。
送達を受けるべき者(次条第1項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。
(補充送達及び差置送達)
第106条 就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。
郵便の業務に従事する者が郵便事業株式会社の営業所において書類を交付すべきときも、同様とする。
【則】第43条
《改正》平17法102
2 就業場所(第104条第1項前段の規定による届出に係る場所が就業場所である場合を含む。)において送達を受けるべき者に出会わない場合において、第103条第2項の他人又はその法定代理人若しくは使用人その他の従業者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものが書類の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に書類を交付することができる。
3 送達を受けるべき者又は第1項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる。
(訴状の送達)
(再審の事由)
第338条 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
1.法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
2.法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
3.法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
4.判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
5.刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
6.判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
7.証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。
8.判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
9.判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
10.不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。
2 前項第4号から第7号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。
3 控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。
(管轄裁判所)
第三百四十条  再審の訴えは、不服の申立てに係る判決をした裁判所の管轄に専属する。
2  審級を異にする裁判所が同一の事件についてした判決に対する再審の訴えは、上級の裁判所が併せて管轄する。
(再審の訴訟手続)
第三百四十一条  再審の訴訟手続には、その性質に反しない限り、各審級における訴訟手続に関する規定を準用する。
(再審期間)
第三百四十二条  再審の訴えは、当事者が判決の確定した後再審の事由を知った日から三十日の不変期間内に提起しなければならない。
2  判決が確定した日(再審の事由が判決の確定した後に生じた場合にあっては、その事由が発生した日)から五年を経過したときは、再審の訴えを提起することができない。
3  前二項の規定は、第三百三十八条第一項第三号に掲げる事由のうち代理権を欠いたこと及び同項第十号に掲げる事由を理由とする再審の訴えには、適用しない。
(再審の訴状の記載事項)
第三百四十三条  再審の訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  当事者及び法定代理人
二  不服の申立てに係る判決の表示及びその判決に対して再審を求める旨
三  不服の理由
(不服の理由の変更)
第三百四十四条  再審の訴えを提起した当事者は、不服の理由を変更することができる。
(再審の訴えの却下等)
第三百四十五条  裁判所は、再審の訴えが不適法である場合には、決定で、これを却下しなければならない。
2  裁判所は、再審の事由がない場合には、決定で、再審の請求を棄却しなければならない。
3  前項の決定が確定したときは、同一の事由を不服の理由として、更に再審の訴えを提起することができない。
(再審開始の決定)
第三百四十六条  裁判所は、再審の事由がある場合には、再審開始の決定をしなければならない。
2  裁判所は、前項の決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。
(即時抗告)
第三百四十七条  第三百四十五条第一項及び第二項並びに前条第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(本案の審理及び裁判)
第三百四十八条  裁判所は、再審開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする。
2  裁判所は、前項の場合において、判決を正当とするときは、再審の請求を棄却しなければならない。
3  裁判所は、前項の場合を除き、判決を取り消した上、更に裁判をしなければならない。

<民法>
(自己契約及び双方代理)
第百八条  同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条  第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条  前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
(代理権消滅後の表見代理)
第百十二条  代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
(無権代理)
第百十三条  代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2  追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

<民事保全法>
第三款 仮処分命令
(仮処分命令の必要性等)
第二十三条  係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2  仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3  第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4  第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

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